結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

『アサルトリリィ』と『リリカルなのは』のコラボが始まりましたが、ガチャはどんな感じでしたか?
私は……、やや爆死したかも。(まだ1人だけお迎え出来てないんです……!)

……さて、それはさておいて、前回も話した通り、今回はこの2人に焦点を当てていきます。


9:両手に花

事の発端は、放課後の部室。皆が室内でリラックスする中、流星の何気ない一言から始まったと言えよう。

 

「ううむ……。実に摩訶不思議だ!この2人、見ればみるほど、似ているものだな!」

「「え?」」

「こうして流星の声に同時に反応する辺り、何か逆に怖くなるな」

「凄いです……!」

 

同時に首を傾げるダブル友奈を見て、司と杏も、俄然興味を持ち始める。

 

「けど、不思議なもんだよな。こんだけ双子か、っていうぐらい似てるのに、実際は血の繋がりもない、別人なんだろ?」

「何なら、乃木が若葉の子孫って言われるより、よっぽどしっかりくるわね」

「うーん、そうかも〜?でも、私にはそのっちがいるよ〜」

「それはどっちも乃木園子だからだろ」

 

のほほんとした園子(中)の発言に、早速ツッコミを入れる巧(中)。

そんな中、樹がふと思い出したように、こんな話題を口にする。

 

「えっと、世界には自分に似てる人がいるって聞いたことありますけど……」

「ドッペルゲンガーですね」

「ドッペルゲンガー?何スかそれ?」

 

聞いた事のない単語を耳にして、頭上に『?』を浮かべる冬弥。それに対して答えたのは、園子(小)。

 

「はいは〜い!ドッペルゲンガーって言うのはですね〜。姿形が全く同じ、分身体の事を指すのです〜。簡単に言えば、自分から抜け出た霊体が物体化したもので〜、昔から、その霊体と本人が近づくと、死が近づいている証だと言われてるのです〜」

「ヒィ……!改めて聴くと恐ろしいわね……!」

 

これを聞いて体を震わせたのは、部員の中で1番のお化け嫌いであるのは言わずもがな。

 

「さすが園子ちゃん。詳しいな」

「えへへ〜。創作の嗜みですよ〜」

「っとまぁ、話が逸れたけど、近い将来、友奈と同じ姿の奴がもう1人増えそうな気がするよな」

「確かに……」

 

すると、兎角と紅希の会話を聞いて、困ったような表情を見せる人物が。

 

「友奈ちゃんが3人……。それは困ったわ」

「どうしてよ?東郷なら狂喜乱舞しそうなものじゃない」

「狂喜乱舞って……」

 

夏凜のあんまりな発言に、巧(小)はオイオイ、と嗜めようとするが、その傍らで、東郷は真剣な表情のまま、こんな悩みを打ち明ける。

 

「だって、既に両手に友奈ちゃんなのよ?増えた1人には……、何をして貰えば良いの?」

「「……好きにしなさいよ(しろよ)」」

 

聞くだけ無駄だった、と言わんばかりに呆れた表情を見せる夏凜と巧(小)。

すると、はたと悩んでいる少女を挟むように、2つの人影が忍び寄る。

 

「両手に私って」

「こんな感じ?」

 

結城と高嶋、2人に手を握られた事で、東郷は息が詰まり、恍惚とした表情を浮かべる。その目の輝き具合といったら……。周りの面々は、思わず後ずさってしまうほどだった。

 

「これは……っ!未知の力を感じる……!」

「未知の力って何だ?」

 

球子がそれとなく尋ねると、東郷はキッパリとこう言い切る。

 

「友奈ちゃん力」

「「私力⁉︎」」

「なんじゃその凄そうで実は特定のやつにしか効果なさそうなエネルギーは⁉︎」

「とにかく凄そうなのは分かったぞ!」

「友奈さん力……、友奈さんこそ、パワー……?」

「それって、どんなパワーなのかな?」

 

ダブル友奈からほとばしるであろう、謎多きオーラ改め『友奈ちゃん力』について様々な考察がなされる中、その集団から少し離れた位置で、その成り行きを黙って見ていた千景がポツリと一言。

 

「……あれ、どうにかならないのかしら」

「結論から言えば、無理だ。ま、放っておけばその内飽きるだろ」

「そう……」

「……」

 

藤四郎がチュッパチャプス(スイカ味)を堪能しながら、肩をすくめてそう呟く。この時、千景とは別に、高嶋と一緒にいる事の多い照彦も、黙ってはいたが、その目線はチラチラと、集団の方に向けられている。

流石に気を悪くしたのか、ドッペルゲンガー発言に端を発した彼女が、気まずそうに謝る。

 

