吉良吉影はくじけない   作:暗殺 中毒

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今回も1万文字超えです。
段々長くなってる気がする。


Dの拳

吉良と仗助が幻想郷へと迷い込んだ当日、人里のすぐ近く。そこにそれはいた。簡単な机の上には水晶とタロット、椅子に座るのは紫色の中華服を身に纏った男。打ち立てられた旗は風にたなびき、書かれた文字を誇らしげに見せつける。

 

「呪いの代行致します、だぁ〜?」

 

日が暮れ始めた頃、場違いなリーゼントの学生は男に疑ぐりの視線を向けていた。

 

「呪いじゃなくてもけっこう、未来を知りたい? 気になるあの人との相性? イラつきやすい性格を直したい? なんでもけっこう! 凄腕(まじな)い師が願いを叶えましょうとも!」

「なんかもう嘘くせぇんだよなぁ〜オメー」

「仗助君、なにも堂々と言わなくても……」

「ま、道端の犬のフンを踏む運命だったとして、今ここで占わなかった結果そのお高いイタリア製の靴が汚れても私にゃ関係ない話だね」

「んだとコラ〜! 当たるっていう証拠あんのか証拠!」

 

彼の言葉を聞いた呪い師は肩をすくめ、やれやれと言わんばかりに首を振る。布で口元が隠れているが、その下には小馬鹿にした顔があると彼は確信した。

 

「これだからド素人は困りますなぁ、ド素人は。(まじな)いなんて物は何より信じる心が必要だというのに、それを分かっちゃあいないんですわ」

「なにぃ〜?」

「説明しよう! 生命は生まれた瞬間からエネルギーを放出して生きている! 目に見えず、しかし触れず! だが確実にそこにある力! 我々生命の思考とはつまり単なる電気信号の反応でしかない! だが確かに自分の世界を持っている! 不思議に思わないかね!?」

「そんなの考えてんだから当然じゃねえかよ!」

 

彼の応酬によって呪い師はまたやれやれといった様子でジェスチャーをする。

 

「主観の話はしていないィー! 客観の話をしているのさ東方仗助!」

「な……テメエなんで俺の名前を知ってやがる!?」

「呪い師、ですから!」

「わけわかんねーんだよボケ! 分かる様に説明しやがれ!」

「話を戻そう! 我々の思考の正体は電気信号であり、化学反応であり、物理的反応だ。だがしかしッ! それで主観的体験の感覚を説明できるのか? いいや、できないね!」

「うっせータコ! なんとか言ってやってくださいよ、上白沢の先生よォー!」

「ははは……そうは言われてもな」

 

呪い師は彼の腕を掴もうとし、逆に彼に腕を捕らえられた。逆の手でその手を掴もうとし、また捕まり、2人は互いに一歩も譲らない。

 

「例えば、そう、た、と、え、ば。この腕を掴む感覚、どう説明するのか教えてくれないか? 東方仗助」

「だから電気信号だろーが……!」

「なら赤とは何か、説明できるのかい? 誰かを憎いと思う感情の正体は? 痛いという感覚の正体は? 電気信号がどんな働きをして生み出しているのか、あいにく私は知らなくてねぇ」

「赤ってのは火の色だ!」

「火は青にも緑にもなるが?」

「なら血の色だ!」

「血の色? 血の色は果たして赤なのか? 君が赤と呼んでいるだけではないのかね、東方仗助! ちょ、タンマタンマ腕折れるってあぁぁ!」

 

解放された呪い師はブツブツ文句を言いながら腕をさすり、彼からかなり距離を置いて向き直る。

 

「で、だ。つまり我々の主観という物はデータや情報で客観的に証明できる物ではないし、感情や感覚というのもその1つということだな。そもそもの客観的前提が破綻しているのさ。オーケー? ついてこれてる?」

「なにが言いてぇんだ」

「不思議じゃあないか? 我々のこんなにも身近に確かにあるのに、客観的証明の手立てが何もないことは。ないはずなのに、確かにある。意志も同じさ。そもそもデータに記録できない力なんだ、しかしそのエネルギーを操れれば最高の道具にできる」

 

彼と呪い師の間に、わずかな沈黙が訪れる。なぜそうなったのかは誰も知らないし、勿論慧音にも分からない。ただ、お互いが何かを感じ取った。そう説明するのが最も適切なのかもしれない。

 

「我々呪い師は人間や妖怪の意志をエネルギーとして活用する。生命が生まれながら持つが故に、この世界で最も普遍(ふへん)的で最も純粋な莫大(ばくだい)なエネルギー。人間の意志は、アポロ11号という形で月にも到達したことは誰もが知っている。たかだか100年しか生きられない人間が、だ。数万年という短い歴史の中で、人間の意志は大地を離れ、月すらも超えたんだ。その意志の果てには何がある? その意志をエネルギーに変えれば何が起こる?」

