結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

WIXOSSのDVD初回限定版が、どこもかしこも予約が埋まってて、ちょっとこの世界に絶望した今日この頃。


樹海の記憶編 EP.4 〜夢〜

 

『お前は……今、幸せか?』

 

見た事のない、自分よりも歳下の子供が、こちらに向かってそう問いかける。男の子なのは、雰囲気で感じ取れる。

勝手に口が開いて、その問いかけに答える。自分の声のはずなのに、声は聞こえてこない。代わりに、少年の声だけがハッキリと伝わってくる。

 

『じゃあさ……、この時間にずっといた方が、きっとこれからも、あんたが望んだ幸せが続くと思うぜ。だからそのまま……、そこにいれば良い』

 

刹那、少年は空気に溶け込むかのようにその姿を消した。追いかけようとするが、周囲が光に包まれて、そこで意識を手放してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファ〜……。まだ、眠い……」

「実は私も……」

「午前中も眠りそうになって、危なかったッス……」

「なーんか全然眠気がとれないんだよなぁ……」

 

昼食を食べ終え、午後の授業を目前に控えた昼休み。

部室で揃って昼食を食べた後、友奈、樹、冬弥、銀の4人は腕枕を作って机に伏していた。

 

「相変わらずねあんた達。午後の授業もこれからだってのに」

「ウゥ、言わないでください……」

「眠いもんは眠いんだよ……」

 

そう反論する友奈と銀の声には、覇気がほとんど見受けられない。

 

「放課後まで果てしないよ……。お昼休みが永遠に続けばいいのに……」

「樹の意見に賛成ッス……。ファ〜……」

「お前らなぁ……」

「……まぁ、普段からなりふり構わず目を閉じてるあいつを見てたら、気持ちも分からなくはないけどな」

 

兎角の視線の先に見える少女は、なかなか寝付けずにうなされている4人と打って変わって、鼻ちょうちんを膨らましながら、愛用の枕『サンチョ』に頭を預けて、寝言を口にしている。

 

「ZZZ〜……。クレープくん、君は何でそんなに美味しいの〜……。もっと、パフェちゃんと仲良く〜……」

「……時々、いつでもどこでも寝られる園子先輩が羨ましいです」

「いつも通りの光景だな」

「相変わらず夢の中のシチュエーションが摩訶不思議だけどな」

 

スローライフを絶賛満喫中の園子を見て、何人かのため息が室内に響き渡る。

そんな中、夏凜が懐からサプリの入った小瓶を取り出した。

 

「まぁそれはともかく、夜更かししたんなら、丁度良いサプリがあるわ。私が独自に調合したやつなんだけど」

「そ、それ危なくないですか……?」

「というより、園子はアレだけどこの4人はただの低血圧だと思うわ。朝にめっぽう弱いのよ、樹の方は特に」

「なんだ、だったらもっと簡単だわ。この、一粒で1日分の鉄分が補えるやつを飲めばイチコロよ!」

「サプリ一粒で、必要な分の鉄分を……。それだったらレバーを口にした方が……」

「後、イチコロの使い方間違ってる気がするし」

「安心なさい。さ、これをグイッと……」

 

昴が不安視する中、夏凜が4人に小瓶を押し付ける。

と、ここで遊月が割り込んできた。

 

「夜更かしと言えば……。最近変な夢を見る事があってな。あまり寝付けない事があるんだよな……」

「えっ、遊月君も? 実は私も、同じ理由で寝付けれない事があるの」

「……説明してる最中だったんだけど。でも、ふーん……。あの遊月と東郷が夜更かしとはね。だったら、あんた達にはこの特別調合の」

「なぁ、それってどんな夢だ?」

「ちょっ……!」

 

ことごとく無視されて狼狽する夏凜を他所に、遊月が覚えている事柄を説明する。

 

「……見た事のない男の子でした。そいつが目の前に現れて、それで……。『そのまま……、そこにいれば良い』って俺に告げて、そのまま消えていくんですよ。空気に溶け込むかのように……。そんな感じの夢でした」

