ズ・ゴオマ・グとの戦闘から数日が経った。
結果からいうと、ズ・ゴオマ・グが出現した理由は不明だ。戦闘した次の日に、1人で洞窟の調査を行ったがあったのは金品が入った宝箱があったくらいだ。
まぁ、懐は潤ったが、ズ・ゴオマ・グに関しては何も分からなかった。もしかしたら、宝箱の中の金品の中に出現させる何かがあったのかと調べたが、何も無かった。
今後も、新しい洞窟が出てきたら調査しに行くか。
「おーい、ハチマン。見てくれよこれ!」
ギルドの片隅で、ノートを広げていた所にカズマがやってきた。
「どうした?また、なんかスティったのか?とりあえず、警察行くか?」
「なんもしてねぇよ!てか、スティったってなんだよ!」
えっ?何?スティった知らないの?
まぁ、俺が今作ったから知らないよな。
「んで、どうした?」
「キースから千里眼スキルと狙撃スキルを教えて貰ったんだ。」
「おっ、よかったな。」
どうやら、カズマは前のゴブリンとの戦闘でレベルがレベル13になってスキルポイントも大量に確保出来たらしい。
俺もズ・ゴオマ・グとの戦闘でレベル25になったが、両方ともスキルは出現しなかった。
もしかして、レベル50とかにならないと出現しないのか…。
「んで、ハチマン。未確認生命体についての調査はどうなんだ?」
「まったくダメだ。ルナさんにも聞いてみたが、新種モンスターの情報とかは無いらしい。」
「そうか。」
そんな話をしていると、遠くから「おーい。ハチマン~、カズマ~」と呼ばれた。呼ばれた方向を見ると、野菜スティックを片手に持っているアクアと、その後ろにめぐみんとダクネスが歩いてきた。
「この話しは情報が入り次第に話すわ。」
「分かった。俺もキースとか他の冒険者に聞いて情報が入り次第、ハチマンに報告しておく。」
相変わらず、このコミュ力お化けは凄いな。
「何々?なんの話してたの?」
「あぁ、ちょっとな。」
アクアは、持っていた野菜スティックを机に置き席について、めぐみんとダクネスも同様に席についた。
「オレも野菜スティックもらうわ。」
カズマが手を伸ばすと、野菜スティックが手から逃れるように、ひょいっと避けた。
……あん?
「何してんのよ、カズマ。」
アクアが机をバンッと叩くと、野菜スティックはビクっと反応して、動かなくなった野菜スティックを1本取り出し食べ始めた。
「……むぅ。ハチマン、私達に内緒で何を話してたんですか?なんですか、ちょっと胸がモヤモヤします。」
ちょっと不機嫌なめぐみんが、野菜スティックのコップの淵をピンと弾き、そのま野菜スティックを摘んだ。
「めぐみん、今やってる調査が終わったら話してやるから待っててくれ。それに、場合によっては、めぐみんの爆裂魔法を頼るかもしれんからな。」
「そ、そうですか!ハチマン、いつでも頼ってください!」
めぐみんは、先程と打って変わって嬉しそうな表情していた。
そう、この3人にはズ・ゴオマ・グの話しはしていないのだ。
話さない理由としては、確実にコイツは未確認生命体を確認次第に突っ込んで行くからだ。下手に突っ込まれて死んだとかシャレにならんしな。
「だが、ハチマンよ。洞窟の調査して以来、あまり休んでなさそうだが、大丈夫なのか?」
「大丈夫だ、ダクネス。俺のモットーは、休める時に休んで、休めない日も休むだからな。」
「ぷ…。なんだ、それは。」
ダクネスは、笑いつつ野菜スティックのコップの淵をピンと弾き、野菜スティックを摘んだ。
「よし!次こそは…。」
カズマは、机を叩いて野菜スティックに手を伸ばした。
ひょいっ!
