とある魔術の仮想世界   作:小仏トンネル

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第48話 月下の暗殺者

 

「月が綺麗ですね。一方通行さん」

 

「この場合死んでもいいのはテメエだよなァ?本気でそういう意味を含んで言ってンだったらぶっ殺すぞ」

 

 

一方通行なりに気を使ったのか、気まずくなったお互いの空気を変えるために二人はログハウスを出て、22層の森の夜道を散歩していた

 

 

「しかし、この道は普段からよく歩いてはいますが日の出ている時間ばかりなものですから、こう言った夜道の散歩というのも良いものですね一方通行さん」

 

「そォかよ」

 

「しかし、まるで肝試しのような不気味さがあるのも確かですね、どこかに幽霊さんでもいるんでしょうか」

 

「この世界にいる幽霊なンざ所詮アストラル系のモンスターだろォが。それに今のテメエのナリだと白光しすぎてテメエが幽霊に間違われンぞ」

 

「・・・細い身なりに白いという部分を見れば一方通行さんもそこまで違わないのでは?」

 

「本当にホストの権限なくなったら秒で殺すぞオマエ」

 

ガサガサッ……

 

「ところで、丁度外に出たわけですし丁度良いので夕食の材料を採取したり食材になりそうなモンスターを狩って帰りませんか?」

 

ガサガサッ…

 

「別に構わねェが、狩りは俺がやるから採取はオマエがやれ。採取オブジェクトを一々探すのが面倒くせェ」

 

ガサガサガサガサッ…

 

「・・・一方通行さん」

 

「囲まれてやがるな」

 

「おや、既に気づいておいででしたか」

 

「舐めンな。リアルでもここでも生粋の悪党なのに変わりはねェ」

 

「なるほど…でも確か、一方通行さんは自分には反射があるからって索敵スキルはほとんど上げていませんでしたよね?どうやってお気づきに?」

 

「そンなンじゃねェよ…こっちの世界も向こうの世界も大差ねェだけだ。人間の殺気ってのはなァ」

 

「まぁ私の索敵スキルによれば、さしずめ人数は7人と言ったところでしょうか」

 

「ハッ、人数なンか今さら関係ねェよ。さてとォ…」

 

「まぁ、少し目的の対象は変わってしまいましたが」

 

「狩りの始まりだなァ(ですね)」

 

バッ!ババッ!!バババッ!!!

 

 

一方通行と垣根の二人が臨戦体勢に入ると、闇夜の森の木陰からローブを被った怪しげな集団が飛び出して来た

 

 

「「「死ねえええぇぇぇ!!」」」

 

「ひとまずは6人ですか…一方通行さん、左の3人は私がやります。右の3人をよろしくお願いします」

 

「人数分けたところで瞬殺なのは変わんねェけどなァ。ってかオマエこそ能力使って大丈夫なのかよ?システムの演算が少し遅れンじゃねェのか?」

 

「平気ですよ。一方通行さんも言った通り、瞬殺ですので」

 

「それもそォか」

 

「あ、カーソルの色は気にしなくても大丈夫ですよ。後で私がグリーンに戻しますから」

 

「お喋りもそこまでだ!!」

 

 

ローブ集団の1人が垣根へと手に持ったダガーで切りかかる。しかし、その刃が垣根に届く事はない

 

 

ゴウッッッ!!!

 

「ぎゃあああああああ!!!?」

 

バリィィィン!!

 

 

垣根の背中の片側から3枚の純白の翼が現れた。その翼がただ一度羽ばたいただけでローブのプレイヤーのHPを全て削り切り、無数の光の欠片となって散った

 

 

「お、おい嘘だろ!!?」

 

「すいませんがそちらの2人もすぐにこうなってもらいます」

 

「!?!?!?」

 

 

 

「おいそこの陰険ローブ3人、いちいち1人ずつ潰すのだりィから早いとこ全員まとめてかかって来い」

 

「言われなくてもそうしてやるよぉ!」

 

「オラァ!!」

 

「死ねぇ!!」

 

 

一方通行の前に飛び出して来た3人が一斉に彼に飛びかかる。斧、槍、剣がそれぞれ一方通行に襲いかかる。しかし、それら全ては彼の前にある見えない壁に阻まれた

 

 

グシャアアアァァァ!!!

 

「なっ!?」

 

「ぐえっ!?」

 

「ぎゃす!!」

 

「あばよォ」

 

バオオオオオオオォォォッ!!!

 

 

3人の手が一方通行の反射によってその力をそのまま返され、武器と共に3人の腕がおかしな方向に歪曲した。そして一方通行の別れの言葉の後に見えたのは彼が左手を横に薙ぐ動作。その左手が起こした烈風が3人を襲い、HPが全損しその姿が光となって消えた

 

 

「おい垣根、こっちは終わったぞ」

 

「はい、こちらも終わりました」

 

「・・・おい、暗殺ごっこなら他所でやりやがれ、そこにいるあと1人。死なねェ程度に殺してやるから素直に出て来い。じゃなきゃコイツらと同じ道辿ることになンぞ」

 

「・・・・・」

 

ザッザッザッ…

 

 

一方通行が一本の大木に向けて呼びかけると、その木の影から最後の1人となったローブを被った人間が出てきた

 

 

「さァて、面接と行こうかァ?オマエはムカつくジジイとババアに人と話すときはマスクとローブを取れって教わらなかったンですかァ?」

 

「生憎だけど、そんな親はいなかったわね」

 

「ハッハァ!この後に及んでいい度胸だァ!なら丁度いいやァ…俺が教育してやるよォ!」

 

「お断りだね。だけどまさかお前らがカップルだとは思わなかったわねぇ。こんな夜更けにデートとは随分とロマンチストなんだなぁ彼氏役の方は…なぁ?第1位、第2位!?」

 

「・・・あァ?」

 

「その呼び方を知っているという事は貴方は学園都市の人間…しかもそれが私達だと分かっているということは、限りなく暗部に精通している証拠に他ならない…一体何者ですか!?そのローブを取って素顔を見せなさい!!」

 

「あぁいいぜぇ、お披露目といこうか…あまりにも美女だからって惚れんじゃねぇぞ?悪いが私はホモと付き合う趣味は持ち合わせちゃいねんだ」

 

バサッ!!

 

 

そう言って自分を美女と語る謎の人物はローブのフードを取り払い、その素顔を2人に見せた

 

 

「ハロー。第1位、第2位。学園都市序列第4位の超能力者『原子崩し』。暗部組織『アイテム』の麦野沈利だ」

 

 


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