『……!』

 

これを聞いた一同(寝ている園子以外)は、動揺を隠せない。

 

「そ、それ本当ッスか⁉︎ おいらも同じような夢を見てるッスよ! ひょっとして兄貴も⁉︎」

「……あぁ。信じられないかもしれないが、夢の内容も寸分違わない」

「私も同じような夢を見ました。お姉ちゃんも見たって……」

「う、嘘……⁉︎ あんた達も見たの⁉︎」

「夏凜ちゃんも見たんですね! ぼ、僕も見ました!」

「その夢……、私も見た事あるかも。兎角は?」

「俺もだ」

「私も見た事があります」

「あたしも見た事あるぞ!」

「俺も見ている。……これだけの人数で同じ夢を見ているとなると、園子も」

「はい。多分……」

「じゃあ、全員が同じ夢を見てるのか……⁉︎」

 

なんとも奇妙な共通点を発見して、シンと静まり返る室内。やがて、風が遊月に尋ねる。

 

「ねぇ遊月。その夢に出てきた男の子ってもしかして……」

 

遊月が口を開こうとする、まさにそのタイミングで警報音が鳴り響いた。

 

「! 樹海化警報……!」

「わっ⁉︎ 目が覚めた!」

「わ、私もです!」

 

突然鳴り響いた樹海化警報を受けて、寝ぼけ眼だった勇者、武神達は意識がハッキリとなった。

 

「このタイミングの悪さだけどうにかならんのか……」

「仕方ない。この話の続きはバーテックスを倒してからだ。園子を起こすぞ」

「はい! ……って」

 

昴が起こすよりも早く、鼻ちょうちんを膨らましていた園子も、音に気づいたらしく、目をパッチリと開けた。そして背伸びして一言。

 

「おおう、一瞬寝ちゃった〜。でも集中力はバッチリ回復したからね〜。頑張るよ〜!」

「一瞬なんて生易しいレベルじゃなかった気が……」

「まぁこれで戦闘時は冴え渡るんだし、園子らしいな!」

 

未だに園子の全貌が理解できず、苦笑いを浮かべる面々を他所に、夏凜が号令をかける。

 

「ほらほら低血圧達! 目が覚めたんならさっさと行くわよ!」

「か、夏凜ちゃん⁉︎ なんだかカリカリしているような……」

「きっと、サプリの話が出来なかったからでしょうね」

「べ、別にそんなんじゃないわよ!」

「まぁ、最近はモヤっとした事ばかりだったし、夏凜がカリカリする気持ちも分からなくはないわね」

「あんたはバカにしてるでしょ⁉︎」

 

夏凜が鋭いツッコミを入れるも、風は目向きもせずに声を張り上げる。

 

「さぁ、勇者部出撃! 問題山積みなんだから、さっさとバーテックス倒して、戻ったら作戦会議よ!」

『了解!』

「……犬先輩め〜! 後で覚えときなさいよ……」

 

最後にボソリと夏凜が愚痴った後、世界は神樹が作り出した結界に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身完了した一同は、例の如く戦闘位置につく。

 

「よぉし、行くよみんな!」

「はい!」

「おぅッス!」

「ヘヘッ、この三ノ輪 銀様に任せときな!」

「どうやらすっかり目が覚めたみたいだな」

 

先ほどまで項垂れていた4人の元気いっぱいな姿を見て、遊月がそう呟く。そんな様子を見て、風が一言。

 

「樹の目覚まし時計、大赦にお願いして、今度から樹海化警報の音にしとこうかしら……」

「や、やめてよ〜! 寝起きにあんな音聞いたら、また夢の中に戻っちゃうよ……!」

「それはただの二度寝にならないか……?」

 

巧が首を傾げながらツッコむ。そんな中、友奈がふと思い出したように呟く。

 

