執筆スピードが遅く、あげくパソコンが逝ったクロスケです。
次の章行きたいと思います!
「この屋敷か・・・。」
俺たちは町の郊外に佇む、一軒の屋敷の前に居た
なぜ俺たちが、こんなところにいつかというと・・・。
時を遡って、日差しが強い昼。
俺はいつものように、コーヒー飲みながら優雅に読書をしていた。
・・・優雅か。
俺を知らない人から見たら、アンデットがコーヒー飲みながら本読んでるってコソコソ言うんだろうな。
だが、もしコレが芸だと思われて、金などを投げ入れられるもんなら喜んでアンデットと呼ばれよう。
いいじゃん、俺は本を読んで過ごせる、見物客は俺の行動を見て喜ぶ。
Win-Winの関係じゃねえか。
っと、アホなことを考えていたら、ギルドの入り口から2つの山を揺らしながら歩いてくるウィズさんの姿が見えた。
「あっ!ハチマンさん!」
俺の名を呼んでは、更に激しく2つ山を揺らして走ってくるウィズさん。
・・・高校男子があの山を見たら、テンション上がるだろうな。
えっ、俺?勿論上がりますよ。むしろ、上がらない奴などいないだろう。
だが、ウチのパーティーにいるスケベ魔王のカズマほど分かり易くはならんがな。
というか、ウィズさん走ると転びっ。
「あっ!」
「危っ!」
ローブの裾を踏んで転びそうになったのを、咄嗟に動いて受け止めることができた。
よかった・・・ウィズさんはを見るとハラハラするから身構えておいて。
「あ、ありがとうございます・・・、えっと・・・。」
うん?なぜか歯切れの悪い感じだn・・・。
そう言えば、右手にとても柔らかいマシュマロみたいな感触が。
ゆっくりと感触の先を見てみると、がっつりとウィズさんのたわわのモノを触っていた。
あっ、これ死んだわ。世間的にも、人的にもな。
ゆっくりと抱きかかえていたウィズさんの体制を直して、ひと呼吸を入れた。
顔赤らめながらもきょとんとするウィズさんに、土下座をした。
そう、やらかした人間がやる、あの土下座をね。
「ウィズさん、すんませんでした!咄嗟といえ、ウィズさんの、ウィズさんの!」
「えつ!?わた、私は大丈夫ですから、むしろ私の粗末なものをっ!」
「粗末?いいえ、最高の代物でした!ありがとうございます!」
「ふえ!?な、なにを。と、とりあえず顔を上げてください、ハチマンさん。」
「は、はい。」
顔上がると、ウィズさんは頬を赤らめして恥ずかしそうにして「謝らなくても大丈夫ですよ。あれは私が転びそうになったところを助けてくれたんですから。・・・でも、Hなこと考えちゃダメですよ。」と言った。
あー、なんかやばい!色々とやばい!思わず、顔をまた下げた。
八幡落ち着け!落ち着くんだ!!深呼吸だ、深呼吸をしなければ!
深呼吸をして、もう一度顔を上げるとウィズさんは、まだ恥じらう姿があった。
クッソ!なんなんだ、この天使いや女神は本当に!
どんな前世を歩んだら、ウィズさんと結婚できるんだよ!
むしろ、こんな女神に会えただけでも幸福だ!
はっ!思わず深呼吸するのを忘れていた。
「スゥーハァー・・・と、とりあえず、座りましょうか。」
「そ、そうですね!」
互いに、ぎくしゃくをした感じで席に着いた。
「え、えっと、何か飲みますか?」
「は、はい!では、紅茶をっ。」
「わたしは、カフェオレね。」
「・・・ん?」
俺の横の席から聞き覚えのある声が・・・・。
横の席を向くと満面の笑みをしたクリスさんの姿が。
「いつから居たんですか!?」
「うん?君がここで1杯目のコーヒーを注文した時からだよ」
おいっ。コーヒー注文したのって、一番最初だぞ。
ちなみに、3杯目のコーヒーだ。
「ねぇ~、ところでハチマンさん~。」
クリスさんがニコニコしながら甘ったるい声を出てきた。しかも、ニコニコとした表情ではあるが目が笑っていないのだ。それに加え、巧師匠に負けないくらいの殺気まで出してるんだが。
「え、えっと、クリスさん、ど、どどうしましたか?」
「わたしに言うことないかな?」
今までボッチだった俺には、難関な問題を出てきた。
……やはり、ウィズさんの胸をっ!危っ!
