デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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デクが10年間行っていた鍛練

ひたすらに筋トレ
ひたすらにランニング
ひたすらに個性の微調整の訓練
などなど…

_人人人人人_
> 地味! <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄


以上です。



『ヒーロー』ってなんだろう?

僕はついにオールマイトと話をする機会を得た。しかし僕との小競り合いのせいで、捕まえたヴィランを逃がしてしまった。

 

遠くで黒煙が上がり、聞こえる爆発の音。それはヴィランが暴れ始めたという証明だった。

 

「私は行かなくてはならない!さらばだ少年!」

オールマイトはそういってビルから飛び降りた。

 

「オールマイト!僕も行きます!」

僕もオールマイトの後を追う。

 

「君いまナチュラルにビルから飛び降りなかったかい!?」

「今はそんなことどうだっていいじゃないですか!急ぎましょう!」

僕の常人離れした動きにオールマイトは驚く、しかしそれを説明している余裕は今の僕にはなさそうだ。

 

「これから向かうのはヒーローが活躍する危険な現場だ!ついてくるのをやめたまえ少年!」

「僕が向かいたい先が貴方と同じなだけですよ!」

止めるオールマイトと聞かない僕、僕は速度をあげてオールマイトの前に出る。

 

「そういう屁理屈をこねるんじゃない!

ナンセンスだぜ!…ヴッ…ゴホッ…」

 

「こっちを抜けると近道になります!」

僕はさらに走る速度を上げる、オールマイトが咳き込んでいたが、そっちの方へ振り向いて走る余裕はなかった。

 

 

それから数分ほど走ると、立ち込める黒煙が間近に見えてきた。爆発音が身体に響くほどの距離だ!

 

「オールマイト着きました!…ってあれ?」

振り向くとそこにオールマイトの姿はなかった、どうやら途中ではぐれてしまったようだ。

 

オールマイトを探しに行きたかったが、僕の記憶の通りなら、この事件に巻き込まれているであろう"彼"が心配だ。

 

オールマイトとはまた出会えればいい、とにかく現場に急ごう!

 

 

 

 

 

現場に着くとそこには何名かのヒーロー達とたくさんの野次馬がいた。大きな爆発音が響いている、どうやらヒーロー達も手をこまねいているようだ。

 

僕は右足で地面を蹴りあげ大きく跳ねる、野次馬の上を飛び越えて、片膝と拳を地面につけて着地した、体勢を立て直して爆心地へ向かおうとしたその瞬間、僕の身の丈ほどはある巨大な"掌"に遮られた。

 

「ちょっとちょっと!どこにいこうとしてるのよ!危ないから下がってなさい!!」

僕を制止する声がする。それはこの大きな掌の持ち主、Mt.レディのものだった。

 

Mt.レディは最近デビューしたにも関わらず、すでにファンクラブもできている期待の超"大型"新人ヒーローだ。その個性は身体の大きさを20m近くまで変えることが…って今はこんな説明をしてる場合じゃない!

 

「通して下さい!僕はいかなきゃいけないんだ!」

「いかせるわけないでしょ!あなた怪我するわよ!こういうのはヒーローに任せて一般人はいいから下がってて!!」

進もうとする僕をその巨体からは想像もつかないような可愛らしい声をあらげて止めるMt.レディ。

 

このギャップがこれまたいいな、確かに人気があるのも頷ける…ってちがーう!だからこんなこと考えてる場合じゃないってば!

 

 

不毛な言い合いをしていると、再び爆発音が響く。それに驚きMt.レディの掌が開く。

 

その隙間から見えたのは、あのヘドロのヴィランに囚われてもがき苦しむ、僕の友達―――かっちゃんの姿だった。

 

瞬間、全身に力みなぎる。かっちゃんを助けなきゃ、そう思ったときには、身体が勝手に動いていた―――

 

「ごめん、Mt.レディ」

そういって彼女の巨大な手首を掴む。

 

「…通してもらいます!」

僕は彼女の腕を大きく跳ね上げた、腕を跳ねられた衝撃でMt.レディは体勢を崩す。その間に僕はかっちゃんのもとへと駆け出していた。

 

「…うっそぉ…」

「なにやってんだ!おいバカヤロー!止まれ!止まれー!!」

「なんだあのマッチョな学生!?やめるんだ!!危険すぎる!!」

僕の後ろからヒーロー達の止める声が聞こえる。でも僕は止まらずに前だけを向く。

 

「かっちゃぁぁぁんっ!!」

僕が叫ぶとかっちゃんがこちらに目を向ける、目線が合うとかっちゃんは一瞬ほっとした顔をするが、すぐに険しい顔へと変わる。

 

「デク!?来るんじゃねぇ!!」

「かっちゃん!今助ける!!」

かっちゃんにも止められるが、握り拳をつくりながら僕は前へと進み続ける。

 