「そういえば、さっきの夢の話……。夢に出てきた男の子って、なんだかここで会う男の子に似てた気がするんだけど、兎角はどう思う?」

「友奈もそう思うか? 具体的な証拠はないけど、なんか無関係とは思えないし……」

「……いかんいかん! あれこれ悩むのは敵を倒してからよ!」

「手早く済ませるぞ」

『了解!』

 

上級生組の言葉で我に返り、戦闘を開始した。

昴の視察によれば、大型の敵、即ちバーテックスは遥か後方に点在し、星屑が先んじて攻め込んで来ているとの事。ならば先ずは、という事で、一同は星屑の殲滅を優先する。

 

「ヤァッ!」

「友奈ちゃん! 援護は任せて!」

「うん! ありがとう東郷さん!」

 

友奈の近接格闘を補助する形で、中距離攻撃を仕掛けてくる星屑を、逆に遠距離攻撃で撃ち抜く東郷。

 

「このまま一気に、行くよ〜!」

「俺達も園子に続くぞ!」

「はい!」

「ガッテンッス!」

 

園子が槍の穂先を変形させて、突撃を試みる。そこで討ちもらした星屑を、兎角と藤四郎、冬弥で次々と撃破する。

 

「銀ちゃん、夏凜ちゃん、風先輩! 使ってください!」

「サンキュー昴!」

「飛び上がるわよ!」

「ハァッ!」

 

昴が盾を真上に向けると、銀と風、夏凜が盾を足場にして飛び上がり、上空から武器を振り下ろして星屑の数を一気に減らす。

 

「樹ちゃん! 左斜め前から来ます!」

「はい!」

「数は多いが、これぐらいなら……!」

「バーテックスが本格的に来る前に減らしておきたいからな!」

 

樹のワイヤーによる広範囲攻撃を警戒してか、星屑は樹に狙いを定めたが、真琴の銃撃、巧の火炎弾による投擲攻撃、そして遊月の一射がその思惑を崩させる。

ようやく『射手座』をモチーフとした、縦長で口が2つ付いた青色の『サジタリウス・バーテックス』の全体像が見えてきた頃には、星屑の殲滅はほぼ完了したと言っても過言ではない。だが、まだ油断はできない。親玉である射手型は、上部の口を開き、太くて長い矢を形成して、素早く発射した。

 

「うわっと⁉︎」

「危ない!」

 

間一髪で横に飛んで回避する一同。直撃した樹海は抉れており、下手に避け続ければ、現実世界に悪影響が及びかねない、という焦りを彼らの中に生み出す。

そんな中でも、園子は敵の攻撃パターンを読み取って、上の方にいる東郷に指示を飛ばす。

 

「みもりん! そのスナイパーで、矢を相殺して!」

「了解!」

「ならその間に俺達は封印の儀を……」

「! いや待て! 何か仕掛けて来るぞ!」

 

巧が、右でしか見えない目で射手型の動きの変化に気づいて声を上げる。見れば、射手型の下部の口が開いて、そこから無数の針が土砂降りの如く降り注いできた。

 

「い、いっぱい来ました⁉︎」

「マズい、あっちには東郷が……!」

「東郷さん!」

「……!」

 

敵の狙いは、遠距離攻撃型の自分だと分かり、散弾銃に持ち替えて撃墜しようとするも、数が多すぎて1人では対処が間に合わない。

 

「させるかぁ!」

 

と、ここですかさず援護に回ったのは遊月。1つの弓に対して矢を何本も装填し、素早く弓を引いて矢を放った。分散した矢や散弾銃は空中で相殺された。が、それで全てを撃ち落とせたわけではなく。残った針の攻撃が2人に襲いかかる。が、相殺によって隙間が生じており、遊月はそのまま、自由なステップが踏めない東郷を抱き抱えて、合間を縫う形で避け続けた。その間、東郷の頬が朱色に染まっていた事を、回避に夢中になっていた遊月は気づいていない。

 

「良かった……!」

「ならば今のうちに!」

 

