仮面ライダーエグゼイド レジェンダリー・エンディング   作:エクシ

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天才外科医 鏡飛彩はCRのドクターとしてバグスターウイルスから患者を救うべく活動していた。飛彩は霧島の正体と目的を知るために幻夢VRを使って仮面ライダーブレイブに選ばれたアメリカでの試験を遡る。第一試験で霧島を追い詰めるも謎の仮面ライダー フェイスの妨害を受ける飛彩たち。そしてそのフェイスの正体が根守川という男だということがわかる。


第3話「明かされるreal face!」

今朝も檀黎斗の挨拶から始まる。退屈な時間だ、早く終わってほしいものだが。

 

 

「今回残られた10名の皆さん、おめでとうございます。…しかし第二試験を行うにはこの人数…少々多すぎるのです。そこで第二試験の予選をここで挟ませて頂きます。」

 

「何!?」

 

 

そんな話、聞いていないぞ!?檀黎斗め…。

 

 

「簡単な予選内容です。前の仮面ライダーの変身者の方にもやって頂いたテストでして…。」

 

 

無免許医もやっていた試験だと?こんなこと過去にあったか?

 

…事実と異なるルートに入っている。VRだからといってここまでリアルに再現されるとはな。俺や監察医が動きすぎたせいで変わってきてしまったようだ。

 

 

「バグスターを斬って頂き、そのスコアで競って頂きます。その上位5名の方を合格者として第二試験に進んでいただくという形で。」

 

 

なるほど、それなら問題ない。バグスターの切除などこれまで何度もやってきたことだ。

 

 

 

 

 

「全ての方の試験が終わりましたね。それでは結果を発表させて頂きます。パーフェクトは鏡飛彩先生、ただ一人でした。」

 

 

当然の結果だ。さぁ次は誰だ。やはり実戦経験豊富な監察医が来るところか。

 

 

「次は…。」

 

 

檀黎斗がチラリとこちらの方を向く。何が言いたい?

 

 

「…根守川岳さん。」

 

 

…!なるほど、さすがは軍事会社勤めといったところか。戦闘経験が一枚上手だったか。それにしてもプロとして恥ずべきことだぞ、監察医。

 

 

「次は李恩命さん、ジャン・ジェイムズ・マックエルさん。」

 

 

おい、まさかギリギリ合格か?何をやっているんだ…。

 

 

「そしてエドワード・ハバシュ先生。」

 

 

…!?落ちた…だと?「あちゃー」じゃない!

 

 

「どういうことだ!」

 

「あー癖でさ、剣じゃなくて蹴りで結構倒しちゃって…ハハハ…。」

 

「ゲームが苦手など人に言える立場か!」

 

 

くそ、こうなれば根守川と直接やり合うのは俺だけになったか。

 

 

「鏡先生、よろしくお願いしますよ。」

 

 

前夜祭でも声をかけてきた銀髪の男。確かエドワード・ハバシュと呼ばれていた。

 

 

「あぁ、こちらこそ。」

 

 

前とほぼ変わらない返しで済ませておいた。今重要なのは根守川だ。奴はというと澄ました顔で手に付けた黒革の手袋を直している。第二試験で化けの皮を剥がしてやる。

 

 

 

 

 

第二試験の会場はアメリカの広大な土地をこれでもかと利用した超大規模空きスペースであった。ただ巨大プレハブが建てられているだけで中は空洞。ここで何をするのだろうか。

 

 

「まずはペアを決めて頂きます。」

 

「ペアですカ?」

 

「えぇ。先ほど敗退された5人の中で最も気に入られた方を選んでください。その方があなたの第二試験のパートナーとなりますから。」

 

 

なるほど、そのための第二試験か。オペは共に行う仲間を選ぶことも重要。幻夢コーポレーションや檀黎斗がこれらを医療行為と見なしてのことなのかわからないが、確かに試験の一環として悪くはない。俺は自分でオペをこなして見せるがな。

 

まぁ選ぶとすればやはりここは監察医…。

 

 

「私は九条貴利矢さんを希望します。」

 

「何!?」

 

 

根守川が挙手し監察医を指名した。コイツ…どういうつもりだ!?

