仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング 作:エクシ
「どうやら戻ってきたみたいだな。」
黒貴利矢はバーカウンターに座りながらちょうど今入ってきた髪の一部が白くなっている男 花家大我に言った。
「今回のラスボスはお前だろーが。なんで先に出ていった?」
「別に理由はねえよ。ただ現実世界の自分がどれぐらいのもんか…とね。」
「勝手なことすんな。今度は俺が行く。」
大我は入口を方を向いて去ろうとした。そんな大我を引き留めて黒いガシャットを投げる黒貴利矢。
「こいつを持ってけ。」
「これは…!」
「面倒な奴と一緒にいたからな。不正な方法で強くなってるかもしれねえ。今回のラスボスは自分だからコイツを渡すことは出来ねえが。」
そう言いつつ黄土色のガシャットを大我に見せる。
「フン…お前が出てくる前に終らせてやるよ。」
大我はもらったガシャットのドラゴンを模したディレクショナルサウンダーのパーツをなぞりながら店を出ていった。
自分が戻ったのは超スーパーヒーロー大戦のゲームエリアと重なる砂漠エリアだった。一度来た場所はゲーマドライバーのステージ選択機能で移動できる。ゲームの鉄則だな。
まずはもう1人の自分 黒貴利矢に関する情報を手に入れなくてはならない。しかしこのゲームで自分に情報を与えてくれる
「どうしたもんかね…。」
思わず独り言が出ちまった。こうなったら力ずくで聞いてみるのも手だな。ゲーム世界の飛彩から貰ったガシャット タドルレガシーはレベル50の強力な力。この世界においては文字通り桁が違う。
「やっと見つけたぜ、レーザー。」
突然声がした。振り向いた先にいたのは…やっぱり、花家先生だ。この感じはゲーム世界の永夢と会った時と同じ。敵キャラとして現れたのだろう。
「腕試しにはちょうど良さそうだな。」
「ほざけ。お前のガシャットは全て頂くぞ。」
そういうと花家先生はゲーマドライバーを腰に巻いた。ならば自分も装着だ。
-バンバンシューティング!-
やっぱりバンバンシューティングか。開発中止となった強力なゲームとはいえ今の自分にはぬるゲーだろうな。
-爆走バイク!ギリギリチャンバラ!-
「…!ならば。」
-ジェットコンバット!-
自分がレベル3のガシャットを使ってくるのを見てガシャットを増やしたか。賢明な判断だ。
「第参戦術!」
「3速!」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ババンバン!ババンバン!バンバンシューティング!アガッチャ!ジェット!ジェット!イン・ザ・スカイ!ジェット!ジェット!ジェットコンバット!-
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!チャンバラ!-
花家先生は仮面ライダースナイプ コンバットシューティングゲーマー レベル3へ、自分はレーザー チャンバラバイクゲーマー レベル3へとそれぞれのレベル3形態へ変身する。
といっても同じレベル3とはいえこちらがいささか分が悪い。
花家先生が使っているガシャットはジェットコンバット。戦闘機で様々なステージをクリアするフライトシューティングゲームだ。つまり簡単に言えば飛ぶってことだ。
こっちのギリギリチャンバラは近距離での勝負が得意なゲーム。遠い所から攻撃されて近づくことが出来ないのだ。
案の定、急上昇してガトリングコンバットによる銃撃を撃ち込んでくる。
-ガシャコンスパロー!-
銃撃を避けつつガシャコンスパローで弾くことで急所を避けるもじわじわと自分のライダーゲージを削っていく。こうなったら隙をついて撃ち落とすしかねえ。
ガシャコンスパローの弓モードでスナイプに射撃攻撃を繰り出すもさすがは年季が違うだけあって全て避けてしまう。というかガトリングによる射撃弾数が多すぎてこちらも射撃に集中できないのだ。負け惜しみじゃねえからな!
