ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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球技大会

球技大会当日

俺らは本校舎の球技大会で野球をすることになったのだが

『えっと。本当にこんなに差別されるんですか?』

「そういえば羽川はこういうところ出るの初めてなんだっけ?」

『はい』

するとすごく気合いが入っている野球部。それを応援してる他の生徒がいる。

『それでなんで俺がこんなアウェーの中で最初のバッターにならないといけないんですか?』

さすがにいやなんだけどなぁ

「一番 センター羽川くん」

『まぁちょっこと打ってきます。』

「あぁ。」

俺は息を吸う。

バッターボックスに立つと俺よりも10cmは高いだろう身長にマウンドから見下げてくる目線

あ、完全になめられてるな。

俺は死神の方を見ると

白白黒

初球から打っていいらしい

ってことになると

最初の初球は

ストレートをど真ん中に

俺は思いっきり踏み込みスイングをする

カーンと金属音がいい音が聞こえ

バックスクリーンに直撃した

まぁ。こんなものだろ

俺はゆっくりと一塁へと走りだす

「は、入った。初球先頭打者ホームラン」

解説が驚いているが当たり前だろ

コースも球種も分かっているのになんで打てないんだよ

するとざわめきだす全校生徒

……なんか気持ちいいな

少しそう感じる

実際のところ俺は超人だからあまり気にしたことはなかった

でもなんか気持ちいい

「ナイスバッティング。」

俺は頷く。

「でも迷わず踏み込んだよな狙ってたのか?」

俺はメモ帳を取り出し

『舐められているので多分次も真ん中にストレートですよ。』

「……おう。」

木村先輩が打席に立つ。

俺は息を吐く

するとコツンと金属音が聞こえる。

多分バント作戦が発動したのだろう

そして渚と磯貝先輩もそれに続きランナーは満塁になる

さすがにあの死神の練習を受けているだけあってバントだけは凄いよな

300kmのストレートにマッハ20の守備だしな

140kmくらいならバントくらいは楽勝だろ

まぁそれが普通の玉ならの話だけど

俺は杉野の後の前原先輩の肩を叩く

「どうした?羽川。」

『もし理事長先生が出てきたらピッチャーも野手も見ずに思いっきり振ってください。』

「えっ?」

『多分バンドシフトで外野手も内野の守備につくと思いますのでバントはたぶんつかえません。』

俺は前原先輩に告げる。

「えっと?なんでそんなこと分かるんだ?」

『俺と理事長先生はちょっとは違うけど教え方はほとんど同じなんです。勝ちにこだわりやれることならなんでもやる。多分教育理念の違い以外はほとんど同じだと思うんで。多分E組はバントだけで野球部に勝とうとしてる。だけど俺と杉野は別と考えるでしょう。』

そう本当に考えることは同じなのだ。俺だったら絶対そうしてる。

「じゃあ、どうすればいいんだ?」

『いつもマッハ20をみていますが俺たちは野球の訓練はしていません。だからここからは楽しんでください。』

「楽しむ?」

『はい。勝つ負ける関係なくただ普通の野球をしましょう。多分向こうの進藤先輩は将来プロで活躍する選手です。だから三振して当たり前です。でも、腰が引けたバッティングしたらかっこ悪いですよ。』

すると向こうからカーンという音が聞こえてくる。杉野が打ったのだろう。

すると前原先輩がこっちをみる。

『えっと、なんですか?』

「なんか、当たり前なことを改めて言われるとなんか落ち着くな。」

『じゃあ、もう一つだけ。』

俺は笑う。後ろから声が聞こえてくる

「さて男子はどーなってるかな?」

「凄い野球部相手に勝ってるじゃん」

E組の女子たちが戻って来たらしくグラウンドに全三年生が集まった事になる

『ここで打ったらカッコイイですよ。』

 

カーン

前原先輩の打球は誰もいないライトに飛んでいく。前原先輩の足ならランニングホームランだろう。

「すげぇ。前原。」

「あのボールを打つかよ。」

『まぁマッハ20のボールで速さにはなれているので緊張を緩和しただけなんですけど。』

俺が書くとみんなは不思議そうにこっちをみる。

「どういうことだ?」

『人は相手を格上だと思うと萎縮したり、緊張したりして本来の力を出せないんですよ。例えば俺たちはE組って肩書きがあるでしょ?だから本来できることもE組だからって諦めている人この中にもいますよね?』

すると全員が黙り込む

『でも本当は違います。できないと思うからできないのであってやればできる失敗してもまたチャンスはあるんです。俺は前このクラスで一度大きな失敗をしています。それでも先輩方はちゃんと話しかけてくださいますし。正しいと思ったことはちゃんと信じてくれる。失敗してもやり直せばいいそれが先生が教えたいことじゃないんですか?』

俺はあの人が一番言いたかったことを書いた。

多分今それが一番大切なことだから

『だからまず自分にできること考えましょう。そして勝ちましょう。泥臭くても、失敗してもいい。自分がダメでも結果が全てです。ナイスゲームとかは敗者の言葉だ。ただ勝てばいいんです。身体能力でも頭脳でも負けていません。負けているのは経験と勝とうとする気持ちです。それを俺はあの三人から学びましたから。』

俺はあの事件のことはいまでも気にしている。渚の言ったことだって心に響いている。

でももう迷わない。

自分が正しいと思ったことをするだけだ。

それは言葉じゃ絶対に伝わらない

でもそれは俺の一番伝えたいことでもあるからだ

「……なんで俺たちは後輩にこんなことで怒られてるんだろう。」

木村先輩がぽそりと呟く

あの。怒ったつもりはないんですが。と書こうとしたら肩に手を置かれる

「羽川、ありがとう。目が覚めたよ。」

「そうだな。時にはやれるってことを本校舎のやつに見せつけないとな」

「あぁ。まぁ後輩に言われるなんて一番ダサいことだけどな。」

すると一気にムードが高くなる。バントシフトでどん底だった空気をリセットさせたのだ。

「ねーえ。これズルくない理事長センセー?こんだけジャマな位置で守ってるのにさ、審判の先生も何にも注意しないの?一般生徒もおかしいと思わないの。」

カルマが打席に立つ。あいかわらず挑発するのうまいなぁ。

でもこれでやりやすくなった。

でもなんだろう

勝っているのに、

なんでこんなに嬉しくないんだろう

そしてその後はカルマも三振で終わりスリーアウトチェンジになる。

守備につくとセンターから全てが見える

ベンチもクラスメイトも観客も全てが見える

でも、どこか気持ち悪い

なんだこの試合

なんでみんな楽しそうにしてないんだ?

勝つことにこだわりすぎているんだ?

俺たちがやっていることは本当に正しいのだろうか?

 

あの後二打席目にホームランをうったり守りでファインプレーをしたが気持ちがはれることはなかった

なんだろうこの違和感

ずっと試合が終わった後も考え続けていた。

みんなは喜んでいるがこっそり俺は離れる。

勝ったのに勝てたのにこんなに嬉しくないことは初めてだった。

疲労感は全く感じずあるのは違和感のみ

正直なところ負けた方がすっきりするんじゃないかと考えていた。

自分が今まで考えの勝つことが本当に全てなのか?

考えるが具体的な答えは出ない

でも

間違っているということだけは分かっていた。


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