吉良吉影はくじけない   作:暗殺 中毒

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今回の話は今後のストーリー展開で重要な役割を果たしてくれるでしょう(願望)
この作品で東方キャラとジョジョキャラが戦うのは吉良戦を除きほぼないと思うので、期待していた方には申し訳ありません。あらすじの注意書きも変更しておきます。


潜伏する悪意

「う〜ん、いくら慧音先生の頼みっていっても首を縦には振れねえなぁ」

 

長屋の大家は、慧音の話を聞き勘定台の向こうで渋い顔をした。その目はいくつかの書類に向けられており、現在の空き家と間取り、家賃などの情報が記入されている。

 

「無理って、このままじゃ川尻は野宿だぜ」

「んなこと言われたって、こっちも商売だかんな。あの麩菓子みたいな頭のにいちゃんにも相当無理して貸してんだ」

 

大家はそう言うと書類を片付け始める。こればかりはどうしようもないと思ったのか、魔理沙も慧音も諦めた雰囲気だ。一応常識人である慧音を頼ってはみたが、やはりダメか……よそ者に厳しいのはどこも一緒らしいな。

 

「慧音くん、何かいい仕事はないか? 頼ってばかりで申し訳ないが」

「そうだな、新任教師への推薦ならできないこともないが……」

「自信はないな」

「畳の編み目を数えるより退屈な授業の上をいけたら尊敬するぜ」

 

慧音から頭突きを食らわされた魔理沙は痛みのあまりしゃがみ込み、何やら呻いている。した方の慧音は全く痛がる素振りを見せていないが、こいつの額は何でできているのだ?

 

「おや、貴方は川尻浩作か」

 

突然の若い女の声に振り向けば、そこには昨日の狐の少女が立っていた。一応笑顔を作っているつもりらしいが、目がまるで笑っていない。さてはこいつ、騙すのが下手なタイプか。狐なのにか?

 

「君は確か……」

「八雲藍だ。昨日聞いただろう」

「歳のせいか忘れっぽくてね」

 

当たり障りのない会話をしている間に、藍と名乗った少女は目の前まで歩いて来る。この室内が薄暗いのもあるが、どうも嫌な作り笑顔だ。それ以外は合格点だがな。

 

美しい顔をした女だ。手入れのされた髪に、整えられた身だしなみ。中華風な服なのは疑問だが、装飾品もつけておらず目に優しい。手が隠れていて見えないのが残念だが、どの道今はキラークイーンすら使えん。東方仗助……ヤツさえいなければ里の女を彼女にできるものを。

 

「紫の式神もここの大家に用か?」

「いや、私が用があるのは川尻浩作、貴方さ」

 

魔理沙の言葉を否定し、藍は私の目を見る。その目の中にどんな感情が渦巻いているのか私には知るよしもないが、好意がないことだけは確かだろう。それにしても私に用だと? 昨日ですら会話らしい会話などしていないというのに、いったい何の用だ。

 

「お金に困っているらしいが、実は私も少し困ったことがあってな。そこで、情報交換をしよう。私が欲しい情報を教えてくれれば、報酬を出す」

「悪いが、辞退させてもらうよ」

「……なに?」

「不審な取り引きはしないことにしているのでね」

 

私の発言を聞いた藍は、不機嫌そうに顔を歪めた。かと思えば、深呼吸をし気持ちを落ち着かせ、また笑顔を作り私を見据える。ふむ……話はできそうなヤツだ。

 

「なら、現金ではなく仕事の紹介をしよう」

「浩作君、少し下がっていてくれ。藍さん……でいいのかな? 言葉が悪くなるが、突然現れて金銭の取り引きを持ちかけるのは怪しいと思われても仕方ないぞ」

 

慧音は私の腕を引いて無理矢理下がらせ、魔理沙の方へと押し付ける。魔理沙は今の状況を面白そうに眺め、大家は何が始まるのかビクビクしながら奥から覗き、2人は至近距離で(にら)み合う。やがて藍は根負けしたのか、ため息をついた。

