ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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中間テスト

テスト当日

「……本校舎とか久しぶりだなぁ。」

「そういえば集会には羽川くんは来ていなかったよね。」

「だって面倒くさいし。サボっても罰食らっても痛くないし。」

「こうちゃん。サボりつながりでカルマくんと仲良くなったんだよね。」

俺たちは本校舎に行く道を歩いていた。でもいつもとは違うのは3人で歩いていることだった。

「……」

「どうしたの?」

「いや。見られてるなぁって。」

周りの人からの目線が痛い。ってか

「これはどう見られてるんだろうなぁ?」

「……普通に友達通しじゃないかなぁ。」

「いや。おかしいでしょ。なんで二人に手を繋がれて行かないといけないんですか?」

左手にはあかりねぇ右手には矢田先輩が手を繋いで来ていた。

「あはは。」

「茅野先輩も笑ってないでなんとか言ってください。」

「別にいいじゃん。」

「よくねーよ。」

でも昔あぐりさんとあかりねぇと一緒によく遊園地や動物園にいったよな。

すごく昔のように感じる。

「……でも昔こうちゃんとお姉ちゃんでこうやって遊びに行ったよね。」

「……なんで同じタイミングで思い出すんだよ。」

あの時はあかりねぇがやいやい言ってたけど今思い返してみたらあぐりさんは気を利かせてくれて俺とあかりねぇを隣にしてたんだよなぁ。

「とりあえず離れて。真面目にあのエロダコに見つかったらめんどくさいことになるから。」

「え〜」

「まぁ仕方ないよカエデちゃん。だって今日の試験次第では殺せんせーが出ていちゃうんでしょ?」

「……確かクラス全員学年50位以内だったよな。俺と茅野先輩、赤羽先輩は100%入るけど他のみんなは微妙だろうな。矢田先輩も正直ちゃんと教えられてるか。」

「大丈夫だよ。羽川くんの教え方わかりやすかったし。」

「まぁ、昨日もこうちゃんにつきっきりで教えてもらったし大丈夫だよ。」

「……おかげで思った以上に疲れたけどな。なんで女子の家に泊まってまで教えないといけないんだよ。」

「……まぁよかったじゃん。お母さんとお父さんが出払っていて。」

「それ以前の問題じゃないのか?」

俺はため息をつく。

「とりあえずどっちにしろ今日のテストで決まるんじゃねーのか。……俺も今回はまともに受けるか。」

「……そういえば羽川くんはどこでテスト受けるの?」

「理事長室。」

「……大丈夫なの?」

「たぶんな。」

「……でもいいの?私にだけ羽川くんとカエデちゃんの過去を教えてくれて。」

するとあかりねぇと目を見合わせる。

結局全員が50位以内で入ることを条件に出された矢田先輩はテストが終わった後教えてほしいと答えた。

「……本当なら全員が知らないといけないことです。でも、話せないのは自分の心の整理ができていないからだと思います。それに多分みんなはこのことを受け止められないと思います。あかりねぇにも隠していることもありますし。」

「……正直あれは私もきつかったからカエデちゃんは覚悟しといたほうがいいと思う。」

死神でさえ引いてたし烏間先生はかなりショックをうけていたからな。

「多分二人のことは何も知らないけど。私でよかったら相談にのるから。」

「……巨乳だけど惚れざるを得ない。」

「お前相変わらず幼児体型だもんな。」

「こうちゃん!!」

「わりぃわりぃ。」

「クスクス」

「あれ?茅野と矢田じゃん。」

「おはよう。矢田、茅野。」

「あっ?磯貝くんと前原くんおはよう。」

「おはよう。二人とも。」

「珍しいな。二人で登校か?

