結城友奈は勇者である 〜勇者と武神の記録〜   作:スターダストライダー

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初戦闘回です。

そして今日の深夜から、ゆゆゆの2期が始まりますね! 楽しみです!


2:勇者と武神、初変身

……次に目を開けた際、眼前に広がる光景は、非日常的だった。それはまるで、おとぎの国に迷い込んだ気分にさせる程、異質な空間として、世界を染めていた。

 

「えぇぇぇぇぇぇぇッ⁉︎ これマジか⁉︎」

 

晴人が素っ頓狂な叫び声をあげる。他の5人も、辺りの景色に目を奪われながらも口々に呟く。

 

「うわぁ! 初めて見た! これが……!」

「神樹様の、結界……」

「うーん、最早どこがどこなのかサッパリ分からんね。イネスどこかね? 鳴沢」

「何でこんな時にイネスの心配を……。どうせ敵を倒せば元に戻るだろうから、それまでの辛抱だ」

「あそっか」

「綺麗だねぇ〜、すばるんもそう思うよね?」

「そう、ですね。これが、神樹様が作ってくださった、結界の世界なんでしょうね」

「『樹海』……。教わった通りね」

 

晴人を含む6人は、敵が襲来する際は、事前にこれらの現象が起こる事は聞かされていたわけだが、それでも驚きを完全には隠しきれなかったようだ。

 

「スゲェ……。全部木になってる!」

「おぉ! あれが大橋かな!」

「えぇ、多分そうですね」

 

園子が指さした先には、街のシンボルである瀬戸大橋が一際存在感を露わにしている。

 

「こちらと壁の外を繋ぐ橋。あそこから敵が渡って来るのね」

 

須美が解説をしていると、

 

「んん〜っ! 私達が勇者だなんて、興奮するぅ!」

 

銀が文字通り興奮した様子で張り切っている表情を見せる。それを見て須美が口を尖らせる。

 

「ちょっと三ノ輪さん! 遊びじゃないんだから……」

「分かってるって」

「でも三ノ輪さんがそう言うの、分かるな! まさか鷲尾さん達が仲間だなんて思わなくてさ! なんか心強いぜ!」

「そうそう!」

「……もう少し緊張感を持てないのかお前達は?」

 

晴人と銀のヒートアップする会話を聞いて呆れる巧。とはいえ彼自身も、さほど緊張した様子は見受けられない。むしろ1番肩の力を抜いているようだ。

 

「あっ! あそこ見て!」

 

不意に園子の声が聞こえて、一同は一斉に振り向く。また何かを発見したようだ。よく目を凝らすと、大橋の奥から、何かが侵攻しているのが見えた。具体的なシルエットは不明だが、少なくとも異形である事には間違いない。

 

「来ましたね……!」

「あれが敵か!」

「おっと! シャッターチャンス!」

 

銀が面白半分に懐から端末を取り出して写真を撮る姿を見て、晴人も続けてシャッターを切る。その光景に、須美や巧はとうとうツッコむのを諦めた。代わりに昴が口を開く。

 

「あいつが橋を渡って、神樹様にたどり着いたら、世界が終わるんですね。何せ神樹様は、この世界の恵み全てですから」

「あぁ、分かってるって」

「私達で止めないと、だね!」

 

写真を撮り終えた晴人と銀。そして園子と須美、巧も気を引き締める。

 

「お役目を、果たしましょう」

 

須美の一言で全員が頷く。

今現在、神樹が作った防御結界。通称『樹海』の中で動けるのは、神樹に選ばれ、特別な力を授かった者達だけ。危険が伴うとはいえ、名誉あるお役目であり、神樹様に選ばれたのだから、恐れる事はない。大人達からそう言われ続けた事を、彼らは信じているのだ。

6人の手にはスマホが握られていた。起動してすぐに、花の種のような画像のアイコンをタップする。それは勇者と呼ばれるお役目に選ばれた者だけに配信されたアプリであり、このアプリを起動する事で、敵と戦う為の力を手にする。

