メインキャラと同年代じゃないオリジナル主人公は間違っているだろうか?   作:反町龍騎

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 新作書きました!
 Lonelinessまだそこまで進んでいないというのに⋯⋯

 そしてなぜかこちらの方が筆の進みが早いという


一話

 二年前、インターミドルチャンピオンシップ世界戦決勝。

 対戦しているのは刀を持つ少年と徒手空拳の少女。

 ライフポイントで勝っているのは少女の方。だが、少女は苦い顔をして防戦一方。少年の方は、苦い顔こそしているものの、少女に攻撃をさせないでいた。

 現ラウンド残り時間三二秒。

 少女にバインドを掛けた少年は、持っていた刀を鞘に納め、腰を落とし構える。所謂居合の構えだ。

 

「――ッ!」

 

 少年の、濃密な殺気が、少女の元に届いた。

 その殺気を感じた少女の雰囲気が変わる。

 

「――ガイスト・クヴァール」

 

「白虎、白銀ノ――ッ!!」

 

 少女の腕に纏う黒い腕が、少年を襲う。

 

「があぁッ!!!」

 

 少年は吹き飛び、壁に激突する。

 そこで、少年の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺、小鳥遊宗二、一五歳。学生兼管理局嘱託魔導士だ。

 今俺は、愛しのギンガさんと通信をしていた。

 

「⋯⋯連続傷害事件、ですか?」

 

『ええ。ああ⋯⋯まだ事件ではないんだけどね』

 

「ん?どういう事です?」

 

『被害者は主に、格闘系の実力者なのね。そういう人に街頭試合を申し込んでは⋯⋯』

 

「ボッコボコのフルボッコ、ですか?」

 

『ええ、そう。そういう人たちの間で、話題になってるんだって。被害届が出てないから事件扱いではないんだけど、宗二君も、襲われたりしないように気を付けてね』

 

「分かりました。愛するギンガさんのご忠告、しかと胸に刻み込んでおきます」

 

『あはは⋯⋯。それで、これが容疑者の写真よ』

 

 エメラルドグリーンの髪を二つに纏め、バイザーを付けた女性が映った画像が現れる。

 

『自称「覇王」イングヴァルト』

 

「ん?なんか聞いた事あるんですけど。確かそれって、古代ベルカの」

 

『そう。古代ベルカ――聖王戦争時代の、王様の名前』

 

「ふむ。ねぇギンガさん」

 

『どうかした?』

 

「この人、良い体してますね」

 

『もしもしお父さん?管理局嘱託魔導士小鳥遊宗二の逮捕を――』

 

「わー!待って!あの人に通報しないで!いつも以上にこき使われる!」

 

 俺が嘱託として管理局に勤めて以来、ギンガさんの父親――ゲンヤ・ナカジマのヤローに使われっぱなしなのだ。恨むぜジジイ。

 

『ふふっ、冗談よ』

 

「その冗談は心臓に悪いのでマジで止めてもらえます?」

 

『ふふっ、ごめんごめん。今日連絡したのはそれだけだから。⋯⋯あ、そうそう。今年もインターミドルに出るんでしょ?』

 

「はい、出ますよ」

 

『シグナムさんが、練習がてら、一戦交えないかって言ってたわよ』

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

 シグナムさんか⋯⋯。綺麗でスタイルもいいんだがな。いかんせん、戦闘狂なんだよなぁ。Sランクの魔導士だから練習相手としては申し分ないんだが。⋯⋯逃げるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日は変わって朝となり、学校へ行く時間だ。

 

「父さん、母さん、行ってきます」

 

 今は亡き両親に挨拶をし、俺は学校へと向かった。

 

 学校に着き、教室に入ると、見知った少女が居た。

 

「おはよーハリー!」

 

 彼女はハリー・トライベッカ。赤髪ポニーテールで、インターミドル都市本戦常連の実力者だ。

 ただ、可愛い子なのだ。だから俺はハリーに抱き付いた。

 

「ふえっ、お、おい宗二、いきなり抱き付くなよ!恥ずかしいじゃんか!」

 

 そうは言うがハリーさん、嫌がっていませんね。顔が赤いですよ?

