デクのヒーローアカデミア 再履修!【完結】   作:くろわっさん

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今回、結構カオスなキャラ崩壊があるので最早なんでも許せる人向けになってます。

今更じゃないか!って方は続きをどうぞ!



拳藤一佳という少女

この合同自主練もいよいよ大詰めだが、まだひとり特訓方針が決まっていない人がいる……それは誰かって?それはね―――

 

 

 

 

 

―――拳藤一佳さんの場合

 

「みんなの訓練内容決まったね、お疲れ様緑谷君!」

「ありがとう拳藤さん、でもまだみんなじゃないよ。拳藤さんの特訓メニューを考えなきゃね!」

「そっか、アタシが残ってたのか……なんだかバタバタしてて忘れちゃってた」

演習場の鍵を借りに職員室にいった帰り道、その演習場へと向かいながら僕と拳藤さんは話をしていた。

この合同自主練が上手くいっているのは細かいところで動き回ってくれている拳藤さんの尽力あってのことだろう。

 

拳藤さん…自分の訓練のことを忘れるくらいみんなのために頑張ってくれているんだな……よし、絶対に彼女の力になろう、それが僕に出来る一番の御返しだろう。

 

「拳藤さんの個性は拳を大きく出来るものだよね、随分と振り回してたしかなり取り回しがいいように見えるけど重くはないの?」

「大きくなった分だけしっかり質量は増えてるらしいんだけど、振り回す時に重いって感じたことはないかな。なんでそうなるかは私にもわからないんだけど…」

「ははは、まあ個性ってそういう超常現象だしそんなもんだよね、ってことはたぶん全身に個性のブーストがかかってる筈だね。ならそれを生かしていこうか!」

僕は拳藤さんの話を聞きつつ頭の中で個性の有効活用方法を考えてみる。

 

基本的な戦闘スタイルは近接格闘で更に言えば拳法家……巨大化する拳にブーストされた身体機能…そういえば巨大化するといえばあの人の技を参考にするのがいいかな?

 

「あのさ僕の知り合いのヒーローに巨大化の個性の人がいて、その技を参考にしてみようと思うんだけど…どうかな?」

「それってMt.レディのことでしょ!?実はアタシ彼女のファンなんだよねぇ、まさに身体一つで戦う女性って感じで憧れてるんだ!

そういえば体育祭の時から思ってたんだけど緑谷君ってMt.レディと仲良いよね?どういう関係なの?もしかして恋び―――」

「ちっ、違うよ拳藤さん!えっと、その、彼女とはオールマイトとの修行時代にすごくお世話になった方でね、それで今もいろいろ仲良くしてもらってるんだよ。だからそういう関係とかじゃないんだ!」

拳藤さんの思いがけない発言に僕はかなり動揺してしまい早口でそれを否定する。まさか拳藤さんがMt.レディのファンだったとは…

 

「ふーん、そうなんだ。やたらと否定するあたりに怪しさを感じるけど…まあいいわ!それで参考にするMt.レディの技って?」

「それなんだけど、Mt.レディの必殺技でキャニオンカノンってあるでしょ?あれって走って加速した勢いが巨大化するときにそのまま大きくなってるらしいんだよね。

つまり約時速25kmの勢いが巨大化して約13倍になるから……時速325kmに成るわけさ、更に質量も13の3乗倍になってるから……当たったときの衝撃はもはや計り知れないものに成るんだよ!」

「そうして聞くとやっぱり巨大化の個性ってヤバいパワーなのね…流石だわMt.レディ!」

自分で説明しててもその凄さが改めてわかる、やはり大きいというのはそれだけで有利なんだ。

パワーだけで言えばMt.レディはヒーロー界でもトップクラスの持ち主と言えるだろう。

 

「そう、そこで拳藤さんの巨拳ならこれと似たようなことが出来ると思うんだよね!