 

「しょうがない……場所を変えて話そう」

「なぜ? それこそ、私は人に聞かれたくない怪しいことをしている、という自白じゃないのか?」

「無関係の者に聞かれるのがマズイという意味さ」

「なら尚更だ」

 

慧音と藍の会話は平行線で、互いに(ゆず)らない。心なしか、この空間の温度が下がってきたような気もする。気のせいかもしれないが。話が先に進まないことに苛立っているのはどちらも同じらしく、藍に至っては笑顔のまま眉をひそめるという器用な芸当を披露している。

 

「……昨夜、輝針城異変を起こした天邪鬼を見つけた」

「天邪鬼? あの正邪か?」

 

藍の言葉に魔理沙は意外そうな声を上げ、慧音も言葉を見失う。その様子を予見していたのか、藍は更に続けた。

 

「今回は私も動かざるを得ない、非常に危険な事態だ。しかも敵は天邪鬼だけじゃない」

 

誰も言葉を発さない様子を見て、藍は重々しく口を開く。

 

「コウモリの妖怪、通称は伯爵。弾幕ごっこによる決闘ではなく、殺害を目的として戦う強敵だ」

「コウモリ? どこをどう見ても貧弱そうじゃないか」

「なるほど、貴方は弾幕が直撃しても平然としているのか」

 

藍の皮肉を込めた予想外の返しに、魔理沙は言葉に詰まる。それを聞いた慧音の表情も疑惑と不安が入り混じった物へと変化し、その伯爵とやらがどれだけ脅威なのかを私に教える。

 

弾幕ごっこ……恐らく魔理沙と紅白がやっていたのがそうなのだろうが、ふむ、確かにあの星型の光やお札を生身で受け止められるのは異常だ。となると、銃弾も通じるかどうか、ということか。

 

「輝針城異変がたった数ヶ月前に起こったばかりだ」

「新たな異変は既に始まっている、ということさ」

「しかし「慧音くん」

 

再び藍に噛み付こうとした慧音を押し留め、私は前に出る。魔理沙は相変わらず呑気に伸びをし、慧音は不服そうな顔をして私を見た。

 

「単刀直入に言おう。目的はなんだ?」

「天邪鬼と伯爵について知りたい」

 

真剣な眼差しで私を見つめる姿からは、ふざけている様子は見受けられない。その天邪鬼と伯爵というヤツは知らんが、ここで面倒事が起きているのは本当らしいな。

 

「すまないが、知らないな」

「……そうか。なら、ここに来てから何か変わったことは?」

「特に何も。なぜ私にそんなことを聞く」

「昨夜伯爵と交戦した際、天邪鬼が私は貴方の代わりになると言っていた」

「何? それはどういうことだ?」

「理由は知らない。私はただその発言を元に聞いているだけだからな」

 

この藍の話がどれだけ信用できるのか、どこまでが本当なのか私には分からない。ただ、魔理沙と慧音の様子からして、普段からくだらない嘘を並べてはいない。それだけは確かなはずだ。

 

「もう一度自己紹介して欲しい。外の世界での過ごし方に繋がりがあるかもしれない」

「……黙秘権は許可されるのか?」

「無論だ」

 

それを聞いた私は一度口を閉ざす。どんな風に答えればいいのか悩んでいると、そう周囲に思わせるためにな。

 

「私の名は川尻浩作。杜王町に住む会社員で、妻と息子がいる。趣味は健康管理で、特技は料理だ。杜王町RADIOをよく聞くんだが、知ってるかね?」

「いや」

「そうか。とにかく、私はただのしがないサラリーマンさ」

 

自己紹介を終え腕を組もうとした時、私の小指が折れた。体に走る激しい痛みは、叫び声を上げることすら許さず稲妻(いなづま)の様に私を苦しめる。

 

「だが嘘をつくことは許可しない」

 

私の小指を小枝の様にへし折った藍はただ静かに、落ち着いた声音でそう告げた。

 

