とある魔術の仮想世界   作:小仏トンネル

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第19話 座標移動

 

時間は少し前、一方通行と垣根帝督がファミレスで激突した直後に巻き戻る

 

 

「ぴぎゃ!?」

 

「あら、可愛い悲鳴ね」

 

「こ、ここは…?」

 

「さっきのファミレスの近くのビルよ。ここならさっきみたいな輩は来ないから安心しなさい」

 

 

つい先ほどまで一方通行と垣根が合間見えていたファミレスにいた初春だったが、一瞬でどこか分からないビルの中に移動していた。その原因は彼女に語りかける上半身にブレザーを羽織って胸にサラシを巻いただけというかなり露出度の高い服装の女、結標淡希の能力である「座標移動」にある

 

 

「あ、あの危ないところを助けていただいてどうも……あ、あれ?む、結標淡希…?」

 

「あら?私もう名乗ってたかs…あぁ、なるほど。その腕の腕章、白井さん繋がりね」

 

 

初春は件のファミレスに訪れる前は単なる市民としてではなく、風紀委員としてARGUS本社を訪れていた為、その腕には学園都市の風紀を守る為の盾が描かれた腕章をつけていた

 

 

「『残骸』の時かしら?白井さんには色んな意味でお世話になったわ。まぁ…彼女の先輩、もしくは因縁の相手とでも思ってもらっておいて構わないわ」

 

「い、いえ…今は助けられた訳ですし…その…ありがとうございます…」

 

「お礼を言うにはまだ早いわ、ちょっと一旦歯食いしばりなさい」

 

「え?」

 

バキッ!!

 

「ッ〜〜〜〜〜!?!?」

 

 

あまりにも短い忠告のすぐ後、初春の外れた関節を結標がはめ直した。いきなりのことすぎて歯を食いしばる暇もなかったため、その痛みをもろに感じ初春はその場でじたばたする

 

 

「よかった、ちゃんとハマったわね」

 

「ひゃ…ひゃい…」

 

 

垣根の時ほどの痛みではないとは言え、あまりの荒療治に初春は少し涙目になる

 

 

「結標、そっちは終わったか?」

 

「あら、遅かったわね。とりあえずはデータごと彼女を保護したわ」

 

「よくやった。もはや現状的にはこっちにお釣りまで付いてきてる」

 

 

初春の気づかぬ間にビルにいたこの男、土御門元春は緑が基調のアロハシャツに学ランという異彩な組み合わせの服装に身を包んでいる

 

 

「ちょっとあなた、少しの間動かないで頂戴。軟膏塗った後にその肩固定しちゃうから」

 

「あっ、はい。よろしくお願いします」

 

(白井さんの時は良いイメージを持ててませんでしたが…必ずしも悪い人ではないんでしょうか?)

 

 

そんな風に初春が考えていると、結標は彼女のセーラー服を上半分だけ脱がし、初春の肩に軟膏を塗った。すると彼女は自分の胸のサラシを解き始めた

 

 

「え…ええっ!?ちょ、ちょっと!?む、結標さん!む、胸見えちゃってますよ!?」

 

「別に胸くらい良いじゃない、同じ女同士なんだから。それとももしかしてあなたってそういう性癖?まぁ私も似たようなもんだから否定はしないわ。肯定もしないけど」

 

「い、いやそうじゃなくて!そ、そこの金髪でサングラスの人は男の人ですよね!?」

 

「いいのよ、アイツは自分の義妹の裸にしか興味ないんだから」

 

「オイ、それは聞き捨てならないぞ」

 

そんなやり取りをしている間に、結標は自身のサラシに使っていた包帯で初春の肩を固定し終わった

 

「はい、これで一先ずはオッケーよ。でも今日が終わるまではあんまり無理に動かしちゃダメよ」

 

「無視か…」

 

「は、はい。どうもありがとうございました…」

 

「礼には及ばないわ、白井さんの同僚ならここで媚びを売っといても悪くないわ」

 

「は、はぁ…」

 

「よし、それなら結標、俺と彼女を今比較的安全な外に飛ばせ。彼女からデータを回収して解放したらそっちにもう一度連絡を入れる、後サラシはちゃんと巻き直せよ」

 

「余計なお世話よ」

 

「!?!?あ、あなた達までデータを狙ってるんですか!?お断りします!このデータは私にとって…!」

 

「はいはい、そういうやり取りはそっちでやって頂戴」

 

 

そう言って結標は土御門と初春に対象の座標を定める為の軍用ライトをかざす。すると2人の姿は跡形もなく一瞬で

ビルの中から消えた

 


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