ナイフ投げてきたよ、この人!この人、仮にも女神だぞ。
周りも周りで、掛からないように席の端に移してるし、ウィズさんのカリスマガードしてる状態だ。
ここは、話題を変えなければ死ぬ。
なんだ、なにか話題をっ。
「えっ、えっと、クリスさん、そろそろパンツ返してく下さい。」
「えっ?あっ、はいっ?」
「修行から帰ってきてから3枚、昨日1枚盗りましたよね。」
「ぬ、盗んでないよ!」
「本当ですか?女神エリスに誓って?」
「ちか、ちか……。」
あまりにも急激な話題の変化と俺のパンツ盗難という訳の分からないワードで狼狽えるクリスさん。
カリスマガードをしていたウィズさんは、「パンツ?盗む?」 とハテナマークを浮かべていた。
ギルドの人々も同じような感じになっていた。
「どうしました、狼狽た様子ですが?」
「くぅぅ…誓えないこと知ってるくせに………ずるいっ。はぁ……わかりました。あれも事故ですから……今回は大目にみます。」
クリスさんから殺気は無くなり安堵した。
最悪、パンツを交渉道具にするかとか思いついだが流石に倫理的にな。
そういえば。由比ヶ浜から預かった犬のクッキー?いや、マカロン?そうだそうだ、サブレを預かった時に俺のパンツ盗られたな。
てか、なんで盗るのかわからん。何、俺のパンツからフェロモンでも出てるの?今度嗅いで・・・やめよう、ただの変態になる。
クリスさんは溜息を一度吐いて気持ちを入れ替えたのか、ウィズさんに話しかけた。
「んで、ウィズは今日どうしたの?」
「あっ、そうでした。ハチマンさん、家探してますよね?」
「えぇ、探してますよ。それが、どうかしましたか?」
「ウチに来るお客さんがですね、所持している別荘を格安で売りたいという依頼が来ましてね。」
「格安で?」
「はい、格安でです。理由としては、ここ最近悪霊が出るようになって値段がガタ落ち、オーナーも不気味がって所持もしたくない状態らしいです。」
なるほど。悪霊のせいで、値段が下がるのは前の世界と同じようなもんだが前の世界と違いこちらの世界では、冒険者やプリーストに依頼すれば確実に処理はできるはずだ。
疑問をウィズさんに疑問を問うと、どうやら何度か依頼をしたが悪霊を処理をしても何度も出てきてしまって、きりがないらしい。
「ちなみに、値段はどの位なんですか?」
「値段としては、500万エリスです。ちなみ大きさとしては、このギルドより大きいサイズです。それにオーナーが売れるように週1回は、掃除・点検など行っているみたいです。それと、これが屋敷の絵と間取りの設計図です。私も何度か見に行きましたが良いところでしたよ。」
「かなり大きいじゃんか。このギルドも中々大きさあるけど、これ以上になると5000万エリスはくだらないよ!買いだよ、ハチマンさん!」
絵と間取りの設計図をみると、かなり大きな屋敷だとわかった。このサイズからすると確かに格安だ。うーん・・・問題は悪霊のほうだが、ウチのパーティーにアークプリーストで女神のアクアがいるから問題ないな。それにウィズさんがよかったというのもポイントが高いな。
ここは買われれる前に買っておくのもいいか。
「ウィズさん、その物件買います。オーナーさん伝えてもらってもいいですか?」
「はい、わかりました。」
その後、3人で談笑をしながら夕飯を食べ、次の日ギルドに仲間を呼んで、屋敷のこと話し屋敷のオーナーから購入した。
そして、現在購入した屋敷前いるということだ。
ちなみに、購入資金はアクア以外の全員で出し合った。
アクアに関しては、資金を出す代わりに悪霊の処理をしてもらうことになっている。
「悪くないわね! ええ、悪くないわ! この私が住むのに相応しいんじゃないかしら!」
「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!やっとまともな家にっ!」
