ターゲットの暗殺教室   作:クローバー

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殺し屋

いつから俺は笑えなくなってしまったのだろうか?

いつから俺は人を信じられないと思ってしまっただろうか?

人は醜いと思うようになったのはいつからだろう。

そんな日々を暮らしている。

誰からも逃げ距離感を保ち、人を怖がり自分を隠している。

元々復讐のためにきたはずなのに

自分の本心が出てしまっている。

俺は一体何がしたいんだろう?

俺はどうしていけばいいんだろう?

俺は一体何者なんだ?

 

五月

死神の暗殺期限まで後11か月

今日は新任教師がくるらしい。

まぁ十中八九殺し屋だろう。

つまり俺にも安全な場所がなくなった訳だ。

どんどん精神をえぐってくる。

「……学校も安全な場所がないってことか。」

今までは学校にいる時は殺し屋に狙われなかった。

銭湯とか必要最低限の行動をした時もなぜか減っている。

先週までは増えていたはずなのに

なんでだ?

……死神のせいでもない。

多分国家の仕業でもない。

っていうことはまたあいつが仕向けて来るのか。

多分リベンジしにきたんだろう。

俺の情報を探り。

俺の位置を特定し

殺し屋に聞き出すやつは一人しかいない

少しだけため息をつく。

まずは今日やってくる殺し屋だ。

油断しては殺される。

すると黄色いタコみたいな生物と金髪の女の人が歩いて来る。

そして脳内の中から一人だけ候補を見つける。

死神にベタベタしたことから、接近または色仕掛けに優れて最近成果を上げているのは

「イリーナ・イェラビッチか。」

 

「おはよう。羽川くん。」

俺がHR終わって教室に入ると矢田先輩が話しかけてくる。

先週あんなことあったから話しづらいんだけど

「おはようございます。」

「そういえば今日あたらしい先生がきたんだけど。」

「イリーナ・イェラビッチだろ?さっき屋上で見えたし。」

するとクラス全員が反応する。

「羽川知ってるのか?」

「もちろん。殺し屋の多くは頭の中に入ってる。色仕掛けのスペシャリスト。過去に11件の仕事の実績を持つプロの殺し屋。」

その一言に全員が息を飲む。

「ついにきたか殺し屋の先生。」

「……あぁ。」

「ついでに色仕掛けを受けた先生どうなっていた?俺はその一点が知りたいんだけど。」

「えっと。普通にデレデレだったよ。」

その一言に少し考える。

へぇ〜あぐりさんがいるのにデレデレだったのか

あかりねぇはあるところがまな板みたいにペッタンコだけど、あのあぐりさんはメロンみたいだからな。

そこに惹かれたんだったら

「羽川くん?」

「ちょっとあの発情エロダコちょっくら殴ってくるわ。」

「えっ?」

「矢田。エロダコどこだ?」

「えっ?」

「一時間目始めますよ。席についてください。」

するとちょうどいいところにきたのでステルスモードに入る。

「あれ?矢田さん羽川くんは?今日も欠席ですか?」

「誰が欠席だって?エロダコ?」

後ろから回り込み触手を踏み込む

触手は速いだけなので初速がなければ俺でも抑え込むことができる。

「は、羽川くん?な、なんで怒っているんですか?」

「自分で考えろ。さて歯を食いしばれ。」

「……にゅやー!!」

そして5分間殴る蹴るを繰り返す。そして

「……まぁ、これくらいでいいか。」

サンドバッグ状態だった死神はもうボロボロだった。

「「「……」」」

クラス中が無言になる。

「……羽川くん何するんですか!!」

「何?エロダコ?お前巨乳だったら誰でもいいの?」

「……えっ?」

「あんた、あの人に対してもそう見てたのかって言いたいんだよ。」

すると死神は黙り込む

「もし、そんな目であの人を好きになったんなら、あんた本気で殺すよ。」

「ち、違います。羽川くんその殺気抑えてください。」

「……それ本当か?もし嘘ついてるんだったら。」

「本当に違いますから。にゅや〜誰か助けてください!!」

「……はぁ、ならいいけど。」

俺は触手を踏みつけている足をどかす

「はぁ。まったく。発情するんじゃねぇよ。」

「……」

俺が言うとクラス全員が俺を見てくる。

「羽川、今殺せんせーのこと殴ったよな?」

「おかしなことじゃないですよね?」

「「「いや!!なんでだよ!!」」

「……油断してたし、殺気を完全に隠していたそりゃ気づきませんよ。ってか賞金が同じくらいなので実力もほぼ同じですし。それにこのエロダコからスピードを抜けばただのタコだし。動けなくしたらいいだけだろ。ほらせんせー授業始めて。」