「こ……この……この便所のネズミにも劣る、道端のクソ程の価値もないクソカス風情がァ!!」

「それが貴方の本性か」

 

私がキラークイーンの拳をすんでのところで止め思考をクールダウンさせようとした時、藍は私の腕を掴む。慧音と魔理沙は私の豹変に驚いたまま動けず、キラークイーンを使うこともできずに私の視界は暗転した。

 

 

 

目を開けた私が見たのは、爽やかな風が吹く澄み切った青空だった。暑くなく、かといって寒くもない。暖かく心地いい気温は、それだけで私の心を平穏へと導いてくれる。この世に、美しい青空と自然を楽しむ以上の素晴らしいことがあるだろうか?

 

「目が覚めたか?」

「今の一言でな」

 

皮肉を込めた言葉を吐き捨て、私は芝生の上から起き上がる。藍は日本屋敷の縁側に腰かけ、優雅にお茶を飲んで私を見ていた。屋根から吊るされた風鈴が風に当たり、涼しげな音を響かせる。

 

「続きを聞こう。嘘はすぐに分かる」

「……どこまで知っている」

「普通であろうとする貴方が、普通じゃないことは」

「嘘をついたらどうなる?」

「小指では済まないな」

 

お茶を飲み、鋭く睨みながら藍は私に向けてそう言った。こんな状況では、風鈴の音色も、花の(あわ)い色合いも、池を泳ぐ魚も楽しむことができない。厄介事は私の求める平穏とは相反(そうはん)するから嫌いだ……

 

「激しい喜びはいらない……その代わり深い絶望もない……そんな植物の心の様な、夜空の星の様な平穏な生活こそ、私の幸福だったのに……」

 

湯のみを(かたわ)らに置く藍を見ながら、私は続ける。

 

「タバコは吸わない。健康を害するからな。酒は(たしな)む程度、夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている。温かいミルクを飲み20分のストレッチで体をほぐせば、明日の朝まで熟睡さ……疲労やストレスを残さず朝目を覚ませる」

「何が言いたい」

「私は心の平穏を願って生きている人間だということを説明しているんだよ。夜も眠れない敵だとか、そういったトラブルを作らない。それが私の社会に対する姿勢であり、自身の幸福だと知っている」

「あの時の態度、やはり演技だったか」

 

ここの連中にしては珍しく頭を働かせた藍は、そばに置いてあった新聞紙を広げる。真剣その物な表情と眼差しをしている辺り、まさか飽きたとは言わんだろう。

 

「しかし接点が見えないな。貴方と同時期に迷い込んできた男……東方仗助はスタンド使いというやつらしいが。貴方もそうなのか?」

「黙秘権を行使する」

「イエスだな」

 

私がスタンド使いということだけは知られたくなかった……キラークイーンのことも話さなければならないからな。殺すのはマズイ、だが正直に話すのもマズイ。口封じをしなければ……!

 

「貴方はここで保護するが、新聞によるとスタンドにはそれぞれ異なる能力があるらしいな。貴方の能力はなんだ?」

「……今、なんて言った? 保護だと? ここでか?」

「そうだ」

「オイオイオイ! 話が違うぞ!? 私が家を借りる手助けをするんじゃあなかったのか!?」

「天邪鬼は“私は川尻浩作の代わりになるから殺すな”と言っていた。川尻浩作の代わりだ。この意味が分かるな」

 

そこまで言い切ると、藍はお茶を(すす)る。(うらや)ましいな、暇そうで……私は思う様に物事が進まない現状を、爪を噛んで憎んでいた。頭が沸騰しそうだ、頭をかきむしりたい、今ここでヤツを爆破してしまいたい……!

