結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜 作:スターダストライダー
お盆休みもバタバタしていて、中々投稿できずに苦労してますが、末永くお待ちください。
今回はいよいよ、勇者システム並びに武神システムの秘密が暴かれる回です。
「……それで、話とは?」
その日、兎角を初めとした勇者部の面々が集まった場所は、例の如く部室……ではなく、東郷の自宅だった。
部員全員が招集をかけられたとあって、てっきり部室で済ませる事なのだと思っていたが、かけた張本人である東郷の指示で、こうして和室に集められた事に、違和感を拭いきれない。園子も首を傾げてばかりだ。
「何だってここに呼び出されたんだ?」
「部活中には話せない事なのか?」
「東郷さん、何かあったの?」
皆から質問が殺到するが、東郷は険しい表情を1つも変える事なく、皆と正面から向かい合った。
「みんなに、見てもらいたいものがあります」
「見てもらいたいものって……?」
遊月が訝しむ中、東郷は側にある引き出しの中から、細長い鉄製の棒を取り出した。それを見せつけるようにしながら、両端を持って中身を引き抜いた。その中身は、外の光を反射して光っている。
「(……短刀?)」
その手にある物の正体を理解したその瞬間。
短刀の刃先は、歯を食いしばりながら自ら当てようとする東郷の首筋へ。
『⁉︎』
空気が凍りつくとは、まさにこの事だろう。事実、東郷の不意の一手、誰一人として反応できていない。
そしてそれ以上に彼らを驚かせたのは、目の前で起きている事だった。本来なら押し当てられた刃先が首を掻っ切って、血飛沫が部屋中に飛散する筈だった。
しかし実際には、刃先と首の間に、精霊である青坊主が割り込んで受け止めていたのだ。
呆けていた一同だったが、やがてハッと我に返り、東郷を咎め始めた。
「な、何やってんのよ東郷!」
「あんた……! 自分が何しようとしてたのか分かってるの⁉︎」
「精霊が止めてなかったら、お前は確実に……!」
「止めますよ。精霊は、確実に」
しかし東郷は、一蹴するように淡々とそう告げる。その様子に、遊月は不気味ささえ覚えた。
「この数日で、私は10回以上、自害を試みました」
「なっ……⁉︎」
「切腹、首吊り、飛び降り、一酸化炭素中毒、服毒、焼身、溺死……。全て精霊に止められました」
恐ろしい事を口にしている間にも、刑部狸が登場し、短刀を取り上げると、彼女の手に渡らないように、友奈の前にあった机に置かれる。
「何が、言いたいの……?」
風が問いかけたその時、のんびりとした言葉が聞こえてきた。
「……あぁそっか〜」
「園ちゃん?」
「みもりんの言いたい事、何となく分かっちゃったかも〜」
口調はのほほんとしているが、その表情は芳しくない。
「ねぇ、みもりん。今って、アプリとかは起動してないよね〜?」
「……えぇ、そうよ。さすがは園子ちゃんね。理解が早くて助かるわ」
「てへへ〜。……でも凄いね〜。その為にここまでやるなんて、私だったら絶対試さないよ〜」
「ちょっ……! さっきからあたしを置いてきぼりにしすぎだろ⁉︎ 2人だけの世界に入ってないで、ちゃんと説明してよ!」
園子は、東郷が伝えようとしている事を理解したようだが、銀を含め、ほとんどの者が困惑してばかりだ。そこで2人は目配せして、こう語り始める。
「先程、園子ちゃんが口にした通り、私は今、勇者システムを起動させていません。にも関わらず、精霊は勝手に動き、私を守った。……精霊が、勝手に」
「だから何が言いたいのよ! 勿体ぶって無いで話しなさいよ」
たまらず夏凜が口早に急き立てるが、当の本人は乱れる事なく口を開いた。
「今までの流れを見る限り、精霊は、私達の意思とは関係なく動いていると考えられます。私は今まで、精霊は勇者の『戦う』という意思に従っているものだとばかり、思い込んでいました」
「違う、と言いたいのか……?」
巧の呟きに、東郷は頷く。
「でも確かに、さっき東郷が自分の意思で首を切ろうとした際に、精霊がそれを止めたからな。だとすると、精霊に勇者や武神の意思は関係ないという推測も、一応は説明がつく」
当然そうでなければ、今頃東郷は出血多量であの世行きになっていただろう。東郷はさらにこう語る。
「それに気づいたら、この精霊という存在が、違う意味を持っているように思えたんです」
「違う意味……ですか?」
「精霊は、勇者のお役目を助けるものなんかじゃなくて、勇者をお役目に縛り付けるものなんじゃないかって。死なせず、戦わせ続ける為の装置じゃないかって」