アクアが興奮したように叫び、カズマは感動あまり泣き出し、ダクネスとめぐみんも心なしか顔が紅潮している。
絵や図面を見たが本当に大きい。それに実際に来ないと分からなかったが陽当りも良く、大浴場もついている。
5人で住むにしても、手に余るほどの良い物件だ。
そん中、浮かれるアクアにダクネスが言った。
「しかし、本当に除霊ができるのか? 聞けば、今この街では払っても払ってもすぐにまた霊が来ると言っていたが。除霊ができなくては、せっかく皆で高い金を出したのに、この物件が無駄になってしまうぞ。」
「そうだぞ、アクア。お前にすべてが掛かっているだからな。」
ダクネスに続き、カズマも浮かれているアクアに釘を刺した。
まぁ、除霊に関しては大丈夫だろう。仮にも女神だから心配ないだろ・・・。
最悪、クリスさんにでも頼んでみるか。
「でも悪霊憑きとは言え、よくこんなお屋敷があの値段で買えましたね。小さな家ぐらいのちょっと街から離れますが小さな家を買える値段でしたよ。もしかして、今回の街中の悪霊騒動が起きる前から問題がある、訳有り物件だったりして・・・。」
めぐみんが不安になる様な事を言った。
「そ、そんなはずないだろ。・・・ないよな、ハチマン。」
「まぁ、屋敷といえば殺人事件。1件や2件あっても不思議じゃないな。」
カズマの不安を煽るように言った。
屋敷=殺人、金〇一しかりコ〇ンしかり相〇でも屋敷が出てくることが多いな。
「やめ、やめて下さいよ!ハチマン!」
声が震え青い顔をして、自分のプルプル震えるめぐみん。
そんな姿を見て、罪悪感と同時に昔小町に怖い話をした時と同じ反応していたのを思い出した。
小町とめぐみんは、時々重なって見える時がある。
自然と手が、めぐみんの頭を撫でた。
「うゅ。」
めぐみんから変な声が出たが、目を細めながら鼻歌交じりに心地よさそうにしていた。
カズマ・ダクネスが悪霊に対してまだ不安がある様子はあった中、アクアが自身ありそうな声で言った。
「さて、行くわよ。悪霊とかは、私に任せなさい!。・・・・フフフ。見えるわ、私にも見える!この私の霊視によると、この屋敷では貴族が遊び半分でメイドに手を出して、そのメイドとの間にできた子供が幽閉されていたみたいね。その貴族は生まれつき体が弱かったことから病死、母親のメイドもゆくえ行方知らず。この屋敷に幽閉された女の子が若くして父親と同じ病で伏して、両親の顔知らず一人寂しく亡くなったみたい。名前はアンナ・フィランテ・エステロイド。好きなものはぬいぐるみや人形、そして冒険者達の冒険話。でも安心して、この子は悪い霊ではないわ。私達に危害を加えたりしないはずよ。おっと、でも子供ながらにちょっぴり大人ぶったことが好きで、時々甘いお酒を飲んだりしているみたい。お供え物はお酒を用意していてね。」
あまりにもインチキくさい事を延々と口走ったアクア。正直、まだ夏の特番でホラー特集のほうがマシなくらいだ。カズマもダクネスも胡散臭い霊媒師を見るような目をしていた。
「・・・ハチマン、どう思う?なんで、このバカは余計な設定と名前までわかっちゃうの?割り勘とは言え、オレ全財産はたいたんだが・・・。」
「まぁ・・・不安があるが買っちまったもんはしょうがない。なんかあったら。俺が他のプリーストにでも相談してやる。」
「最初から、そっちのほうg「だめだぞ、めぐみん。それを口にしたら」・・・・はい。」
どこか不安がありながらも屋敷の中に入っていった。
夜半過ぎ。
俺達はみんな鎧や装備を外して、くつろいでいた。
最初は不安などがあったが、今のところ悪霊や怪奇現象などの問題なく過ごせていた。
それに、各自部屋割なども決めて、荷物などを持ち込んでいた。
