とある魔術の仮想世界   作:小仏トンネル

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第22話 参戦

 

「でェ?どォいう事なンだろうなァ土御門クゥゥゥゥン!?」

 

「いやー、まぁそう怒らないで欲しいぜよ。結果は丸く収まったんだ。一方通行の稀に見る名演説も聞けたことだしなぁ」

 

「今俺はソレを言及してンだよ!俺にあそこまで言わせたンだ!覚悟は出来てンだろうなァ!?」

 

「だが、アレはお前の本心だろう?」

 

「・・・・・」

 

「それをたまたま口に出して言わなければいけない機会がこの場で回ってきたから、その意思をそのまま吐き出した。俺にはそう見えたがな」

 

「・・・チッ、どいつもこいつも」

 

「だが、本当にお前はそれでいいのか?」

 

「あァ?今さら何聞いてやがンだ。いいに決まってンだろ」

 

「最終信号を置いて行くことになるんだぞ?」

 

「・・・・・」

 

「さっきのお前の言葉通りなら、たしかにこのSAOは彼女たちの光を守ることに繋がる。だが、もしお前がSAOに行っている間に彼女達を狙うヤツらがいたらどうする?」

 

「・・・別にそんなのは大した問題じゃねェ、あのカエル医者の病院にでも預けときゃあの医者は何でもするさ」

 

「なら、旅立つ前に電話ぐらいしてやったらどうだ?」

 

「・・・・・」

 

「・・・俺は一旦向こうの部屋に戻る。済ませるべきことが済んだら戻ってきてくれ」

 

 

そう言って土御門は一方通行を部屋に残し、他の三人がいる部屋へ戻った

 

 

「チッ…」

 

 

一方通行は舌打ちすると携帯を開き、連絡先を選択し電話をかけた。何コールか鳴った後、誰かが電話を取り応答した

 

 

『はい、もしもし。黄泉川です』

 

「芳川か?」

 

『あら、一方通行。なんで私だって分かったのかしら?』

 

「家で大体暇してンのはテメエだけだからな」

 

『あら、そんなことないわよ。今日はあなた以外全員家にいるみたいだし』

 

「そォか、なら丁度良い。黄泉川に変われ」

 

『はいはい、今変わるわね』

 

『もしもしー?急にどうしたじゃんよ一方通行?』

 

「しばらく家を空ける」

 

『・・・どのくらいじゃん?』

 

「早くて2年以上……もしくは永遠にだ」

 

『・・・SAOか』

 

「あァ、だからもう俺の部屋は要らねェ。他に使ってくれ」

 

『そいつは聞けない相談じゃん?』

 

「あァ?どォいうことだ?」

 

『それじゃあSAOが終わった時にお前が帰る場所がないじゃんよ?永遠に帰って来ないなんて言わせないじゃん。ちゃんと待ってるからいつか必ずまたうちに帰って来るじゃん?』

 

「・・・チッ…あのガキを頼む。何か困ったンならあの医者を頼れ。アイツなら大抵のことは解決できる」

 

『ああ、分かったじゃん。あの子も今部屋にいるんだけど変わるかじゃん?』

 

「・・・ああ、頼む」

 

『じゃあちょっと待ってるじゃん』

 

「・・・・・」

 

『はい!もしもし!ってミサカはミサカは電話がミサカに変わったことを主張してみたり!』

 

「耳元で騒がれっとうっせェからもう少し黙りやがれ」

 

『・・・行っちゃうの?ってミサカはミサカは聞いてみたり』

 

「!?…クソガキ、テメエ知ってたのか?」

 

『うーん、具体的に知ってたってわけじゃないんだけど…』

 

「あァ?」

 

『何だか、さっき、あなたがお姉様やミサカ達の事を考えていてくれた気がしたの。ってミサカはミサカは貴方との不思議な繋がりを感じてみたり!』

 

「・・・そォか」

 

『それに実はね、さっきのあなたと黄泉川の会話ちょっと聞こえちゃったんだ。ほら、黄泉川って電話してる時も声が大きいから。ってミサカはミサカは密かに家主の愚痴を言ってみたり』

 

「・・・そォか」

 

『それでね、ありがとう。一方通行。私たちのお姉様を助けようとしてくれて。ってミサカは…ミサカは…あ、あれ?』

 

「?」

 

『あ、あれ?…グスッ…おかしいな…泣かないって…ヒッ…決めた…のに…ってミサカは…ミサ…かは……』

 

「・・・・・」

 

『嫌だよ…ずっと一緒にいたいよって…ミサカはミサカはお願いしてみる』

 

「・・・そォだな…俺も、ずっと一緒にいたかった」

 

『・・・え?』

 

ブツッ…ツー…ツー

 

「・・・ったく…こんな事言うガラじゃねえだろ…テメエは……」

 

パタン

 

一方通行はゆっくりと携帯を閉じる

 

「・・・行くか」

 

ガチャ!

