「〜♪〜〜♪〜〜〜♪」
「お姉様?随分とまた上機嫌ですわね?やはりあの新型ゲームが手に入ったからなんですの?」
常盤台中学の学生寮の一室、鼻唄まじりにパジャマに着替える御坂美琴に、風呂上りの髪を梳かしながら問いかけるのは彼女と相部屋の後輩、「白井黒子」である。この白井黒子もまた、御坂美琴と共に学園都市で激動の日々をくぐり抜けてきたレベル4の「空間移動」の能力者であり、御坂美琴をまるで血縁者であるかのように「お姉様」と呼び、深く慕っている
「んん〜、それもあるけど〜、それ意外もあるっていうか〜、いや、べ、別にアイツと一緒にゲーム出来るってのが嬉しいわけじゃないのよ〜?でもやっぱ同じことを出来る人が身近いるっていうのは嬉しいって言うか〜?♪」
そう語る彼女の頬は緩みきっている
「へ、へぇ〜…そうなんですの…」
(ま、またあの憎き類人猿ですの!?あの野郎またしても!仮想世界でまでお姉様をたらしこむつもりですの!?もう今度という今度は許しませんわ!こうなったら今度会った時に空間移動で鉄矢を体内に!)
「じゃ!私今から『コレ』やるけど、黒子は気にせず寝てて良いからね」
「全く、ほどほどにしてくださいまし。夜更かしはお肌には大敵ですのよ?」
「言っておくけど!コレやってる間に私の身体に変なことするんじゃないわよ!?電撃飛ばすじゃ済まさないんだからね!?」
「ぎっくぅ!?な、なんのことやら〜?そ、そんなことこの黒子は1ミリも思ってませんのよ〜?」
「全く、油断も隙もあったもんじゃないわ…。まぁでも、アンタも気が向いたらコレ買いなさいよ、そしたら一緒に遊んであげるからさ♪」
「お、お姉様〜♪黒子はその言葉だけでもう、もう、もぉ〜〜〜♡」
「あっははは…じゃ、おやすみ」
「はーい、おやすみなさいまし〜」
相部屋の友人に1日の終わりの挨拶を向けると、御坂美琴はおもむろに電源を入れたナーヴギアを頭に被り、自身のベットに寝そべる
「さて……それじゃ…」
そして、御坂美琴は自分自身を別世界へと誘う、科学の世界には似つかわしくないまるで「魔法」のような言葉を言い放つ
「リンクスタート!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さて、インデックスはもうちゃんと寝たかな?」
時刻は九時を過ぎる頃、インデックスは早めの就寝につきリビングの電気は消えている。しかし、上条当麻のいる風呂場と洗面所は明かりが灯っており、上条は本日手に入れた「ソレ」を包まれた箱から取り出し、興味深そうに眺めている
「こうやって見てみると、なんだか御坂妹のゴーグルに似てるかもな…いざやってみたら御坂妹達の中の1人もコレで遊んでるかも…なんてな」
「…でも、そういやぁなんだかんだで、この前の大覇星祭来場者ナンバーズでも一等が当たって北イタリア5泊7日の旅が当たったっけ…」
そう、何を隠そうこの上条当麻はつい先月の大覇星祭来場者ナンバーズでも見事に一等を当て、北イタリア5泊7日の旅へ出たのだが、その旅先でまたまたトラブルに見舞われ、5泊7日の旅を1日で終え、傷だらけで学園都市に帰還した
「今思い返せばあの来場者ナンバーズも不幸以外の何ものでもなかったな…今回のコレもまさか…」
そう言いながらまたナーヴギアを眺める上条、やはり自分にしてはどうにも話が出来すぎていると勘ぐってしまう
「ま!考えすぎか!所詮ゲームはゲーム!不幸が起こってもそれはゲームの中での話だ!とりあえずは噂のコイツを楽しむとしますか!」
すると、上条当麻は洗面所のドライヤーのプラグをコンセントから抜き、ナーヴギアのプラグをコンセントに差し込む、そしていつもの寝床の風呂桶へ入って寝そべり、彼の一種のトレードマークであるツンツン頭をナーヴギアですっぽりと覆いこんだ
「さてと、これで準備オーケーなんだよな?…ふぅ、ちょっと緊張するな」
風呂場というなんとも言えない空間から別世界へと上条当麻は飛び立つことを試みる。そして彼もまた、普段なら自分の右手で打ち消してしまうような「魔法」の言葉を言い放つ
「リンクスタート!!」