俺の部屋は、角にある少し広い部屋がもらえた。
リビングまでは、多少離れているが風呂とトイレが近いのは助かる。
一応だが、部屋にあった家具やクローゼット、それにベッドの裏側などにお札的なものがないかは確認済みだ。
昔、面白半分で泊まった旅館のクローゼットをずらしてみたら、びっしりお札が貼ってあった時は、小町と一緒に寝てくれないかと交渉したもんだ。
今回は何もなくて本当によかったわ。それにあったとしてもアクアがいるから大丈夫だろ。
「ああああぁぁぁぁんん!うわーん!」
安心して、ベッドの上で寝ながら借りてきた本の続きを読み始めようとした瞬間にアクアの泣き声が自室まで響いた。
アクアの声を聞いて、俺は慌てて部屋を飛び出してアクアの部屋へと向かった。
途中カズマと合流してアクアの部屋の扉前へと行きノックをした。
「おい、どうした!何かあったのか!」
カズマの声にアクアは反応がない。
これは相当やばいことが中で起きてるんじゃないかと、カズマと顔を見合わせて扉を勢いよく開けた。
そこには・・・・。
「ハチマン、カズマ・・・うぅ・・うぅうう・・・。うえーん!」
部屋の真ん中で、大事そうに酒瓶を抱いて泣いていたアクアの姿だ。
よし、解散しよう。撤収、撤収。
俺が再度扉を開けて出ていこうとすると、アクアがグイッと服を引っ張ってきた。
「おい、俺は部屋に戻って本を読むんだ。」
「ひぐっ・・・事情くらい聞いてよ~、ハチマン!」
「はぁ・・・んで、どうした?あと、カズマどさくさに紛れて帰ろうとすんな。」
「ちっ。」
聞きましたか、今の舌打ち。
こいつが夜中トイレ行くときに、背後で世にも奇妙〇物語のテーマソング口ずさんでやる。
「ねぇてば!真剣に聞いてよ!」
「はいはい。まさかだと思うが、酔っ払いの奇声とかじゃないよな?」
「違うわよ!このお酒の中身が無くなっていたのよ。」
「それは、飲んじゃえば無くなろう。」
「そうじゃないのよ!このお酒は高いからお風呂上りに大事にチビチビ飲んでいたのよ!それが・・・それがっ!私が帰ってきたらお酒が空になってたのよ。」
・・・戻って本でも読んで寝るかね。明日は、日用品とか買いに行きたいし。
「そうか、大変だったな。」
俺にできる最高の笑顔で、アクアの肩をポンポンとやさしく叩いた。
カズマもあくびをしながら「そうか。お休み。また明日な。」と言った。
「ねぇ!なんでそんなに冷たいの!ハチマンに限っては、無駄にいい笑顔だし!ちょっ、2人共待ってよ!これはココに住む悪霊のせいよ!絶対間違いないわ!こんな悪質なことをする悪霊は速攻で消し去ってあげるわ!ということで、今から屋敷内の霊という霊をしばいていくわ!」
アクアが高笑いをしながら、部屋を出て行った。
悪霊だろうが霊だろうが除霊してくれるなら止める必要もないし何でもいいか。
「うぅ・・・もう結構な夜中なんですから勘弁して下さいよ。何事ですか?」
「っていうか、今アクアが高笑いしながら、廊下を走って行ったぞ。」
先ほどのアクアの叫び声で来たのであろう、眠そうに目をこするめぐみんときょとんした顔をしたダクネスがアクアの部屋に来た。
「あぁ・・・アクアが除霊をするらしいぞ。ほら、お前ら自室戻って寝るぞ。」
その場で、全員解散をして自室戻っていった。
一体どのくらい寝たのだろか。
屋敷は静まり返り、深夜をとっくに回っているだろう。
その静まり返った中で、部屋の扉をたたく音が鳴り響いた。
おい、ふざけるなよ。こんな夜中にノックするアホは。
俺は絶対にベッドから出ないからな。
決意を硬く持ったところで、徐々にノックする回数と速さが増していった。
「だぁ!もうわかりましたよ・・・どちらさん。」
イライラしながら扉を開けると、そこにはモジモジしているめぐみんの姿があった。
えっ、どうしたのこの子?
