STEP by STEP UP   作:AAAAAAAAS

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今回、後書きに九能の名前がどういう感じで出来たのか。
書いてます。暇なら読んでください。


「それはそれで間違いじゃないけどさ。 どちらかというと互いに思うところがあるって感じだよ」

 あれから数日後…

 

 キャラデザ班の三人、プログラム班のうみことねね。

そしてインターン組の二人とコウとりんがある場所に来ていた。

 

 場所はスタジオのようだ。

その場所はイーグルジャンプのモーション班の会場だった。

 

 特殊な機材が置かれ、床に無数のコードが這っている。

大部屋であるそこの一角にはパソコンが置かれている。

彼女たち以外に何人かのモーション班の人たちと郷里がいた。

 

 そしてその中央には肩や膝などに特殊な機材をつけたはじめ、

そしてヒビキが向かい合っていた。

 

「いやぁ~悪いねっ、ヒビキちゃん。

 八神さんが言うには君ってとても運動神経がいいらしいじゃない」

 

「人並ですヨ。

 さすがにプロの方ほどじゃないでス」

 

「あはは、そんなの私もそうだよっ!

 でも、結構鍛えてるんでしょ?だったら平気だよっ」

 

 はじめはヒビキのことをあの後コウから聞いた。

何でも体力や機動力がかなりあるとのことだ。

 

 はじめとしては「ならっ、ヒビキちゃんにモーションキャプチャーやってもらおっと♪」

と軽いノリで響きは持ち掛けた。

 

 現段階で新入りのヒビキはやることが少ないので快く了承して今に至る。

ちなみに観客は仕事に余裕が出来たのか、見学することにした。

郷理の能力をうみこやりん、しずくが把握したのが大きい。

 

 例年よりもずっと余裕のスケジュールに一同の心は軽かった。

 

 ちなみにキャラハンの三人、そしてねねもモーションキャプチャーをやったことがある。

しかし散々だったので、後学のために見ておこうと思ったのだ。

 

「えっト、殴られて吹っ飛ぶシーンと殴って吹っ飛ばすシーンでしたっケ」

「そうそう。じゃ、私が殴るから吹っ飛んでね」

 

 そういうとはじめはこぶしを握って前のめりに振り下ろすように放つ。

無論、当てるつもりはなく空振りのモーションだ。

 

 ヒビキはそれに合わせて、なんとバク転して腹から下に落ちて地に伏せた。

 

「うわっ!すごいっ!本当にふっとんじゃったみたいですっ!」

 

 青葉は興奮したように拳を握った。

 

「いい運動神経ですねっ、彼女はサバゲーをやる基礎体力は既に出来てるようですねっ、

 歩兵や切り込みとして動かすべきでしょうか」

 

「う、うみこさ~ん」

「ねねっち…今は放っておこう」

 

 ヒビキの身体能力に目を輝かせてシュミレートした。

部下二人は気の毒そうにヒビキを見やった。

 

「ははっ、すごいすごいっ!

 私も後輩に負けてられないなっ」

 

 はじめは今度は殴られる役を担当する。

それに伴いヒビキは構えて、軽やかにステップをする。

 

「へぇ、ボクシングやってたの?」

「はいっ、ボクササイズですけどネ」

 

 しかし、様になるフットワークに一同は見惚れた。

 

「はじめはさんは感性と天性でアクションをするようですが…

 ヒビキさんは努力型のようですね。

 基礎を忠実にという感じでしょうか」

 

 うみこは二人の動きの傾向をそう分析する。

どちらかといえばヒビキの動きはうみこに近い。

 

「天性と感性のはじめさんに基礎と経験の動きのヒビキさんですか…

 二人が参加してくれればサバゲ―の優勝は確実ですね」

 

 彼女には珍しく目を輝かせ生き生きと興奮気味だ。

 

「あはごん…ちょっとは落ち着きなよ」

 

 コウは呆れた笑みを浮かべ、自分の妹分を見やった。

そして腕を構えたまま、上体をかがめヒビキは初めに近づく。

 

(おっ、早いっ!)

 

 そしてヒビキは上体をかがめてアッパーの空振りを放つ。

 

 空気が避けた音が響き、はじめは後方に大きく吹っ飛び回転してダウンする。

 

(やるなぁ…はじめさんモ…)

 

 アッパーが自分の顎にギリギリ迫るタイミングに合わせ、吹っ飛ぶ先輩に素直に感心した。

自分もやったがやや硬かったイメージがある。

 

「OKっ、ヒビキちゃんありがとっ!次は足モーション、

 投げモーションどんどん行くよっ!」

 

「はいッ!」

 

 二人は身体能力の限りを尽くしてモーションを読み取っていく。

時には槍や刀のレプリカを使い、鎧をまとったりした。

 

 その一連の戦闘動作に青葉たちからの称賛の声が沸いた。

 

