「おい!どういう事だよ、説明を……早いっ!?」
カズマが説明を求めるよりも、先に2人は外に飛びだして行った。
2人を追いかけて外に出てみると、すでにアクアとウィズさんの後ろ姿は小さくなっていた。
とりあえず、ウィズさんの店の札を裏返して、準備中に変えた。
「ったく…。おい、カズマ追いかけるぞ。」
「おう。てか、どうする?同じく走るか?」
「いや、今回はコレで行くぞ。」
小屋の裏からオートバジンが飛んできた。
いやー、便利だな。冒険者カードを持って、来て欲しいと思うだけで来てくれる。
だが、今日の変身はファイズと決まってしまうが。
「おぉ!バイクか、いいなぁ!」
「とりあえず、メット1つしかないからカズマ被っておけ。」
「ハチマンはどうするんだ?」
ファイズフォンを取り出して、変身準備を行ってベルトにセットして「変身」と言った。
冒険者の格好からファイズへと姿を変え、オートバジンに跨った。
「なるほどな。」
カズマは、よっとと掛け声を出しながら後ろに乗った。
よし、とりあえずクラッチレバーを握り、シフトペダルを下げてローに入れ、アクセルを回してクラッチレバーを緩め発進をした。
スピードが上がるに連れて、ギアを上げっていった。
「ふぉぉぉ!最高だ!バイク最高だな!羨ましいぞ、ハチマン!」
カズマが後ろで、叫んでいた。
気持ち分からんでもない。こんな事だったら、前の世界でもバイクの免許取っておけば良かったな。
てか、今無免許運転だが大丈夫だよな?
乗り方とかはオートバジンにビートチェイサーを取得した時に知識と技術も同時に体と頭に入ってきた。
まぁ、問題なく運転も出来てるからいいか。
よし、飛ばして行くぞ!
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飛ばすこと10分、冒険者ギルドに着いた。
やはりバイクとかだと早いな。
だが、アクアとウィズさんには追いつけなかったな。どんだけ、早いんだよ!魔法でも使ってるのか?
カズマはバイクから降りて、俺も変身を解いてバイクから降りた。それと同時にオートバジンは変形をして、飛んでいった。
あー、そう帰るんだ。
「なぁ。ハチマン、気づいていると思うが……。」
「分かってる。」
何に気づいているかというと、バイクでギルドに向かう道中、ヘルメットと大きなリュックサックとツルハシを持った冒険者が続々とギルドに向かってた事に。
「おーい!ハチマン、カズマ!遅いわよー!」
「そうですよ!」
俺らよりも先に飛び出した、アクアとウィズさんがツルハシとヘルメットといった先程すれ違っていった冒険者達と同じ装備してギルドから出てきた。
「ハチマン、カズマ、あなた達の分も確保してきたから急いで!ギルドにいるはずのダクネスとめぐみんは居なかったから、きっと先に行ってるわ。ほら、私達も急いで街の外に行くわよ!」
言いながら、アクアは俺達にツルハシとヘルメットにカバンを渡してきた。
どうやら、街の外に行けば分かるみたいだが……。
「アクア、とりあえず説明してくれ。さっきの放送で流れた宝島ってなんだ?」
「そうだぞ、アクア。オレらには、何が何だか分からないし。一応、名前とお前等の反応から随分と割の良いクエストなんだろうけど。」
俺らはアクアから道具を受け取って、アクアに訪ねながら2人の後を付いて行った。
「宝島とは、玄武の俗称です! 街の外に玄武という名の巨大モンスター現れたのです! 玄武は、十年に一度甲羅を干す為に地上に出て来ると言われています。これは、普段は地中で生息している玄武が、甲羅に繁殖したカビやキノコや様々な害虫を日干しにする為だと言われていますが、定かではありません。言えるのは、玄武は暗くなるまで甲羅を干す事。そして玄武は鉱脈の地下に住み、希少な鉱石類をエサにする為、その甲羅には希少な鉱石が地層の様にくっ付いている事です!」
興奮気味にウィズが走りながら教えてくれた。
話を聞くに、割が良いクエストなんだろうけど……こういったクエストには、それなりに難がある。対処しきれるレベルならいいんだが。
「なぁ、アクア。話しは分かったけど、その巨大亀は背中を掘られて攻撃とかしないのか?」
「大丈夫よ、ハチマン。よっぽどの事がなきゃ攻撃はしてこないわ。」
「そうか。」
「つーか、すでに凄い人数が行ってるけど、俺達が付く前に掘り尽くされちまうじゃないか?」
カズマの言葉に、アクアが。
「なに言ってんの、カズマ?名前を思い出して、宝島よ!宝「島」!まぁ、とりあえず見てもらった方が良いわね。それよりも、アンデット!なんで、人類の敵が来てんのよ!」
「ひどい!?いいじゃないですか、リッチーだって宝島登ったって!それに、私も一応元人類何ですから、人類の敵扱いしないで下さい!今月も、赤字でキツいんです……み、店の借金が……。」
あー、店の経営が上手くいってないみたいだな。
リッチーが借金の為に、ツルハシ持って肉体労働か……世知辛い世の中だな。
「「……おい。マジかよ……。」」
俺ら2人が声を揃えて驚愕した。
なんというか小山が居た。
なんだこれ、山か?いや、山だな。
街の入口を出てすぐの所に、小さな山と勘違いするほどの大きさモンスターがいた。
その大きさは、千葉マリンスタジアムぐらいか?いや、分かりづらいな東京ドームとでも言っておくか。
近くの地面には、この亀が出てきたのであろうデカいクレーターが出来ていた。
こういうのが、神獣と言われるんだろうな。
隣にいたカズマも同じ感想持ってそうな感じで惚けていた。
「一応戦闘になりませんように……。」
小さく神獣に手を合わせて拝んだ。