寝起きのせいか頭が回らずにめぐみんを見ていたら恥ずかしそうに、めぐみんは口を開いた。
「は、ハチマン・・・あ、あの・・・。・・・・に・・・レに・・・。」
「どうした?」
「う~、と、トイレに一緒に行ってくれませんか?」
「・・・はいはい、トイレね。」
「う~。」
恥ずかしいのか、うねり声を発してながらもトイレに向かうめぐみんに着いていった。
なんか、本当に小町そっくりだな。昔は、夏の特番でホラー番組やホラー映画を見たときは、毎回深夜にトイレに一緒に行ってくれと言われたな。
トイレに着くなり、めぐみんはそそくさとトイレの中に入って行った。
「ハチマン、外にいますか!」
「いるよ。」
「本当の本当ですか!」
「・・・はいはい、いるよ。」
その後何回も何回もいるかどうか確認をさせられ、トイレから出てきた。
「ハチマン、ありがとうございます。」
「あいよ。」
さて、部屋に戻ってもう一度寝るとするか。
自分の部屋に戻ろうと歩き出そうとした時に、遠くから悲鳴と叫び声が聞こえた。
その悲鳴は徐々にこちらに近づいてきた。
「な、なんでしょうか、この悲鳴?」
「わからんが・・・逃げる準備だけはしとけ。」
めぐみんは、俺の服をぎゅっと掴んで体をビクつかせながらも悲鳴が聞こえる方を見つめる。
そして、悲鳴を上げている人物の姿が俺達の前に現れた。
「ハチマン、めぐみん助けて~!」
「なんだ、カズマか。」
「ふぅ・・・カズマでしたか、驚かせ・・・ひゃあああああああああ!!!!逃げますよ、ハチマン!!!早く!!!」
「おい、どうし・・・・。行くぞ、めぐみん!」
めぐみんの手を引っ張って、走り出した。
なぜ?走り出したかって?カズマの後に多数のフランス人形が宙に浮きながら追いかけてきたからだ。
「おい、カズマこっちくんなよ!」
「そうです。」
「お前らひどくないか!」
俺達、3人は仲良く廊下を爆走した。
「うぅ・・・ハチマンいますか。」
「あぁ、いるぞ。囮に使えるカズマもいるから安心しろ。」
「だれが囮だよ!」
「安心ですね!」
俺達は屋敷中を駆けて、空き部屋のクローゼットの中に隠れていた。
さすがに3人でクローゼットの中というのはキツイ。しかも、俺を挟んで密着している状況だ。
そんなかで、文句を言っていたカズマが急に黙りこくっては、体をモジモジさせ始めた。
「動くなよ、カズマ。」
「そうですよ、ただで狭いんですから・・・はっ!カズマもっと動いてもいいですよ。」
「何言ってんだよ、めぐみん。」
「クンカクンカ・・・。」
「おい、俺の匂いを嗅ぐなよ!おい、カズマも動くんじゃねぇよ!」
「・・・トイレ。」
カズマが情けない声を発した。だが、その一言で、すべてを把握した。
・・・この場で漏らされる訳にはいかない、俺の服にこいつの威厳が・・・って、元々ないか。
「仕方ない。俺が囮になるからカズマは、その隙に行ってこい。あと、めぐみんもその隙にアクアと合流してこい。」
「すまない、ハチマン。」
「えっ?今の状況が「行ってこい」・・・むぅ、わかりました。」
外から物音はないが、気配はある。
巧師匠の修行を思い出せ、あの時の怖さに比べれば。
よっしゃ、行くぞ!クソがっ!