 

 

「はーい、その話、ノった。」

 

 

監察医は俺の方を見てウインクをした。…まさか檀黎斗とここまで作戦を考えていたのか?俺に言っていなかったのは少々不服ではあるが悪くない。パートナーであれば一番近くで見張ることが出来るからな。

 

こうして俺たちはペアをつくることとなった。俺のペアは…申し訳ないが名前を覚えていない。患者には極力関わらないスタイルはここでも貫かせてもらう。

 

 

「ではこの巨大プレハブ小屋の中でタッグバトルをしてもらいます。」

 

 

なんだ、またサバイバルか。

 

…根守川を叩くにはこのスタイルが最適…ということだな。檀黎斗なりの計らいというやつだろう。

 

ペアごとにプレハブのあちこちに散って配置に着いた。誰でもいいと思い選んだペアの男は同じアジア人のようだが英語が通じない。選択をいい加減にし過ぎたか?

 

 

「スタートです!」

 

 

檀黎斗のかけ声と共に敵が動き出す…かと思いきや襲ってきたのはアジア人のペアの男だ!

 

 

「何!?」

 

「○×♪※~!」

 

 

何を言ってる!?くそ!コイツは仲間じゃなかったのか!?

 

 

 

 

 

一方の監察医も根守川を襲うが攻撃を避けられてしまっていた。

 

 

「どういうつもりです?」

 

「檀黎斗は敗退者たちに『自分のペアを倒せば最終試験に通す』って言ったんだよ。仲間だと思っていた奴にも警戒出来るかってことだな。」

 

「…なるほど。」

 

「まぁそんなことはどうでもいいんだ、フェイス。」

 

「?」

 

 

根守川は顔をしかめる。フェイスと呼ばれてもピンと来ないようだ。

 

 

「そんなとぼける必要はないぜ。自分はお前がフェイスだってのを見てっからよ。言っとくけど嘘じゃねえぜ。それをわかってお前も自分を指名してきたんだろ?」

 

「いえ、私はただあなたの戦闘技術を買って…」

 

「へぇ…じゃあ力づくで聞くしかねえか!」

 

 

そう言うとゲーマドライバーを腰に巻く監察医。ポケットから爆走バイクガシャットと檀黎斗から預かったプロトギリギリチャンバラガシャットを取り出す。

 

 

-爆走バイク!ギリギリチャンバラ!-

 

 

「2本…?」

 

「3速!変身!」

 

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!アガッチャ!ギリ・ギリ・バリ・バリ!チャンバラ!-

 

 

レーザー プロトチャンバラバイクゲーマー レベル3に変身、これで監察医もやっと人型になることが出来た。腕と足の部分だけモノクロではあるものの元々のチャンバラゲーマは黒い部分が多いことからそこまでの違和感を感じさせない。

 

 

-ガシャコンスパロー!-

 

 

「ノリノリで行くぜぇ!」

 

「問答無用という奴か。仕方ない。」

 

 

-タドルクエスト!Enter The GAME!Quest The START-

 

 

根守川はクエストプレイヤーに変身をする。

 

 

「おいおい、フェイスに変身したっていいんだぜ?せめてゲーマドライバーを使えよ。」

 

「私はゲーマドライバーを持っていない。むしろあなたがなぜ持っている?敗者はゲーマドライバーを与えられるのか?」

 

「とぼけてくれちゃって!」

 

 

監察医がまずガシャコンスパローによる射撃でクエストプレイヤーを攻撃する。軍事会社所属ならではの身のこなしとリヴァーサルシールドによる防御でほとんどダメージを受けていない。

 

 

「レベル1のアンタがレベル3の自分に敵うかよ!」

 

 

-ス・パーン!-

 

 

Aボタンを押すことでガシャコンスパローを鎌モードに変形させ監察医の得意な近接戦闘に持っていこうとする。1対の鎌が何度も根守川を襲うがそれをゾンビゲーマー並みの体の柔らかさで華麗に避けていく。

 

 

「くっそ!なんで…!」

 

「戦闘経験の差ですよ。」

 

「自分はこれでも仮面ライダークロニクルを乗り越えたんだぜ!」

 

「…?」

 

「やっぱ使うか!」

 

 