東郷と遊月の無事を確認した一同は、射手型との距離を詰めにかかる。射手型もそれに気づいて、兎角らを潰しにかかろうと、矢の先を彼らに向けるが、その間にも体勢を整えた2人の狙撃組からの猛攻で、攻撃を阻止される。

 

「ウォォォォォ!」

 

巧が飛び上がり、射手型の無防備な頭上めがけてバチを振り下ろし、射手型を地面に伏せさせる。

 

「よっしゃあ!」

「封印の儀、行くわよ!」

『了解!』

 

そうして一同は射手型を取り囲み、封印の儀を開始。程なくして射手型の下部の口から、御霊が姿を現したのだが、出てきた途端に、とてつもない回転速度で射手型の周囲を高速で回り始めてしまう。

 

「この御霊……!」

「めちゃくちゃ速いッス!」

「時間も限られてるし、さっさと決めないと……!」

 

思うようにタイミングが掴めず、御霊の破壊に苦しむ一同。その一部始終を見ていた遊月が、東郷を下ろして話しかける。

 

「このまま手をこまねいていたら、樹海が枯れ続けて大変な事になる。俺は本体に直接ダメージを与えてくるから、東郷は狙撃で奴を止めてくれ!」

「え、えぇ」

「信じてるからな、お前の腕を」

 

そう言って東郷の、引き金を引く手を軽く握る。そして背を向けて、弓を分解して2丁の鎌に持ち替える。

 

「……! 必ず仕留めます!」

 

モチベーションが妙に上がり、興奮が抑えられない東郷。異性にここまで自分の腕前を信頼されて、その期待を裏切るわけにはいかない。地面に寝転がり、狙撃のタイミングを伺う。

そして遊月も友奈達と交流を果たす。

 

「あれ、遊月君⁉︎」

「どうしてここに?」

「……あの御霊は東郷が止めてくれます。その隙に俺がトドメを刺す算段です!」

「あんな速い御霊を撃ち抜くですって……⁉︎」

「いくら東郷さんでも無茶な気が……!」

「……勝算は、あるのか」

「思いつきを数字で語れるもんか!」

 

困惑する夏凜と真琴を尻目に、遊月は矢継ぎ早にそう答え、腕に力を込めた直後、御霊が大きな音を立てて停止した。その面には撃ち抜かれた跡が。

 

「ま、まさか……!」

「きっとそうだよ! 東郷さんがやってくれたんだ!」

「だから言っただろ? 東郷ならやれるって!」

 

そう言って遊月が飛び上がり、回転を加えてより重い一撃を御霊にぶつける。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

次々と斬り裂かれた御霊は砕け散り、射手型は砂となって消滅した。呆気にとられていた夏凜と真琴だが、改めて2人の腕の凄さを実感させられた。特に自称『完成型勇者』は開いた口が塞がらない。

バランスを整えて着地する遊月を労うように、友奈達が駆け寄る。後方から向かってきた東郷にも同様の事を済ませた後、藤四郎が声をかけて注目を集める。

 

「これで今回のお役目も終わった。このまま戻って作戦会議……と行きたいところだが、その前に確認したい事がある」

「? 何ですか?」

「……遊月、東郷。直接倒したお前らならもう気づいてるんじゃないか? あのバーテックスの事」

「! じゃあ藤四郎先輩も……!」

「あぁ、今ならハッキリと言い切れる」

「藤四郎も気づいたみたいね」

「風もか?」

 

彼らの口から、なにやら確信めいた言葉が飛び交う。訳の分からない夏凜と真琴は置いてきぼりだ。

 

「あ、あの……。もう少し分かりやすく説明していただきたいのですが……」

「……そっか。夏凜ちゃんも真琴君も、あのバーテックスと戦った事がないんだよね」

「ハァッ? どういう言い方よそれ。まるで以前も戦った事がある、みたいな口ぶりね」

「……その通りだ夏凜」

「「?」」

 

2人が首を傾げる中、遊月が口を開いた。

 