「……乗った! そんなに言うんなら、今後の運命でも占ってもらおうじゃねえの!」

「交渉成立! ベリーグッド!」

 

彼らが占いに臨む横で慧音は仕方ないとばかりにため息をつく。元気に騒ぎ新たな挑戦をするのは喜ばしいが、もっと落ち着いてはしゃげないものかと。そして改めて前を向くと、こちらを眺める赤髪の少女の姿が目に入った。

 

慧音が手を振るとその少女はゆっくりとした足取りで目の前まで近づいて来る。仗助の頭を凝視しながら。目の前にたどり着いた時、その少女は立てた(えり)の向こうで口を動かした。

 

「誰?」

「彼は東方仗助、今日ここに迷い込んだ外来人だ」

「外来人? にしてはずいぶん奇抜だけど。特に()菓子みたいな髪とか」

 

その瞬間、慧音は思わず凍りつく。視界の端で仗助が立ち上がり、その背後に揺らめく赤紫色のオーラを垣間見たからだ。しかし赤蛮奇は突然立った仗助を見て疑問符を浮かべているだけ。呪い師はさっさと机の下に避難してしまった。

 

「おい、テメエ……今、この俺の髪のことなんつった!?」

「聞こえてたの? なら分かるでしょ、麩菓子みたいな髪って言ったの」

「ドラァ!」

 

次の瞬間、赤蛮奇の頭が弾かれた様に吹き飛ばされた。

 

「な!? 首が!? そ、そんなつもりは……」

 

弾き飛ばされた頭は重力に逆らい空中で停止、そして少女の顔が仗助を(にら)みつける。

 

「……あなた、まさか念力使い?」

「い、生きてやがる……お、俺には分からねぇ、何が何だか分からねぇ」

 

首と体が分離しても生きていられる生物などおとぎ話でしか聞いたことのない彼にとって、この事実は正に衝撃的だった。

 

「あなた妖怪を見るのは初めて? これだけで驚くなんてやっぱっ!?」

 

彼女は最後までその言葉を口にすることはできなかった。なぜなら、再びクレイジーダイヤモンドの拳がめり込んだのだから。

 

「さっぱり分からねぇ、が。生きてるっつぅーんならよぉ、殴らねえ理由はねーぜ! ドララァ!」

「うっげえぇ!」

 

連打。拳が何重にも分裂して見える程の凄まじき連打。それを顔面にくらった彼女は乙女にあるまじき悲鳴を上げ、吹き飛んだ。

 

「この頭をけなすやつは、誰だろうと許さねぇ。例え女でもな」

 

それを見ていた慧音は、彼のあまりの怒りに立ち尽くすのみだった。

 

 

 

その日の夜、仗助に手酷く殴られた少女、赤蛮奇は、夜の里を練り歩いていた。特に目的らしい目的はない。あるとするなら……殴られた怒りを紛らわすためだろう。

 

鈴虫の鳴き声を聞き、川の流れる音を聞くと自然と心が落ち着く。彼女にとって、柳の下に腰を落ち着け月を見ることが一番の楽しみだ。頬に触れると、まだ痺れる様な痛みがした。

 

「その呪い、実現させましょう」

 

声のした方へ振り向けば、そこには夕方仗助と共に騒いでいた呪い師。しかし何やら様子が違う。人間からすれば一寸先すら見えない暗闇の中、彼女の姿を正確に捉え視線を向けている。

 

「こんな夜中まで商魂たくましいわね」

「今ならお安くしときますよ?」

「悪いけど、流行り物には興味がなくて」

「流行り物とはとんでもない、私の技術は数百年? いや数千年? まあいいや、それくらい伝統のある由緒正しい技術だというのに」

 

説得をしようと言葉を選ぶ呪い師を尻目に彼女は立ち上がり、歩き去ろうとした。その瞬間。呪い師の声がした。

 

「赤蛮奇、君は三歩先で転ぶ」

 

彼女はすぐさま振り返る。そこには一歩も動かず腕を組む呪い師。ぼんやりと見えるその顔には、余裕綽々(しゃくしゃく)な表情が浮かんでいるのが見て取れる。

 

「なぜ私の名前を」

「さあ? それより、君はどう思うね? 転ぶと思うか? それとも転ばない? 私は勿論転ぶに賭ける。2円賭けてもいいよ」

 

(しま)いには扇子を懐から取り出し(あお)ぎ始める始末。僅かな躊躇の末彼女が選択したのは、三歩歩くこと。彼女は転ばないことに賭けた。石すらもない道、転びようがない。

 

丁度三歩目の足で地面を踏みしめた時、風に舞う新聞紙が彼女の顔に張り付き視界を奪う。驚いた彼女は足を滑らせ、地面に転がった。

 

