ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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『先輩方大丈夫ですか?』

「大丈夫じゃないよ。」

「あつぃ」

みんなが机にへばりこんでいる

「ってかなんで羽川は平気そうなのよ。」

『暑いのは砂漠とアマゾンで慣れてるので。それに元々暑さには強いんですよ。』

「うん。やっぱり羽川くんはおかしいと思う。」

まぁ色々行かされたしなぁ。

『でも砂漠は結構好きですよ。夜になると星が綺麗なんです。明かりもないので満点の星空が見られるんですよ。』

「そうなの?」

俺は頷く

「でも羽川って星見るんだ。ちょっと意外。」

『景色を見るくらいしか楽しみがないんだよ。それに星とか景色は人間のドス黒い感情を持ってないし。』

「うん。羽川くんの闇が深いことはよくわかった。」

本当に綺麗なんだよ。人間の薄汚い感情とは違って純粋だし。

『でもみんなはプール入れるからいいですね。俺は手話できる人いないから入れないんだよ。』

「か、話せなくなるからダメなんだ。」

「私は少しはできるんだけど…まだ日常会話くらいしかできないし。」

「でも、治る可能性はあるんでしょ?」

俺はあの後精神科に行ってストレスの具合だけ調べてもらったんだが

『一応な。でもやっぱり期間がどれ位になるか分からないって言ってた。ストレスによる失声症だっていわれた。』

「やっぱりかなりストレスが多かったらしくて、シロの時にストレスと狂気が爆発したんだと思うって烏間先生がいってた。元々鬱の前兆もあったししばらくはかかるって。でも普通じゃ一週間の治療で治るらしいんだけど…」

「康太くん、この後も暫くの間は狙われ続けるから長くなるかもって言ってた。」

「そうですか。でも一応治るんだ。」

頷く。まぁそれは嬉しいんだけど

『でも、話せないようになって結構気付けたことも多かったから。正直な話かかってよかったとは思う。多分あのままだったら今みたいになってないと思うし。それに素直な気持ちは紙に書いた方が伝えやすかったし。』

「まぁ羽川はいつの間にか女子を落とすこと多いしな。」

前原先輩には言われたくないんですが。

ってか本当に気をつけないと

俺このクラスの人みんな好きだから。あまり傷つけたくないし

でも渚も将来的俺みたいになりそう。

結構俺に似たところあるしな

『話戻りますけどプールってどこにあるんですか?俺この辺りでプール見たことないんですが?』

「あぁ本校舎まで行かないとないんだよ。」

マジかよ。片道1km歩かなくちゃプールに入れないってどんな……そういや

『もしかしたら、プール裏山に作れるかもしれません。』

「「「えっ?」」」

『裏山に小さな沢があるんですけど、夜中に水をせき止めると水が池みたいになるんです。俺よくそれを使って魚をとってましたから。今日は無理ですが数日あれば多分作れます。』

「そういや羽川って、この山に住んでいたことあったんだっけ?」

俺は頷く。

昔よく作っていたし暑い日は入って軽く泳いでたりしてた。

「羽川くん。その必要はありませんよ。私昨日のうちにやっておきましたから。」

「「「は?」」」

今なんて言った?

「昨日沢の水を止めておきました。羽川くんが前にやっていたのを聞いて応用してみました。容積を広げ25mました。」

うわぁ。暇人かよ。

そんな暇あったらクラスの射的パターンの確認でもしてろよ。

まぁ俺が言える立場じゃないけど。

でもクラスのみんなは喜んでるな。

でも死神、お前泳げないくせに作ってよかったのか?

 

先輩方がプールで遊ぶ声が聞こえる

俺はただずっとそれを眺めていた。

……俺も遊びたいな

俺は見ながら思う。

そう言えば警戒するとは言え、もうほとんど遊べるようになるんだよな。

学校だって高校に椚ヶ丘で行ける

俺身元なんて今ほとんどない状態だし、高校は椚ヶ丘とはいえ大学とかはさすがに厳しいだろうし。

……うーん。あかりは女優業に戻るって言ってたよな

俺は少し考える

将来か

今まで考えてこなかったことだ。

今まではここで働くことばっかりだと思っていたけど

でも教師ってより、今は烏間先生みたいになりたいんだよな。

どんなことでもまっすぐで

自分の道を貫く

それが追われていた俺でもちゃんと一人の生徒として見てくれたし

なによりも守るべきものは守る

そんな烏間先生は本当に格好いいと思う

でも、防衛省か。

自衛官になったからって立場違いすぎるし。

でも浅野先生にも恩返しがしたいし

でも、ここに来てからなんか助けられてばっかりだな。

本当に優しさが暖かく感じる

ここに来てよかった

守られていて守ってる

いつもそんな関係を保っていた。

本当は自分の命をかけて復讐するつもりだったんだけどな。

もう本当にどうでもよくなっていた

だけどここは暗殺教室だ。

絶対に何か起こる。

……考えすぎてるな

でもそんな大切な人達ができたってことだよな

その中でもやっぱりあの三人は特別だな。

そういえばどこかのラノベにあったよな。

本物

それは俺も手に入れたのだろうか

その答はだれもわからない

でも

もう手放さない

絶対に離さない

この場所もみんなも

……なんか独占欲もつよいな

俺ってこんな欲張りだったんだな

やりたいこと

欲しいものがいっぱいある

頑張れば手に入れられるかな。

そう思えるようになった。

自分を出せるようになった

自分のことを知ることをできた

いつから自分が自分じゃなくなったんだろう

生きる意味を手にいれてから全ての景色が変わった

結局何を考えているんだろう

自分が自分でわからなかった

その中で俺がたった一つ気づいたのは

今、俺は幸せってことだ

「康太くん。」

そんな声が聞こえる

「康太くん、起きて。もうプール終わったよ。」

目を開けると俺を先輩方が俺を見ていた。

あれ?

俺寝てたのか?

軽く目をこする

そしてあくびをしてしまう。

すると一気に体が重くなった気がする

何もする気が起きない

なんだろうか?

「どうしたの?こうちゃん?」

俺はメモを取ろうとしたらなんだかすごく体が熱い

でも、なんか寒気がする

そしてなんか眠気に覆われて

何も見えなくなった


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