何というか変な趣味を持った妹の話です。
こう言うキャラはnewgame!!的に在りなんでしょうかね??
この姉妹のキャラがなじめばいいんですガ…。
現在、九能ヒビキはプログラム班のヘルプとしてデスクに向かっている。
バグ報告作業の補助していた。
「分かってはいましたガ、
やはりというかきついですネ」
「ふっふっふ~、ヒビキん。
私たちの苦労を分かってくれたかい?
さぁ、敬うのだよ~」
それなりに集中力を要する作業であるデバッグ。
若干、嫌気がさした頃にヒビキは何とはなしに呟く。
彼が今ここにいるのワケがある。
鄕里の行動限界の回避のためにヒビキはしずくの命でここに回ってきたのだ。
二時間で大半の作業を終わらせる郷里のサヴァン能力は貴重だが、
余りそれに頼るのをしずく自身が良しとしなかったのだろう。
何より前日のコウの過去の暴露。
それが青葉たちから流出したのが大きい。
そそくさとしずくに談判を申込みヘルプに来ていたのだ。
コウに仕事を頼んで、小言を回避させた。
今、コウはぶつくさと文句を言いながらブースで絵を描き殴っていた。
そして郷里の状況に話は戻す。
しずくが言うには彼女のそれは万が一の切り札にしておく方がいい。
それがうみことりんと共に決めた言葉だった。
今、彼女は欠落した感情のリハビリのためコミュニケーションを兼ねて、
休憩中のキャラ班のもとに向かっている。
「ねねっち、そのキャラなのさ。
でもイイ方向に向かってるんじゃない?
さとりん、別に悪い子でもないし」
胸を張るねねに苦笑を浮かべてキーボードを打つツバメ。
彼女はにやっとした表情でヒビキに問う。
「まぁ、そうなんですけどネ。
あッ、今、青葉ちゃんとはじめさんとゆんさん抜けてるんでしたっケ?
残ってるのって紅葉ちゃン、橋本さンと…
キャラハンブースにお邪魔してる郷里ですカ?」
ヒビキはふと青葉たちが所用で抜ける事をコウにっていた事を思い出した。
自分もその近くにいたので、見つからぬよう忍び足で帰ってきたのだが…。
「でもさー、さとっちとあの二人って…」
「どんな会話するのか謎だよね。
ももと滝本先輩とさとりんって」
二人の言葉を横に聞きながらヒビキは在る懸念をしていた。
(あの二人、「在る」方だから暴走してないといいけド)
此処に来る前に厳重に注意しておいた妹の『何か』を思うと溜息を吐かずには居られなかった。
一応、二人とうみこにも離しておいた方がいいだろう、
そう思いネネとツバメに伝えることにした。
「あー…二人は率先して関わってくれるから、基本的に無事でしたけド…
心配事が在るんデ話しておいていいですカ?」
「ん?どういうこと?」
ねねはそう言いツバメは疑問符を浮かべてヒビキを見る。
「郷理の悪い癖の話ですネ。
こればっかりは7年前と同じでしたしネ」
肩をすくめてヒビキはとにかく口を開いた。
―――――――
「……」
「………」
「…………」
青葉とゆんとはじめは所用で席を空けて戻ってきたとき、
謎の混沌とした空間が三人にあった。
「えっと…これって」
「あっ、あー…会話が続かんかったんやなぁ~」
「いや、でもこの沈黙重すぎるでしょ!?
葬式みたいなテンションだよ!?」
暗黒の
そこに堕とされた(もしくは自ら堕ちた)可憐な年若い乙女たち。
滝本ひふみは涙を浮かべて縋るように三人を見た。
「………ひふみ先輩…」
青葉はがっくりとしたように肩を落として溜息を吐く。
最近は改善したと思っていたが、自分を遥かに超えるコミュ障の郷里。
彼女には勝てなかったようだ。
(いや、コミュ障で勝っちゃダメですけどっ!)
望月紅葉は冷や汗と硬い表情で目線を彷徨わせて三人を見た。
「もっ、紅葉ちゃん。
きっかけ掴めなかったんだね」
はじめはこの沈黙空間に放り込まれた彼女に素直に称賛を送ろうと思った。
この三人の中で比較的、話しやすいのがたぶん彼女だ。
初対面のとっつきにくささえ除けば、基本感性は自分たちに近い。
彼女は静かだが気が強いのだ。
気が強いというのは主張したいという意思の表れだ。
おそらく彼女も先導して話題を振ったのだろうが…。
まだ前よりはマシとはいえ、メールでの会話が主なひふみ。
そしてそれ以前の郷里という空間にいて、げんなりとした表情を浮かべた。
「しっかし、鄕里ちゃんは通常運転みたいやな…
コミュ障も突っ切るとコミュ強になるんやな」
「いや、コミュ強ってなんですかっ!?」
ゆんは感心したようにそういうが、
青葉は切羽詰まったようにツッコミを入れる。
「………」
鄕里はゆんと青葉の話の意味に小首をかしげる。
はじめはそんな彼女を見てあははと笑うだけだった。
「あーもうっ、こうなったら鄕里ちゃんと親しくなるにはまずっ、
彼女の好きなものを聞いてみましょうよっ!」
「うん…そう、だねっ」
青葉の勢い任せの提案にひふみは安心したように頷き微笑む。
紅葉も若干、助かったような安堵の表情を浮かべたが…
「あの、青葉さん…それ、私も聞きましたけど…
答えてくれませんでした…」
「そうなの?鄕里ちゃん?」
はじめの疑問を頷き、悟りは肯定する。
「ん~、何でなん?