「あ、あの、えっと……。何だか、ごめんなさい……」

「いや、気にする事はないだろう。友奈も楽しそうにしているわけだからな」

「そう、ですか……?」

「うむ!互いに打ち解けあっている、良い証拠だ!」

 

若葉と流星がそう語ると、千景も照彦も鼻を鳴らしながらそっぽを向く。最初のうちこそ、ゲームをやったり和菓子を口にしていた2人。が、依然としてやり取りが続いている友奈達を見ていると、ものの数分もしないうちに、意識がそちらに向いてしまい、

 

「気にしないわけ、ないじゃない……」

 

千景がそう呟くように、2人は次第にソワソワし始めてしまう。

すると、そんな2人に歩み寄ってきたのは、少し意外な人物だった。

 

「何て言うか……、素直じゃないですね、千景さんも、照彦も」

「っ⁉︎小川君、聞いてたの……⁉︎」

「まぁ、偶然聞こえてきた感じですけど」

「盗み聞きなんて、趣味が悪いわね、あなたも……」

「そ、それはすいません。……ただまぁ、声に出てなくても、表情見てたら、何となく想像はつきますよ」

「「……」」

 

声だけでなく、表情まで見られていた事に、思わず目を逸らしてしまう2人。

 

「あの……、東郷みたいに、とまではいきませんけど、2人も、もう少し自分に正直になった方が……」

「なら、それ以上言わないで。私は……!」

 

千景が反論しようとしたその時、彼女の視界が真っ暗に包まれる。と同時に、声だけがハッキリと聞こえてくる。

 

「ぐんちゃん!」

「(っ!高嶋さん……?)」

「目隠しをしてるのはどっちだ?」

「(これは……外せないわ……!)」

 

唐突に始まった、簡易的な目隠し当てゲーム。千景は間違えられないと意気込む。その表情が先程と打って変わって穏やかになっている事に、彼女は気づいているのだろうか。

 

「この手は……、高嶋さんね?」

「正解!」

「何で分かったんですか⁉︎」

「「スゲー!」」

 

2択とはいえ、見事に正解を言い当て、昴(中)だけでなく、晴人と銀も同時に叫ぶ。

それに対抗するかのように、この4人も鼻を高くした。

 

「タマは、あんずと調と司なら、当てる自身あるぞ!」

「うん、私も司さん達なら当てられると思う」

「……タマ、絶対に当てる」

「俺もこの3人なら問題ないぜ。なんだかんだで付き合い長いしな」

 

とりわけ調が、これほど自信満々に発言するのも珍しい。それだけ互いを知り尽くしていると言うわけだ。

 

「じゃあ次はてる君!」

「目隠しをしてるのは、だーれだ?」

「……き、急に塞ぐなよ!……っ、これは俺の知ってる手じゃないって事は……。結城友奈の方だな?」

「正解!」

「凄いよ2人とも!」

「わ、私の友奈ちゃんが……!次は私の番よ!」

「何、ムキになって張り切っちゃってるのよ……」

「良いよ!手加減しないからね、東郷さん!その次は、兎角だからね!」

「俺まで強制参加かよ⁉︎ったく、しょうがないな……」

 

そうして次々と目隠し当てゲームが進む中、若葉がふと、先程のやり取りで疑問に思った事を2人に問いかけた。

 

「千景、照彦。1つ聞きたいのだが、なぜ今のゲームで、どちらの友奈か分かったんだ?」

「それは……」

 

照彦がどう答えたら良いのか迷っている間に、東郷がクイズに正解した様子を見ていた千景が答える。

 

「高嶋さんは、高嶋さんよ……。どれだけ似ていても、別の人だわ」

「親友を間違うはずがない、か。なるほど、合点がいったぞ。なら、私がやっても、よく鍛錬を共にしている流星なら当てられるかもしれないな」

「ま、それが正しいかどうかは、実際にやってみれば良いだろうな」

 

肩をすくめてそう呟く照彦。千景を含めて、2人の表情が朗らかになっているのを、本人達は気づく時が来るのだろうか。

そのやりとりを遠目で見ていたひなたと紅希は、ようやくこの環境に慣れてきたであろう2人を見て、少し安堵したのである。

 

 

 

 

 




短いですが、今回はこの辺で。

ゆゆゆの3期まで後1ヶ月を切りました!新作pvも公開されましたが、どのようなストーリーになるのか気になる所です!新規の戦闘シーンがあったので、またしても天の神が……?などと、考察がより一層膨らみますね!」


〜次回予告〜


「更なる、援軍……?」

「哲学若葉さんって?」

「どんな子に育つんだろうね〜」

「300年も経てば、そうなるか……」

「それはもしかして……」

「この光は⁉︎」


〜『真実』という名の選択〜


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