web小説自体初めてなので、読み辛いかもしれませんが、ご了承下さい。精進致しますので。
とりあえず書き出してみたら止まりませんでした。
プロローグは重い内容ですが、本編までお待ち下さい。
プロローグ 1
一緒に死んだ。
練炭とガムテープ、自分の車、そしてライター。この4つを揃えて、山の奥地で。
俺は彼女の一緒に死んだ。
動機はある。
「治る確率は極めて…今の…技術では…」
医師が彼女のいない場で、両親に伝えた言葉である。
彼女が重い病に伏した事、底の見えない医療費の為に死にもの狂いで働き、微かな希望にを見ていた彼女の母が鬱になった事。
繋がるようにして、その二人の面倒を見る父が限界を超え、娘の事さえ忘れた、狂い人となってしまった事。
彼女にとって、不の連鎖はこのように見えた。
「私の所為なの」
病に伏した事が全ての原因で、彼女自身が元凶だと彼女は考えた。
そして、彼に対してこう言った。
「きっと治らないから。終わりにする。」
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俺は彼女を愛している。
この世の何よりも大事にしている。
それこそ自分の命よりも。
そんな愛しの人は、今俺の隣で悲しそうに前を見ている。
そりゃそうだ、今から死のうってんだから。
2日前、彼女は終わりにすると言った。
俺はわかっていた。そして頷いた。
俺に身寄りは無い。無いと言うのは語弊があるが、俺にとって肉親などいない。
捨てられた身だ。施設育ちというやつだ。幼い頃に捨てられ、最初に顔と名前を覚えたのは、施設のおばちゃん。
愛してもらえたのかもわからない。実際幸せではなかった。ただ、おばちゃんの作るご飯はどれも美味しかった。
中学を卒業して、おばちゃんのツテで仕事を紹介してもらった。基礎コンクリートを打つ仕事、いわゆる土方である。
人と話すのは苦手なのに、現場の親方はわからんことは聞けと言う。グイグイ来る。どうしようと悩んでいるとなぜ聞かないのかと叱られ、最後に「勘でやれ」と言う。
仕事を変えようにも、辞めます。の一言が言えないままに三年が過ぎた頃、仕事中に脚を骨折した。一週間の入院生活の幕開けだ。
正直嬉しかった。冷房の効いた病室で一週間とは、まるでバカンスだった。
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入院して1日目、DSを開いた。
唯一の娯楽のモンスターハンターダブルクロスである。ただ、モバイルルーターは持っていないのでオフラインだけど。
正直下手だ。オンラインでやっていた時によく見た名前の隣の王冠は、ほとんど他プレイヤーの力で付いたようなものだし。
一週間暇なので、"アル"と名を付けたサブキャラを作って一から始めることにした。
全てソロ、一週間でHR解放まで進める事が出来れば俺の勝ち、出来なければ俺の負け。
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4日目、G級ババコンガに三乙を貰い、DSを閉じ、イヤホンを外した。悔しいなぁと天井を見ていると、隣の病室から何やら音楽が聞こえる。
すぐにわかった。タマミツネの戦闘BGMだ…
と言うことは、隣の部屋でもモンハンをやっている人がいる!気づいた時にはナースコールを押していた。コミュ症なのを忘れて。
なんとか看護師さんに事情を説明し、看護師さんは隣の部屋へ行った。
数分後、看護師さんさ一枚の紙を持って、
「この紙を見ればわかるはずですって」
と言って俺に小さなメモを渡した。
小さなメモには、
[部屋を作って頂けますか、ローカルで入室しますので。よろしくね。]
とあった。ソロ攻略の縛りを忘れ、と言うかその縛りを辞めて、部屋を立てた。
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「ミツネが入室しました」
最初の出会いはこの一言。一言というか、一文と言うか。
武器は双剣、防具は天眼一式に業物。
そして、女性キャラ。
本当に来てくれたと、俺は嬉しい思いでいっぱいになり、定型文にあるのにわざわざ手入力で
「よろしくお願いします」
と送った。
「よろしくね、ミツネです」
「こちらこそ、アルです」
「私、マルチは初めてで…」
「ローカルだし、ゆっくりで良いですよ」
そこからはゆっくりながらも、たくさんのクエストとチャットを楽しんだ。
ソロ縛りを辞めた事から、入院の経緯までチャットで話し、次の日にまたマルチをする約束をした。
流石に施設育ちの話はしなかった。
ただ、その中でミツネが言った、
「私、結構ここの古株なんだよ~」
が少し気になった。
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六日目の夜、HRの解放どころか、HRは100を超え、名前の隣には小さな王冠が付いている。
ちなみに、ミツネは勲章をコンプリートしており、名前の隣には赤王冠が輝いている。
いわゆる、完全クリアである。ソロで。
彼女は異常なまでに上手かった。スタイルは全て使いこなし、被弾を見たのは初めて一緒に行ったクエストのババコンガでの一度きり。それも俺が盾コンを彼女へ当ててしまった事から起き攻めを食らった事だけ。
それ以外はノーダメージでクリアする。
回避性能を持っているとは言え、攻撃を掻い潜って舞う様に戦う姿には美しさすらあった。
防具は天眼意外持っていないそうだ。
一度、火力盛りの装備などいろいろと作ったそうだが、全て売ったらしい。
なぜ?と聞くと、天眼一式が一番好きだから。らしい。
ちなみに、俺は火力に貢献できないので、サポートライトやサポート片手でチミチミ戦った。
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ミツネと、アル。
美しく攻める、ミツネ
陰でコソコソと動く、アル
二人のハンターは、まるで長年のダッグの様な連携で狩りを楽しんだ。
お互いは、お互いの本当の名前を知らない。
読んでいただき、ありがとうございます。
感想などありましたら、どうぞよろしくお願いします。
誤字、脱字等ありましたら、そちらも合わせてよろしくお願い致します。