話題が広がるかもしれへんやん?」
笑みを浮かべて優しくゆんは聞く。
鄕里は無表情のままでこう答えた。
「ヒビキおねーちゃんが、あまり私の好きなものは言わないほうがいいって…
夢中になって迷惑がかかるし、失礼だからって…」
辿たどしいが今までと違って若干、流暢な言葉遣いだ。
しかし、内容からしてヒビキが彼女をそう注意してるようだ。
「ヒビキちゃんが?
鄕里ちゃん、ええ子やん…なんで注意したんやろ?」
「迷惑がかかるって私たちに?」
はじめは目線を合わせて尋ねると、こっくりと彼女は頷く。
「でもっ、そんなことわからないじゃないですかっ!
ヒビキちゃんには悪いけどとりあえず聞いてみましょうよっ!」
青葉も困惑しながら、提案する。
ひふみたちも異存はないのか、頷き彼女を見る。
「鄕里ちゃん、とりあえず言ってみてください。
私たちはあなたを迷惑とは思いませんから」
紅葉は真剣な目で真っ直ぐ彼女を見つめた。
鄕里は数秒固まったあと、こっくりと頷いた。
「じゃ、言うね。私の好きなのは…」
ごくり、と一同の喉がなった。
「おっきな…おっぱい、かな」
ぴし。
青葉たちは固まった。
おっきなおっぱい?おっぱいって女性の胸部装甲のこと?why?
一同の頭の中によぎったのはそんな疑問の嵐だった。
「…私ないから、人のを見てるとつい触りたくなるの…
寝るときはお姉ちゃん、ヒビキちゃんのおっぱいにうずくまって寝てる…
やらかくて、あったかくて気持ちいんだよね」
辿たどしいのにどこか熱さを帯びた情熱。
それが言葉から伝わってきた。
「ちょ、なんやのっ!?
乙女に有るまじき情熱や熱量を感じるでっ!?」
「…これ、は…よ、予想外、だね」
「予想外どころか論外すぎるよっ…!
確かにこれはヒビキちゃんが止めるよっ!!?」
「あの、聞いてしまった以上どうすればいいんでしょうか…?」
「今回ほど、自分の前向きさを呪ったことはないですっ」
五人は円陣をその場で組んでそんな会話を小声で話した。
しかし、鄕里は察することも空気を読むこともせずに続ける。
「はじめさん、紅葉さん、ひふみさんを見てて…そのずっと触りたい、
揉みたいと思ってたの」
淡々とした冷徹な口調で鄕里はそんな事を暴露した。
暴露されたターゲット三人は顔を真っ赤にして固まる。
「いやいやいやっ、何を言ってるのさ!?
鄕里ちゃん!?」
「そっ、そうですよっ!
大体、同性の胸なんて面白くないでしょうっ!?」
「だって、私にはないし…妬むよりは愛でたいと思うから…ね?」
と言いながらゆんと青葉に目線を向けた。
「鄕里ちゃんっ!うちと青葉ちゃんを見んといてっ!
悲しなるわっ!!」
「そうですよっ!巨乳なんて捥げればいいんですよっ!」
青葉のその暴露にひふみはびくっと震えた。
「っっ、ひくっ…ぐすっ、あ、青葉ちゃ…ん、ごめんね…その…」
「っ!?いえいえいえっ!!
ひふみ先輩のことじゃなくてっ…!」
青葉にそう言われて涙を浮かべて謝るひふみ。
青葉はそんなひふみをおろおろと説得し始める。
「二人共大丈夫…ヒビキちゃんよりは無くても…
コウちゃんよりはあるから」
「いやいやいやっ、二人にとってはどうでもいい情報だからねっ!?
