この腐り目に祝福を!   作:クロスケZ

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第二章 冒険×変身×仲間
2-1 現れた紋章


光が徐々に消え、俺の目には中世ヨーロッパ風の異世界の風景が広がった。

やはり、異世界ものといえば中世ヨーロッパ風!

異世界もののライトノベルでも、定番だ。

 

「頭では、わかっているつもりだが定番といっても感動するもんだな。」

 

早速、街中を見渡しながら歩いて行き交う人を観察してみると、獣人・エルフ・人間など…本当にファンタジーの異世界なんだなと感動した。

 

「おい、そこの。変な装備の奴。」

 

行き交う人を観察しながらと歩いていたら、不意に後ろから声を掛けられた。声の方を向くと、そこには世紀末から来たのではないかと思う風貌の男がいた。

 

おい、マジかよ。いきなりカツアゲですか。

てか、おっさん、世界観違うだろ!あんたは、どちらかといえば、胸に七つの傷がある主人公の世界の住人だろうが。

 

「聞いてるのか、そこのボーズ。」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

やばい、やばい。こっちに歩いてきた。

俺の異世界人生、初っ端から運が悪いんだが!

 

「おっ、近くでみると貫禄がある目じゃねぇか。いい目してるじゃねぇか!ボーズ!おまえ、ここに来るの初めてか?」

 

「はい」

 

あれ、この人めちゃくちゃ好い人なんですけど。

俺の目を褒めてくれるとは…この世界にマッ缶があったら奢るわ。

 

「ほぅ、そうか。なら、冒険者登録はしたか?あそこで出来るからしてないんだったら登録をしてくるがいい。」

 

おっさんは、1つのデカい施設を指さした。

本当に好い人!前の世界だったら、確実にカツアゲか舌打ちしかされないのに!

ましてや、ここまで他人に優しくされたのは初めてだ。むしろ、優しくされる数より、嫌がらせの数のほうが……あれ、ちょっと目頭が熱く…。

 

「ありがとうございます。」

 

「おう!頑張れよ! 」

 

俺は、おっさんに一礼して施設に向かった。

施設に入ると、様々な人種が分け隔てなく酒を飲んだり、1枚のボードを見たり様々な光景が広がっていた。そこで、1番奥にあったカウンターに受付嬢であろう女性が4人並んでいた。

なんか、ハロワみたいな光景だな。まぁ、行ったことないけどな。とりあえず、並んでみるか。

並ぶこと数十分、やっと俺の番がきた。

 

「では、次の方どう…ひっ!アンデッド!」

 

「こう見えても一応人間です。」

 

おいおい、やっぱりアンデッドに見えちゃうの。なに、この目が悪いの。クソっ、エリス様にこの目を綺麗にしてもらえば良かった。

てか、一応人間とか言ってる自分が1番心に来るわ。さっきのおっさんの時とは、違う意味で目頭が熱くなってきた。

 

「し、失礼しました!」

 

金髪のウェーブが掛かった受付嬢は直ぐに頭を下げてきた。

 

「いえいえ、慣れてますから…。」

 

「えっと、今日はどうされましたか?」

 

「冒険者登録をお願いします。」

 

「はい、分かりました。では、こちらに名前と登録料をお願いします。登録費用は1000エリスです。」

 

えっ、エリス様って、お金の単位になってるの。まぁ、こんな俺にも優しくしてくれたしな。

制服のポケットからエリス様から渡された布袋を取り出し受付嬢に渡した。

 

「確認できました。では、こちらお釣りの500エリスです。」

 

「えっ、あっ、ありがとうございます。」

 

おっ、マジか。エリス様!少し多めに入れといてくれたんですね!ありがとうございます!もう、エリス様に一生ついて行くわ。

 

「では、こちらのカードに触れて下さい。ヒキガヤ ハチマンさんの潜在能力などが記載されますので。」

 

こういった異世界ものでは、あるあるの奴がきた。普通のヤツなら、此処で俺の隠された潜在能力が覚醒して、施設内で騒がれるとか思っちゃうんだが、俺は違う!そんな潜在能力が俺にあるとも思えんし!期待しただけ、凹むだけだ。だが…少しは期待しても罰は当たらないよな?いいよね?若干の期待をもちながら、カードに触れた。

 

「もう、大丈夫です。では、ヒキガヤ ハチマンさんのステータスを拝見させて頂きます。幸運が平均より低いことを除けば、他は平均より上ですね。何よりも耐久値が凄く高いです、次に知力ですね。あと、この右下の紋章みたいなものは、何でしょうか…。」

 

「すみません、1度見せてもらってもいいですか。」

 

「はい、どうぞ。」

 

カードを手渡されると、すぐに右下にマークを確認した。そこにあったマークとはライダーズクレストだった。だが、そこには''2つ''のライダーズクレストがあった。

1つは、そのライダーのある語源で表したものと、もう1つは、Φのマークが記載されていた。

おいおい、マジか、マジかよ!自分の手が震えていることが分かった。俺は何度も目を擦って、見直したが、2つのマークは変わらなかった。

 

「あ、あのヒキガヤ ハチマンさん。そのマークの意味わかりましたか?」

 

「よっしゃー!!!!」

 

「ひっ!」

 

思わず、ガッツポーズを取りながら叫んでしまった。受付嬢は、ビクッとしたのを見て我に返った。

 

「すみません。このマークは、俺の憧れていたスキルだったので嬉しくて、つい。」

 

「だ、大丈夫ですよ。憧れていたスキルでしたら、その嬉しくて叫んでしまうのも納得ですしね」

 

受付嬢は、最初は戸惑った様子はあったが理由に納得したのか、ニコニコ笑いながら肯定してくれた。本当に、この世界好い人しかいないなぁ!

 

「では、ヒキガヤ ハチマンさんジョブのほうはどうされますか?一応上位ジョブのクルセイダーには慣れますが。」

 

この仮面ライダーなら、やっぱりこのジョブじゃねえとな。

俺は、迷いもなく「冒険者でお願いします。」と言った。

 

「分かりました。冒険者ギルドにようこそ、ヒキガヤ ハチマンさん。今後のご活躍期待しております。」

 

俺の新しい世界での生活が、ここからスタートした。


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