左手のガシャコンスパローを手放しキメワザスロットホルダーのサブガシャホルダーから紺色のガシャットを取り出そうとする。しかしその隙をつかれ左手に根守川の蹴りが入る。

 

 

「ッ!」

 

手にしていたガシャットを手放してしまいそれをキャッチする根守川。

 

 

「くそ!」

 

「こちらを檀黎斗から受け取っていましたか。」

 

 

-シュシュットニンジャ!-

 

 

そのガシャットを起動させる根守川。ゲーマが出現するように単眼の忍者が1人現れる。フェイスの顔にかなり似ている。

 

 

「ニンジャゲーマ…?」

 

「やれ!」

 

 

後に忍者プレイヤーと呼ばれるようになるがこの時はまだモノクロの姿な上にゲーマ扱いだ。ニンジャゲーマと呼ばせてもらおう。

 

 

「く…めんどくせえ!」

 

 

-ガッシューン!ガシャット!キメワザ!ギリギリ クリティカル ストライク!-

 

 

プロトギリギリチャンバラガシャットをキメワザスロットホルダーに装填することで右手に握っているガシャコンスパローのスパットエリミネーターが紫色に光り輝く。

 

 

「喰らえ!」

 

 

ギリギリクリティカルストライクを飛ばす監察医。その攻撃をニンジャゲーマはまともに受ける。しかしその横をすり抜けて根守川が監察医に接近してきた。

 

 

「何!?」

 

「タドルクリティカルストライク…!」

 

 

根守川の体当たり…タドルクリティカルストライクが監察医に命中。その衝撃でゲーマドライバーごと根守川の方へと吹っ飛んだ。

 

 

「イッツ…くそ!」

 

 

監察医の完全敗北だ。おまけにゲーマドライバーまで奪われてしまった。

 

 

 

 

 

俺もその頃、ペアとなったクエストプレイヤーと戦いを強いられていた。これでは他の奴らと戦闘どころではない。まずはコイツを切除しなくては。

 

 

「○♪※×○×♪※♪※!」

 

 

何かを言いながら取り出したのはドラゴナイトハンターZガシャットよりも煌びやかな金色のガシャットだ。

 

 

-ジャラジャラカジノ!-

 

 

起動音がなるとカジノゲーマがクエストプレイヤーの後ろから飛び出してきた。何だかビートゲーマに形状自体は似ている気がするが…とても派手だ!胸の部分ではスロットが回転している。どうやらギャンブルのゲームらしいな。

 

 

「運だけで俺を倒せると思ったら大間違いだぞ。」

 

「○♪※♪○×♪※×○×♪※♪※!」

 

 

また何かを言いながらプレイングスターターを押すクエストプレイヤー。すると一番左のスロットが7を示して停止した。

 

 

「…?」

 

「♪○×♪※×○×♪※!」

 

 

再びクエストプレイヤーはプレイングスターターを押すと真ん中のスロットも7で停止した。

 

 

「なんだ?」

 

「♪※×○×♪※!」

 

 

最後にもう一度押す。…まさか7が揃うと何か起きるのか!?今更気が付き止めようとするももう遅い。クエストプレイヤーは笑いが止まらないようだ。止まったのは…バグスターの顔だ。

 

 

「…?」

 

「……?」

 

 

コロン…。

 

出てきたのはコイン。数秒後小さく「ボンッ」と爆発する。これが攻撃…なのか?

 

 

「…タドルクリティカルストライク!」

 

 

同様を隠せないクエストプレイヤーを倒すのは簡単だった。アジア人の男を倒し俺はジャラジャラカジノガシャットを手に入れる。これが本当に使えるものなのかは分からないがな。

 

 

 

 

 

試験が終わった頃の檀黎斗は隠しきれぬ焦り顔をしていた。何があったというのだ?

 

 

「緊急事態だ。2組のペアが消えた。今から私は警察に行かなければならない!くそ!!」

 

「どういうことだ?監視映像は?」

 

「突然どこからか破壊されて見えなくなった隙をつかれた。恐らくフェイスの仕業だろう。あーこれで私のブレイブ試験がおじゃんになってしまったら…」

 

「少し黙れ!根守川はずっと監察医と戦っていたんだろ!」

 

「あぁ自分が証人だ。残念ながらな…。」

 

 

監察医は腕をさすりながら俺に言った。

 

根守川は…シロ…?ではフェイスが根守川というのは監察医の嘘だというのか?