それが、人類が神樹の力をもらって製造した、『勇者システム』である。

 

「ッシャアいくぜ! 変身!」

 

人一倍気合いの入った声で晴人が叫ぶと、6人は一斉にアプリの変身アイコンをタップする。

同時に彼らは光に包まれて、3人の少女と3人の少年は、それぞれの花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鷲尾 須美は、白と薄い藍色を基調とし、自身の身長とほぼ同じ大きさの弓を携える、『菊』をモチーフとした勇者に。

三ノ輪 銀は、赤を基調とし、不格好な2丁の斧を携える、『牡丹』をモチーフとした勇者に。

乃木 園子は、紫を基調とし、先端の刃が歪に造られている槍を携える、『青いバラ』をモチーフとした勇者に。

 

市川 晴人は、緑を基調とし、刀身が柄の部分よりも長い薙刀を携える、『アイビー』をモチーフとした武神に。

鳴沢 巧は、銀と同様に赤を基調とし、先端に赤い玉がついた、2本の長い太鼓のバチを携える、『椿』をモチーフとした武神に。

神奈月 昴は、オレンジを基調とし、右腕に亀の甲羅のような大きな円盤型の盾を携える、『ガーベラ』をモチーフとした武神に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身を遂げた6人は、全身から力が湧き上がる感覚を覚えた。神である神樹の力を分け与えられているのだから、当然と言えば当然かもしれない。勇者と言われるこの姿は、言わば神の力の具現。とりわけ晴人、巧、昴がなる上位勇者、改め武神は、須美、銀、園子といった勇者以上に、神に等しい力を宿しているので、より爆発的な攻撃力を発揮できる。その分負荷もある為、決して楽観視できないが。

そんな事も気にせず、真っ先に銀が口を開いた。

 

「おぉ、初めての実戦だ!」

「合同訓練はまだだったけどね」

「仕方ありませんよ。敵が御神託よりも早く出現してしまったわけですし。それに市川君とも今日初めて会いましたからね」

「そういや、予定してたよりも早かったな。敵が来るの」

「あくまで向こうが立てたのは予測だ。必ずしも当たるわけじゃない」

 

巧の言葉に、なるほど、と頷く晴人。

 

「まぁ、大丈夫だよね!」

「転校初日から戦闘……。ま、それなりに特訓はしてきたからな! 俺は大丈夫だぜ!」

「待って。慎重に対処しましょう。市川君もそうだけど、私達はまだお互いにどんな動きかを……」

 

須美が注意を促す間も無く、事態は動いた。

 

「よぉし! ぶっ倒す!」

「あっ! 抜け駆けなんてズルいぞ! 俺も!」

「ミノさん、市川君! 私も!」

「ま、待ってくださいよぉ!」

 

銀が先行して飛び出し、晴人、園子、昴の順に、大橋へ向かって飛んでいった。

 

「あなた達! 待ちなさい!」

「……早速不穏な感じだな」

 

須美は怒鳴り、巧は呆れた表情を浮かべる。とはいえ4人を放っておくわけにもいかない為、2人も後を追う。

敵のいる大橋へ向かう間、一同は下界に広がる木の根のようなもので覆われた世界を眺めていた。

 

「広〜い! 訓練とは全然違う!」

「それに、体も軽いよ〜! ポワワ〜!」

「でも、ここが元は僕達の暮らす街なんですよね。不思議ですね……。そう思いませんか、鷲尾さん?」

 

武神姿になると、メガネではなくゴーグルがかけられている昴は、後方にいる須美に声をかけるが、本人はそれに答える事なく、ジッと前だけを見つめていた。その視線の先には、晴人の姿が。

 

「(本当に、大丈夫なのかしら……?)」

 

いくら自分よりかは戦闘に特化しているとはいえ、訓練した時間は、6人の中でダントツに少ないはずだ。須美はそれが心配だった。

そうこうしている内に、6人は大橋の中心付近へたどり着き、そこで撃退する為に陣取った。

 