「助けるだって!?バカヤロー!こんなところで"個性"使っちまったら―――」

 

「……」

かっちゃんの言葉が胸に刺さる、何が言いたいのかはわかる、わかっているが足は止めない。

 

「ヒーローに成れなくなっちまうだろうが!てめえ!!」

 

「…成れなくったっていいよ!!」

 

そう、成れなくてもいい―――

 

「…っ!!…"約束"しただろうが!なあデクゥ!!」

 

「ヒーローに成れなくたっていい!…友達ひとり助けられないような、そんなヒーローなんかに!僕は成りたくない!!!」

かっちゃんが目を見開く、僕はすでにかっちゃんを助けられる距離まで近づいていた。

 

「僕が成りたいのは、どんなに困ってる人でも笑顔で(たす)けちゃうような、超カッコいいヒーローさ!!!」

僕はかっちゃんを見つめながら笑顔で言った。

 

「だから…救けるよ、かっちゃん」

僕は腕を引き、拳を構える。

 

いまできる僕の限界の個性(ちから)でかっちゃんを救ける。ワンフォーオールが発動し、僕の身体にはち切れんばかりの力が駆け巡る。

 

5()0()%()……デトロイト・―――」

「よく言った少年!ならば私も助力しよう!」

拳を放った瞬間に後ろからなにかが猛烈な勢いで近づいきて叫ぶ、放たれた僕の拳はもう止められない。

 

 

「スマッッッシュ!!」

DETROIT・SMASH!!!!

僕の拳と誰かの拳が同時に地を殴りつける、合わさった二つの衝撃が空気を揺るがし、辺りを呑み込む暴風を生み出す。

 

目を開けるのもやっとな風のなか僕はかっちゃんへ手を伸ばす、しかしその手はあと少しのところで届かない。

 

かっちゃんの身体が風に呑まれていく、その瞬間かっちゃんの腕を誰かが掴む、その誰かはついでのように僕を抱え、僕らが吹き飛ばないように支えてくれた。

 

 

 

風が止み見上げて見ると、その誰かの正体がわかる。

 

そこには笑顔を浮かべる《僕の憧れのヒーロー(オールマイト)》がいた。

 

「ナイスガッツだったぜ少年!大丈夫かい!」

その力強い声に、自然と笑みがこぼれる。

 

「ありがとう、オールマイト――」

 

 

 

 

 

 

そのあと、飛び散ったヘドロを警察とヒーロー達が回収し、事件は幕を収めた。オールマイトはマスコミからインタビューを受けていて、かっちゃんはヒーロー達にそのタフネスと個性を誉められていた。

 

 

 

僕はというと―――

 

「まったく!いくら逞しいからとはいえ、一般人が無茶しすぎだ!」

ヒーロー達にこってりと絞られていた。

 

「オールマイトが来てくれたからいいものの、君が怪我をするだけでなく、捕まっていた君の友達だってさらに傷つくこともありえたんだぞ」

筋肉質な大きな身体と警戒色のヘッドギアとリストギアが特徴のヒーロー、デステゴロがいう。さらにデステゴロは言葉を続ける。

 

「あそこで個性まで使っていたら、君は犯罪者になっていたんだからね、わかってる?」

あの時の僕のスマッシュは他の人からは見えておらず、オールマイトがひとりでヴィランを倒したことになっていたのだ。

 

「しかし友達を助けるために、渦中に飛び込む勇気は素晴らしいな、ヒーローとは何かというのを改めて感じたよ。まあ蛮勇に等しかったが…」

樹木のような身体をしたヒーロー、シンリンカムイがフォローをいれてくれる。最後に痛いところをしっかりと突っつきながら…

 

「すみません……」

蛮勇か…確かにこれは無茶でしかなかったなぁ、正直なところヘドロ吹き飛ばせる確証もないままワンフォーオールを使ってしまったし、おかげで腕が痛い、周りのことを見えてなさすぎた。素直に反省しておこう。

 

「君、ヒーロー目指してるんだろ?なら将来プロヒーローに成れたら俺のところにこい、たっぷりとしごいてやるよ」

「…えっ」

シンリンカムイの言葉に僕はおもわず、顔をあげる。

 

「おいおい、意外そうな顔するなよな、お前の勇気とヒーロー根性は認めてるってな。」

「シンリンカムイ…」

プロヒーローの彼が僕を認めてくれたことが、急に嬉しくなってくる。

 

「プロになったらちゃんと敬語を使えよ、どっかの生意気な後輩(デカいの)と違ってな。えーと、確か名前は―――緑谷だな」

くだけた口調になったシンリンカムイがなにやら紙を捲って、僕の名前を呼ぶ。おそらく今回の事件の報告書かなにかだろう。

 