自分自身に活を入れて、クローゼットのドアを開けた。
「来い!俺が・・・。」
活を入れクローゼットを開けるも、そこには人形がこれでもかってくらいに床や壁や天井などにびっしりいた。
人形達も、俺の声に反応してはプラスチックが軋む音を立てながら顔を回転させて、俺に視線を合わせてきた。
oh・・・予想以上にいるんだが。
「「ひぃぃぃぃ!」」
「クソっ!やってやる!」
クローゼットから出て、両掌を丹田のあたりにかざし右腕を勢いよく左斜め上に伸ばした。同時に左手を右腰あたりにつけ、スーッと右腕を左から右に高さを変えずに平行移動させた。左手もそれに合わせてスライドして左腰に平行に添え、「変身!」と叫び、右手を左腰にある左手の上に素早く移動させ、軽くグッと押し込み、身体を開き、両腕を緩やかに腰の高さで広げた。俺の姿はクウガへと変わった。
「カズマ・めぐみん!」
「「はい。」」
2人はクローゼットから飛び出て、廊下へと出ていった。2人が出たことを確認して、人形達に向けてファイティングポーズをとると人形達も両手を前に出した。
「来い!」
・・・・・・・・・・・・。
人形達は、俺の気合とは裏腹にまったく動こうとしなかった。待てど待てど、まったく動く気配がせず思わず、ファイティングポーズを解くと人形達は前に出した両手を合わせたり離したりを繰り返した。
そう、人形達は俺に向かって拍手をしてきたのだ。・・・おいおい、どう反応すればいいんだよ。
「ハチマン!私が来たか・・・らには?どういう現状?」
アクアが駆け付けるなり、このよくわからん状況に困惑していた。
「俺にもわからん。」
「・・・とりあえず、話し聞いてみるわ。」
そこから、アクアは人形達に話しかけ始めた。
途中にふむふむ、なるほどと声を上げていた。
「ハチマン。どうやら、この子達、その特典というか仮面ライダーだっけ?気になるらしいわよ。」
「はぁ。」
状況がわからず、思わず気の入らない返事をした。とりあえず、変身解こう。
クウガの姿を解いて、アクアを見た。
「気になると言われてもな。」
「ふむふむ。この子達が仮面ライダーの話しを聞きたいって。なんでもカッコイイからワクワクしてる少年少女の霊とかがワクワクしてるわよ。」
「それなら仕方ないな!」
少年少女に来世の夢を与えるは必要だし、なによりもカッコ良さを分かるしな。
そこからの行動は早かった。
アクアにもう少し広い部屋に霊たちを集めてもらい、仮面ライダー1号から俺が知る限りの最新の仮面ライダーの話をしてあげた。
ところどころ、嬉しそうに拍手をする霊達を見て一緒に変身ポーズしたりした。
朝になる頃には、霊達は満足したのかアクアのところに行っては成仏させてもらっていった。
「ふぅ・・・これで最後ね。結局朝まで掛かっちゃったわね。」
アクアは、窓から日の光が差し込み明るくなった外を見て呟いた。なんだかんだ、この広い屋敷の霊を成仏させたアクア、一晩でここに居た霊の他にも霊も除霊やるだから腐っても女神か。
「さて、一応このままギルドに報告しに行くぞ。」
「えーーー「朝食ぐらいなら奢るぞ。」行くわ!」
リビングに行って、置手紙を残してアクアとギルドに向かった。
ウキウキ気分になっているアクアに対して、テンションが上がっていたとは言え、あんまり寝れなかったので何時もよりも歩みが遅くなっていた。
「そういえば、貴族の霊がどうたらって言ってたが、その霊は悪さをしないんじゃなかったのか?」
「あぁ、居たわね、そんな霊。あの子は今回の件は関係ないわ。それに今回の件は全部野良の霊の仕業だから。」
野良ねぇと眠気のおかげで頭がぽけーっしていた。
そして、嬉しそうにギルドのドアを開けた。
「あっ。おはようございます、ルナさん。すんません、こんな早くに、報告したいことがありまして。」
こんな朝早くだというのに、受付嬢のルナさんが居た。
「ハチマンさん、おはようございます。いえいえ、いつでも来て頂いても大丈夫ですよ。それで、どんな報告ですか?」
アクアと俺は、夜に起きた事を話した。