「前に園子が言ってただろ? これまで倒してきたバーテックスに見覚えがある。だから対処法も何となく思いつけた、って。……今の戦闘でハッキリと確信したんだ。あの針を飛ばしてくる戦法を、俺達は知ってるんだ。だから、それを撃ち抜いた事のある東郷に任せる事が出来たんだ」

「! じゃああの指示もやっぱり……」

「そういう事だ」

「! ちょっと待ちなさい! じゃあ今まで私達が倒してきたバーテックスは……!」

 

珍しく狼狽する夏凜。園子が深刻そうな表情で呟く。

 

「やっぱりね〜。以前戦ったバーテックスが、復活してるよ〜」

「そ、そんな事って……⁉︎」

「何で今まで気付かなかったのかしら……」

 

もっともな事を呟く風。

比較的最近になって勇者部に加わった夏凜と真琴は知る由もなかったようだが、ここ最近侵攻してきたバーテックスは皆、かつて勇者、武神達の手で封印に成功してきたものばかり。

一度倒したはずのバーテックスの復活は、リーダー格である藤四郎にとっても想定外の事態だったと言えよう。

 

「お、おかしいよねこれって……? 一度倒したはずのバーテックスがまた出てくるなんて……」

「……異変が起きているのは、壁だけでは無かった、という事か」

「先輩、どうしますか……?」

 

1人で考えても拉致があかないと思ったのか、先輩に意見を求める兎角。その2人は眉間にしわを寄せて考え込んでいる。

やがて先に口を開いたのは、風だった。

 

「……ん〜! 考えても何も浮かんでこないのは、うどん分が足りてない証拠ね……! みんなもそう思わない?」

「だな! あたしも風に賛成!」

「えっ? あ、はい」

「わ、私もそう思います!」

「は⁉︎」

 

まさかの提案に絶句する夏凜。その間にも、他の面々は風の意見に同調してくる。

 

「わ、私もそう思うよお姉ちゃん!」

「俺もッス!」

「腹が減っては戦は出来ぬ〜」

「食事中は案外、突拍子もないアイデアが浮かんでくる事もあり得ますから、それもいいかもしれませんね」

「……まぁ、このまま突っ立ってても、と思えばその方がいいか。巧もどうだ?」

「……特に異論するつもりはないので、まぁ」

「じ、じゃあ僕も、風先輩の意見に賛成します!」

「ちょ、ちょっと真琴! あんたまで……!」

「「……はぁ」」

 

真琴まで風側に寝返り、焦る夏凜。そんな中聞こえた2人のため息を耳にして、少しばかり安堵を覚える。

 

「あ、東郷と遊月は私と同じ意見みたいね。言ってやんなさい。こいつら緊張感が足りてないにも程が……」

「私も、うどん分が足りていないと思います」

「俺もだな。食欲が湧かないにしても、何か別の事に意識を向けないとやってけない気がしますし」

「……」

 

こうして誰1人として味方がいなくなった夏凜。全員の視線が集まり、息がつまる。

 

「よぉし! じゃあみんなでうどんだ! うどん食べれば何か閃くかもしれないわ!」

 

このまま本格的にうどんを食べるつもりの者達を見て、夏凜はある種の諦めを覚え、意地を張って同調の意を示す。

 

「ふ……、なるほど。気張りすぎるなって事か。さすがは勇者部部長ってところかしら。風にしちゃ、まぁまぁ良い事言うじゃない」

「いえ、あの……。お姉ちゃんは単純にうどんが食べたいだけだと思います……」

「……そこは否定してあげなさいよ、妹として」

 

皮肉まじりにかけたつもりの賞賛が、樹の一言で台無しになったのは間違いない。

ともあれ一同は、現在起きている異変の解決策を思案するべく、うどんの補給を目指して現実世界へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うどん……か。あの頃は、みんなで美味しいうどんを期待してるってオーラ出しまくって、待ってたっけ。……また、みんなで食べに行けたらなぁ……」

 

 




次回、遂にご対面……!

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