「だから言ったじゃあないか、三歩先で転ぶって」

 

扇子で手遊びをする呪い師が呑気にあくびをし、彼女の頭が重力に逆らって浮き上がり睨みつける。そして放たれる弾幕。呪い師はそれに札の嵐で対抗、互いの攻撃が相殺される。

 

「おお、危ない危ない。そんな怒られても君が転んだのは運命で決められていた、私にゃどうもできない」

「あなた……霊夢と同じ匂いがする。只者(ただもの)じゃないわね」

「霊夢? あの天才と一緒にするのはよせ、私のは純粋な技術だ」

 

不機嫌そうにそう言った呪い師を無視し、彼女は足下に散らばる潔白なお札の破片を拾おうとした。しかし、触れた指が感電したかの如く痺れる感覚にすぐさま手を離す。全文を伺い知ることはできないが、それでも書かれている言葉は、真言や清めの呪文の類いなのだと彼女は直感で理解する。

 

「魔封じ、やっぱり陰陽師か何か?」

「陰陽師、陰陽師ねぇ……まあ似てはいるが、ちょっと違う。よく見ておくといい。これが私と博麗霊夢の違いさ」

 

曖昧(あいまい)な返事と共に、呪い師が懐から取り出したのは先程と同じ様な札。しかし呪い師はその札に何もせず、だがその札は青く煌めきながら燃える。呪い師を中心に突風が吹き荒れ、次に空気が呪い師の下へ収束する。そして現れた異形の怪物。

 

のっぺらぼうの様な顔に、唇がなく歯が剥き出しの口。雄牛の様に頭から生えた角は天を穿(うが)とうとし、その巨体を熊の湿った黒い毛が覆う。背には一対の巨大な赤い翼、ロバの(ひづめ)。目はなく鼻もなく、呪い師のそばに静かに佇むその怪物。

 

「紹介しよう。熾鬼神(しきがみ)、怠け者のスラウスだ」

 

 

 

俺は泥まみれになった自分の靴を見てうなだれた。服もズブ濡れになっちまったし、へこむぜ、マジでよぉー……

 

「にいちゃん、川に落ちるなんてついてねぇなー」

「何万もしたブランド物だっつーのに、グレートにヘビーだぜ……」

 

通りかかった里の人に慰められながら俺はとぼとぼと靴下のまま長屋への道のりを歩いていく。承太郎さんみたいなカッチョいい大人にはまだまだ遠いぜ……そんなことを考えていた矢先、ふと一箇所だけお祭りみたいな騒ぎの場所を見つけた。見たところ普通の家みたいだが……

 

「おお! 映った、映ったぞ! さすがは外の機械だ!」

「こりゃたまげた! 外じゃこんなので溢れてるのか!」

 

楽しそうな人々の声に釣られ、俺は少しばかり覗き込んだ。

 

『ピンクダークの少年文庫版! 1巻571円+税で好評発売中ゥ! 今なら書き下ろしポスターがついてくる! 岸辺露伴の漫画は世界一ィィ!』

 

やたらテンションの高い軍人がテレビの画面上で動き回り、それを人々は食い入る様に見つめる。上白沢の先生のとこにもテレビなんかなかったし、こっちじゃ相当珍しいみてぇだな。皆んな一時も目を離すまいと画面に食いついている。しっかしこんな場所でまで露伴の名前を聞くとはよー、グレートな驚きだぜ。

 

「おーい、仗助の兄ちゃん! 弟がすりむいちまったんだ、治してやってくれよ」

 

騒ぎの原因を知って満足した俺はまた長屋への家路を歩き出そうとすると、遠くから小さな子供が駆け寄って来る。兄に支えられてる半泣きの弟の膝は血が滲んでいて、けっこう痛そうだ。

 

「どうせまたイタズラでもしたんだろ? ほれ、見せてみろ。元気なのはいいが、あんま親には迷惑かけんなよなぁ?」

「あ、あれ、もう全然痛くない……」

「だから言っただろ、仗助の兄ちゃんはスゲーって! ありがとうな兄ちゃん! よし、今度は雷ジジイの盆栽すり替えてやろうぜ!」

「うん! ありがとうお兄ちゃん!」

 

そう言うと兄弟は手を振りながら走り去って行った。こんな暑い日だっつーのに、元気なもんだぜ。俺もさっさと帰ってお袋に心配かけねーようにしねーとな。億泰のことも心配だしよォ。

 

「おー今日も髪型キマッてるなぁ東方の旦那。ところでちょっと食器割っちまってよ、カミさんに怒られちまう」

「私の(くし)も治してちょうだい、祖母の形見なのよ」

「俺も俺も!」

「順番、順番にしてくださいよ! 俺は千手観音じゃないんスから!」

 