 

部屋のドアを開け4人がいる部屋へと戻る一方通行

 

「・・・もういいのか?」

 

「あァ、そっちは準備出来たのか?」

 

「いえ、すいません。あともう少しかかりそうです…」

 

「・・・あァ?」

 

初春が必死になって睨めっこしているパソコンの画面を見て、一方通行はふと疑問を抱く

 

「・・・おい、その画面見せてみろ」

 

「えっ?」

 

「いいから見せろって言ってンだ」

 

「は、はい…」

 

 

そう言って初春をパソコンの前から少し退かし画面に表示されているデータを覗き込む一方通行

 

 

「・・・なァ?これがナーヴギアとSAOのデータなのか?」

 

「・・・え?は、はい」

 

「コピー取れンじゃねェかよ」

 

「え…ええっ!?な、なんで!?ど、どうやってですか!?」

 

「ちげェよバカ、パソコンでコピーする訳じゃねェよ」

 

「?????」

 

 

一方通行の言葉の意味が分からず話についていけない初春

 

 

「そいつはどう言う事だ?一方通行」

 

「バカかテメエら。コピーは出来なくてもこの画面の写真を撮るかメモに書き起こしてまた他の場所で入力し直せば後でコピーした事と同じになンだろ。そしたら後でそこの花女は自分でデータの解析も出来ンだろうが」

 

「「あ」」

 

「まァこれはどっちかっつーとデータの『複製』じゃなく『復元』だ。ミスなく入力し直すっつー手間があるが、やろうと思えばいくらでも同じデータが増やせンだろ」

 

「な、なぁんで話聞いた最初に言ってくれなかったんですかぁぁぁぁ!?!?」

 

「ったく、ンな簡単な事にも気付かねェのかよ。こンなの小学生にだって思いつくぞ」

 

「た、たしかにそいつは盲点だったな…データの『表示』が出来るならそれはどちらも可能だ・・・」

 

「い、今すぐこの画面のスクリーンショットを撮ります!!」

 

「ったく、バカしかいねェのかよこの組織はよォ…」

 

「結標さん、枕はどちらがいいでしょうか?」

 

「石でも構わないんじゃないかしら?寝心地悪くてもどうせ起きてこないんだし」

 

「テメエらはマジであっちに行く前に一回殺しといてやるよォォォ!!!」

 

「今のは自分は悪くないですよ!?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふぅ、全ての準備が整いました…後は実行するだけです」

 

「よし、分かった。ひとまずはお疲れ様だ初春」

 

「それにしても、一方通行さんって体細いですね?ちゃんとご飯食べてますか?」

 

「仮にもこれから食事取れないんだからもう少し食べてからにしたら?なんだったら今適当な食事をミキサーにかけて貴方の胃袋に直接飛ばしてあげるけど?」

 

「余計なお世話だクソッタレども」

 

 

一方通行の身体には今、要所要所、様々なところにパソコンに繋がれた電極が張り付いている。今回はナーヴギアというハードウェアも、SAOというソフトウェアもない為、仕方なくこういった形を取っている。しかし、初春によればこれが最善策であり問題なくSAOの世界に行けると言う

 

 

「さて、しばらく来れないこっちの世界に何か言い残すことはあるか?」

 

「ねェよ。遺言も遺書も残す気はねェ。恥ずかしくて残していけねェよそンなもン」

 

「一方通行さん、待ってて下さい。時間はかかるかもしれませんが、私がこのデータを解析してみせます!そしたらゲームの途中でもログアウト出来る様にしますから!」

 

「そォだな。期待しねェで待っといてやる」

 

「そこは少しは期待して下さいよ!?」

 

「・・・時間が惜しい。とっとと初めやがれ」

 

「あ、はい。分かりました。それじゃ先ほど説明した通りよろしくお願いしますね」

 

「あァ」

 

「それじゃ、向こうでも元気でやれぜよ。一方通行」

 

「せっかくのゲームなんだからまずは楽しんでみなさい」

 

「ログインしている期間の身辺の世話は自分達に任せて下さい。では、よき旅を」

「では行きます!プログラム実行!」

 

ウイイイィィィン…

 

「全システムチェック!オールクリア!いつでも言って下さい!」

 

「・・・リンクスタート」

 

 

その言葉を最後に、一方通行の意識は現実世界を離れ仮想世界へと飛んだ

 

 


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