赤髪がオラリオにいるのは間違っている   作:月光法師

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あいつがやってくる。
待ちに待った。
世界がお前を望んでるんだ。
さあ、漸く始まりだ……!!

というわけで頑張りました。やっとここまで来ました。この話で完結します。シャンクスのおかげで多くの読者様に恵まれました。ありがとうございます。誠にありがとうございました。またいつか、お会いしましょう。



希望の

 

 

朝日が顔を出した。オラリオを守る業火はすでに見る影もない。冒険者とモンスター、再度の衝突が間近に迫っている。

 

戦場に出るのはレベル2以上の冒険者たち。その数は一万を下回る。他の者は魔剣による援護に回って貰った。そして敗戦濃厚だと判断すれば、神々を連れて逃げて貰うことにしている。その判断はリヴェリアに一任された。

 

オラリオをモンスターに明け渡すわけにはいかない。明け渡したが最後、世界は絶望に覆われる。だがそこに一筋の光も残しておかなければならない。嫌な予想と対策だ。だがフィンはその決断をした。

 

レベル1が再度の戦場へ出ても、無駄死にすると分かりきっているから。ならば彼等には当初の計画から外れてもらおう。勝つまで、死ぬまで、延々と戦い続けるという当初の計画から。

 

もはやレベル1は神々を連れて逃走するか、他の援護部隊に回って貰うか。それしか役には立たないのだから。

 

気心は赤髪を呼ぶため、オラリオ中の捜索に駆り出させた人員のことか。見付けてくれればいいが、彼はどこまでも自由気儘。人付き合いでは大人な面も見せるが。一人でいるならば居場所は中々分からない。

 

戦場に来てくれる期待を抱いてしまったフィンは、無駄なことかと思い直して頭からそれを消す。なるようになる。死か、生か。残された道が両極端だったとしても。それしか残されてはおらず、それゆえに考えることが無意味なことだと。戦いの足枷にしかならないと。少ない時間で打てる手は全て打ったのだから。

 

どんどんと炎が弱くなる。燃料はもうない。明朝まで持たせられただけ重畳だ。

 

現在、外壁に立っている冒険者たちは皆が決死の覚悟を瞳に灯す。だが誰も死ぬ気など有りはしない。死が形となって目前に迫っていようと、最後まで足掻いてみせる。いや、勝ちをもぎ取ってみせる。冒険者としての気概が溢れていた。

 

炎が消えそうだ。

 

フィンが何も言わずとも、皆が態勢を整えていた。

 

もうすぐだ。

 

胸の内は不思議と静か。

 

それは皆が何かを受け入れたからだろうか。

 

腹を括っただけでなく。

 

皆の心を一つにして、この場の全てを受け入れたからなのだろうか。

 

反骨心も、闘争心も、恐怖心も、何もかもを心底へ落とし込んでしまっからだろうか。

 

一種の悟りか。はたまた明鏡止水にでも至ったか。

 

全てのモノたちが炎を見つめる。

 

そら来るぞ。

 

もう来るぞ。

 

嗚呼、炎が、消える───それを待てずにモンスター群が進撃した。

 

炎を突き破り、踏みにじり、掻き消して。雄叫びを上げながら疾走する。

 

冒険者たちに戸惑いはない。

 

来るなら来い。そんな意思が目に見える。

 

炎が消えたことでモンスター群の姿が鮮明に視界を占領する。モンスターの体が変化している。異常種と化したのだろう。全体の数はかなり減っていた。だが質を高めたことからか、感じる威圧感、圧迫感は今までの何もかもを凌駕していた。

 

それでも戦う意思を、姿勢に乗せる。得物に宿す。

 

お決まりとなった魔法攻撃が雨霰と降り注ぐ。レベル1たちの魔剣もプラスで放たれる。

 

屍が増えて、それらを乗り越えたモンスター群と接敵。

 

此度は幾度めか。

 

両軍は、衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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赤髪は駆ける。

 

