「か、垣根…!?」
「お久しぶりです、一方通行さん。そしてそちらは初めましてですね、御坂美琴さん。私は学園都市序列第2位の垣根帝督といいます」
純白の少年、垣根帝督は屈託のない笑顔で2人に告げた
「アンタが…学園都市第2位…」
「はい。誠に恐縮ながらも御坂さんの一つ上の順位にこの身を置かせていただいております…」
「何ていうか…白いわね…人格破綻者の集まりの超能力者の一人にしては随分と礼儀正しいみたいだし…」
「まぁここにいる私は能力を発現した当初の私とは少し法則が異なるのでそう思われるのもごもっともかと」
「なるほど…君の『未元物質』が作用し、私の位置する物理法則を君達の理解の通ずる段階にまで引き落とすことで一方通行の反射が適応した…という訳か…」
エイワスは殴られた頬をさすりながら自分なりの分析を語った
「まぁ的確にはこのSAOのシステムがそういう風に誤認するように私の能力で働きかけただけなのですがね」
「・・・?」
「お気づきではありませんか?この仮想世界に存在する以上、あなた方もGM側にいるとはいえどHPを持つ電脳化されたプレイヤー。ならばその根底を今一度覆してしまえば良いというだけの事です」
「くっくっくっ…これはとんだ抜け道を突かれてしまったようだな…まさかそこまで見抜いているとは…」
「これでも一応、他でもないあなたに存在を消されたホスト崩れですので」
「!!そ、そォだろうが垣根!テメエはあの時コイツに殺されてンだろォが!!どうやってここに…!!」
「初春飾利さんですよ」
「・・・ええっ!?う、初春さん!?な、ななな、何でそこで初春さんの名前が出てくるわけ!?」
「御坂美琴さんには後で説明するとして、私は存在が消えるほんの寸前に、私という『意志』を宿したデータをSAOのデータ回線に残留させることに成功したんです」
「・・・なるほどそォいうことか。そうやってSAO内のデータの海を漂っている内に俺のユーザーデータに辿り着き、そこから俺たち『グループ』が使った俺をSAOに送り出したパソコンのデータに辿り着いた…っつーことか」
「相変わらず理解が早くて説明の手間が省けます。その通りです。一番最初にその異変に気づいたのは土御門さんでした。一連の事情を説明するなり、そこから連絡を取って下さり、初春さんが再び限定的な期間ではあるもののグループに再加入。私のデータの復元を快く引き受けて下さり、SAOのデータ解析と同時進行で私を再び『プレイヤー』としてこの世界に送り出してくれました。タイミング的には本当にギリギリのところでしたがね」
「あの花女がなァ…」
「ええ。初春さんは一方通行さんからSAOのデータを託されてからずっと独力でデータの解析やアクセス方法を探っていました。そのおかげもあり、私の中に残存していたデータを提供したところ、後の作業はとてもスムーズに進みました」
「・・・別に俺自身が託した覚えはねェよ。しかし訳が分かンねェな。あん時のテメエとは別のテメエとは言えど、テメエはあの花女を痛ぶった過去があンだろォが」
「まぁ最終的に私があそこに辿り着いたのは消滅してから半年後ですし…私が初春さんとその騒動を起こしてから約1年半が経ってますから、それだけの時があれば嫌でも人は変わりますよ。みんな必死なんです。自分から何かの力になろうと、始まりから2年経ってしまった今でも」
「・・・そォか」
「さて、ここまで聞いてしまったのなら、流石にやるしかなくなったでしょう?」
「あァ?」
「初春さんにもここに来る時に約束したようですし、先ほども自分で宣言してましたでしょう?」
「・・・・・」
「光の世界で一片の曇りなく笑える日を迎える為に、戦いましょう。一方通行さん」
「・・・当たり前だ。クソッタレ」
「ちょっと?」
「あァ?」
「いくらそこまで詳しい事情を知らないからって私を置いてかないでくれる?一応、この世界のプレイヤーとしては私を知らない人はほとんどいないんだから。それに…」
「あァ?それになンだ?」
「私が一緒にいてあげるだけで、力になれるんでしょう?」
「・・・さァな」
「アンタが言ったのよ。だから自分の言動には少しは責任持ちなさい」
「分かった分かった。今責任感じてるっつゥの」
「どうやらとても心強い味方のようですね。一方通行さん」
「・・・ケッ、まさかこんな日が来るたァな」
一方通行はそう言うと、改めてエイワスに向き直り、垣根帝督が一方通行の左隣に降り立ち、右隣に御坂美琴が彼らに並んで立った
「まさか学園都市のトップ3が…手を組むことになるとはなァ」