グレート! いくら新聞に載ったからってこの噂の広まりはさすがに早すぎるぜ。この里自体が狭いのも関係あんだろうがよォー。内心少し困りながら、俺は人々の言う通りに治していく。その時、先日俺のこの髪型をバカにした少女を人々の中に見つけた。その少女はどこか冷めた様な表情をしながら、遠巻きにこっちを眺めていた。そしてその少女と、偶然目があう。

 

治すのに追われる俺はまた人々の頼みに意識を戻し、横目で少女が立ち去るのを見た。

 

「すみません、続きはまた今度にしてくださいよ。ちょっとやんなきゃいけないことがあるもんで……」

 

渋る人々から強引に離れた俺は人混みを見渡し、そう遠くない場所に少女を見つける。どうすべきか迷ったが、一応俺は声をかけることにした。恩人の髪型をけなしたとは言え、やっぱ女の子だかんなぁ……さすがに顔を傷つけたまんま放置するのは気が引けるぜ。

 

「よお、赤蛮奇、だったか……? あん時は殴って悪かったな、治してやるよ」

 

俺が声をかけると、赤蛮奇は短い赤髪を揺らしながら気だるそうに振り向いた。

 

「あの節はどうも。でも遠慮しとく」

「遠慮? こっち見てたから俺はてっきり……」

「別に。次の流行りはあなたかと思っただけ」

「次?」

 

赤蛮奇は騒ぐ人々から目を離し服のシワを伸ばすと、チラリと一瞬だけ俺の方を見る。

 

「幸運の募金、ツチノコ狩り、(まろうど)神……次はスタンド使いのあなた」

「何が言いたいのか分からねぇけどよ、とりあえず顔見せてみろ」

 

そう言って顔に少し触れようとした途端、俺の手は赤蛮奇に振り払われる。

 

「気づかってくれてありがとう。私とっても嬉しい」

「嬉しい? 俺はまだ何も……」

「そうそう、客神が流行った時にみんな家に神棚を作ったんだけど、少ししたらどの家のも埃をかぶってたわ。流行り物って勢いはいいけどすぐ飽きられちゃうのよね」

「おい嫌味かそりゃあ!?」

「そういえば今日は保護者は一緒じゃないの? 一人で出歩いて怖くない?」

「な、なにぃ……?」

 

涼しい顔で皮肉を口にする赤蛮奇はわざとらしく辺りを見回す。そして思い出したかのようにまた俺の顔を見て言った。

 

「よく見たらその服ずぶ濡れじゃない、火の中に入れればすぐ乾くわよ。ダサいゴミも処理できて一石二鳥ね」

「グレート……! 心配した俺がバカだったみたいだぜ」

 

これ以上ここにいたらこのムカッ腹が(おさ)まりそうにねえ。怒りが爆発する前にさっさと退散しようと背中を向けると、背後でまた声がした。

 

「最近不幸続きらしいけど、私を殴ったバチじゃない?」

 

無視だ無視、ああいう輩はこっちが反応すればするほどつけ上がる。あいつが男で俺に非がなかったら口喧嘩の一つでもしてやりたいが、自分で殴った相手にそんなことすんのはじいちゃんとの約束に反するぜ。

 

「おい、ちょっとおかしくねえか?」

「な、なんだぁこりゃ!?」

 

楽しげにしていた人達から発された驚きの声に釣られ俺はまたテレビを覗き込む。その途端テレビの画面が砂嵐に変わり、液晶が破裂し俺の方にだけ破片が飛んで来る。

 

「な!? クレイジーダイヤモンドッ!」

 

とっさに発現させたクレイジーダイヤモンドで破片を殴り、同時に治す。すると破片はまたテレビの元へ戻っていき、何の変哲(へんてつ)もないただの液晶の一部に戻る。

 

「おい、上だ!」

 

ふと誰かの声がし、俺は頭上を見上げた。そこには俺目がけ落下してくる(かわら)

 

「う、うおおぉ!」

 

クレイジーダイヤモンドの脚力で地面を蹴り飛ばし俺は自ら水平に吹っ飛ぶ。直後に、瓦は俺の頭があった場所で粉々に砕け散った。あ、危なかった……あと少し遅ければ今頃大量出血どころじゃないだろうよ。

 

土を払い立ち上がった俺の視界の隅で、何かが動く。それを一言で表すならば、妖怪、といった表現をすることしかできない。肌は水気を失い疫病(えきびょう)に侵された様に黄ばみ、子供の様であり老人の様でもある顔には理性の欠けらもない怒りだけが浮かんでいる。この空間の中で明らかに浮いたそれに気づく人は誰もいない。

 

妖怪が薄気味悪い笑みを浮かべながら瓦に触れた瞬間、俺の周囲にある屋根瓦全てが狂った様に暴れ出す。そしてそれらが全て、一斉に俺へと襲いかかった。

 

「クレイジーダイヤモンドッ!」

 

飛来する瓦の群れをクレイジーダイヤモンドの拳で粉砕し、しかし四方八方から襲いくる瓦を対象しきるにはあまりにも数が多すぎる。一方に集中すれば逆方向からの瓦の嵐が俺の体を破壊することになる。このままじゃマズイ、里の中にいるのはぜってーマズイ!

