とある魔術の仮想世界   作:小仏トンネル

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第5話 剣の世界

 

「・・・俺はやっぱり仮想世界でも不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

現実世界の面々が事件の概要を知る少し前、上条当麻は今回の事件のおおよその内容を同じくこのデスゲームと化したSAOにログインしてしまった御坂美琴にアインクラッド第1層の次の街へ向かって2人で走りながら説明され終わっていた

 

 

「ちょっと!それをアンタの不幸だって言うんなら私はそれに巻き込まれた被害者じゃない!!」

 

「んなこと言ったって!気ままに遊び始めたゲームで急に『死んだら現実でも死にます。』って言われたら、そんなの不幸でしかないだろ!」

 

 

今まさにSAOの世界を二本の足で走っている上条が同じく走りながら美琴から受けたこの世界のおおよその説明はこうだ

 

・SAOにログインした全てのプレイヤーが1度、第1層の始まりの街に転移させられ、VR技術の先駆者であり、SAOを作成した張本人「茅場晶彦」が自らこのゲームをデスゲームに変えたという演説があり、その演説の最後に全てのプレイヤーのアバターは現実世界のナーヴギアを介してプレイヤーの顔を認識し、ゲームの世界でもプレイヤー自身の容姿が現実世界と同じ顔へと変貌してしまった。

 

・メインメニューからログアウトボタンがなくなったのはシステム的なバグではなく、このSAOの世界そのものであるアインクラッドの100層のボスを倒さない限り、SAOにログインした1万人の全プレイヤーはログアウトする事が出来ない。

 

・この世界でHPが0になりゲームオーバーになってしまうと、現実世界で自分が頭につけているナーヴギアから脳内に強電磁パルスが発生させられ、現実世界の自分もろとも死に至る。

 

・また外部からナーヴギアの強制停止、解除が試みられた場合にも同様にナーヴギア使用者の脳内に強電磁パルスが発生し死に至るが、既にその行為により何人かの死者が現実世界で出てしまっている。

 

 

「でも、裏を返せばそれは100層までたどり着いちまえばこっちのもんって訳だろ?所詮たかがゲームなんだし、死んじまうって言っても三週間ぐらいすりゃあっという間に誰かがクリアしちまうんじゃねーか?」

 

「バカね!アンタSAOのβテスターの話も知らないわけ!?」

 

「べ、βテスター?アレか?たしか、SAOが発売される前に製品版じゃない体験版みたいなSAOを1000人ぐらいが試験的にプレイしてたヤツらのことだろ?」

 

「そう、その1000人のβテスターがプレイしてた当時、1000人の内の大部分がアインクラッドの攻略に乗り出してたらしいけど、それでも二ヶ月でたどり着いたのは第8層まで、いい?二ヶ月で8層よ!?」

 

「あ、あぁ〜?え〜っとぉ?二ヶ月で8層だろ?だからつまり、約一週間で1層クリア出来るとして、それが100層まであって100週間かかるとして、う〜ん…」

 

「そんなに単純なペースでクリアできるか分からないけど、そのペースでやってたら100層までクリアするのに約2年かかるってことよ!」

 

「約2年!?2年間も俺らは現実じゃ寝たきりなのか!?」

 

「そうよ!だから誰かがクリアするまで待ってるなんて悠長な構え方してらんないのよ!私だったら2年もこんなゲームに囚われてるのに納得いかないわ!この世界で少しでも私が戦力として役に立つなら、とことん立ってやろうじゃないの!そしたら一刻も早く現実の世界に戻る!アンタはどう!?」

 

「そんなの当たり前だ!俺だってクリアしたいに決まってる!とことん前線に出て戦ってやるぜ!それに今回は1000人じゃねぇ!10倍の1万人だ!そんだけの人数がいりゃあ2年もかからずにクリア出来ちまうぜ!」

 

「そう言うと思ったわよ!じゃ、一旦ストップ!」

 

 

そういうと美琴は急に次の街へ向けて走る足を止め、辺りの草原を見渡し始めた

 

 

「えっ!?おいおい!今の話の通りなら次の街まで早く行かなくちゃなんないだろ!立ち止まってる暇なんかないぜ!早く走ろうぜ!」

 

「バカねぇ…次の街まで行くのは確かに走ればどうとでもなるけど、ボスとの戦闘は走ってるだけじゃどうにもならないのよ?」

 

「……!?と、ということはつまりここで戦うんですか美琴さん!?」

 

「バカのくせに『そういう』察しだけはいいのね…良いわ、まず私がお手本見せるからよーく見ときなさい。そ、それと!本人の許可がないのに勝手に名前で呼んでんじゃないわよ!///」

 

「お前のユーザーネームが普通にリアルの名前なんだから仕方ねーだろ!」

 

 

上条が言う通り、美琴とパーティーを組んだ上条の目線の左上には美琴のHPゲージとその上にユーザーネームが表示されており、その仮の名前は現実世界の彼女の名がそのまま英字で「Mikoto」と表示されていた

 

 

「た、たしかにそれもそうだけど///まぁ呼び方に関しては追々考えるとして、とりあえず私の動きをよく見てなさい」

 

 

そう言うと美琴は自分が背負っている剣を鞘から抜き、その矛先を草原に出現しているイノシシのようなモンスターに向けた

 

 

「今から見せるのは、このゲームが『ソードアート・オンライン』と呼ばれる由縁であり、この剣の世界で戦う鍵を握る技…『ソードスキル』よ!」

 


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