ダンジョンの中から外へと繋がる無数の穴を潰すために。東奔西走。幾百幾千の穴を潰したか。小さな穴から大きな穴まで、見聞色の覇気を駆使することで尽くを残骸の山と変えた。

 

当然の如く這い出てくるモンスターたちも一刀の元に切り伏せた。無限に増えるかのようなモンスターの進軍は赤髪によって、ある地点からパタリと止むこととなった。全てを終わらせるまで後少し。オラリオを守る戦いが終われば、それで全ての片がつく。

 

一息吐いて、さて向かうかと足を踏み出す。

 

その赤髪の頭上を通過する巨大な影が一つ。赤髪の意識の外、遥かな上空を飛翔する黒い竜が一頭。どれだけの高空を飛んでいるのか、だというのに巨大だと分かるその威容。

 

一目見て、赤髪は悟った。

 

アレはこの世界で最も強い生物だ。オラリオで最強と呼ばれるオッタルよりも、尚強い。

 

飛翔する空の高さは、誰にも手が届かないことを示唆しているのか。その瞳は最強たる自負から、見下ろすことしかしないために天空を翔るのか。

 

黒竜の向かう先は赤髪と同じ場所。まかり間違っても認識を誤る筈はないだろう。

 

赤髪は視線鋭く、黒竜を追い掛ける形で走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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冒険者連合と異常種モンスター群がぶつかり合い幾ばくか。戦場は冒険者連合の圧倒的劣勢となっていた。それでも冒険者は諦めずに立ち向かう。背水の陣だ。もう後がない。命を磨り減らしながらも戦場で足掻く冒険者たちは、モンスターたちの目にどの様に映っていたのだろうか。

 

冒険者たちはモンスター群が何故オラリオへ攻め入ってきたのか、その詳細も原因も知りはしない。それでもモンスターが目の前で吼え猛るのなら、冒険者は剣を構える。ただそれだけだ。

 

いつ終わるとも知れない戦場。どちらかが全滅するまで終わらない闘争。それをぶち壊す─────巨大な影。

 

空から世界を壊すかのような咆哮を上げて降り立ったのは黒い竜。その瞳は片側が潰れており、しかして眼光は隻眼から放たれていると思えぬ圧倒の暴威。その身から発せられる圧力は天を失墜させ、地を砕く。

 

突然現れた上位存在。

 

前触れはなく。戦場の空気に身を浸していた冒険者もモンスターも、誰もがその動きを止めて隻眼の黒竜を見上げた。

 

最初に意識を取り戻したのは、戦場から離れた位置に陣取っていた神。悪神ロキであった。

 

「……ッ!有り得へん!アイツは三大冒険者依頼(クエスト)の黒竜やろ!?」

 

ロキも見たことはない。だが、その隻眼の黒竜はオラリオでは有名な存在であった。

 

一昔前、オリラオにおいて最強を誇ったファリミアが二つ。ゼウスファミリアとヘラファミリア。この二つのファミリアが三大冒険者依頼に挑み、陸の王者ベヒーモスと海の覇王リヴァイアサンを倒すことに成功した。残る隻眼の黒竜を討伐すれば、約千年もの間だれも成すことの出来なかった偉業をこの手にできる。

 

準備は万端。戦意も充実。ベヒーモスとリヴァイアサンを倒したゼウスファミリアとヘラファミリアなら……!そう誰もが夢想した。

 

結果は両ファミリアの全滅。及び解散。

 

レベル6がいた。レベル7もいた。だというのに倒すこと叶わず。オリラオの王者は、天の支配者に成す術なく。討ち取るつもりが逆に、ファミリアメンバーを一人残らず討ち取られてしまったのだ。

 

その隻眼の黒竜が目の前にいる。

 

隻眼に、巨大な黒い鱗で全身が覆われている。通り名そのままの威容。周囲を圧倒して呼吸すら忘れさせる支配者の佇まい。

 

誰が見ても間違えよう筈がない。

 