 

「まあいいだろハリー。久しぶりに会ったんだぜ?」

 

「金曜日に会ってんだろ!久しぶりな訳ねぇだろうが!」

 

 うん、正しい反応だね。

 

「ところでハリー。週末何してますか?暇ですか?デートしてもらっていいですか?」

 

「なに某ライトノベルのタイトル風に言ってんだよ!暇だよ!デートするよ!」

 

「よし決まりだ!じゃあ、いつもの場所で待ってる!」

 

「おうよ!」

 

 と、俺達が話していると、

 

「あの、リーダー、宗二、結構周りの迷惑になってるんで、あんまり騒がない方が⋯⋯」

 

 と、ハリーの舎弟?友達?まあどっちでもいいか、の三人の内の一人、長髪長身の少女、ミアが声を掛けてきた。

 この子はこの子で可愛いのだ。だから俺はハリーから離れてミアに抱き付いた。

 

「おはようミア!週末デートしようぜ!」

 

「は、はぁ!?」

 

「な、宗二テメェ!その日は俺とするんだろうが!」

 

「ふふはは、ハリーよ。俺は一人の女だけしか愛せないほど不器用な男じゃあないんだぜ?」

 

「テメェ表出ろコラァ!」

 

「だが断る!小鳥遊宗二はクールに去るぜ」

 

 俺は全速力でその場から逃走する。

 ハリーが俺に怒鳴り、そのとばっちりをミアが受けている声が聞こえるが、俺はそれを無視する。

 ハリーの事だ。そこまで大事にはしないだろう。

 南無阿弥陀仏、ミア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 俺を追いかけるハリーを振り切り、とある場所へと来ていた。

 そこは豪邸だった。

 

「何度来ても慣れんな、この豪邸には」

 

 俺はインターホンを押す。

 

『少々お待ちを』

 

 成人男性の声が聞こえ、家の門が開く。

 少しして、ドタドタという足音が聞こえ、勢いよく扉が開け放たれた。

 

「宗二ーー!」

 

 言いながら、俺に抱き付いて来た金髪巨乳美女は、ヴィクトーリア・ダールグリュン。こちらもインターミドル都市本戦常連の実力者で、古代ベルカ、「雷帝」の血をほんの少し(笑)引いているのだそうだ。

 

「おうヴィクター、久しぶり」

 

「ええ、本当に久しぶりですわ!」

 

 頬を擦り付けるヴィクター。ハリーと同じで金曜に会ったばかりなのだが、この反応の違いだ。可愛い。ヴィクター可愛い。

 

「と、ヴィクター。ずっとここにいるのもあれだから、中に入ってもいいか?」

 

「はっ!も、申し訳ありません。勿論ですわ」

 

 ヴィクターは俺の首に回していた腕を俺の腕に回し換え、家の中へ入っていく。

 

「エドガー。私と宗二にお茶を入れて頂戴」

 

「あ、俺の奴には砂糖とミルク入れといてね」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

「今日は何の用で来ましたの?」

 

「ああ、ん、ありがとエドガー。今日来たのは今週末暇か聞くためだ」

 

 俺とヴィクターに一礼したエドガーを見て、ヴィクターに今日来た理由を説明する。

 

「今週末は暇ですが、何かありますの?」

 

「ああ。なら、俺とデートしよう」

 

「それなら今すぐにでも!」

 

「いや今週末な」

 

「むう、いけずですわ」

 

 不満に頬を膨らませるヴィクター。やっぱ可愛い。可愛いよヴィクター。

 俺はヴィクターの頬を押して空気を抜く。

 

「今週末だからな。それまでは忙しいから無理だ」

 

「管理局の仕事ですの?」

 

「まあ、そうだな」

 

 またあのジジイにこき使われる。おらこんな局嫌だ~。

 まあ、あのジジイの事は今は忘れよう。その思いで紅茶を一気飲みして立ち上がる。

 

「じゃあ、用も済んだし、帰るわ」

 

「も、もう帰りますの?もう少しここに居ても⋯⋯」

 

「これから今年のインターミドルに向けての練習だよ」

 

「な、なら!私と一緒にやりましょう!」

 

「ダメに決まってんだろ?俺とお前はライバルなんだ。手の内を見せるような真似してどうする」

 

「ううっ⋯⋯」

 

 目に涙を浮かべて俯きましたお嬢様。そんなに一緒に居たいのか、愛い奴め。しかし、俺も男だ。ここはハッキリと言わねばならん。

 

「明日も来るから、な?」

 

 ハッキリと言えなかった!言えるわけないだろ!こんな可愛い子が泣いてるのに!俺言えるよ~って言う奴出て来い!ぶん殴ってやる!

 

「⋯⋯分かりました。約束、ですわよ?」

 

「おう」

 

 ヴィクターの頭を撫でてダールグリュン家を後にする。ヴィクターの髪サラサラしてていい匂いだな。

 ヴィクターの頭を撫でた手を一嗅ぎ。うん、いい匂いだ。

 え?気持ち悪い?宗二さんの耳は都合の悪い言葉は聞こえないのである。


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