 

 

「おいおい大先生、自分の言葉に嘘はないぜ。」

 

「真剣に話せ、監察医。」

 

「真剣だって!自分はいつもこんな感じでしか話せないだけ!あ、痛つ…傷が痛む~!」

 

 

…頭に血が上ってしまった。いったん落ち着こう。もし監察医の言ってることが真実なのだとしたら敵は顔を変える能力でも持っているというのだろうか?

 

…!そうか…わかったぞ。だからあの時奴は”あの言葉”を使っていたのか…!

 

 

 

 

 

その日の夜、俺はホテルのバーから出ることが出来るバルコニーを訪れた。先にいたのは俺と同じく最終試験に進むこととなったエドワード・ハバシュ。

 

 

「お前だったんだな。フェイスの正体。」

 

「…?なんのことだい?」

 

「良くも根守川に注意を引き付けその間に好き放題してくれたものだ。」

 

「んー何を言っているのか…」

 

 

エドワード・ハバシュがとぼけた顔を見せている隙をついてバーに置かれていたナイフを投げつける。とっさにエドワード・ハバシュの顔から手の形をしたバグスターウイルスが形成されそのナイフを受け止めた。

 

 

「ドクター・フェイス、それがお前の裏の世界での名だ。」

 

「…もうばれちまってるのか、仕方ないな。」

 

 

バグスターウイルスはすぐにまたエドワード・ハバシュ…いやドクター・フェイスの顔に吸収される。

 

 

「お前は身に纏わせているバグスターウイルスを操って顔を変えていた。監察医に見られていることに気が付きながら根守川の顔をコピーして変身解除をしたといったところだろう。」

 

「そこまでわかってるとはねえ。」

 

「檀正宗がまだ社長だった時の極秘ファイルを檀黎斗が見つけ出してな。そこには財団Xにいるバグスターウイルスを扱う医者 ドクター・フェイスのことが書いてあった。」

 

「ククク…それがなぜ俺だと気が付いたんだ?」

 

「初めて仮面ライダーフェイスとして俺の前に現れた時、お前は『これだけ暴れ甲斐のある”オペ”は久しぶりだ』と言ったな。多くの業界人がいる中でバグスターとの戦闘をオペというのは医者ぐらいだ。そして第二試験までに勝ち残った医者は俺とお前だけ。それで美容外科医、お前がドクター・フェイスだと特定できる。」

 

「うーん、でももし俺がドクター・フェイスではなかったら?ナイフで大怪我してたぞ?」

 

 

とぼけた表情を見せるドクター・フェイス。俺も少し冗談を言ってやるとするか。

 

 

「安心しろ、俺は世界一のドクターだ。傷一つ残さず治療してやる。」

 

 

ドクター・フェイスは鼻で笑うとゲーマドライバーを装着。そしてハリケーンサバイバルガシャットを取り出した。それを見た俺も檀黎斗から預かってきたゲーマドライバーを装着してタドルクエストガシャットを起動させる。

 

 

-ハリケーンサバイバル!-

 

-タドルクエスト!-

 

 

ハリケーンサバイバルガシャットを起動したことで展開されるゲームエリアからは段ボール型のエナジーアイテムが飛び出す。俺のタドルクエストガシャットからは当然宝箱だ。

 

 

「ランク2。」

 

「術式レベル2。」

 

「「変身!」」

 

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マキマキ!竜巻!ハリケーンサバイバル!-

 

-ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!-

 

 

俺はやっと仮面ライダーブレイブ クエストゲーマー レベル2に変身することが出来た。そしてドクター・フェイスは仮面ライダーフェイス サバイバルゲーマー レベル2に変身。

 

後に俺たちの前に立ちふさがることとなる仮面ライダー風魔の僕 忍者プレイヤーがモノクロになり、ギアスーツがエグゼイドやゲンム、レーザーターボ、クロノスと同じ柄に変わったような姿だ。しかしこのころの俺はまだ風魔を知らないから新たなライダーとの戦いだと緊張感に包まれていた。そしてこの戦いを本物の根守川が陰から見ていたことも俺は気がついていなかった。


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