 

「私は伯爵と戦えるが、人間の貴方では太刀打ちできない。伯爵は闇の中からいつでも襲いかかってくる。幻想郷の平和のために……何より、貴方の身の安全のために、能力を教えて欲しい」

「……スタンド名はストレイ・キャット。射程距離1〜2メートル。触れた物を消滅させる能力がある」

 

悩んだ末、私は教える。嘘の情報を。藍はそれに気がつく筈もなく、愚かにも私の言葉を信じて(うなず)く。束の間の安息が訪れようとしたこの場に、それをあざ笑うかの如く疾風が吹き荒れた。

 

「分かってないようだな。お前たちに、安心なんてないことを」

 

どこからか(かす)れた声が響き、空間に亀裂が走った。分厚く大きな手がその隙間に差し込まれ、徐々にその隙間を押し広げていく。その向こうに広がっているのは、どこまでも続く闇。手の持ち主は隙間に体を滑り込ませると地面に降り立ち、その背後で空間の亀裂が閉じた。

 

「コウモリ伯爵の命により、川尻浩作、並びに八雲藍。お前たちを迎えに参った」

 

亀に似た怪物は、静かに語った。

 

 

 

彼女は戸惑っていた。怒りを抱いてもいたが、それを簡単に困惑が塗り潰す。なぜ紫の式神は川尻浩作を連れ姿を消したのか? 普段なら小指を折るなどしない常識人なのに、なぜ? 腰かけた(ほうき)を空に走らせ、目は正面だけを見据えながら風に(さら)われそうになる帽子を手で押さえる。

 

「魔理沙、本当にこの辺りなのか?」

 

彼女の隣を飛行する慧音が、長い自身の銀髪を邪魔そうにかきあげながら確認のためにそう(たず)ねる。

 

「ああ、以前紫がこっちの方角にあるって話してたぜ」

「なら急ごう。浩作君に何かある前に」

 

確固たる自信を持った返答に慧音は飛ぶ速度を上げ、彼女もまたそれに合わせ加速する。しかし、それは真下の森から急襲した黒いモヤによって(はば)まれた。2人のそばを(かす)めたモヤはそのまま緩いカーブを描き、遠くへと豪速で飛んで行く。

 

「な、なんだ!? 制御が効かない!」

「しま……ッ! 魔理沙、掴まれ!」

 

空中に浮かぶ力を失った(ほうき)はそのエネルギーのはけ口を失って暴れだし、彼女の小さな体はただそれに振り回される。浮力を失ったのは慧音も同じ。しかし慧音は焦るよりも先に彼女を抱きとめ、そのまま地面に墜落した。

 

「ま、魔理沙……怪我はないか?」

「だいじょぶだ、ぜ……?」

 

抱き抱えられた彼女が目にしたのは、深々と枝が肩に突き刺さり、今正に赤い血が流れ出している慧音の姿だった。予想もしていなかった事態に、彼女は思わず言葉を失う。だが、これは些細なかすり傷。これから先、彼女達が歩む運命に比べてしまえば。

 

もし、記憶が作られた物だったとしたなら。もし、あの日過ごしていた時間の記憶が、偽りだったとしたなら。もし絶対だと信じていた自身の世界が、誰かの手によって作られた物だとしたら。私達は、何を信じればいい?

 

「霧雨嬢に、慧音女史……九尾の狐は、やはり川尻浩作を住処(すみか)へと連れ去ったようだな」

 

声につられて2人が見上げた先にいたのは、成人男性程もあろうかという巨大なコウモリだった。木の枝にぶら下がり、体を羽で隠すその姿は広く認知された物でしかない。大きくなるだけで、その姿勢が不気味さを(かも)し出す物に変貌(へんぼう)するとは、誰が想像できよう。

 

「逆さでは礼儀に失する。無礼を謝罪しよう」

 

木の枝から地に降り立ったコウモリは人の姿へと形を変え、その鍛え上げられた黒い肉体をマントで隠す。日の光すら届かないこの森の中では、コウモリの体色はよく馴染(なじ)む。

 

「諸君が九尾の狐を追うことは予想していた。そして、偽りの記憶を埋め込ませてもらったのだ。諸君が目指していた八雲紫の屋敷は、反対の方角だ」

 