その隻眼の黒竜は周囲を見渡し、瞬間フィンの親指が痙攣する。呆然と巨躯を見上げていたフィンは意識を取り戻し、周囲に木霊するほどの声量で指示を出した。

 

「総員即座に撤退しろォッ!!!!」

 

その声に我を取り戻した冒険者たちが背を向けて全力で後退していく。この場にいればただ殺されるだけだと理解したのだ。背を向けていようが向けていなかろうが、この場にいるだけで絶対死を迎える。ならば形振り構わずに逃げるのみ。

 

そんな冒険者の様子にモンスター群が気付き、彼等も漸く動き出そうとする。が、モンスター群の動きは些か遅かった。

 

黒竜が咆哮。しなる竜尾の薙ぎ払い。それだけでモンスター群は全滅してしまった。撤退し始めていた冒険者たちは衝撃で吹き飛ばされたが、軽症重症問わず命を失ったものはいない。しかしモンスターは油断し過ぎていた。少し離れている程度では、大気をねじ曲げる衝撃からは逃れられず。近くにいたものなどは体が弾けとんでしまった。

 

なにより、同じモンスターなのだから仲間なのだ。そんな無意識の作用があったことは否めない。

 

さて、それがダンジョンによるものなのか。それとも生まれたばかりの幼稚なモンスター故であったのか。今となっては知る術もない。

 

黒竜は逃げた人間になど興味はないと言わんばかり。人間の背に一瞥することもなく、倒れた異常種モンスターたちの魔石を()()出した。

 

「またか……。……くそっ!何が起こっているというんだ!この戦は可笑しなことばかりだ!」

 

外壁まで撤退した冒険者。その中で誰かが言う。夜の暗闇の中、共食いを行うモンスター群を見ていた者たちが案外といたようだ。

 

誰もが顔を歪めるか、呆然とするか。圧倒的強者の食事を邪魔しようなどという気概のあるものはいない。レベルが1離れているだけで絶望的だというのに、目前に現れた黒竜はレベル換算で幾つだというのか。レベル8か、それとも9か?更にその上─────レベル10か?

 

誰もが勝てるわけなどないと肌で感じていた。抗うことすら出来ない。埃がいくら積み重なったところで肌を傷付けることすら出来ない。痛みも苦も感じさせることは出来ない。そして逃げることも……。

 

なんとか冒険者たちが抗えていたモンスター群。それらがたったの一撃で肉塊へと姿を変えたのだ。消えることのなかった彼等の気勢が失われるのも当然だった。

 

やがて立ち呆ける冒険者を尻目に、数を圧縮し質を高めた魔石を幾分と掛からず全て平らげ、黒竜はその顔を上げた。視線を冒険者へ向けた。

 

その瞬間恐ろしい程の魔力が渦を巻き、黒竜を包み込む。まるで黒い竜巻が黒竜を守護するかのよう。純粋な力が収束し、それでも溢れる余剰分がバチリバチリと弾けるように音を鳴らす。

 

どれ程の力が渦巻き、黒竜を取り囲んでいるというのか。冒険者たちの絶望は全てを諦めて投げ出したかのような、無気力なものへ変わっていく。

 

頭も体も追い付かず、だというのに目の前の光景からは目が離せず。その力は時おりオラリオでも感じられる、馬鹿な神が解放する神の力(アルカナム)のようではないか。

 

そんな圧倒的な力は黒竜を変貌させる。力の渦が霧散したそこに立っていたのは、馬や牛ほどの小さな黒竜だった。隻眼は治癒したのか、確りと両の瞳が金色の光を発しており。その身体は夜のようにしっとりとした滑らかで美しい黒となっていた。そして相も変わらず力がバチリバチリと鱗の周囲で弾けている。稲光のように激しく、夜空を彩る星々のように優美高妙だ。

 

そしてその力。

 

冒険者たちは───────何も感じない。

 

「あ……れ……?」

「……全然強くないんじゃないか?」

「これは、勝てるんじゃ……」

「……勝てるかもしれん」

「あ、ああ……ああ!勝てる!勝てるぞ!」

「モンスターの群ももういない!アイツさえ倒せば勝てるぞ!」

 

