デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】 作:くろわっさん
余談ですが、第二章1話の実技試験でデクに助けられたモブの名前は上からエリック、マミ、トーマスっていいます。深い意味はありません。
僕は個性把握テストで圧倒的な記録を出し、一位を獲得した。そして飯田君、麗日さんと再び友達になれた。僕のヒーローアカデミアでの生活がまた始まったのだ!
「おはよう!」
僕は教室のドアを開けて、とりあえず挨拶をしてみる。
「おはよう!緑谷君!」
「おはよーデクさんー!」
飯田君と麗日さんが挨拶を返してくれる、どうやら麗日さんの僕の呼び方はデクさんで固定のようだ。
いやー誰からも返事がなくて、無視されたみたいになったらどうしようかと思ったよ!やっぱり普通の友達っていいなぁ。
そう思っていると更に僕に声をかける人がいた。
「よう緑谷!昨日はマジで凄かったな、同じ増強系としても可能性を感じたっつーかなんつーか……っと誰だって感じだよな。俺!砂藤、緑谷と同じく増強系の個性持ちだ!」
1-AのNo.2マッスルの砂藤君が話し掛けてきた、たしか砂藤君の個性は糖分を使って自身の身体能力を5倍に増やすんだっけ。
強力な個性だ…仮に握力測定で彼が個性を使わずに90 kgを出すとしたら、それが 450 kgになるわけだ。そしてパワーだけじゃなくスピードも上がるとしたら…握力 × 体重 × スピード = 破壊力 となるから、それはそれは想像もつかないパワーになるだろう…
「おはよう緑谷、俺は障子目蔵。昨日の活躍見せてもらった、しかしその常に頑丈な肉体とパワー、実は俺と同じく異形型じゃないのか?」
続いて1-AのNo.3マッスルの障子君が声をかけてくれる。 彼の個性は複製腕だったな。
一見、その見た目以外は地味に感じる個性だが、そんなことはない。肩から伸びる腕の先は様々な体の器官にすることができる、しかもその性能は並みじゃないときたもんだ、汎用性の高い個性ということは間違いないだろう。
だが、僕が気になったのはそのパワーだ。彼の握力測定の記録はたしか540 kg、彼の手を見るに、素の握力は100 kgくらいだろう、つまりあの副腕は一本で200 kgを超える握力があるわけだ、うん、凄いパワーだ!勿論強いのは握力だけではないだろうし、それが二対四本もある…あの腕に掴まれて逃げられるやつはそういないだろう…
「砂藤君に障子君だね、よろしく!僕は異形型じゃなくて増強型の個性だよ。それに君達だって凄い個性を持ってるじゃないか!」
僕は障子君の言葉を訂正しつつ、二人の個性を誉める。
「そういうつもりは無いんだろうけど、お前が言うと嫌みにしか聞こえねー!」
「あれを見たあとに、自分が凄いなどと自惚れられないぞ…」
砂藤君が叫び、障子君がうつむきかげんになる。
「うーん…本当に凄いと思ってるんだけど。まあ僕が見てもらいたいのは個性よりも、パワーの源であるこの鍛えた筋肉なんだけどさ!」
「おお!やっぱり増強系っつたら己の肉体を鍛えぬくべきだよな!緑谷もかなりキレた筋肉してるもんな!!」
「それなら俺もだ、自分の素の力が個性に大きく反映されるからな。日々の鍛練は欠かせない」
僕の言葉に二人のテンションが上がってきた。やったぜ。
「そうそう!僕は筋肉のキレを出すトレーニングをよくしてるかな、砂藤君はバルクアップ系だよね?」
「そうだぜ!男なら筋肉をデカくするべき!って考えてるからな!お前らは違うのか?」
「俺の場合は個性の関係上、デカくし過ぎると取り回しに影響がでるからな」
「僕も取り回し重視かな、パワー自体は個性で出るし、全体のバランスを意識してるんだ!」
「なるほど…そういう鍛え方もアリだな!」
三人でどんどん筋肉話が盛り上がっていく。
「お前らもぜってぇ飲んでるよな!プロテイン!俺はココア味が好きだ!」
「僕はバナナとイチゴ味の二つかな~プレーンヨーグルトにまぜ混んで飲むと最高だよ!」
「なかなか旨そうだなそれは、今度飲ませてくれ。ちなみに俺はオーガニックプロテイン一筋だ」
「おお!障子はこだわり派だな!」