「それに男連れ?やるじゃん」

「……やっぱりそんなに印象変わるのかなぁ?」

「「……えっ?もしかして羽川?」」

ウイッグと伊達眼鏡つけただけなんだけど全く別人として扱われるんだけど。

 

「羽川くん準備はいいかい?」

「いつでも」

「じゃあ開始。」

俺は解き始める。結構難しそうだが俺にとってはかなり昔に解いたのを思い出すだけなので一回思い出せたら後はスラスラ解ける。英語はアメリカに身を潜めたり殺し屋と話したりするときに覚えたし数学、化学に限ったら自分の得意分野だ。そして解き始めてから20分ほどで全教科のテスト問題を解き終わる。

「……」

「大丈夫。全問正解だよ。」

理事長先生の言葉にホッとする。

ペンを置き息を吐く

「相変わらず君は素晴らしい。」

「そりゃどーも。」

テストに浅野理事長は丸をつけて行く

「でもこれはさすがにまずいでしょ。試験範囲と全く違うじゃねーか」

俺が解いていてすぐに気づいた

全くやってないところだと。

「よく見てください羽川くん。試験範囲は二日前に追加されただけですよ。ちゃんと本校舎の生徒には私が教えましたし。」

「……へぇ〜。」

「なんですか?」

「いや。案外教師としての腕を勝っているんだなって思って。」

俺は少しだけ笑う。

「俺だったら復習だからって前回のテストの応用問題をだしてあんたは次の期末まで待機していたな。」

「……」

「そうした方が確実に2回A組や本校舎組が勝てる。そして2学期のプレッシャーもかけられる。」

浅野理事長は凄腕の教師だ。なんでもできるが。直前の勝負に凝りすぎて次回のことを考えてない。

「……本当に君はすごい。私の足りないところはを全部持ってる。」

「そりゃどーも。」

「確かにそれでもよかったかもね。でも確実に勝てるとは言い切れない。」

「まぁ、そうだろうな。でも今回こんな問題にしたら次回が苦しくなるだけだ。それなら美味しい蜜を吸わせておいて最後に逆襲したほうが面白いだろ。」

浅野理事長はキョトンとする。

「それに今のやり方だったらいつかは破産するどこかではたんする。強者が強者でいられるのが難しいってあんたならわかるんじゃねーの?」

「……」

「速さは完璧な教師も、殺し屋からどれだけ逃げられた実績のある生徒も弱点は必ず存在する。絶対完璧なんてないんだから。完璧に見せるしかない。どんだけ弱いことも隠し続けるしかない。あんたの弱さはそのことがわかってないんだ。理解してるつもりでも、理解できていない。」

「……私にここまで言った生徒は初めてですよ。」

「まぁ理事長に刃向かう生徒いや先生でもいないだろうな。でも」

「だからこそ面白い。」

浅野理事長に先に言われてしまう

「でしょう?」

「正解です。あなたと俺は敵同士だからこそ面白い。そして強くなれる。違いますか?」

「……味方通しでも面白いとは思いますけど。」

「そうかもな。でも今の関係も嫌いじゃないだろ。」

「そうですね。」

浅野理事長が笑う。

「まぁ。こういった会話が楽しいから時々遊びに来るんだよなぁ。」

「私も嫌いじゃないですが…だからこそ君にには生きてもらいたいんですよ。」

「まぁ善処する。」

「そこで素直にわかりましたって言わないところが羽川くんらしいですね。」

「そうだな。」

でも生きたいとは思うようになった。

生きたいと思えるようになった教室で

少し恩返しをすることにしますか。

 

「……」

教室内が静寂に包まれている。

それもそのはず。

中間テストの結果は惨敗だったからだ。

俺はため息をつく。

やっぱり妨害が効いた。その一言。

「……見事にやられたね。」

「……」

「まぁ、元々あんたが入ってきてから理事長先生は気づいてた。このクラスが変わってきてることに。それに理事長先生の言うことだって正直正論だ。追い上げ必要なときだってあるし、試験範囲が変わることも事例があった。」

「羽川くん何が言いたいんですか?」

「……あんたはこの学校を、理事長を舐めてたんだ。甘く見すぎていた。違うか?」

「……」

反論も言い訳もしてこない。

「無言は肯定とみなすぞ。普通敵として同程度だと思っていたんじゃねーの?違う。スペックは確かにあんたの方が上だ。でも実績と経験は明らかにあっちの方が上だった。総合力であんたは負けてたんだ。」