「まるでアクション映画見たいですっ!」

「ヒビキの体裁きは冴えてるな。相変わらず」

 

 青葉の称賛にコウは笑みを浮かべてみていた。

 

「ん~でも、体力あるんはともかくとして…なんであそこまで動けるんですかぁ?」

 

 ゆんは人差し指を頬にあて首をかしげる。

それはコウ以外の全員、疑問に思っていた。

 

「そういえばそうだよね…。

 なんでヒビキンはあんなに運動神経がいいんだろう?」

 

 ねねははじめと殺陣をしている彼女に疑問符を浮かべた。

コウはその言葉に肩をすくめて苦笑した。

 

「それはね。インディーズバンドだからこその世渡りだよ」

「コウちゃん?どういうこと?」

 

 その言葉に親友のりんは分からず首を傾げる。

 

「ある程度メジャーなバンドはともかく、インディーズは一から集客しなきゃいけない。

 だから音楽以外に様々なパフォーマンスを覚えて印象に残らないとダメなんだよ。

 そのパフォーマンスが笑いだったり、芸だったり、圧倒的な技術だったり」

 

 世知辛い話だけど、音楽だけで音楽活動は難しいんだよ。

客の記憶に残るのはさ。

 

「成程…ヒビキちゃんは客寄せのためにそう言った芸を覚えたんですね」

 

 ちゃんづけに抵抗を感じながらも紅葉は彼女を見つめた。

 

「ちなみにあいつ、中級程度の手品やジャグリングもできるぞ?」

 

『えぇぇぇえ!?』

 

 コウの暴露に青葉たちもさすがに驚く。

 

「音楽で残る、記憶に刻まれることをする。

 それくらいの努力はあいつにとっては当然のことなんだよ」

 

 そこの言葉にツバメは一種の尊敬に似た感情を抱いた。

 

「ヒビキンも必死だったんだ。

 私も見習わないとなぁ…」

 

「そうだね。あいつは確かに新入りだけど、そこら辺の貪欲なまでの向上心、

 アーティストとしてのプロ意識は一番持ってるんだよ」

 

 そういったところが私の自慢の妹さ

 

「あいつを見てると分野は違えどアーティストとして負けてられない。

 姉としても」

 

 そのコウの言葉に青葉たちはヒビキに目線を向けた。

青葉たちは殺陣を繰り返し、仕事をこなしていくヒビキをじっと見つめた。

 

 本人はちゃん付けを望んだが、

その意識や心構えは自分たちよりプロ意識を孕んでるように感じた。

 

「八神さんとヒビキちゃんってある意味、

 ライバルみたいなもんなんやね」

 

 ゆんは感心したようにそう呟くものの、コウは苦笑して呟く。

 

「それはそれで間違いじゃないけどさ。

 どちらかというと互いに思うところがあるって感じだよ」

 

 

 

 それにライバルは多分、これから出てくるさ。

 

 

 

 コウはそう言うと青葉と紅葉を見た。

 

「やっ、八神さんっ!?

 もしかして私たちですかっ!?」

「何か、恐れ多いですよっ、もうほんとにっ」

「おいおい、何言ってるんだよ?

 私を超えないと夢は叶わないんだぞー」

 

 弱気な二人に近づき両手で拳を作り、

ぐりぐりと二人の頭を拳で擦る。

 

「いたっ、いたたたっ…」

「痛いですよっ、八神さん」

 

 二人のリアクションを面白げに見ると目を離し、

郷理に目を向けた。

 

「………」

 

 コウは郷里に近づき、彼女の頭を撫でた。

 

「ごめんな、今まで会いに来なくてさ。

 はじめとヒビキの作業が終わったら私のデスクに来てよ」

 

 お姉ちゃんから七年越しの贈り物があるんだ。

 

「……」

 

 そのことばにさとりはこっくりと頷いた。

彼女の過去を知るコウはその様子に胸が締め付けられる。

しかし、無理に笑って彼女の頭を撫でた。

 

「コウちゃん…」

「八神さん…」

 

 りんと青葉はその様子を見守るしかできなかった。

 

 そしてその作業が終わった後、

はじめははしゃぐようにヒビキに抱きついた。

 

「凄いっ、凄いよっ!

 今回のモーションはすっごく良いのとれた気がするっ!