「オーガニックってクセが強いイメージあるけど、どうなの?」
「最近のは味も良くできている、種類を選べば問題ない。俺のおすすめを分けてやろう」
「楽しみだな!」
筋肉、三人寄ればなんとやら、話は尽きない。
「今度一緒にトレーニングルームいこうよ―――」
「いいな!ビッグスリーの披露会しようぜ―――」
「個性使ってもいいか―――」
「そりゃだめだろ―――」
――――新しい友達ができた!それは同時に1-A筋肉同盟の設立の瞬間でもあった。えっ?1-AのNo.1マッスルは誰かって?それは勿論僕だ!筋肉なら誰にも負けないし、負けられない。
「飯田君、あの三人がなにを話してるのかぜっんぜんわからんよ!」
「麗日君、俺もだ。プロテインが旨いということしか伝わってこなかった。しかし三人の筋肉に対する心掛け、俺も参考になるな」
「飯田君は真面目だなぁ…」
楽しい時間はあっというまで、気がつくと授業開始前の予鈴がなっていた。僕らは席に戻り、普通の授業を受けた。そんな普通の授業も終わり、午後になった。そうして僕が待ちに待った授業の時間がやってきた―――
「わーたーしーがーーー!!」
「普通にドアから来た!!!」
―――オールマイトの授業が始まる、クラス中が騒ぎ出す。そうだねシルバーエイジ時代のコスだね。
もう見れないと思ってたオールマイトの授業風景だ!!懐かしい、素晴らしい!!うぅ…やっぱり雄英に入ってよかったよ…
「緑谷が涙を流してるぞ!」
「あー、あいつオールマイト大好きだもんなぁ」
「マッチョが泣いてるとシュールで面白いわね」
みんなに好き勝手言われて自分が泣いていることに気がついた。泣いている場合ではない、オールマイトの授業を目に焼き付けなきゃ!
「あー、ごほん!授業始めてもいいかな?」
オールマイトがわざとらしく咳払いをする、周りが静かになったことでようやく授業が始まる。
「ん~~っババン!!!というわけで今回は早速コレ!戦闘訓練だ!」
オールマイトが"BATTLE"と書かれた札を掲げて、説明を始める。
前と同じで
「―――来いよ、有精卵ども!」
オールマイトが凄味を出して言う、顔が濃い…そして痺れるなぁ…!
その後、みんなコスチュームに着替えてから演習場へと集合した。
「あ、来た来た、デクさんー!ってそのコスチューム―――」
「おお、緑谷君!まるでオールマイトのようなコスチュームだな!」
「オールマイト好きすぎだろ、緑谷!」
麗日さんと飯田君、ついでに少し遠くの方で切島君が僕のコスチュームに気がつく。
みんなが言ったように、僕のコスチュームはオールマイトのものを緑色にしたようなデザインをしている。今の僕は彼風のコスチュームを着ることになんの違和感もないくらいに強くなっているはずだ…!憧れるくらい良いよね?ね!
コスチューム自体はオールマイトとの修行の時にも着ていた。母さんがくれたジャンプスーツを元にしたかつてのデザインのものだ。しかし僕の激しい動きにスーツの方がついてこれず、衝撃でボロボロに破れてしまったり、摩擦で焼け落ちたりしてしまったのだ。
でもこのコスチュームは違う!緑色の全身スーツは伸縮性が高く、いくら激しく動いたところでシワすらつかない!さらに衝撃や摩擦にも強く、吹っ飛ばされて地面を転がっても大丈夫だ!
さらに肩に
極めつけはこの深緑のブーツだ!地面やアスファルトをしっかり踏み込めるように、特殊合金素材のスパイクがついている、これで壁でも天井でも走れるぞ!!ついでにスパイクのポイントは自分で交換出来るようになっている、消耗品故の嬉しい配慮だ!
ふぅ…年甲斐にもなく心の中ではしゃいでしまった、精神的にはもう大人だってのに…
ん?なんだかやけに詳しいじゃないかって?そりゃ前に着たことあるからね、詳しいさ。
「うわぁ、デクさんホントにオールマイトみたいでカッコいいよ!」
「ありがとう、麗日さん!麗日さんのコスチュームもかっこよくて可愛くて、ヒロイン!って感じだよ」
「ヒロインだなんて…照れますなぁ!」
僕と麗日さんはお互いに誉めあって照れる。麗日さんはお世辞をいってくれたけど、僕は本音だよ!まったく、僕じゃなきゃ勘違いしちゃうね!