 

「治す」

 

拳で打ち砕くと同時に破壊した瓦を治す。そして欠けらを再構成、即製の盾を作り上げ突撃する。壊れた瞬間に治せば、瓦が俺に直撃することは決してない。何より、これなら逃げながら瓦に対応できるってもんよ!

 

クレイジーダイヤモンドに盾を持たせ走りながら振り返ると、瓦が家屋に穴を開けたり負傷した人までいる。それでも瓦の群れは俺を追いながら屋根を裸にし、妖怪も屋根を走り俺を追尾している。どうやら、一定の距離を保たなきゃ能力が使えねーようだな。

 

里の中を走り抜け何度も道行く人々とすれ違い、時折背後から悲鳴が聞こえてくる。だが誰も妖怪には気がつかない。だんだん、闘志が湧いてきたぜ。俺を倒せれば無関係な人を巻き込んでもいいっていうねじ曲がった根性を、この俺が叩き治してやる!

 

「クレイジーダイヤモンド、力を振り絞れーッ!」

 

再び地面を蹴り飛ばし、俺はクレイジーダイヤモンドに引っ張られる形で前に飛ぶ。着地すると同時にまた駆け出しそのまま一気に里の外へと脱出、人気のない森の中へと侵入した。

 

「ドラァ!」

 

振り向きざまに妖怪へ向け盾をぶん投げ、当たったかどうか確認するりよも先に瓦の弾丸をラッシュで破壊する。ここは里の外、もう武器になる瓦は里から飛んで来る物しか存在しない。一方向からの攻撃を防ぎきるなんざ、楽勝だぜ! この仗助くんにはよォ!

 

瓦を全て破壊し辺りを見回すと、地面に倒れ立とうともがく妖怪の姿を見つけた。

 

「どうやら、しっかり当たってたみてぇだなぁ。景品もらえっかよ?」

「いいや、君がもらえるのは残念賞だけだ。東方仗助」

「なにッ!?」

 

振り返った先にいたのは、二日前に絡んできた呪い師。蒸し暑い中、クソ暑そうな服装で木にもたれかかってやがる。しかし残念賞だと? まさか、こいつは……!

 

「こいつは驚いたぜ、まさかここにもスタンド使いがいるなんてよォ」

「スタンド? 電気スタンドを使ってどうするんだ?」

 

俺の予想とは反対に、呪い師は理解できないといった雰囲気でこっちを見てくる。見えないフリか? それとも本当に見えてねぇのか?

 

「見えるんじゃねえのか? 俺のこのクレイジーダイヤモンドが」

「クレイジーダイヤモンド……もしかして透明なのか?いや正邪様はそんなこと言ってたかな? 確か人型だとか言ってた気がするけどな」

「正邪だか誰だか知らねぇがよ、洗いざらい話してもらうことに変わりはねーぜ!」

 

クレイジーダイヤモンドの拳を振り上げ呪い師の顔面に食らわせようとした直前、その拳は突如現れた怪物によって阻まれた。

 

「なにッ!? スタンドが二体!?」

「ん〜……まるで見えん、スラウスは何と戦ってるんだ」

 

怪物はクレイジーダイヤモンドの拳を振り払い、静かにその場に佇む。本体である呪い師はなにやら懐から手帳を取り出しめくり始めた。

 

「あったあった、クレイジーダイヤモンド。射程距離1〜2メートル。パワーは大岩を容易く砕くほどで、吸血鬼よりも力が強くパンチのスピードは衝撃波を生み出すほど。破壊された物を治す能力がある」

「テメェに対しその能力は使わねぇ。ただ、ブチのめすだけだからなッ!」

 

クレイジーダイヤモンドと怪物の拳がぶつかり合い、甲高く鋭い音が響く。拳、蹴り、膝打ち、頭突き。そのどれもが俺のクレイジーダイヤモンドに食らいつく程に速い。だが……

 

「ドラァ! 動きがすっとろいぜ。これならキラークイーンの方がパワーもスピードもあるんじゃねえか?」

 

怪物の顔面に拳が直撃したことによって俺は勝利を確信し、そのダメージを確認するために呪い師を見た。だが、俺の予想とは全く違う現実がそこにはあった。

 

「おお、スゲエ……スラウスに殴り勝った」

「な……! ダメージが、伝わってねぇ……!」

 

驚いた俺の隙を見て殴りかかってきた怪物の拳を避け、クレイジーダイヤモンドをそばまで引き戻す。視界の片隅で妖怪が立ち上がり、呪い師と怪物は距離を詰めてくる。

 

「東方仗助、お前は攻撃をかわし自分に有利な状況を作り出すためにここまで来た。ここなら瓦はないからな。しかし逆に追い詰められたのはお前の方だったなぁ、東方仗助! 熾鬼神が飛ばせるのは瓦だけじゃないんだぜー!?」

 

呪い師と怪物が駆け出し俺との距離を詰めてくる。距離はたった数メートルしかない。背後で妖怪が動く気配がする。しまった、初めてからこいつはこのために!

