ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

30 / 41
信頼

「……」

声がでない

好きと言いたいのに

ありがとうと言いたいのに

伝えられない

感謝も好意も

言葉にできない

数ヶ月前までは覚悟はしてたのに

実際起こるとショックは大きかった

精神的なな苦痛

これが一番厳しいものだった

でも、自業自得だろう

だって俺は彼女たちを傷つけたのだから

 

終始無言の教室

全て自分のせいだろう

それでも死神は授業を続けている

俺のせいだ

全部俺が

「羽川くん。違いますよ。」

すると死神が頭に触手をおく

「……本当は君が弱いことを、知っておかないといけなかったのは私です。本当は数日前から羽川くんらしからぬ言動をしていたことは感じてました。」

死神は改めて俺にいう。

「本当は私が相談にのらなかったのが間違えだった。ちゃんと君のことを見れてなかった。そこは先生の責任です。でも当然君の責任もあります。」

うん。分かってる

俺はペンを取り出し走らせる

 

 

信頼できる人がいないことですよね

 

 

全員がこっちを見る。

信用と信頼

たった一文字

でも大きな違いがある

それは信じることができるかという大きなことだ

「どういうこと?」

「……羽川くんが五年前に逃亡生活を送ることになったことは、誰もが知ってると思いますが。君達はどれだけすごいことかわかりますか?」

全員がわからないように首を傾げている

「私は地球を破壊すると言う目的で100億円という賞金がつけられています。マッハ20の怪物ですが、たった13歳の少年が100億の懸賞金をかけられているのにもかかわらず、今も生き延びてる。それがどれだけすごいのかわかっていませんでした。でも私はアメリカ軍から軍事ミサイルを、政府から暗殺者を送り込まれていますが、それと同じような殺し方をされても羽川くんはおかしくはない。」

「えっ?」

「でもよ。殺せんせーは来年地球を滅ぼすんだぜ。それと羽川じゃあ違うだろう。」

俺はペンを走らせる。たぶんこれは今知らないといけないだろうから

 

 

その触手は俺が考えたものだと言ってもですか?

 

 

「えっ?」

「ちょっと待って。羽川くんどういうこと?」

俺はまたペンを走らせる

 

 

俺が国から追われるようになったわけは、その触手を奪ったことを隠蔽するためです

 

俺はそれでも書き続ける。

 

触手以外にも色々なものを理論として実現しています。律が実際その一つです

 

実際に自分の超人さはわかっており、自分の身体能力の高さは薬によるドーピングによって作られたものです

 

触手だって材料さえあれば簡単に作りだせますし

 

人類を滅ぼすことも簡単にできます

 

 

すると全員が黙り込む

全部事実だ

実際その奪われたもので地球を破壊すると言っているわけで、自分が作ったものに変わりはない

 

 

100億の力とはそういうことだ

 

 

「そんなの。ひどすぎるよ。」

誰かが呟く

俺はまたノートを開き

 

 

それが真実です。

 

 

そう書いた。

「羽川くんは生きていることさえ奇跡だと言っていいでしょう。でも実際それがいつまで続くのかわからない。それが明日かもしれないし、今すぐに殺されてもおかしくはない。実際今日の羽川くんは因縁の相手に自我を忘れるほどの殺意でした。誰よりも憎み、恨み、苦しんできた羽川くんとしては当然のことだと思います。」

死神は俺の頭を叩く

「……羽川くんは優しすぎます。他人に迷惑が掛からないように、自分の気持ちより他人のことを優先してしまう。愛されたことがなく、優しくされたこともない。みなさんがあたりまえだと思っていることさえ羨ましいと感じてしまう。でもちゃんと君の異変に気づいた人もいるんですよ。それは矢田さん、茅野さん、神崎さんだと君は分かっていると思います。なぜなら君達三人は最初から羽川くんがいつもと違うことに最初から気づいていたのだから。」

記憶の片隅に少しだけ覚えている。

たしかにその三人だけはおかしいと言ってくれた

気づいてくれた

見ていてくれたんだ

「羽川?」

目元が熱くなる

視界がぼやけてくる

もう今年何度も経験していることだからわかっている

また俺はないているんだ

ごめん

ごめん

気付かなかった

気づいてやなかった

自分のことばかり考えていた

好きなのに

大事なのに

生きているのに

 

なんで俺は気づかなかったんだ

 

 

見てあげなかったんだ

 

 

わからなかったんだ

 

 

愛してされていたのに

 

 

好きだって言ってくれたのに

 

 

嫌だ。

 

 

嫌だ

 

 

嫌われたくない

 

 

離れたくない

 

 

生きていきたい

 

 

ずっと一緒にいたい

 

 

 

なんで俺は

 

 

「康太くん」

 

「こうちゃん」

 

「康太くん」

 

 

三人の声が聴こえてくる

「大丈夫だから。安心して。私たちは康太くんの味方だから。」

すると誰かに抱きしめられる

でも温かい

「怖かったんだね。苦しかったんだね。」

一言一言が心を自分を不安から取り除いていく

「…でもね。私たちが君を守るから安心して。」

三人の声を聞きながらすがりつく

甘えたかった

見てもらいたかった

心配してほしかった

理解して欲しかった

守られたかった

 

そう守られたかったんだ

自分が守られたかったから

みんなを守りたかったんだ

それが一番嬉しい事だと知っていたから

あかり、有希子、桃花

愛してるっていいたい

大好きだって言いたい

ありがとうって言いたい

でももう言えないから

信じさせてくれ

守ってくれるって

愛してくれているって

俺のことが好きって

だから次目覚めた時は

思いっきり甘えてもいいよね?


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。