 モーション班の皆も満足してるしっ、言う事なしだよっ!」

 

「ハハッ、お役に立てたなら良かったでス。

 私も久々に動き回れて楽しかったですシ」

 

 抱きついてくるはじめを受け止めて、

ゆっくりと引き離して笑いかける。

 

「次回もまたよろしくねッ!ヒビキちゃんっ」

「あーはいはい。

 はじめぇ、ヒビキちゃんテンションに付いてかれんようになりそうやん。

 先輩なんやからちっと落ち着きぃ」

 

 元気良く絡むはじめを嗜めるよう、

ゆんは呆れながら溜息を吐く。

 

「大丈夫ですヨ。

 それに元気に構ってくれる方が私的に助かりますかラ」

 

 ゆんに肩をすくめて笑顔で言う。

しかし、その意味や真意をゆん達は知っているので重く感じる。

 

「いヤ、大丈夫ですからッ、私たちの事で落ち込まないでくださいッ!」

 

 ゆんはその一言を強がりと感じたのか、

ヒビキの手をとってうるうるを見上げる。

 

「大丈夫やでぇっ、うちが常に気を掛けて構ったるからなぁ」

「うん、私もヒビキちゃんに構い倒すからねっ!」

 

 先輩二人の熱すぎる抱擁にたじろぎながらもヒビキは満更でもないのか、

困った笑みを浮かべて受け入れていた。

 

 ヒビキ的には周りの暖かな視線が辛かったが、

もう諦めた。

 

「えっと、郷理とねぇ…八神さんハ?」

「普通に姉さんと呼んでもいいんだよ?

 むしろ私も君みたいな子にお姉さんと呼んでもらいたいね」

 

 うみこはしずくの一言にエアガンを構える。

 

「っと、おふざけはそれくらいにして。

 二人ならキャラハンのブースに向かったよ。

 七年越しのプレゼントとか言ってたね」

 

「あー…だったら、こっちも渡したいモノを渡しときますかネ」

 

 その言葉にひふみは思い出したように風呂敷に巻かれた何か、

それを両手に持ってきたのを思い出した。

 

「何か…持ってきていた、ね?

 何を持ってきていたの?」

 

「んー、特定の人以外には余り意味がないものですネ。

 大したモノじゃないですガ…青葉ちゃんや紅葉ちゃんには宝になるでしょうネ」

 

 青葉と紅葉を見てヒビキはそう言う。

 

「私たちにとってはいいモノですか?」

「ちょっと、想像できませんね」

 

 二人もヒビキの持ってきたものに興味はあったので、

聞き返すが彼女は含むように笑む。

 

「あーでもっ、これ姉さんには内緒にしておきたいんですよネ。

 取り上げられそうですシ」

 

 その一言に一同はざわついた。

最初に食いついたのはりんだった。

 

「ちょっと、ヒビキちゃんっ!?

 何を二人に上げるつもりなのっ!?」

 

「?んー…ちょっと秘密ですネ。

 二人には姉さんの件で手伝ってもらったのデ、プレゼントですヨ」

 

 その言葉に青葉と紅葉は恐縮してしまう。

 

「そっ、そんなに気を遣わなくてもいいんですよ?

 大した事なんてしてないんですし」

 

「はいっ、私たちはそうしたいと思っただけなんで」

 

「なら、言葉を変えテ…私が持っていてもしょうがないモノなのデ、

 多分、上手く使ってくれるのが二人なんじゃないかなと思ったんでス」

 

 その言葉に意味が分からなかったが、

二人にとっては良いものらしく、ヒビキには意味がないものらしい。

 

「んー、分かりました。

 とりあえず見てから考えます」

 

「このまま拒否するのも、ちょっと失礼な気もしますしね」

 

 とりあえず青葉、紅葉は了承した。

そしてヒビキから貰うモノが言葉の通りのモノだと知ることに成る。

 

 

 そしてとりあえず一行は少し先にでたコウを追うようにブースに足を運んで行った。

 

 




newgame!のオリジナルの話をつくり、
オリキャラを出すときは最低誰かと関わるキャラの設定にしようと思いました。

個人的にこの中だと八神さんの過去がぼやかしてる部分(7年前)があるので、
そこに因縁や関わりがあるキャラを作り今に至ります。

八神という名字なのでそれに続く『九』が入った苗字にしようと思い、
『神』は最近の風潮だと才能や能力ある人が何かをやらかす
のを『神』と評価するので…『能』という字を組み合わせて『九能』に決定。

そして苦悩とも掛けてます。
更にnewgame!の作者様の得能さまの苗字にも掛けてました。

そして当初は姉と妹の名前は逆でしたが、音楽関係なのでヒビキに。
カタカナ読みはコウに合わせてます。

そして「苦悩が響く」という意味も持たせてました。

唯、これはけっして後ろ向きな意味ではありません。
後、八神さんの生きざまを説明できるキャラの役目もあります。

 そして妹はサヴァン症の天才プログラマーという達観した雰囲気にしようと決めてたので、さとりという名前です。

「苦悩を悟る」から取っています。

 彼女の名前も八神さんの生きざまを露わしてますが…
どちらかというと青葉、紅葉が向かう道を表そうと思ったので名前は漢字表記です。

 そして二人の兄の名前は原作者様の名前から取りました。
以上です。

 それでは。

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