先生として、まだ始めて数ヶ月

「お前はなんで理事長に勝てると思っていたんだ?あんたは教師という仕事を舐めすぎだよ。スピードさえあれば、触手さえあればこのシステムに勝てると思ったのか?」

「羽川!」

「事実だろ。事実でその結果がこれだよ。全ては結果が全てだ。どんだけ汚いことをしようが、卑怯なことをしようが全てはこの5枚の紙切れ。たった五時間で決まるんだ。それであんたは負けた。よかったな。これがテストで。自分のことじゃなくて。もし見限った相手が暗殺者だったら。あんた死んでるぞ。」

ギリギリと歯ぎしりの音が聞こえる。悔しいだろう。そうその悔しさを次に活かせばいいんだよ。

「……まぁ、説教はこれくらいにして逃げるのも立ち去るのもてめぇの勝手だけどよ。まだやることは残ってるからそれが終わってからにしてくれるか?」

「やることとは?」

「……頑張ったやつもいるから褒めてやれよ。赤羽先輩と茅野先輩の点数を見てみたら。」

「……はぁ。なんか羽川に全て計算されてるようで嫌だけど。」

赤羽先輩とあかりねぇがテストの答案を持ってくる。

 

赤羽業   合計点数 494点 学年5位

 

茅野カエデ 合計点数 445点 学年25位

 

「うぉ…すげぇ。」

「ついでに矢田先輩も」

「うん。羽川くんもでしょ」

 

羽川康太  合計点数 500点 学年1位

 

矢田桃花  合計点数 435点 学年29位

 

「「「はぁ?」」」

「どう。ちゃんとあんな不利な中でもクリアしたやつはいるんだよ。」

「俺の成績に合わせてさあんたが余計な範囲まで教えたからだよ。」

「私もそんな感じかな?」

「矢田先輩も基礎がほとんどできてたから万が一のためにやってもらってたんだよ。さすがにこんなに増やしてくるとは思わなかったけど。」

「でも羽川くん全部満点だよね。」

「だから幼少期のときにやった問題なんか油断しなきゃまちがえねぇよ。」

俺はため息をつく

「……それで俺はまぁいいとしてこんな不利な状況でもちゃんと条件をクリアした三人。それに得意教科に限った話Aクラス並のテスト結果のとったやつだっている。それに去年のEクラスの平均より40点ほど高くなっている。……それがあんたの実績だよ。」

「それだけの実績があって、全員が50位に入らなかったって言い訳つけてここからシッポ巻いて逃げちゃうの?それって結局さぁ殺されるのが怖いだけじゃないの。」

赤羽先輩が死神に挑発する。するとそれをいい機会だと知った

言いたいことは言ったしもういいだろう。

俺は自分の席に戻る。

 

自分は最低であってもいい。

卑屈で最低だけど

理解してくれる人がいれば

それを認める人がいればそれでいいじゃないか

敗北は糧になる

失敗は成功の元

よくそういうじゃないか。

俺だって間違える。

でもあんたも俺も見てくれる人はいるんだぞ。

間違ってたらそれを指摘する仲間がいる。

自分だけで抱え込むな

俺だってそれが最良の選択肢だと思っていた。

でも違ったんだ

抱え込んだから、相談できなかったから

最悪の結果になった

辛いことがあったなら誰かに聞いてもらう。

いい結果を得たんだったら褒めてあげる。

それが俺が求めていたものだから

あきらめたら何も手に入らない

なんでそんな単純なことを忘れてたんだろう

少し優しくされただけで好きになったり、単純なことを忘れたり

そんなちょろい俺がなんで考えていたのだろう

そうだ簡単な話だ。

怖いなら怖い。

そういえばよかった。

そうだ。頼って知り合いを傷つけるのが怖かった。

自分が傷ついている姿を見られるのが嫌だったんだ。

あんたもそうだろう。

でも逃げたらダメなんだ。

見ろよ。死神。

このクラスが変わりつつある。

最初は暗かったのがどんどん明るくなっていく。

俺だって少しどころかかなり変わった。

でも、いつかは俺の過去にもあんたの過去を話さないといけない時がある。

その時

このクラスは一つでいられるのか?


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