「どうした、レーザー!これじゃあお前の負けだぞ!」
言われなくてもわかってるさ。このままじゃだめだと少しずつ砂漠を移動して大きめの岩に近づいてきたんだ。
花家先生の攻撃が当たらないように岩の影に隠れ、キメワザスロットホルダーからタドルレガシーを取り出した。
「使わせてもらうぜ、大先生!」
-タドルレガシー!-
タドルレガシーの起動は完了。さぁ自分の新たな変身だ。
-ガッチョーン!ガッシューン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!辿る 歴史!目覚める 騎士!タドルレガシー!-
ゲームパネルが近づいてきて蹴ることで選択した…と思った瞬間、何だこの感じは!言葉では表現しにくいが…自分を侵食していく感じ…!とにかく苦しいのだ。
データとなった自分を乗っ取ろうとしてくるのはレベル50の力の代償なのだろう。とにかくすぐに勝負を決めなくてはならない。
トゥルーブレイブとなった自分は手にした長剣で斬撃を飛ばし、花家先生を1発で撃ち落とす。
「ぐあ!」
「ハァハァ…どうだ、レベル50のお味は?」
「これが不正な方法による強化…。いいだろう、こっちもレベルアップだ!」
-ガッチョーン!ガッシューン!-
花家先生はアクチュエーションレバーを閉じてジェットコンバットを取り外した。そしてキメワザスロットホルダーから黒いガシャットを取り出した。あの色は確かプロトガシャットとかいう奴だ。
-ドラゴナイトハンターZ!-
モノクロのハンターゲーマがどこかのゲームエリアから鳴き声を出して出現した。自分が現実世界で見たハンターゲーマはピンクやブルー、黄色とカラフルな差し色が入っていたが、プロトタイプのハンターゲーマはその差し色部分がすべて灰色となっている。
さて、ドラゴナイトハンターZはレベル5のガシャット。4人の協力プレイを考えて作られた特別なガシャットだったはずだ。とはいえこちらはレベル50。まだまだ10倍近くの力の差があるはずだ。
「第伍戦術!」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ババンバン!ババンバン!バンバンシューティング!アガッチャ!ド・ド・ド・ド・ド!黒龍剣!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!-
花家先生はプロトハンターシューティングゲーマー レベル5のフルドラゴンとなった。現実世界じゃ随分と強力な力になるが今の自分には…って聞き飽きたか。
「ドラゴン狩りといかせてもらおうか!」
自分は花家先生の方へと駆けていく。ドラゴナイトガンによる電磁キャノン砲撃を繰り出すも剣を振りかざすだけでそれを弾くことが出来る花家先生。
「何!?」
あっという間に花家先生に近距離戦を仕掛けることが出来る距離まで近づいた自分。一方ドラゴナイトブレードで対応しようとするが自分の繰り出した斬撃にふっ飛ばされてしまう。
-ガッシューン!-
ん?花家先生のメインガシャットスロットからプロトドラゴナイトハンターのガシャットが放出された。相当のダメージだったのだろう。花家先生の体からプロトハンターゲーマが消滅する。
「よっしゃ、これで終わりだ!」
-ガッシューン!-
タドルレガシーをキメワザスロットホルダーに装填し、必殺技を放つ準備は完了した…と思った瞬間、自分の右横に突然レベル表示が出てきた。50だった自分のレベルは徐々に上がっていく。
「何!?」
やべえ…!レベルが上がっていくと共に体への負荷が強くなってくる…!
「くそ!」
-ガッチョーン!ガッシューン!-
キメワザスロットホルダーからタドルレガシーを取り外しアクチュエーションレバーを閉じることで元の人間の姿へと戻る。
「へっ、どうやらお前には使いこなせなかったみてえだな。そのガシャットは高ぶる感情に応じて体内のバグスターウイルスを培養出来るようだ。」
現実世界の飛彩と戦ったことで己の中の時が動き出し、今に追いつこうと必死に戦うゲーム世界の飛彩を現しているのだろうか。とにかくこのタドルレガシーは自分には扱いきれないところがある。
「ならコイツを使わせてもらおうか!」
自分の近くに落ちていたプロトドラゴナイトハンターZを拾い上げる。すると突然音声が砂漠中に鳴り響いた。
-ゲームクリア!-
ん?どういうことだ?まだスナイプは倒していないが…バグか?