ルナさんが、アクアの冒険者カードを見ては、なるほどと頷いていた。
冒険者カードには、倒したモンスターの数字が記載されているので、その数字の確認をしているのだろう。
「はい、分かりました。この件に関しては、今張り出されているクエストで不動産から悪霊退治の依頼と合致しています。この屋敷の持ち主はハチマンさんとなっておりますが、街の悪霊退治したということで僅かとはいえ臨時報酬を出させていただきますね。」
思わぬ、臨時収入にアクアは無言でガッツポーズをしていた。
ルナさんは、尚話しを続けた。
「ハチマンさん達には、苦労をかけて申し訳ないですが街に増えた悪霊の原因が分かったので、そちらのほうもお願いしたいんですが。」
「原因?」
「はい、街の共同墓地がありますよね。あの墓場のところで、何者かのイタズラか何かで、神聖属性の結界を張ったんですよ。それで、墓地で発生した霊達が行き場所がなくなって、空き家に住み着くように・・・。」
それを聞いたアクアの体がビクンと震えた。
・・・まさか。
「すいません、ルナさん。少し待ってもらってもいいですか?」
「はい。」
不思議そうに首を傾げていたルナさん。
俺は、アクアをギルドの隅っこに連れて行った。
「アクアさん、何か心当たりがあるじゃないんですか。」
「・・・はい。ウィズに頼まれて、定期的に墓場の霊を成仏させるって話があったじゃないですか。でも、しょっちゅう墓場に行くのって面倒くさいじゃないですか。・・・それで、墓場に結界張っておけば霊もどっか適当なところ行って、勝手に成仏してくれるんじゃないかなぁ・・・みたいな?」
・・・完全にマッチポンプじゃねぇか。
これは、不動産の人にも言わなきゃ、ダメな奴だ。
「・・・おい、臨時報酬はなしな。」
「・・・はい。」
「それと、お前が原因なんだから除霊費用として家代貰わなかったが、今後のクエストから少しずつ減らしていくからな。」
「うぅぅぅぅ・・・・。」
「あと、今から不動産にも謝りに行くからな。」
「・・・うぅ・・・ごめんなさい。」
ルナさんに、臨時報酬は貰えないと伝え、ギルドを後にし不動産に・・・。
と思っていたが、行く道中で昨日売ってくれた不動産の亭主と店員と出会った。
「おぉ、こんなところで会うとは奇遇ですな。先ほど、心配で屋敷のほうを見たのですが無事除霊も上手くいったようで。何事もなくよかったです。」
にこやかに挨拶をした亭主は、俺達の心配までしてくれた。
心がっ!心がいたたまれない!
やめて、本当に。もう、ただでさえ、この世界住人の人達の優しさに頭が上がらないのに。
俺とアクアは事情を話し、屋敷を返し、買ったお金はお詫びにと言った。
・・・がっ。
「なるほど・・・。・・・これは私の我儘なのですが、あの屋敷に住んでいただけますでしょうか。あそこの屋敷には、アンナ・フィランテ・エステロイドという元屋敷の持ち主の令嬢が遺言がありまして。その遺言では自分の身体が弱くて外に出れなかった自分の代わりに、外の世界を見て回れる冒険者に売って欲しい。そして、楽しそうに冒険話をする様子を見守りたいと書いてありました。貴方達は、マッチポンプだったとはいえ、あれだけの悪霊を成仏をさせてあげたのですから、かなりの実力者と見込んでお願い致します。」
亭主は頭を下げた。
「頭を上げてください!あんな良い物件を断る理由なんてありません!むしろ、住まわせてしてください。」
亭主は頭を上げて、にこやかに「ありがとう、ようやく約束が果たせたよ。」と言って、店員と一緒に店へと戻っていった。
屋敷に帰る道中に、花と人形を買って屋敷の外にある小さなお墓に供えた。
バカみたいな冒険話をしないとな、こんなパーティだから飽きは来ないだろうから安心してくれとお墓に手を合わせると、墓の後にある木が大きく揺れた。
まるで、頷いているかのように。
FGOで無課金で石を200ちょい集めて、沖田ちゃん狙いでいったら……なんと!
星4のエミヤしか来ませんでした。
もう……ログインだけでいいかな。