「そんな……!」
言葉を失う一同。そんな中、園子が過去に起きた前例を語り始めた。
「みんな、前に愛媛からチュン助が来た時の事、覚えてる〜? ほら、あの時もゆーゆととっくんが、チュン助と一緒に落っこちた時も、精霊に守ってもらったよね〜」
「! そういえば」
脳裏によぎったのは、6月も下旬に差し掛かった頃。
愛媛からはるばる讃州中学に訪れた、『チュン助』改め『加賀城 雀』から受けた依頼を解決しようとした最中、別件で探していた猫を屋上で見つけ、保護しようとした際、強風に煽られて友奈と兎角が、雀を巻き込む形で屋上から転落してしまった事があった。普通であれば大惨事になっていたのだが、牛鬼と因幡がバリアを張って、3人を守ってくれた事もあって、無傷で済んだ。
が、先程の光景と2人の話を聞いていると、あの時の事に違和感を感じてしまった。あの時も勇者システムや武神システムは当然ながら起動していない。にも関わらず、精霊は現実世界に現れて勇者である2人と、近場にいた雀を助けた。つまり、牛鬼と因幡が現れたのは、勇者である友奈と兎角を『転落死』させない為に動いたもの、即ち緊急安全装置のような役割が作用して、結果として3人を助けた事に繋がるのではないか。
……と、園子は語る。
「で、でもあの時も牛鬼達が助けてくれたんだし、私達をちゃんと守ってくれたって事は、そんなに悪い事じゃないんじゃないかな……」
当事者である友奈がそう呟くが、隣にいたもう一人の当事者、兎角と、正面に向き合っている東郷の表情は険しい。
「確かにそれだけなら良いかもしれないけどよ……。それってつまりはさ……」
兎角も、ようやく東郷達が言いたい事が理解できたらしい。
「えぇ。精霊が勇者の死を必ず阻止するのであれば、源道先生が仰っていた事も、やはり当たっている事になるわ」
「『勇者は決して死ねない』……!」
そう復唱する藤四郎の表情は愕然としている。
「彼の言っていた事の1つが立証された以上、彼の語った事は全て真実である可能性は極めて高い。それはつまり、私達の後遺症が、治らないという事も含めて」
「そん……な……」
「私や園子ちゃん、それに遊月君、巧君、昴君、銀ちゃん。この6人という前例があったのだから、大赦は勇者システム及び武神システムにおける後遺症の事も、初めから知っていたはず」
「……あ」
「それじゃあ……!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! だったらどうして、精霊降ろしのデメリットの事は開示したのよ! 満開の後遺症の事を隠していたんだったら、そっちだって隠しておくものじゃないの⁉︎ そうしなかったって事は、やっぱり……!」
たまらず夏凜が反論する。彼女としては、大赦の事を信じたくて、源道が間違った認識をしていると思って、僅かな希望を見出そうとしたのだろう。
が、園子の一言でそれらは打ちのめされる。
「多分それはね〜。私達に、システムに関する余計な探りを入れさせない為だと思うんよ〜。精霊降ろしにはこんなデメリットがあるんだよ〜、って教える事で、『じゃあ満開の方が安全で使いやすいよね〜』、って私達に思わせる為の、一種の誘導策だと思うの〜」
園子の力説には一理あると言えるだろう。
精霊降ろしには多少の危険性がある、と分かっていたから、彼らは何の疑いもなく、満開を行使した。事実、源道の話や東郷の実演がなければ、今日までずっと、勇者システムや武神システムに隠された真実にたどり着く事はなかった筈だ。
ここまで言われてしまっては、さすがの夏凜も言い返せず、ただジッと床を見つめ、拳を握るしかなかった。
「大赦は、ずっと……!」
「おいら達を騙してたって事ッスか……!」
藤四郎と冬弥が、思わず足を鳴らすほど、憤っているのが伺えた。それだけショックだったのだろう。
だが、彼ら以上に精神的ダメージが大きかったのは他でもない、彼女だった。
「……待ってよ。……じゃあ。樹の声は、もう、二度と……?」
その呟きに、一同は目をそらす他ない。声を失った本人も、姉の手を掴もうと手を伸ばすが、その手は振り払われた。膝をついてしまったからだ。
「……知ら、なかった。知らなかった、の……。人を守る為、体を捧げて戦う……、それが『勇者』……」
その膝元には、水滴が滴り落ちている。
「あたしの、せいで……! あたしが、樹を、勇者部に入れたせいで……! あの命令に反対しなかった、せいで……! 樹の、夢が……! 歌手になりたい、って、夢がぁ……!」