「…!ならば!」
そういうと花家先生は金色のドラゴナイトハンターZを取り出した。
-ドラゴナイトハンターZ!-
「普通の方も持ってたか、こっちもノらせてもらうぜ。」
-爆走バイク!ドラゴナイトハンターZ!-
ハンターゲーマとプロトハンターゲーマが現れぶつかり合う。2体のドラゴンが攻撃を繰り出しあう中、自分たちはガシャットをゲーマドライバーに装填する。
「第伍戦術!」
「5速!」
-ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ババンバン!ババンバン!バンバンシューティング!アガッチャ!ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!-
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!ド・ド・ド・ド・ド!黒龍剣!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!-
ゲーマたちがそれぞれ展開し自分たちの体に装着されていく。自分もパネルを蹴ってそのままプロトハンターバイクゲーマー レベル5 フルドラゴンへと変身を遂げた。やっぱスナイプのに比べると色味が少なくて地味な感じがするが…まぁいい。なんやかんやでフルドラゴンになるのは初めてだが、自分がデータとなってバグスターに近い存在になったせいか暴走する気配はない。
「おっしゃ、ノリノリで行くぜ!」
「ミッション開始!」
2人が近づく間、お互いのドラゴナイトガンから砲撃を繰り出しつつダメージを負っていく。ドラゴナイトブレードの間合いに入れば今度は近距離戦だ。
普段遠距離戦を得意とする花家先生だが実は近距離戦が苦手というわけではない。初めてCRで仮面ライダーとなった男であるだけにどの”オペ”も万能に対応可能なのだ。
そんなわけでドラゴナイトガンからのキャノン砲に警戒しつつドラゴナイトブレードの斬撃をかわす…と次の瞬間、スナイプのドラゴンヘッドから放たれた火炎放射で自分はダメージを負う。
「ぐっ…!」
「へ…プロトガシャットを使ってその程度か!これで終わりだ。」
-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!-
やばい。起き上がると花家先生がキメワザスロットホルダーにドラゴナイトハンターZのガシャットを装填するところが目に入った。
-ドラゴナイト クリティカル ストライク!-
…!あれは!
自分は花家先生の攻撃を見ることなく大岩の陰へと走っていく。
「岩の裏に隠れても無駄だ!消えろ!」
花家先生のドラゴナイトクリティカルストライクが放たれた。岩に隠れた瞬間、自分の周りは攻撃の光に包まれる。
「フン…やったか。」
-鋼鉄化-
「何!?」
そう、自分は岩陰にトロフィーが置かれていることに気が付いたのさ。自分が爆走バイクを起動することでゲームエリアが広がり、トロフィー型のエナジーアイテムがエリアのあちこちに点在していた。そのうちの1つと岩でスナイプの必殺技から身を守ったのだ。
「今度はこっちがノらせてもらうぜ!」
-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ドラゴナイト クリティカル ストライク!-
同じように今度は自分がドラゴンヘッド、ドラゴナイトガンから火炎放射とキャノン砲を繰り出す。最後に近くまで接近しドラゴナイトブレードで斬撃のとどめ、完璧だ。
「ぐあああ!!」
花家先生が悲鳴と共に爆散する。ゲームの世界とはいえあんまりいいもんじゃないが…。
「とりあえず迎撃は成功か。」
「そいつはどうかな?」
自分の独り言に反応してきたやつの声は自分と同じだった。振り向くとそこには黒貴利矢が立っている。
「あらら、連戦ですか。」
「花家先生から位置情報はきっちり受け取ってたからな。自分が完全な存在になるために消える準備は出来てるだろうな?」
まさかほぼそのまんまのセリフをゲーム世界の自分が言うとは…。
「悪いがノる気はねえ。ここで決着と行かせてもらおうか!」
-爆走バイク!ドラゴナイトハンターZ!-
「いいねぇ。お宝捜しも最終決戦といこうか。見せてやる、これがお宝 爆捜トレジャーのガシャットだ。」
そういうと黒貴利矢は黄土色のガシャットを自分に見せながら爆走バイクと共に起動した。
-爆走バイク!爆捜トレジャー!-
「それがお宝…そいつを奪えばいいってことだな!5速!」
「やってみな、出来るもんならな。爆速!」
「「変身!」」
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!ド・ド・ド・ド・ド!黒龍剣!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!-
-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!シャ シャ シャベル シャベルで 爆捜!トレジャーハント!爆捜トレジャー!-
自分はプロトハンターバイクゲーマー レベル5 フルドラゴンに変身完了…だが