そこで試してもらいたい技が――絶招歩法(ぜっしょうほほう)

突きを繰り出す突進技さ、拳法家の拳藤さんも聞いたことあるんじゃないかな?」

「あー、アタシ歩法はどうも苦手で……巨拳に遠心力で振り回されちゃうんだよね」

「なるほど、ちょっとやってみようか!見ててね」

そういって僕は拳を構えて右足を前に脚を自然に開く、そして一息。

 

「ハッ!」

僕は掛け声とともに左足右足の順に地面を踏み込み、そのパワーを全て乗せるようにして右の拳を突きだす、飛び出しで2メートル半、腕の突き出しで1メートル半の計4メートルの射程の突撃。

それにより空気がバンッという乾いた音を立て、辺りには拳圧によって風が流れた。

 

「っと、まあ個性なしで使うとこんな感じかな」

「わぁ…凄く綺麗で鋭い突き…見惚れちゃった。緑谷君は中国拳法まで使えるんだ、なんでもアリって感じだわ…!」

「あはは、昔知り合いから教え込まれたもんで…それに人生の大半を力の流れを汲むことに費やしてきたから中国拳法とは相性が良かったみたいなんだよね」

拳藤さんの送る熱い視線に僕は少しだけ照れながら返事をする、再履修(やりなおし)してからずっとワン・フォー・オールと向き合ってきたのだから力の流れを制御することにはかなり自信があるんだよなあ。

 

「じゃあやってみようか拳藤さん!勿論個性を発動してね、タイミングとしては―――」

「――右足を踏み込む瞬間、かな?」

「――だね」

僕が言おうとしたことを拳藤さんが割り込みで言う、お互いの考えが合っていたことに思わず頬が緩み、僕と拳藤さんはニヤリと笑っていた。

 

「すぅ…………ハァ!!」

拳藤さんは呼吸で気を整えてから暫くして一気に動き出す、地面を踏み込む同時に拳が巨大化していき爆発的な勢いが生まれる。

拳藤さんが拳を突き出し切った頃にはそのサイズは普段の10倍くらいになっていて、拳先は元いた位置より裕に10メートル越えた先にあった。

 

「すごい…!本当に突きの距離が伸びた!やったよ緑谷君!!」

「うん!実験は成功だね!でも―――」

「―――軸がぶれてたよね……」

拳藤さんは技の成功を喜ぶもすぐに真剣な顔で考え込む、技自体は悪くないし力の伝達も上手に出来ていたと思うがまだ足りない。

 

「そう、それに踏み込みと巨大化のタイミングがまだ改良の余地がありそうだね。

でも今の絶招歩法を見ててどうすればいいか判ったよ、率直に言うと下半身が巨拳のパワーについていけてないんだ。

だから身体の軸がぶれるし踏み込みの勢いも足りてないんだね、そこも踏まえて直せれば射程も20メートルくらいになるんじゃないかな」

「20メートル……近接格闘としては驚異的な距離だね。ねえ緑谷君、アタシはどういう方向で下半身の強化をしていけばいいかな?」

僕は少し厳しい言い方をしつつ拳藤さんの技を評価する、それを受けて拳藤さんは納得したようですがるような顔で僕に尋ねてきた。

 

ここまで頑張ってくれた彼女が僕に助けを求めてる、皆の為に頑張れるような優しく健気な娘だ。

必ず彼女の技を完成させて上げたい、ならば僕に出来ることは―――

 

「拳藤さん、下半身の強化なんだけど個性のブーストの調整をするのもひとつの手だとは思うんだけど……僕はもっと直接的に下半身の身体機能を底上げするのが最善策だと思うんだ。

それでその方法なんだけど、()()をやるのが一番だと考えてる……この後、付き合ってくれるかい?」

「……()()?」

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 拳藤 side in ―――

 

 

「…はぁ んっ… ふぅ……」

誰が聞いても、百人中百人が艶かしいと感じるような声。

その声の出所は他の誰でもないアタシ、この口から漏れ吐き出されていた。

 

自分でも出したくて出しているのではない、しかしアタシの紅潮した顔がそんな訳がないと言わんばかりにそれを否定していく。

 

 

「―――綺麗だよ 拳藤さん…」

そんなアタシの声とは打って変わって、低く、男らしく、でも優しげな声がアタシに投げ掛けられる。

 

「んっ… そんなに見られてると… 恥ずかしいよ。 みどりやくん……」

アタシは口ではそう言うものの、緑谷君に視られているということに対して、身体を強ばらせてながらもどこか喜んでいるのかも知れない。

 

緑谷君の視線を意識し始めた時からアタシの身体の中から絞り出される熱い雫がなによりの証拠だ。

 

 

「 はぁん…、 あぁ っん … 」

アタシは緑谷君に視られ続けながら()()を続けていく、無論その唇からは嬌声がどうしようもなく溢れてくるのだが。

 

身体がどんどんと火照ってくる、特に下半身(したのほう)は自分でも驚くくらい熱を帯びており…そのまま果ててしまいそうだ。

 