 

応戦しようとした俺の頭の横を、赤い何かが掠めて行った。その先にあるのは、目を見開いた呪い師の顔面。

 

「ブルルァァァ!」

 

悲鳴を上げながら宙を舞い、呪い師は頭から地面に激突する。同時に怪物も動きを止め、背後の物音も消えた。

 

「あ、危なかった……間に合った!」

「て、テメエは、赤蛮奇!?」

 

息を乱し髪型が崩れるのも構わず赤蛮奇は俺の下に駆け寄って来る。しきりに顔を覗き込んだり体を確認したり、何がしたいのかまるで分からねぇ。さっきとは別人じゃねえか、これじゃあよ。

 

「せ、赤蛮奇貴様! 裏切ったか!?」

「裏切り? 私は確かにムカついてた、でも、人が死ぬことなんて望んでない!」

「脳みそスカスカ野郎が! その熾鬼神はお前の本能に従って動くいわばお前の分身! 本心では死ぬことを望んでたってことだろうが! 本人の意志に応じた呪いを実行する! それが熾鬼神だ!」

 

混乱する俺を置いてきぼりにし、赤蛮奇と呪い師は睨み合う。呪い? 熾鬼神? 何が何だか分からねぇ……承太郎さんに頼りてえところだが、クソッここにはいねぇ!

 

「どういうことだって顔してるな? 東方仗助! 教えてやろう。今お前を助けた赤蛮奇は私に呪いの代行を頼み、私はその怒りを具現化させ熾鬼神とした。式神じゃない、熾鬼神だ。式神は数式の集まりだが私の熾鬼神は特定の感情の塊。(いつく)しむ心が強ければ癒す熾鬼神が、怒りが強ければ不幸にする熾鬼神ができる。つまり赤蛮奇がお前を憎むほどそのラースもお前を殺そうとするってわけだ! 心当たりがあるだろう、野槌に噛まれ、別人を殴り、川に落ち、命を狙われる! それは全て赤蛮奇の呪いのせいさ!」

 

俺が思わず赤蛮奇を見ると、気まずそうに目を伏せる。しかしすぐに顔を上げ呪い師を見据えた。

 

「確かにさっきまではそうだった、今は違う!」

「果たしてそうかな? 熾鬼神は本人よりも雄弁に本音を語る」

 

その言葉を聞き俺はとっさに妖怪の存在を思い出す。そしてそちらを向くが、さっきまでいたはずの場所には既にいない。しまった、見失った!

 

「さあトドメだ東方仗助! ママのこと考えながらあの世へいっちまいなぁ!」

 

辺り一面に散らばる木の枝が、生えた枝が震え暴れ始める。その場で回転するやつに上下運動を繰り返すやつ、宙に浮かんで固定されたやつ。一つ確かなこと、一つだけ確かなことがある。それは、この数え切れない枝が一度に全方向から襲ってくるってことだ。

 

「赤蛮奇、伏せ……!?」

 

赤蛮奇に覆い被さろうとした時、俺は逆に覆い被さられていた。全身に温もりを感じ、直後、俺の体を無数の枝が貫く激痛が走った。声すら上げられない、悶える余裕すらない痛み。俺の意識は、少しずつ遠くなっていく。

 

ーー

 

「これにてお前の人生はめでたく完結ってやつだ! 勝った! 勝った! 正邪様、見ていますか!? この呪い師、確かにご命令通り始末しました!」

「な、なんで、なんで私が!? 確かに覆い被さったのに!」

「赤蛮奇ぃ、不思議かい? それはな、ラースがお前の熾鬼神だからさ。感情を具現化した物が熾鬼神であり、ラースはお前の仗助を憎む気持ちが実体化した存在だ。なら、ラースの呪いが本体であるお前に及ばないのは当然じゃあないか。え? そうだろう?」

 

焦り取り乱す赤蛮奇に、呪い師は静かに語りかける。そこには呪い師のいつものおどけた調子と、呪いを生業とする者の冷徹さがあった。

 

「そ、そんな……殺す、つもりは……」

「お前は確かに呪った。だから東方仗助は死んだのさ。これは運命であり、避けられないこと。まあお前が殺したって事実は変わらないがな」

「私が、殺した、私が……」

 