「じゃあ今日のところはこれで帰ってよし!プロ目指して頑張ってくれたまえ、緑谷君」

「はい!」

僕は元気よく返事をして、そのまま帰り道へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

―― ??? side in ――

 

 

「私がまさか人にあんなふうに振り払われることがあるなんてなぁ…」

 

『…通してもらいます!』

 

私は今日の出来事を思い返す。この個性に目覚めてから誰かに力負けすることなんてなかったのに。

 

「それにすごくしっかりとした"ヒーロー"の心を持ってた、なんとなくの私なんかとは全然違う…」

 

『友達ひとり助けられないような、そんなヒーローになんかに!僕は成りたくない!!』

 

彼の心にあるヒーローとしての輝きは、今の私には眩しすぎた。

 

 

「なんて名前だったかな―――っと、緑谷…なんて読むんだろ、出るに久しいって書いて――」

 

『デク!?来るんじゃねぇ!!』

 

調査報告書を読んで彼の名前を見つける。名前の読み方がわからなかったが、彼の友達の叫びを思い出す。

 

 

「緑谷デク君かぁ…あんな子がいれば私も少しは変われてたのかな…」

 

 

「デク君がヒーローになれば、また会える日が来るのかな――」

彼に弾かれた手首をさすりながら、いつかの未来を想像する。私がその時までヒーローでいられたなら…

 

 

―― ??? side out ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道を歩いていると、かっちゃんが僕を待ち構えていた。

 

「かっちゃん!大丈夫?怪我とかしなかった?」

「ナメんな!あんくらいよゆーだっつーの、てかあんだけ無茶やっといて人の心配かよ」

心配する僕を逆に心配してくるかっちゃん、心配してるように見えないだろうけど、彼はめんどくさいツンデレだ、前世を含めると20年来の幼馴染の僕にはわかる。

 

「心配してくれてありがとう、無事で本当によかったよ」

「ばっか!心配なんざしてねぇっての!そもそもお前に助けられなくても俺は大丈夫だったんだよ!!」

「うんうん、そんだけ元気なら大丈夫みたいだね。ところでかっちゃん、なんでこんなところで僕を待ってたの?」

騒ぐかっちゃんをスルーして、僕は聞きたいことを聞いてみた。

 

「いや、おめえに言いたいことあってな…って!まってねぇわ!たまたまだっつーの!」

「ごめんごめん、そうだったんだね。それで言いたいことって?」

 

かっちゃんの顔が一気に暗くなり、目に力がなくなる。

 

「…わりぃ…俺があのクソヘドロヤローに捕まったせいで…デクにまで迷惑かけちまった」

 

意外!それはかっちゃんからの謝罪!

ってかっちゃんもだいぶ丸くなってるから、そういうこともあるよね。

 

「かっちゃんが悪い訳じゃないよ、悪いのは個性をあんなふうに使って暴れまわったヴィランだよ」

 

それにかっちゃんが巻き込まれたのは、僕とオールマイトがじゃれているときにボトルを落としたせいでもある。でも知られるとかっちゃんが怒りそうだから内緒にしておこう。世の中には知らない方が幸せって言葉もあるくらいだしね!

 

「あと、僕が(たす)けたいって思ったから動いただけだしね、それといつも言ってるけど―――」

 

 

「「余計なお世話はヒーローの基本!」」 「だよ」「だな」

僕とかっちゃんがハモる。

 

「まあ、今回はそういうことにしといてやんよ、でも次は――」

「次は?」

「次は俺がお前を救けてやる」

かっちゃんが僕の目を真っ直ぐ見つめる、その目には力強い光がみなぎりなんの曇りもない。

 

「ありがとう、じゃあそのときはよろしくね、かっちゃん」

「ああ、ぜってぇ俺に救けさせろよなデク!約束だぞ!」

かっちゃんが拳をこちらに向けてくる。

 

僕はその拳に自分の拳を合わせる。

 

「うん!約束だ!」

 

そうして僕とかっちゃんは別れたあと、それぞれの帰り道へ向かったのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「唐突に私が来た!」

 

「うわ!ビックリした!!」

 

完全にもう終わりの流れじゃなかったのか!どうして貴方はそう急に現れるのか。

 

「オールマイト?どうしてここに?」

驚いた僕を見ながらHA!HA!HA!と笑っているオールマイトに尋ねる。

 

「どうしてかって?それはね―――」

 

 

 

 

「君に会いに来たからだよ、君はいったい何者なんだ、少年?」

 

 

 

本日3回目にもなるオールマイトとの邂逅が始まる―――

 

 




プロヒーロー達の性格とかは僕が原作を読んでいて何となく感じたようなものになってます。

なんかちがくね?ってなったら申し訳ないです。

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