「おっと… そろそろ一人じゃ無理かな。 じゃあ僕も入るよ」

緑谷君はそんなアタシの考えなどお見通しのようで、気が付けば彼はアタシの後ろに立っており、そしてアタシの世界に踏み入ってきた。

 

彼の(たくま)しい太腿がアタシの太腿を挟み込むように延びてきては触れていく、湿り気と熱を帯びてたアタシの太腿より彼のそれは少しひんやりとしたもので、お陰でアタシの熱が彼に伝播していくのがまるわかりだ。

 

彼の鍛え上げられた両腕がアタシの両脇の下から差し込まれる、自分では女の子らしさなどとうに忘れて鍛えてきたつもりだった。

だが彼と比べればアタシの筋肉質な腕でさえも女の子の細腕と化しており、アタシが女であることを実感させられる。

 

彼との距離が物理的に近づいて胸の鼓動が高まっていく、この脈打つ心臓はアタシの心の叫びなのだろう。

彼の左腕はそのすぐそばにあり、胸に触れるか触れないかのギリギリの所から延びている。

 

いっそこの胸に触れて…寧ろ乱暴に押しつけて、そうしてくれればこのアタシの鼓動が彼に伝わってしまうくらいに近づいてしまえば、アタシは楽になれるのだろうか。

「もっと強く抱えて離さないで」と言えれば……そんな言葉は口から出ることなくアタシの中で消えていく。

 

「拳藤さんっ…… そろそろ動くよ、一緒に。 いいね?」

耳元に緑谷くんの囁きが聞こえ、それに伴う吐息がアタシの首筋を擽る。瞬間、首から背中にかけて駆け抜けるゾワリとした快楽にも悪寒にも似たような感覚、思わず腰が砕けて力が抜けそうになるが必死に堪えた。今はそれすらアタシの身体を熱くする。

 

「ふっ…… んんぅ、 」

緑谷君の言葉に対してアタシは言葉で返すことができず、ただだだ吐息を漏らしながら首を縦に振る。

 

「じゃあいくよ、 せーのっ―――」

緑谷君の掛け声に合わせてアタシは腰を下ろす、しかし彼の動くタイミングとアタシの動きがずれてしまった。アタシの柔らかな膨らみをもつ果実が、彼の鋼鉄のような二本の大樹の幹の根元へと堕ちていき波打ちながら形を変えていく。

 

「―――あぁっ… 」

アタシは思わず声を上げるも、それは驚嘆というよりも喜悦の声と呼ぶに相応しいものとなっていた。

アタシは彼に目線で抗議をする、彼は「ごめんっ…」と一言だけアタシの耳元で囁いた。

 

 

 

熱い雫が再び湧き上がる。

 

 

 

 

「はぁ… はあっ…… んっ。 」

「ふっ… ふっ… ふんっ… 」

アタシと彼の()()はそれから繰り返されてていく、互いの漏らす吐息と言葉にならない熱の籠った声だけがその口から発せられる。

 

アタシが腰を下ろしては上げ、彼もそれに合わせて器用に身体を動かしていく。

次第に彼の身体も熱を帯びていくのがわかる、彼と触れあっているアタシの一部にその熱が伝わってくるからだ。

 

お互いの熱気が入り交じりまた身体が熱く、熱くなっていく。

アタシから滴る熱い雫が彼の身体に落ちていく、彼もまた熱き雫を迸らせながらアタシと共に動き続け、二人の雫が混じりあう。

 

彼と触れあっているその一部を湿らすのは最早どちらのものか分かりはしない。

 

繰り返される肉をうねらす上下運動、高まってくアタシの下半身(した)…いや全身(すべて)というほうが正しいだろう。

 

そしてついにアタシはその高まりから限界を向かえようとしている。

 

「はぁ… みどりや…くぅんっ んっ…アタシ…っ もう 」

「オッケー じゃあラストっ… 一緒にいくよっっ」

限界寸前のアタシの身体、そんなアタシの口から紡がれる言葉は息も絶え絶えなもので、普段の自分からは想像もつかないくらい弱々しく甘ったれた声だった。

緑谷君はそんなアタシを優しく許容して終わりを告げる、だがすぐに終わらさず最後まで苛め抜く辺りに彼の本気さを感じた。

 

「せーのっ―――」

「あぁあぁぁっん ―――――」

緑谷君が掛け声と同時に一気に腰を上げる、アタシはそれに合わせてケダモノのような声を上げながら身体を動かし最後の一滴まで雫を捻り出し――――――果てた。

 