「! おい、あれ!」

「デカッ⁉︎」

 

大橋にたどり着いた事で、6人もようやく敵の全貌が明らかとなった。

あまりにも異質な巨大物体であり、ほとんど無機質な、異形なシルエットは宙に浮いたまま、ゆっくりと橋を渡ってこちらへ向かってきている。怪物と呼ぶに相応しいオーラを放っている。

 

「これが……」

「向こうから来たモノ、『バーテックス』」

 

その怪物の総称は、『頂点』を意味する『バーテックス』。バーテックスは人のみを襲い、通常兵器では倒せず、神の力を宿した勇者、武神ならば対抗できる。大赦からそう教わってきた。

聞くところによれば、バーテックスは複数体の存在が確認されており、その数は全部で12体。12星座をモチーフとしているらしく、端末で確認してみると、『水瓶座』と表記されている。

今現在目の前にいる、左右に巨大な水球を構えている『アクエリアス・バーテックス』を含む12体のバーテックスを撃退し、神樹を守る事が、6人に課せられたお役目なのだ。

6人が水瓶座を睨みつけていると、ちょうど水瓶座が通過した木の根が、枯れていくかのように、鮮やかだった色が黒ずんで腐食していくのが見え、皆は、特に須美は焦ったように呟いた。

 

「! 枯れてる……!」

「アレって……」

「『侵食』だわ……! 撃退するのに時間がかかるほど、元の世界に悪影響が出るって……!」

 

須美は早速矢を弓にセットし、狙いを定める。先に牽制して敵の手の内を探るのが目的だったのだろう。

 

「なるほど。となれば、やる事は一つだな!」

「ヘヘッ」

 

だが、晴人は須美の前に立ち、薙刀を構える。銀も同じ考えだったらしく、晴人の隣に立つ。そして同時に飛び上がり、水瓶座へと突進した。

 

「あ、待って!」

「! おい!」

 

園子と巧が慌てて2人に続く。巧の場合は、2人を止めようとして前進したようだ。

 

「ちょっと!」

「い、いきなり先制攻撃ですか⁉︎」

 

須美が勝手に動いた2人を咎め、昴は驚きの声をあげる。

 

「先手必勝ってな!」

「速攻!」

 

どうやら先行する2人は、樹海が枯れていくのを食い止める為、現実世界への影響を最小限にとどめる為、迅速に済ませようと特攻の選択肢を選んだようだ。

だが、水瓶座もそうは問屋が卸さないと言わんばかりに、頭の部分から水球をいくつも飛ばしてきた。あまりの数の多さに、2人は焦りを隠せない。

 

「うわっ⁉︎ ちょちょちょ! やばっ⁉︎ あ〜れ〜⁉︎」

「な、何だこれ⁉︎ ウァッ!」

 

先制するつもりが先に仕掛けられてしまい、防御する間もなかった晴人と銀は、当然水球をかわしきれず、いくつかが体に着くと、重りをつけられたかのように、地面に落下していった。

 

「! ミノさん、市川君!」

「アレに当たると危険だな……。 !」

 

後に続いていた園子と巧が、2人が落下するのを見て、一旦小高い場所に降り立つ。巧がふと前を見ると、水瓶座がこちらを見ているような感覚を覚え、次の瞬間、水瓶座の右手(?)の水球から、レーザービームの如く、激流が発射された。

 

「ワァッ⁉︎」

「くっ……!」

 

巧は咄嗟に園子を突き飛ばし、自身もその反動で横に飛び退く。間一髪のところで激流への直撃は避けられた。園子は突き飛ばされた事で転落し、地面に叩きつけられた。巧の方も、僅かに激流が肩に触れた影響で痺れるような痛さが襲ってきた。下手に触れれば、大怪我に繋がるかもしれない。巧は苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべる。

 

「みんな!」

「鷲尾さん! 牽制をお願いします! 僕はその間にみんなを……!」

「了解!」

 