目の前の思わず目を背けたくなる現実を前に、赤蛮奇はただ同じ言葉を繰り返し続ける。彼女が湿りを感じふと手を見ると、そこには赤い血がこびりついた自分の手。彼女は握り拳をつくり、その現実を噛みしめる。

 

「おっと、私はこれから正邪様のとこに行って報告しないと。それじゃ、せいぜい手厚く埋葬してやることだな。バァーイ」

「……熾鬼神は、本人の感情を実現する能力を持つの?」

「はぁん? そりゃそうだけど、そんなこと聞いてどうする? まさか、治す熾鬼神でも出させようってか? 無理無理、お前じゃ私にゃ勝てんよ。他には既存の熾鬼神を捕まえて感情を上書きするくらいだ。あ、口が滑った」

 

彼女は立ち上がり、呪い師を睨みつけた。呪い師もそれに応じ怪物、怠け者のスラウスを出現させる。

 

「ラースがどこに行ったかは私も知らないしお前も知らない。方法はただ一つ、私に新しい熾鬼神を作らせること。でも、上手くいくかな? 東方仗助はおよそ三分以内に失血死する。制限時間は三分だ」

 

呪い師の余裕に満ちた表情に弾幕を打ち込もうとするが、それらは全てスラウスの拳に難なく叩き落とされる。宙に浮かび右から、左からと攻める角度を変えようとそれは同じ。

 

「飛頭蛮風情が私に勝てると、ちょいとでも思ったか!」

 

飛び回る彼女を追いかけスラウスも跳躍し宙を飛ぶ。一方呪い師は小さく何かの呪文を唱え、そして手に緑の炎の槍を出現させそれを彼女目がけ投げ飛ばした。横を通り抜けたその温度は正に灼熱、近くにいるだけで全てを焼き焦がす暴虐の炎。

 

「遊んでやる、一分間だけな!」

 

次に作り出したのは青い炎の剣。それを手に携え呪い師は地面を蹴り宙の彼女に肉薄(にくはく)する。直線的なそれを危なげなく避けたのも束の間、スラウスの拳が眼前に迫る。それをのけぞって避けようと、木を蹴り方向転換した呪い師が再び襲いかかる。

 

炎の剣が彼女の服だけを切り、呪い師はそのまま地面へと着地。彼女の服が燃え上がる。瞬く間に肩口まで広がったその炎の熱が彼女の肌を焼き、感電した様な痛みを与え続ける。苦悶の声を飲み込み燃えた袖を破り捨てた彼女の上に影が差す。そこにいたのは、拳を放ったスラウス。

 

彼女の顔程もあろうかという巨大な拳が顔面に直撃し、そのまま小さな体は地面へと吹き飛ばされ叩きつけられる。強く打ち付けた背中が痛み、肺の中の空気が全て外へと押し出された。響くような鈍い痛みに耐える中、大地を揺らしスラウスが降り立ち、呪い師が彼女の頭を踏みつける。

 

「そろそろ一分だ。しょせん、ただの弱小妖怪よ。私を負かすなどできるわけがない」

 

勝ち誇る呪い師の足の下で、彼女は笑った。

 

「勝つ、必要なんて……始めからなかった。時間を稼ぐだけで、よかったのよ……」

「何を言っている、何がおかしい!? 何を企んでいる!?」

「それは、テメエを倒すための計画だぜ、このヘッポコ呪い師」

 

その声に呪い師は凍りつく。そんなはずはない、赤蛮奇は自分の足下にいる。ならなぜ東方仗助は復活している? ありえない、こんな現実は認めてはならない、ありえてはならない。振り返った呪い師が見たのは、いくつもの赤蛮奇の頭。呪い師は忘れていた。最初に赤蛮奇が投げたのも、自身の頭だったということを。

 

無数の赤蛮奇の頭は妖怪……熾鬼神を取り囲み、その熾鬼神からは先程の様な気味の悪さは消え優しい慈愛の表情だけがある。

 

炎の剣を投げ捨てスラウスにその場を任せ、呪い師は全力でその場から走り去ろうとする。しかし仗助は赤蛮奇の頭の一つを掴み、自身のスタンドの腕力で呪い師に向け投擲(とうてき)した。プロ野球選手の球速を遥かに凌ぐそれは呪い師の背中に命中。

 

「ブルルァァァ!」

 

悲鳴を上げる呪い師を守るかのように殴りかかるスラウスの腕をクレイジーダイヤモンドの拳で粉砕、同時に反対の拳も粉砕する。そして繰り出される連打。その速さは突風を生み出し、衝撃波により物が吹き飛びスラウスの全身を金剛石(ダイヤモンド)の拳が粉々に打ち砕いた。