誰もが感覚の麻痺した頭で叫び、モンスターの進化は失敗したのだと悟った気になっていた。可笑しいと思う幾人かの一級冒険者を置いてきぼりに、その波紋は広がっていく。生まれた希望が、伝染してゆく。

 

──────そして、砕かれた。

 

たった一つの黒竜の─────いや、その変貌した姿形から後に夜闇竜(よやみりゅう)と呼ばれる最強の竜の咆哮によって。

 

たった一つの咆哮で、冒険者たちは吹き飛ばされた。外壁に叩きつけられ、戦闘不能へと追いやられた。レベル1の者に至っては気を失う者も少なくないほど。その咆哮に乗った力は隔絶していた。

 

咆哮を終えてバサリと翼を広げた夜闇竜は、空へと飛び上がり天に顔を向ける。口を薄く開ければそこに力が収束され、青白い光が嘶きを上げる。ブレスが、来る。

 

気を保っていた全ての者が終わりを悟った。最初に感じたのは第一級冒険者の大規模魔術ほどの精神力(マインド)。それが一秒にも満たない内に増幅されていき、いまでは感じ取ることすら出来ない。

 

終わりだ。塵となって終わるのだ。冒険者も、神も、オラリオ。この場にある全ては、原初の無へと送られるのだ。

 

しかし一人だけ、諦めきれない者がいた。たった一人の白兎が皆より前に出て、鐘の音色を響かせる。恐怖と勇気をない交ぜにして、決意を抱き動き始めた。大切な者を失いたくない一心で立ち上がって見せた。

 

戦の中でレベルを上げた白兎。異常とも言えるスピードでの急成長で手に入れたのは5という数字。それのなんとちっぽけで頼りないことか。

 

それでも行こう。死出の旅を歩んでみせよう。死んでもいい。怖いけれど、死んでもいいんだ。

 

「大切な者を守るためなら!僕は立ち向かうッ!!!!」

 

小さな鐘の音色はいつの間にか大鐘楼の荘厳な音色へと変わっていた。それは周囲に響き渡り、白兎の想いと決意を伝えていく。

 

冒険者たちは相変わらずの絶望の中でも立ち上がることを決めて。

 

黒竜はお遊びに付き合ってやろうと目を細めた。

 

白兎の力のチャージには時間がかかる。だがそれを代償に、レベルの限界を越えた威力を発揮する。そして白兎の純粋で、熱く、固い決意に神の加護(ファルナ)が反応する。どのような奇跡なのか。新たに発現した世界で唯一のレアアビリティ【幸運】の効果なのか。

 

立ち上がった冒険者たちの体力や精神力が白い光となって白兎へと収束していく。

 

「おいおい、なんの魔法だよこりゃ」

「あいつリトルルーキーだろ?レベル2に何ができんのよ……」

「いや……なんとかできるかもしれん」

「多分これ、俺らの力集めてるんだろ?」

「力を集めればなんとかなるかも……」

「確かにな……。よし!俺の力も使えよリトルルーキー!」

「俺のもだ!」

「私の精神力も!」

「俺の力も全部持ってけ!」

「あたしのも使いなさい!」

 

周囲の力が持ち主の了承によって更に強く集まりだした。全ての冒険者の力が白兎へと集まっていき、手に持つ短剣へと収束される。

 

その光の輝きは夜闇竜にも負けていない。

 

数分の後に、白兎の力は充填を終えた。それは地上の太陽のように輝いている。夜闇竜の充填した月のように青白い光とは対照的だ。

 

「これなら……勝てる……ッ!いや、勝つッ!!!!」

 

待ちわびたぞ。そう言わんばかりに夜闇竜が首をもたげた。視線が交錯する。一瞬の静寂が辺りを支配し、一人と一頭へ疲労困憊の冒険者たちの視線が集まる。

 

誰かがゴクリと喉を鳴らした。

 

─────行くぞ

 