アタシはその場に倒れこんでしまったが、火照った身体に冷たい床が触れるとなんともいえない感覚が心地よい。

このまま床に抱かれるのも悪くないとそう思ったときにアタシに影がかかる。

 

「拳藤さん大丈夫?ちょっと激しくやりすぎちゃったかな…」

緑谷君がアタシの火照りきった身体にタオルをかけながらゆっくりと上体を起こしてくれる。

 

()()が終わって自らも疲れている筈なのにアタシを労って気遣ってくれる、やっぱり彼はどこまでも優しく逞しい。

 

「はぁ…はぁ……大丈夫っ… ありがとう」

気遣ってくれた彼に対してアタシは肩で息をしながらお礼を言う、渡されたタオルで身体を拭いてみるとすぐに乾いていた布地が湿り重くなり、いったいどれだけの雫が湧いていたのか分かるようで少し恥ずかしい。

 

 

 

「やっぱり下半身を鍛えるといったらこれに限るよね――――」

 

 

 

 

 

「 ス ク ワ ッ ト !! 」

 

 

彼はとてもいい笑顔でそう言った。

 

そうアタシが励んでいた()()、それはバーベルスクワット、緑谷君はその補助に入ってくれていたのだ。

大腿筋を中心とした全身筋力トレーニング、かなりきつかったがその分だけ成果は上がるだろう。

 

それに―――

 

「ねえ緑谷君…また付き合ってくれる……?」

「勿論さ!トレーニングならいくらでも付き合うし、なんでもいってね!!」

アタシが一言だけ尋ねると、緑谷君は笑顔を絶やさず返す。

 

純粋にアタシが筋肉を鍛え上げるのが嬉しいのだろう、先程までのスクワットでもその熱気がわかったくらいだ。

 

「じゃあ…… また 、よろしく……ね? 」

アタシは口元に流れついた熱い雫を舌で舐めとりながら彼にそう告げた。

 

 

 

 

―――それにこれは……クセになりそうだ。

 

 

――― 拳藤 side out ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

合同近接格自主練が始まってもうそろそろ1ヶ月が経とうとしている、月曜火曜は訓練、水曜日は休養としてみんなで勉強会、木曜金曜にまた訓練、土曜は自由参加の基礎トレ日、日曜は完全休日……そんなサイクルで過ごしていき、そして今日は最後の日だ。

 

流れはいつもと同じ基礎トレーニングで身体を暖めてから各自の特訓メニューへ、そして最後は僕ひとり対全員の戦闘演習だ。

 

演習ではみんなが鍛え上げた必殺技や連携を駆使して僕を追い詰めてくる、庄田君の二重の極みや拳藤さんの絶招歩法などどれも強力で僕も捌くのが大変だったりした。

それ以外にも飯田君のV3スーツだったり尾白君のミスディレクションアタックだったりといろいろあったのだが、詳しく話すと滅茶苦茶長くなっちゃうからその話はまたの機会にとっておこう。

 

 

「「お疲れ様でした!!」」

全員の揃って締めの挨拶をする、僕らはこの1ヶ月の間にかなり強くなれたと思う、僕も新技を完成させられたしね。

 

「明日はいよいよ期末試験だ、皆の今日までの頑張りは決して無駄にならない!気合い入れていこう!以上解散!」

「「ありがとうございました!!」」

僕が合同自主練の締めの言葉を述べて、全員で礼を言って終わる。武道は礼に始まり礼に終わるのだ。

 

 

 

 

――――ついに期末試験が始まる、僕の実技の相手は前世と変わらずオールマイトになるだろう。

 

 

 

――――話は少し逸れるけど、僕とオールマイトが本気で闘う舞台が整うのは実のところ初めてじゃないんだけどね。

 

 

 

 

 

 

幕間 七.五章 魁!!緑谷塾

 

 

 




それは只のスクワットの風景でしかない――――


八章の一話を書いていたつもりが気が付けば文字数が増えて二万文字くらいになっていたので、分割して7.5章にしました。

そんな間幕もこれにて完結です、次回から八章を始めようと思いますので、これからも応援よろしくお願いします!


絶招歩法はストⅣのユンの波動+Pのあれです、イメージが湧かないよって方はググってください!

スクワットの補助ってなんぞや?って方はググったりしなくても大丈夫です、知ってる方はこの話の二段落ちがわかりますよね?


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