えっ、と声に出てはいないが、樹が僅かに驚いた表情を浮かべる。何故、その事を知っているのか、と言わんばかりの顔つきだ。
だが、犬吠埼 風は何でも知っている。樹は内緒だと言っていたが、彼女が素晴らしい夢を抱いて、それを叶える為の努力を積み重ねていこうとしていた事を……。
事の発端は、買い出しから戻り、自宅で買ったばかりの食材を、冷蔵庫のどの場所に入れようか吟味していた時の事。
電話が鳴り、受話器を手に取ると、相手は聞いた事のない声の女性だった。
「はい、犬吠埼です」
『突然のお電話失礼致します。伊予乃ミュージックの藤原と申します』
「いよの……ミュージック……?」
『はい。犬吠埼樹さんの、保護者の方ですか?』
「そう、ですが……」
突然かかってきた、見ず知らずの会社からの電話に戸惑いを隠せない風。樹の名前を出してきた事にも疑問を浮かべる彼女だったが、次の一言で、目を見開く事となる。
『ボーカリストオーディションの件で、一次審査を通過しましたので、ご連絡差し上げました』
「……え? な、何の事ですか?」
『あ、ご存知ないですか? 樹さんが弊社のオーディションに』
「い、いつですか⁉︎」
予想だにしない内容を聞いて、思わず声が裏返ってしまう。
『3ヶ月ほど前ですが、樹さんからオーディション用のデータが届いてます』
3ヶ月前。それはちょうど、樹が歌のテストで上手く歌えるようにと、部員を巻き込む形で特訓をし、見事に成功を収めた頃。あの頃から、歌う事に生き甲斐を感じたのか、クラスの友達とカラオケに出向く事が多かった。
まさかと思い、本人不在の旨を伝えて、後日改めて連絡する事を伝え、電話を切った後、樹の部屋に入り込んだ。樹が外出している事は、予め本人から伝えられていたので、当然ながら、部屋には誰もいない。
樹の勉強机にはノートが広げられており、『目標』と書かれた項目には様々な、声が出るようになったらやりたい事がいくつも記されていた。特に『歌う!』と大きく表記されている文字を見て、風は胸の奥がチクリと痛んだ。
そして棚には、喉や発生に関する本がズラリと並んでいた。彼女がお小遣いを使って買った書籍のようだ。それだけ歌う事に本気になっていたのだろう。
ふと辺りを見渡し、ローテーブルの上に置かれていたノートパソコンが開いている事に気付いた。電源は入っており、消し忘れたまま外出したようだ。風は迷う事なく画面と向き合った。
いくつもあるファイルの中に、『オーディション用』と記された欄があり、クリックして開いてみた。開いてすぐに、慣れ親しんだ声がスピーカーから聞こえてきた。
『えっと、これで……。あれ、もう録音されてる?』
例の如く慌てた様子でセットしているようだ。このようにあたふたしている様子は、間違いなく樹である事を確信させる。
『あ、ボ、ボーカリストオーディションに応募しました、犬吠埼 樹です。讃州中学校1年生、12歳です。よろしくお願いします……! わ、私が今回オーディションに申し込んだ理由は、もちろん歌うのが好きだって事が1番ですけど、もう一つ理由があります。私は、歌手を目指す事で、自分なりの生き方……みたいなものを見つけたいと思っています』
これほどにまで改まった雰囲気の妹の声は初めてだ。姉は思わず聞き入ってしまう。
『私には、大好きなお姉ちゃんがいます。お姉ちゃんは強くてしっかり者で、いつもみんなの前に立って歩いていける人です。反対に私は臆病で弱くて……。いつもお姉ちゃんの後ろを歩いてばかりでした。……でも、本当は私、お姉ちゃんの隣を歩いて行けるようになりたかった。だから、自分の力で歩く為に……。私自身の夢を、私自身の生き方を持ちたい。その為に今、歌手を目指しています! 実を言うと、私はつい最近まで、歌を歌うのが得意じゃありませんでした。あがり症で、人前で声が出なくて……。でも、勇者部のみんなのおかげで、歌えるようになって、今は歌を歌うのが、本当に楽しいです。そして、私が好きな歌を、1人でもたくさんの人に聞いて欲しいと思っています! ……あ、勇者部というのはですね。私が入っている部活です。勇者部では、世の為人の為に勇む事をモットーに、保育園の子供達と遊んだり、猫の里親を探したり、他の部のお手伝いをしたり……。私、人見知りだから、部に入った時はちょっと不安でした。でも、部のみんなは優しくて……。今は、部活の時間がすっごく楽しいです! ……あ、ごめんなさい! 余計な事まで話し過ぎちゃいましたね。それでは、歌います』
……。
…………。
………………。
……………………。
…………………………。