─────来い

 

決意の瞳と見下ろす瞳が言葉を交わし、力が世界に鳴動をもたらした。

 

英雄願望(アルゴノゥト)ファイアッ……ボルトォオオオオオオオオオッ!!!!」

 

白い光の奔流が白兎の手から放たれる。対峙する夜闇竜は首を少し後ろに持っていき、前へと突き出すと同時に力強くブレスを発射した。それは月光のような青白い光の奔流となって放たれる。

 

二者の中間で二つはぶつかり合い、互いを食い破らんとしのぎを削る。白い光と青白い光は、まるで神聖なる神々の戦いを夢想させるものだった。

 

大河の如く極太の奔流は互いに譲らず長い時間拮抗していた。それが崩れたのはどれ程の時間が経ってからか。もしかすると其れほど時間は経っていなかったのかもしれない。

 

白兎の神の恩恵(ファルナ)が一際強く輝き、光の奔流に更に力が注ぎ込まれていく。一回り大きくなった光は拮抗していた光を食い破り、霧散させた。そしてそれは夜闇竜へと激突。

 

─────ここで全ての力を使い果たせ!

 

白兎は撃滅の意思と共に声を張り上げて力をより一層込め。夜闇竜の姿は光の奔流にかき消された。

 

その光景を見て、勝った。誰もがそう思った。白兎自身も力を緩めた。

 

その瞬間────。

 

白兎の光の奔流が弾けて消えた。それも目の前で。白兎の目前にはいつの間にか身体を大きく広げた夜闇竜。高く振り上げられた竜の爪。

 

「あ」

 

死んだ。

 

白兎が思い、夜闇竜が現実を叩き付ける。何故、夜闇竜が目前にいたのか。それはどうでもいいことだ。これから起こる全てを、理解する必要など皆無。

 

何故ならほら、お前は死ぬのだから。

 

そんな意思が垣間見える夜闇竜の爪の降り下ろし。呆然とそれを見上げる白兎。そして───。

 

───赤い太陽が、やって来た。

 

ガギンッ!!!!

 

鈍い音が響き渡る。地面は深く陥没し、ひび割れて周囲に土埃を巻き上げる。いつの間にか尻餅をついていた白兎は呆然とした表情のまま、目の前の光景を認識する。

 

鮮やかな赤い髪をした男がいた。黒い外套を大きく靡かせて。たった一本の刀剣で、夜闇竜の地を割く一撃を受け止めていた。

 

たった一人の男が、たった一本の刀剣を持って。この強大無比な竜と鍔競り合っていた。本来ならば頼りなく映るその景色は、どんな人よりも頼もしく。どんな英雄譚よりも希望を魅せてくれた。

 

「……シャン、クスさん」

「……よくやった…若い冒険者。お前が命を掛けて生み出した“勇気ある数分”は良くか悪くか…世界の運命を大きく変えた……!!」

 

赤髪の登場は場の空気をガラリと変えた。冒険者たちも夜闇竜もたった一人の男に視線を釘付けにされている。

 

赤髪は力強く剣を振り抜き、夜闇竜を退けさせた。

 

「なんで……あの人がここに……?」

「冒険者じゃねぇんじゃ……!?」

「でもあの竜の一撃を止めてリトルルーキーを救って見せたぞ!?」

「おーい!早くあんたも逃げろぉ!」

 

冒険者たちが騒がしくなり、よく知る男が突然に現れたことで様々な言葉を飛ばし合う。その中で一番近くにいた白兎が赤髪へ問うた。

 

「シャンクスさん、なんで、ここに……?」

「……なに───」

 

突っ掛え突っ掛えの声だった。それでも。

 

突然の自体。命を助けて貰った礼すら忘れて、この戦場には居なかった筈の存在へと、何故今になって現れたのか。その疑問の答えを求めた。

 

「───この戦争を、終わらせに来た……!!!」

 

希望はもう、朽ちたりしない。

 

この手の中に、輝きはある。

 

 

 

 

 

 

 


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