「みんな揃ったね、じゃあ始めようか―――」
オールマイトが戦闘訓練の詳細を説明していく。前と変わらずヒーローチームとヴィランチームに分かれてビルの中での核の防衛戦だ。
そして組み合わせも前と変わらず―――
「じゃあ第一回戦はヒーローチーム緑谷&麗日 VS ヴィランチーム飯田&爆豪だ!!!」
かっちゃんと飯田君のチームとの対決だ!やはりこうなったか…
そうして僕らは作戦タイムに入る。
「頑張ろうね、デクさん!」
「うん、よろしくね麗日さん!」
お互いに挨拶をする僕達、チームワークは良さそうだ!
「しっかし作戦か~どうしようか?」
「私にいい考えがある!」
「わっ!ビックリした…よし!どんとこーい!」
既に作戦を考えていた僕はくいぎみに返事をした、思わず低い声になってしまい麗日さんを驚かせてしまったようだが、麗日さんは小さくガッツポーズを作って気合いをいれる。可愛い。
「おそらくかっちゃんは僕との一騎討ちを狙って単独行動すると思うんだ、今回はあえてそれにのってやろうと思う。僕とかっちゃんが闘ってる間に麗日さんは核の探索をして欲しいんだ、たぶん飯田君もそこにいるだろう。僕がかっちゃんを確保したら合流する、それまでの間に麗日さんが侵入経路を二ヶ所以上見つけられれば、勝ちは固いね。二ヶ所から同時に突入、飯田君には範囲攻撃はなさそうだから一人しか止められない、どっちかが核を確保出来るだろう。」
僕は一気に作戦を説明した、自分の話す番となると止まらなくなるあたりクソナードって感じだ。
「それ、作戦の大変なとこ全部デクさんが引き受ける形になっちゃわない?爆豪君を一人で倒す前提だし…大丈夫?」
「かっちゃんにだけは負けるわけにはいかない、絶対に勝つ。信じて欲しいんだ!それに―――」
「それに?」
麗日さんが心配そうに聞いてくる、でも僕はかっちゃんには負ける気はないし、負けたくない。僕は言葉を続ける。
「それにこの作戦の要は麗日さんなんだよ、今回の目的は核の奪取、つまりいかに麗日さんが核を発見して、確保に対して有利な状況を作れるかが作戦の成功率を決める。僕はただのとどめの一撃でしかない。むしろ飯田君に隙があったら、一人で核を確保するのが一番スマートなんじゃないかな!」
「私、責任重大だったー!」
僕の作戦の詳細を聞いて、麗日さんが大声で驚く。やや涙目になっていて可愛い。
ヴィランチームが配置につくためにあった、5分間の作戦タイムが終了する。
「それでは、戦闘訓練スタート!!」
オールマイトの掛け声と共に僕らはビルの入り口に向けて走り出す、そして入り口に着いたとき見えた光景に思わず足が止まる―――
「うそ…」
「かっちゃん…君ってやつは…!」
―――ビルの入り口から見える通路の奥、そこには掌に爆破をBOOM!と迸らせて、独りで僕らを…いや僕を待ち構えるかっちゃんの姿があった。
一瞬の停止のあと僕らは動き出す。
「麗日さん!いって!!」
「わかった!頑張れ!デクさん!!」
僕は麗日さんに合図をだし、通路の奥へと走る。麗日さんは僕にエールを贈ったのちに、階段を駆け上がる。
「いかせてよかったの?かっちゃん?」
「そんなこと俺に聞くなんてつれねぇなぁ!デクゥッ!!」
短いやり取り、僕は足を止めてからゆっくりとかっちゃんへ近付く。
「個性を全力で使った喧嘩が出来るっつー、折角の場だぁ…タイマン以外ありえねぇだろうが…!!」
「そうだね、僕もかっちゃんと本気で闘ってみたいと…!そう思ってたよ!!」
少しずつ二人の距離が近くなっていく。
「ぶっ殺してやる!!いくぞおぉ!!!」
「絶対に!!君には負けない!!!」
同時に駆け出して距離を詰める。
「デクゥゥウッッ!!」
「かっちゃぁぁぁんっっ!!!」
僕は拳を振りかぶり、かっちゃんが掌を振りかぶる。
筋肉談義の内容は個人の感想です。プロテインは用法用量を守って正しく使用してください。
やっとこさタイトルの独自ルビが思い付きました、でも「さいりしゅう」と「やりなおし」どっちで読んでくれても構いません!
日間ランキングの順位がまた上がってる…
多大なるアクセスと評価、本当にありがとうございます。
感謝の語彙力低くて申し訳ないです、こうなったら行けるとこまで突き進みたいと思います!
これからも応援よろしくお願いします!