後方にいた須美と昴も、4人の安否を気遣い、前進した。水瓶座が水球を飛ばしてきたが、どうにかしてかわしながら、二手に分かれた。須美は敵の的にならないように動き回りながら弓を引き、矢を射った。放たれた矢は直進し、水瓶座の頭の部分に命中した。

 

「やった……!」

「いえ、まだです!」

 

削られた部分を見て、初めて敵にダメージを与えられた事に喜ぶ須美だが、昴はそれを否定する。それが証拠に、削られた部分が一瞬だけ歪んだと同時に、何事もなかったかのように修復されていた。

 

「!」

 

完全修復能力。バーテックスの特徴ともいえるそれは、神の力を得た須美達にとってもかなり厄介なものだった。これがあるせいで、例え核爆弾でも倒しきれないのだ。

 

「うぉっ、くそっ……! これ、外せねぇ……!」

 

一方、最初に攻撃を受けていた晴人は腕や足にひっついている水球を破壊しようと必死に動いていたが、思うように体そのものが動けない。

 

「市川! ジッとしてろ!」

 

同じく先制攻撃を受けた銀が、かろうじて動く腕を振り上げて、斧で晴人にひっついていた水球を破壊した。そしてようやく身動きが取れるようになり、残りの水球も自身の薙刀で取り除いた。

 

「サンキュー三ノ輪さん!」

「いいってもんよ! ……にしてもあいつ、こんなチマチマした攻撃ばっかしやがって!」

「全くだな! あの水球だけかと思ったら、ヤバそうな攻撃も持ってるし」

 

2人が愚痴を洩らす中、水瓶座は左手の水球から激流を繰り出そうとしていた。その標的は、起き上がろうとして槍を杖代わりに持つ園子。

 

「! 乃木さん!」

「ヤバい!」

 

晴人と銀は一目散に園子めがけて駆け出した。須美もそれに気付き、園子の元へ向かおうとするが、敵のチャージが完了する方が早いのは明白だった。1番近いであろう巧も、先ほどのダメージですぐには向かえない。

園子が、顔を上げて標的にされている事に気付いた時には、水瓶座の水球から激流が発射された。なす術もない園子の呆然とした表情は、激流によって遮られた。

 

『!』

 

最悪の展開が頭をよぎる4人。だが、よく目を凝らして見ると……。

 

「う、うぅ……!」

「すばるん!」

 

座り込む園子の前には、誰よりも早く駆け寄ってきていた昴の姿が。右腕に付いている盾を突き出し、そこから霊力を感じさせる薄い膜のようなものが、激流を押し留めていた。

 

「すばるん大丈夫⁉︎」

「へ、平気です……! この盾は、そう簡単に、破れませんよ……! それよりも……!」

 

昴は顔を上げて、周りにいる面々に向かって叫んだ。

 

「皆さん……! 今のうちに、反撃を……!」

「!」

 

安堵している場合ではない。そう思った須美が高い場所へと飛び上がり、木の根に足をつけると、矢をセットし、弓を長く引いた。こうする事でパワーをチャージして、より威力の高い一撃を放てるのだ。しかし時間がかかる分、今現在必死に激流を受け止めている昴への負担は大きい。

 

「早く……!」

 

焦る須美。その間にも、水瓶座は意地を見せるかのように、激流の威力を増した。昴が踏ん張る足を滑らせながら必死に堪えている。園子も援護するかのようにその背中を押す。

 

「こ、これ……! 台風の、凄いのみたい……!」

 

園子がそう呟くように、一瞬でも気を抜けば押されてしまう。昴は力の限りを尽くした。

 

「三ノ輪! 俺に続け!」

「おう! これ何とかしてくる!」

 

ようやく動けるまでに回復した巧が、銀を引き連れて接近戦に挑もうとする。晴人は巧と入れ替わる形で後退し、須美の所へと駆け出した。

 

「私が……!」

 

6人の中でも後方支援に向いている須美は、何としてでも安全圏にいる自分がやらなくては、と躍起になっているようだ。

その想いを乗せて放たれた矢は、美しい弧を描き、水瓶座へ命中……する事は叶わなかった。何故なら直前で水瓶座の頭の部分から新たに放たれた数多くの水球が、矢と接触し、勢いを弱らせて、水瓶座に届く事なく地面へ落下していったからだ。