それっ!?」
はじめはその訳のわからないフォローに全力でツッコミを入れる。
一番の被害は妹2号にそんな情報をぶちまけられたコウ自身だろうが…。
「…で、私の好きなものを話したけど…触らせたり、揉ませたり、
埋めさせてくれるんですよ、ね?」
無表情ながら真剣な目でじーっと鄕里は見つめる。
はじめとひふみと紅葉はその視線にうっとたじろぐ。
助けを求めるように対象外の二人を対象者たちは見るが…。
「まぁ、頑張りや…うん」
「はじめ先輩、ひふみ先輩、紅葉ちゃん…ファイトですっ!」
そしてキャラハンのブースは甘い百合の香りに心なしか包まれた。
数十分後。
顔を真っ赤にしながら息を整え、
椅子にぐったり座る三人の姿があった。
青葉とゆんは顔を真っ赤にしている。
「ふぅ…」
鄕里はどこかつやつやとした無表情でそう言った。
はじめもひふみも紅葉も顔を真っ赤にして小さく吐息を繰り返してる。
青葉とゆんは顔を真っ赤にしながら、その光景を見ているだけだった。
「っ…はぁ…はぁ…
郷里さんはなんでそんなに上手いんで…っ!?」
紅葉は自分がとんでもない事を口走りそうになり、
顔を真っ赤にして口を噤んだ。
「うぅぅ~…」
自分の両胸を守るように抱いて、目に涙を浮かべて小刻みに震えるひふみ。
その涙は拒否や嫌悪というよりは艶を帯びていて…
(癖に成っちゃダメだっ!駄目だぞっ、ひふみっ!)
何かに抗うように戦う彼女が居た。
「郷里っ、ちゃぁん…酷いよォ…」
郷里の指技にいつものボーイッシュで快活な彼女…
はじめの雰囲気は、切なげな吐息と濡れた目で雲散霧消しており、
青葉とゆんにぞくぞくするような興奮を与えている。
「さっ、郷里ちゃん。
てっ、テクニシャンすぎるやろ~…」
「うぅぅ~…今夜帰っても眠れないかもしれませんっ」
両手を顔に当ててゆんは顔を振る。
青葉は目を閉じて深呼吸をして興奮を落ちつけようとしていた。
一方、その頃。
「えぇぇっ!?
さとりんっておっぱい星人なの!?」
ねねは困惑したように声を上げてヒビキに尋ねる。
ツバメはその言葉を聞いて、若干引き攣った笑みを浮かべていた。
「しかし、女性の胸なんて脂肪のようなものでしょう?
柔らかさ、形、大きさに違いはあれど同性が惹かれるものとは…」
所用から戻ってきたうみこが合流したところで四人は休憩時間に入っており、
郷里の好きなモノに関しての注意をヒビキは語っていた。
「自分より大きいものに関して憧れるって言ってましたネ。
そこら辺は昔から変わってませんガ、むしろそこら辺だけは消えてほしかったでス」
遠い目をしながら、ヒビキは天井を見た。
「でも、私たち触らせてとか言われた事なんかないけど…」
少なくともねねもツバメもうみこも郷里よりはある方だ。
しかし、迫られた事はない。
「まぁ、私が注意しましたからネ。
それに二人とも外向的じゃないですカ?
好きなモノを聞かなくても話題を提供してくれるというカ…」
だから、その話題に今まで触れずに済んでるというカ…
「成るほど、でも滝本さんや紅葉さんだと…
その話題が出るかも、と」
うみこは納得したように顎に指先を当ててふむと考える。
「ないとは思いたいけど、餌食になる確率も半々かなァ…っテ…
青葉ちゃんやゆんさんは大丈夫だと思いますけド…」
「ヒビキん、それちょっと地味に二人に酷いよ」
ねねは冷汗を垂らして半笑いで突っ込み、
ツバメは今日の夕飯はちょっと奮発してあげようと思うのだった。
そして郷里はこの日をきっかけに巨乳キラーのサヴァンという二つ名を手に入れた。
翌日、ヒビキは菓子折を買って巨乳組みに頭を下げたのは言うまでもない。
全く関係ないんですが、ニコニコ動画でハチさん作曲の「砂の惑星」が何となく、
九能姉妹とコウさん、紅葉ちゃんと青葉ちゃんぽい歌詞で気に入ってます。
「元通りまでバイバイバイ」とか。
「もう少しだけ友達でいようぜ」のワードはヒビキっぽいですし…
「君の心死なず居るなら応答せよ、早急に」が郷里に言ってる感じのヒビキっぽいです。
「砂漠にリンゴの木を植えよう」「後は誰かが勝手にどうぞ」
このワードはイーグルジャンプに功績を残してフランスに行くコウさんと
託された青葉ちゃんと紅葉ちゃんにも聞こえます。
私が推すまでもなく人気の歌ですが、かなりいい曲ですよねぇ。
ひょっとすれば無意識に影響を受けてるかもしれませんね(苦笑)
初音ミクが山田さんなので。