サトウと別れた後、俺はジャイアントトードを10匹ほど狩った。10匹目を狩り終わったぐらいに日も落ち始め、サトウとの約束もあるから街に戻ることにした。だが、正直に言うと、会うのがダルい。予想以上に身体に疲れが押し寄せてきたからな。
バレないように換金だけして、適当に宿とって帰ろうかな…よし!帰ろう!
明日、サトウに会ったら見つかんなかった、てへぺろって感じにすれば大丈夫だろ。
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まぁ…、世の中そんなに甘くなかった。
冒険者ギルドの出入口でサトウが待ち伏せしていた。
「ハチマン、遅かったな!」
「なに、お前、あれからココでずっと待ってたのか?暇なのか?アホなの?」
「おい!いきなり会って、それかよ!」
「悪い、疲れ過ぎて本音がでちまったわ。てへぺろ!」
「尚更、悪いわ!てか、可愛くもないし腹立つわ!」
「アクア様?のほうはどこいるんだ?」
カエルに捕食されていたが、自称女神だが、もしかしたら本当の女神かもしれないし、この世界のことは、まだ分からないし。一応、様を付けておいた。
「様?アクアなら向こうだ」
サトウが、ギルド内のある一角に指を指した。
そこには、おっさん連中と共に酒を飲みながら踊っているアクアがいた。
ありゃー、女神とはかけ離れてるな。やっぱり、自称女神だな。様つける必要ねぇな。
俺が呆れた顔をしていると、サトウが「席は確保してあるから着いてきてくれ」と歩きだした。
「サトウ、悪いんだが席の場所を教えてくれ。先に討伐報告をしたい。」
「分かった、席はあそこな。」
「分かった。」
俺は、サトウに席を教えて貰ったのでギルド嬢に今回の討伐の報告した。
ジャイアントトード、規定討伐完了+1匹討伐事に5000エリスとの事だったので、12万5千エリスを貰った。
あら、やだ!初日でこんなに稼げるなんて思いもしなかったわ。 思わず、オカマ口調になってしまうくらい驚いている。
金は持ちきれ無かったから、受付嬢さんに持ちきれなかった分を預けて、サトウがいる席に向かった。
「とりあえず…話が終わったら宿屋に行くか……。」
「おっ、やっと来たか。」
「悪い待たせたな。んで、話ってなんだ。」
「直球で言うぞ!俺たちとパーティを組んでくれ!」
サトウは、手を合わせながら頭を下げてきた。
なぜ、俺をパーティに誘うんだ?サトウも転生者なら固有スキルを持っているはずだ。
それに……
「サトウ、なぜ俺とパーティを組んで欲しいんだ?」
「………………戦力が欲しいんです!」
「えぇ……サトウお前だって、こっちに来る際にスキル貰っただろ?それで、何とかならないのか?」
サトウは、ゆっくりと腕を上げアクアの方に指を指した。
「あれが……俺のスキルというか特典だ。」
「はぁ?」
「だから、あれが俺の特典!クソっ…ちゃんと選んでおけば良かった…うっ…」
声を荒らげて、泣きながら言われたが俺には、何が何だか分からない。とりあえず、慰めてやるか…?いや、辞めておこう。多分理由とか聞いたら、確実にパーティに引き込まれそうだ。
ココは、そっとしてしたおくか。
「なぁ、ハチマン!聞いてくれよ!」
「いやだ。」
「あんな、俺が転生してから、この1ヶ月な…」
うわぁ、完全にこっち無視で話始めやがったよ。
どうするか、退散するか。
よし!決めた、退散しよ!
俺が席を立とうした瞬間に後ろからドンっという衝撃がきた。
「アンデッドさ~ん!さっきは、ありがとう~ね~」
衝撃の正体は、自称女神のアクアだった。てか、酒臭っ!あと、さっき自己紹介したよな?
「なになに、なんれ、カズマ泣いてるの?ねぇ、なんで~?」
「うるせえ!全部アクア!お前のせいだから!」
「あによ!カズマ!いきなり、怒らなくたっていいじゃない!」
喧嘩なら他所でやってくれよ。あと、酒臭いから離れてくれ。
「転生の際に、お前が煽らなきゃこんなことにならなかったんだよ!」
「はぁ?あんな死に方したら誰だっていじるでしょ!うっ…叫んだら気持ち悪く…」
えっ?ちょっと待ってください。
まさか、まさか…おい、やめろ、やめろ!
「おうぇぇぇぇぇぇぇ…。うぐ、おぇぇぇぇ…ゴホゴホ……。」
やりやがった…。小町、お兄ちゃん異世界来て1日を締めくくる最後がゲロまみれになっちまったよ。
「もう…いいや、帰ろ…。」