「んー、まぁまぁだったわね。ご馳走さま」
「8000コルのフルコースがまぁまぁですかそうですか…」
「てかアンタこそそんなショボいのしか食べてないけどいいわけ?どうせなら私と同じようにフルコース頼めば良かったのに」
「お前これ以上俺の財布いじめて楽しいか!?」
「冗談よ」
(まぁ、私は元から、アンタと久しぶりにこうしてご飯が食べられただけで、もうお腹も心もいっぱいなんだけどね…)
上条当麻と御坂美琴の2人は今、開放されたばかり56層の主街区マーテンのレストランで夕食を食べていた。夕食というには少し早い時間で、窓からは夕日が差し込んでいる。夕日の色が2人の顔をほんのりと温め、心の温度をも温めていた
「ま、なんつーか、理由と支払いはどうあれ、こうしてお前と一緒に飯食ったのは久々だったな…色々話せて結構嬉しかったぜ」
「ふぇ!?そ、そうね…」
(お、同じこと考えててくれてたんだ…なんて言うんだろ…以心伝心…かな?ちょっと嬉しい…かも…///)
「今回は俺が奢ったが、去年の夏休み最後の日とかお前にアホみたいに高いホットドッグ奢ってもらったなぁ…」
「? あのホットドッグそんなに高かったかしら?」
「これだからお嬢様ってやつは…」
「ま、良いじゃない。現実ではお金持ちになれなくても、こっちではモンスター狩るだけでお金なんてガッポガポよ?」
「お前なぁ…俺の周りのポップ率を分かってて言っt…」
<キャアアアアアァァァ!!!!
「「!?」」
「誰かの悲鳴か!?」
「行くわよアンタ!」
「お、おう!」
ダダダダダダダダダッ!!!
「た、たしかこの辺から…!」
「おい美琴!こっちだ!人だかりが出来てる!」
「!分かったわ!すぐ行く!」
「ぁ…あぁ…ぁ…」
「あれは!?」
上条と美琴が見たのは、とある教会の上から縄で首を縛られ吊るされた状態で、いくつもの棘のようなものが飛び出ている槍が胸に突き刺さっている男性だった
「ッ!おい!早く抜け!」
「ぁ…あぁ………あ、ぁぁ…」
グッ…ググ…グッ!
(・・・?アイツが抜けって呼びかけたのに一瞬躊躇した?一体なんで?)
「おい美琴!上から引き上げてくれ!俺は下で受け止める!」
「!わ、分かったわ!」
「待ってろ!今助ける!」
「あ…ぁぁ…あ、あああああああぁぁぁぁ!!」
ガシャアアアァァァン!
カラン!…カラッ…カン…
男性が最後に一際大きく叫ぶと、光のポリゴンとなって砕け散り、男性を身体を貫いていた槍だけが残って落下してきた
「ッ!?クソッ!!」
「ちょっとアンタ!ボサッとしてんじゃないわよ!HPの減らない安全圏内じゃ『デュエル』以外で死ぬことはまずあり得ない!周りにいる人の中からデュエルのWINNER表示を探すのよ!」
「! わ、分かった!」
美琴が教会の上から上条に呼びかけ、その声にハッとした上条がデュエルのWINNER表示を先の男性の一件を目撃していた何人もの野次馬の中から探す
「・・・いない…逃げられたのか?」
「アンタ!中には誰もいなかったわ!そっちはどう!?」
「ダメだ!こっちにもいない!」
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「・・・どういうことだ、これ」
一連の事件から上条当麻は現場を一旦離れた後、2人で事件のあった教会の上で今回の事件の犯人の手口について話し合っていた
「普通に考えれば、デュエルの相手が被害者の胸に槍を突き刺してロープを首に引っ掛けて、そこの窓から突き落とした…ってのが妥当かしらね…」
「だけど、デュエルのWINNER表示がどこにもなかったんだぞ?」
「正直こんなのありえないわ。安全圏内でデュエル以外で人が死ぬなんて。そもそも圏内じゃどんなに頑張ってもダメージは与えられないのよ?」
ザワザワザワ…
「・・・また下に人が集まってきたな…」
「・・・どちらにしても、このまま放置なんて出来ないわ。事件の真相を明らかにしないと。もし仮に圏内でPKするスキルか方法を誰かが見つけていたとしたら、これから先、外だけでなく街の中まで危険だということになるわ」
「そうだな・・・」
「前線からは一旦離れることになっちゃうけど…この際仕方ないわ。解決までアンタも協力しなさい。この事件はここで解決しとかないと、恐らく後々厄介なことになる気がするわ」
「おう!任せろ!じゃあまずは下で最初っから見ていた人がいないか事情聴取だな!」