……気がつけば、スピーカーから音が止まっていた。歌い終わっていたようだ。我に返った時には、夕日が差し込んでいた。
〜あのね、お姉ちゃん。私、やりたい事が、出来たよ〜
〜う〜んとね、秘密〜
〜いつか、教えるね〜
今と同じ夕暮れ時のあの日、最愛の妹が見つけた、彼女なりの道。その道筋が、ようやく姉にも見えてきたようだ。姉に頼る事なく、自分の選択で道を切り開く姿勢は、姉としては少し寂しくもあるが、何れは送り出す事も大事だ。
今はまだ声も治らない為、歌う事は難しいだろう。でもいつか、歌える日が戻ってきた時には、精一杯祝福し、そして後押ししよう。そう決意した風は笑みを浮かべながら、部屋を後にして、いつもより少しだけ豪勢な晩ご飯の献立を考え始めた。その頃には、家族に内緒でオーディションを受けていた事に対して怒る気など、跡形もなく忘れ去っていた。
……だが。無情にも。
その夢への可能性は、東郷の実演等をもって、潰えた。否定したくても、現実は変えられない。
「あぁ……! あ、あぁ……!」
次第に全身が震えだす風。樹はますます不安になっている様子だ。それを見ていた藤四郎が、歯を食いしばりながら声をかけようとしたその時、まるで見計らったように、着信音が彼の懐から鳴った。
手に取ると、相手は大赦からだった。タイミングがタイミングな為、顔をしかめながらメールを開いた。
途端にスマホを持つ手が震え始めた。
「何だ、これは……!」
その口調からは、怒りが混じっている事を見抜く事など造作もなかった。近場にいた何人かが画面を覗き込む。
そこには、担当地域の代表者に対する、大赦からの返答のコメントが書かれていた。
『勇者の身体異常については、現在も調査中。しかし肉体に医学的な問題はなく、じきに治るものと思われます』
今しがた、導き出した結論を認識した今となっては、いかに大赦からの伝言といえど、素直に信じる事など、出来るだろうか?
既に生活面においても被害が出ているにも関わらず、何の措置もしてこなかった大赦を、本当に信用できるのだろうか?
そして何より、真実をひた隠しにしながら、無垢なる少年少女達に戦いを強要させてきた組織など、信用に値しないのではないか?
「なんてこった……!」
「じゃあ、大赦は最初から……」
「俺達を、騙してたのか……!」
騙していた。
誰かが呟いたその一言が、風の全身に響き渡る。
「アァ……ア……! ウァ……ア……ァッ!」
騙されていた。
2年前、自宅にやってきて、両親の死を告げ、代表である藤四郎の援助という形で、大赦の命令に従っていた時から。
候補生が絞られ、勇者部を設立して、来たる日に備えて、妹を含め、同じ学び舎の生徒を部員にし、戦うように命じられたあの時から。
ずっと、あたしは……。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!!!!!」
東郷の部屋に風が吹き荒れる。その勢いに押されて、樹と藤四郎、冬弥が後方に吹き飛ばされるが、夏凜と巧、真琴が背中から支える。
雄叫びと共に、中心にいた人影は勢いよく、床を蹴って襖を内側から吹き飛ばして、あっという間に夕日が見え始めた空へと飛び跳ねた。
「風!」
藤四郎が叫ぶが、既に彼女は豆粒のように見えなくなっていた。
「先輩!」
「あいつ、どこに向かって……!」
「決まってる……! 自分が騙されたと知った今、その報復の為に……!」
「! まさか、風先輩は本気で……!」
「今のあいつならやり兼ねん!」
そう叫びながら、手に持っていたスマホにインストールされている武神システムのアプリをタップする。他の面々もそれに続く。
「(早まるなよ、風……! お前の気持ちが分からない俺達じゃない。けど、だからといって、そのまま一線を越えてしまったら、お前は後悔という念を一生背負い続ける……! そんな事には、絶対にさせない! 例え命をかけてでも……!)」
服毒とか首吊りとかを試す東郷に、若干畏怖を覚えた回でした……。
そして次回は……! 是非ともハンカチのご用意を! もしくは『祈りの歌』を流しながら読む準備を!
〜次回予告〜
「止まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「生贄……!」
「この瞬間だけでもいい……!」
「私も、同じ心情です……!」
「世界を救った代償がぁ……! これかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「それでも俺は、お前を……」
〜浜田 藤四郎は勇者である〜