 

「! そんな……!」

「相殺されたか……!」

 

水球を壊しながら、巧がその様子を見て呟く。

攻撃が当たらなかった事に動揺していた須美に、水瓶座の魔の手が忍び寄る。今度はこちらの番だ、と言わんばかりに追撃として放たれた水球が、須美めがけて襲いかかってきた。

 

「!」

「このぉ!」

 

そこへ駆けつけた晴人が須美の前に出て、薙刀で振り払うが、全てを捌ききれず、何発かが体に直撃し、目の前で爆ぜた水球の爆風を受けて、晴人は須美と共に後方へ吹き飛ばされた。

 

「きゃあぁぁぁぁ!」

「鷲尾さん!」

 

すぐさま体制を整えて着地した晴人は、受け身も取れずに地面へ落下していく須美を見て、反射的に足を動かした。水球への対処を諦め、須美の救出を最優先に考え、どうにかして須美を捕まえると、抱き抱えながら木の根を滑るように落下していった。

 

「! 市川君、鷲尾さん!」

「ダメすばるん! 気を抜いちゃ……!」

 

園子の言う通り、攻撃を受けた2人に気をそらしてしまい、昴の踏ん張りが利かなくなった。それにより、激流に押し負けられてしまった昴と園子は、激流に呑まれるように吹き飛ばされた。

 

「! 乃木さん、神奈月!」

「くっ……!」

 

銀が見えなくなった2人の名を叫び、巧は舌打ちしながら、両手のバチを構えて、気合いを入れる。

 

「ハァァァァァァァ……!」

 

先端の赤い玉に炎を宿すと、振り払って火球を投げつけた。直接敵に叩き込むだけにあらず、こうして中距離からの攻撃にも融通が利くのも、彼ならではの戦い方である。が、その攻撃も水瓶座を倒す程には至らない。巧も銀も、水球を破壊するだけで精一杯だった。

一方、晴人の須美の方では……。

 

「鷲尾さん大丈夫か⁉︎」

「え、えぇ……」

 

須美の無事を確認した晴人は、すぐそばに落ちていた須美の武器を拾って、彼女の手に渡す。礼を言って受け取った須美は、そこで初めて晴人の全身を目の当たりにした。

見れば、晴人の武神服は所々が破けており、頬や手のひらについた傷からは血が少し出ている。明らかに須美以上にダメージを受けており、全体的にボロボロな晴人を見て絶句する須美だが、晴人は気にする素振りを見せず、間も無く頭上を越えようとしている水瓶座を見上げて睨みつける。

 

「にしても、しょっぱなから結構ヤバいな……。もうちっと気合い入れてやるか! 鷲尾さん、援護頼むぜ!」

「ま、待っ……!」

 

再び水瓶座の侵攻を阻止しようと、飛び上がる晴人。須美が呼び止めるよりも早く、水瓶座へ直接斬りかかろうとする晴人を見て、自分も続こうとしたが、不意に足が竦んでしまった。あまりにも強大な力を宿す敵の、圧倒的な破壊力を目の当たりにして、恐怖心が勝ってしまったようだ。

足元の木の根が枯れ始めて、須美の方へと侵食していく。思わず後ずさる須美。

 

「こんなの、どうしたら……!」

 

誰よりも愛国心を持つ少女の口から、始めて不安を感じさせる言葉が出てきた。

 

 

 




武神達の容姿などは、時間があれば絵を描いて載せようと思います。(ただし、センスはあまり期待しないでください。多分銀と同レベルぐらいかと……)



〜次回予告〜


「これ、弾力が……!」

「押し返せぇぇぇぇぇ!」

「第二波、来ます!」

「スミスケ?」

「行くぞ三ノ輪!」

「突撃だぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ピッカーンと閃いた!」


〜勇者は根性〜


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