「は、はい。」

俺が席に着くと何もなかったのように授業を始まった。

 

俺が昼休憩にいつもの位置でラノベを読んでいると、サッカーをしているクラスメイトと死神の姿がいた。

「……」

正直羨ましいと感じる。

殺される可能性があるのに楽しめる余裕がある。

俺にはないのに

生きるのに必死な俺はため息をつく。するとスマホからバイブが三回

……奥に3人いるな

多分殺し屋の仲間に近い。

しかも全員男性だろう。

別にほっといてもいいけど生徒を脅しつける可能性が高い。

よし、殲滅しようか。

するとイリーナが出てきた。

このチャンスは見逃したらダメだろう。

とりあえずミッション開始。

素早く校舎を抜け俺は山道へ向かう。

すると1分もせずにその3人は見えてきた

ヒゴ、ウエシマ、テラカド

……別に今の所何もしてないけど眠らせるか

あらゆる気配を消し普通に歩く。

自然に

後ろから

そして特製の薬品をウエシマに吸わせる。

すると効いたのか膝をつくウエシマ

「おい。どうした。」

次にヒゴ、テラカドの口にハンカチに含ませた薬品を吸わせる。

「おやすみ。そしてさようなら。」

俺が言った途端意識を失う。

象でも倒れる眠り薬だ。

今日一日は眠ったままだろう。

これでミッションコンプリート。

縄で3人を縛り片手で持ち上げる。

そしてまた学校に向かう。

全くあいつは何を考えてるのかわからない。

そしてグラウンドにつくと潮田先輩とイリーナがキスをしている。

……

俺はゆっくり後ろから近づき潮田先輩を離した瞬間に口にハンカチを当てる。

「ふぐ!!」

「気づかなかったね。イリーナ・イェラビッチ。」

口を塞がれもがくイリーナ・イェラビッチ。

「……えっ?」

「羽川くん?」

「潮田先輩大丈夫ですか?」

俺が言うと潮田先輩は頷く。よかった。気絶はしてないらしい。

するとイリーナは前方に倒れる。

多分もう一日は起きていられない。

「…ふう。」

「……羽川、一体何を。」

「気配を感じさせないように近づいて、睡眠薬を吸わせたんだよ。そこの3人も同じようにな。なんか嫌な予感してたから、監視カメラが人を見かけたら俺に伝わるようにしてたんだよ。一応理事長からも学校の関係者以外は排除してもいいっていわれてるし。」

するとみんなが納得している。

「でもビッチ姉さんは?」

「一日寝てるけどその程度。俺は殺すことだけは絶対にしないから。」

「……そうなの?」

「殺さないよ。相手が俺を殺しにこようとも、どんだけ悪いことをしようとも殺さない。てか今までも殺したことは一度もないぞ。」

するとみんながホッとしている。そりゃうちのクラスに人を殺したひとがいるのは誰でも嫌だろう。

でもいくら死地に陥ろうが一人も殺したことはないけど

「でも、自分の知らないところで自分の大好きだった人が、政府が悪用した俺の研究で殺されたことはある。」

するとみんながこっちを見る。

「えっ?」

「それは殺したことに入るんだったら。俺の技術によって何人もの命がなくなってるさ。俺が知らないところで。」

「……」

それは現実だ。

死神はこのスキルで人を殺している。

別にそれは責めない。

せめてはいけないのだ。

自分が作った触手で人を殺す。

兵器として使われたのだ。

「……」

ダメだ。これ以上は。

「……悪い。忘れてくれ。」

俺は後ろを向ける

話したらダメだ

甘えたらダメだ

逃げることになる

これは俺が受け止めないといけない

「……ちょっとこいつら職員室で烏間先生に届けてくる。」

だから逃げた

この状況から

それが最悪の選択肢だとわかっているのに


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