 

背中に走る激痛をこらえ起き上がろうとする呪い師の後ろに、誰かが立つ音がした。

 

「テメエの熾鬼神はお前と俺、そして赤蛮奇にしか見えないし分からねえ。だから人々は悲しむしかねぇ。その能力を悪用して誰かを悲しませ、他人を利用するのは絶対に許せねぇ。ましてや、こんな少女を!」

「そ、それがどうしたと言うんだ! 誰にも私の仕業だと立証できない、誰も私を裁けない! だからこそ呪い師は昔から存在する!」

「誰も裁けないならッ! 俺が裁く! ドララララララァ!」

 

呪い師の体が宙に打ち上げられ、その大きすぎる痛みは、呪い師の意識を刈り取った。

 

「しかし、自分を半殺しにした敵の能力で助けられるとはよォー。複雑な気分だぜ。あっと、ほれ、治ったぜ。立てるか?」

 

仗助は赤蛮奇の傷を治し、手を差し伸べる。しかし彼女は驚いたようにその手を見つめた。

 

「なんでそんなに、優しくできるの? 私なら、自分を殺しかけた相手に優しくなんて……」

「なんでって、そりゃあ、恩人には優しくするもんだろうがよ」

「恩人?」

「お前が自分をどう思ってるかは知らねぇがよ、殴ってきた相手のために体を張るなんて、普通はしねぇぜ。それに、優しくなかったら癒す熾鬼神なんざ感情の上書きしてもできねえしよ。熾鬼神は本人よりも雄弁ってな」

 

こともなげにそう言った仗助はふと何かを思い出したのか、呪い師を赤蛮奇の横を通り過ぎ呪い師を肩に担いだ。

 

「何するつもり?」

「こいつは正邪様とか言ってたが、要は上司っつーことだろ? 脅して色々吐かせようと思ってな。長屋に連れ帰ることにするぜ」

「そう……気をつけて」

「よかったらおめぇも来ねぇか? 当事者だし、聞きたいこともあるだろうからな」

 

その発言を聞いた彼女は、思わず仗助の顔を見る。

 

「あん? どうした?」

「人の家に呼ばれるのは初めてだから、少し驚いただけ」

「なら尚更来るしかねぇな。貴重な経験になるぜ」

 

里に向かって歩き始めた仗助の隣を彼女はついて歩く。そして不意に(たず)ねた。

 

「仗助って呼んでもいい?」

「そんなこと一々聞くことかぁ? 好きに呼びゃあいいじゃねえか」

「そう。分かった、仗助」

 

仗助の隣を歩く彼女の顔はいつも通り立てた襟で隠れ表情が見えない。しかし、今の彼女は、どことなく嬉しそうだった。

 

 

 

「で、この新聞がどうしたと言うのだね」

 

新聞から目を離し、私は目の前の八雲紫を見た。

 

「少し異様だと思わないかしら? 貴方達を襲った亀に続いて、この二人」

「私には関係のないことだ。それよりも、藍はどうした?」

「藍は今自室で謹慎中よ。もう一度言うわ、力を貸して」

 

紫の言葉に大きな溜息をこぼし、私は青空を見上げる。くだらんな、この土地の危機など。なぜこいつはこうも私に固執する。

 

「たった数日で妖怪百人斬りを成し遂げた数百年前の格好をした武者、そして命蓮寺で目撃された死体を燃やす西洋の騎士。そのどちらも夜間にしか目撃されておらず、昼間はどこかに身を潜めている。確かに物騒だが、なぜ私に頼る?」

 

私の質問に紫は口ごもり、やがて昔を思い出すかの様な顔へと変わった。それはまるで最愛の人を思い出す様な、優しい顔に。しかしすぐに引き締まった顔へ戻る。

 

「10年前、私はエジプトである男に出会った。彼も貴方と同じスタンド使い、そしてその能力は、私の理解の範囲を超えていた。今も私の理解を超えたことが起きている、だから、彼と同じスタンド使いである貴方の力を貸して欲しい」

「断る」

「……その答えだと、貴方をここで保護するのをやめることになるわね」

 

私は紫の言葉を鼻で笑い、新聞を投げ渡し背を向ける。ここで保護をするのをやめる、面白い冗談だな。できもしないことを口走るなど。

 

「君がどう考えているのか知らんが、真っ先に頼るべきは私ではないと思うがね」

 

ま、どうでもいいことだがな。しかし百人斬りの武者に死体を燃やす騎士、か。首を突っ込みたくはないが、警戒しておくに越したことはない。後ろで紫が新聞を握り締める音を聞きながら、私は立ち去った。




仗助視点の場面は時系列的に言うと、魔理沙と慧音が伯爵と戦ってる時間帯です。
次回は魔理沙視点の話になる予定。

華麗なるビクトリーム様

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