コウモリは淡々と、その異形の口を動かし言葉を(つむ)ぎ出す。この幻想郷において、記憶の改竄(かいざん)ができる人物は何人か存在している。限定的ではあるが、慧音もその1人。それでも、その記憶改竄能力を使って悪事を働いた者も、それに激怒した者もいない。今は違う。

 

「偽りの記憶……? 私の記憶を、書き換えたのか? 私の思い出を!」

 

躊躇はなかった。一切の迷いを見せず、彼女は自身の得意技……マスタースパークを放つ。ミニ八卦炉から発射された光は、コウモリを覆い隠してしまう程に太く大きい。コウモリはそれを避けようともせず、圧倒的な破壊力を秘めたそれに直撃した。

 

コウモリの巨体が木を()ぎ倒しながら吹き飛び、周囲の木々が黒焦げ燃え尽きる。彼女を止めるために伸ばしかけた手を引っ込めながら、慧音は複雑な表情でコウモリを見やった。瞬間、慧音はおろか、彼女の体が凍りつく。

 

立っていた。彼女の攻撃など、岩すら粉砕する彼女の必殺技などまるで放たれていなかったかの様に。冷静に落ち着き払い、マントで体を覆い隠しながら、コウモリは立っていた。焼け焦げ穴のあいたマントが再生していき、傷だらけの肉体が(またた)く間に治っていく。

 

「この世界……いや、この幻想郷を支配しているのは誰か、知っているだろうか。霧雨嬢と、慧音女史よ」

 

2人は答えられない。コウモリが(たたず)んでいる衝撃が、それを許さない。

 

「人間か? 違う。天狗か? 違う。地底の鬼か? 違う……ならば博麗の巫女か? 違う! 八雲紫だ。この幻想郷は常に八雲紫を中心に回っているのだ。歴史は常に強者を中心として回る。貨幣を決めるのは誰だ? 物の価値を決めるのは誰だ? 秩序を定めるのは誰だ? 例え八雲紫でなくとも、必ず誰かが決め、それに追随(ついずい)するのが社会の法則」

 

肩の枝を引き抜き、空気が変わったことを慧音は肌で感じ取る。震える手でミニ八卦炉を握り締める彼女は、コウモリの気迫に呑まれぬよう拳を固く作った。

 

「強者が歴史を、社会の枠組みを作るのだ。どこの馬の骨とも知れん子羊に、重大な責任を負わせる馬鹿はいない。強者とは常に尊敬される存在でなくてはならない。尊敬されるからこそ皆が従うのだ。そこでだ。全ての権力を握るのは、全ての頂点に立つ者にこそ相応しいと思わんか?」

「それは、誰なんだ?」

「よい質問だ、慧音女史よ。全ての生物の頂点にして、地底の鬼すらも餌とする高貴なる者。青き血の主人だ」

 

青き血の主人。その名を、彼女も慧音も知らない。鬼すらも餌とする、生態系の頂点に立つ存在。そんな者がいたとするならば……そこまで考えた慧音は、背筋が凍りつくのを感じた。

 

「すまないが、知らないな」

「無理もない。青き血の主人が歴史から姿を消して久しい。この私自身、数ヶ月前に存在を知ったばかりなのだから。どうだ、私と共に来るがいい。共に闇を恐れ、崇め、服従しようではないか。青き血の主人の名の元に」

 

コウモリはマントを使って体を隠すのをやめ、2人に向け両手を広げる。その刹那(せつな)、コウモリの顔に弾幕の嵐が浴びせられた。怯みも見せないコウモリは、その目を始めて開き慧音を(にら)みつける。

 

「フン、愚かな下等(かとう)眷属(けんぞく)風情が……死ぬしかないな」

 

闇に潜んでいた小さなコウモリの群れが、伯爵を鼓舞するかの様に飛び立った。




幻想郷を揺るがす悪役vs東方キャラ&ジョジョキャラ、という構想に決まったのでオリジナルの悪役は今後も出てくると思います。オリジナルの悪役なら心置きなくゲスにできますしね。

次の話はほぼ全て戦闘になります。

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