「…………だぁぁぁぁぁぁぁぁ!くそがぁぁぁぁぁぁ!!!」
カズマは、野菜スティックのコップを掴み壁に叩きつけよう振りかぶった。
「おいおい、食べ物を祖末にするなよ。」
「うっ……分かった。野菜スティックごときに向きになりすぎた。」
カズマは、コップしぶしぶ机に置いた。
「でも!野菜スティックごときに舐められてたまるか!てゆーか、なんで野菜スティックが動くんだよ!」
「何言ってんの?お魚もお野菜も新鮮な方が良いでしょ。活気作り知らないの?」
「んな、活気作りいらねぇよ!むしろ野菜スティックごときにあってたまるか!」
活気があった方が新鮮感があるよな。
今更、空飛ぶキャベツがいるんだから野菜スティックが動いても不思議じゃないしな。
おっ、意外と上手いな、この野菜スティック。
「……はぁ…。野菜スティックは、もういいや。とりあえず、お前らに相談があるんだが。レベルが上がったから、新しいスキル取れそうなんだが、次のスキルを何をするかって話だ。そういや、お前らのスキルとかって、どんな感じなんだ?」
カズマは、今後のクエストを効率よくこなしていく為に、今後覚えるスキルを少しでもパーティのバランス良くするためにと考えていた。
「まずは、私から。物理耐性と魔法耐性、各種状態異常耐性等で占めている。後はデコイっといった囮スキルだな。」
「……大剣の修練とか取って、命中率上げたりしないのか?」
「しない!言っては何だが、筋力と体力はある。もし、命中率を上げてしまったら簡単に敵が倒せてしまう。かといって、手を抜いて戦うのは違うんだ。……そう、必死に剣を振っては当たらず、力及ばす圧倒されるのがいうのが気持ちいいん」
「もう、いいや。ダクネス、ちょっと黙ってろ。」
「うっ…うんあ……たまらない!ハチマンのゴミを見るような目で言われるとたまらん!」
頬を赤く染め、体をふるふると震わしていた。
「次は、私ですね!」
「「あっ、大丈夫です。」」
「なんでですか!」
「だってな…。なぁ、ハチマン、」
「まぁな。めぐみんは、爆裂魔法の威力を上げるスキルと高速詠唱スキルに、溜まったポイントを爆裂魔法にぶっ込んでるとしか考えられない。」
「うぐ……まったく、その通りなので何も言えません。」
「めぐみんは、中級魔法を覚えないのか?」
「何いってるんですか、カズマ?中級魔法なんて要りません!爆裂魔法だけで充分だと、まだ分かってないんですか?」
「……。」
「えっと……次は私ね!ふふふ…聞いて驚かないでよね!」
「いや、アクアもいいや。」
「何でよ!?」
自分のスキルを言おうとしたが、カズマによって止められた。正直アークプリーストのスキルは気になるが、アクアだからなぁ……。由比ヶ浜に、料理レシピを持たせるようなもんだな。
「はぁ……なぁ、ハチマン。なんで、こうウチのパーティは纏まりがないんだ。」
今更の話しじゃないか。それは……。
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俺はアクアとカズマと一緒に、ある所に向かっていた。
めぐみんとダクネスは、手頃なクエストがあるか探しておいて貰ってる。
カズマじゃないが、現状の戦力としてはタンクのダクネスは防御力が高すぎて、アクアのヒールが意味をなさない、それに加え遠距離DPSのめぐみんに関しては1発だけの魔法だ。
まぁ、近接に関しては俺とカズマがなんとかするとするが……いくら何でも、1人1人が変に特化しすぎている。
複数の敵に対して、安定した火力が出せるのが俺だけだ。カズマに関しては、何かメインとなる武器かスキルが欲しいところだ。
「よし、2人共着いたぞ。アクア、一応言っておくが、絶対な暴れるなよ。フリじゃねぇからな。喧嘩もダメだからな。もちろん、魔法もだ。カズマは、アクアが変な真似したら、すぐ止めるように。」
それは、小さなマジックアイテムを取り扱う店だ。
「分かった。」「ちょ、ちょっと、ハチマン!私は、そんな野蛮じゃないわよ!何ってたって、女神よ!人が崇められる神様よ!」
俺の後ろで文句言っていたが、店のドアを開けた。
ドアは、小さな鐘がカランカランと軽快な音をさせ、俺達が入店したことを店の亭主に告げた。
「いらっしゃいま……あぁ、ハチマンさん!」
「出たわね!このクソリッチーが!あんたなんかが店を出してるのよ!女神である私が馬小屋生活で、クソリッチーが店なんか経営して、、、生意気よ!こんな店、女神の名の元に燃やしてやる!」
俺が入店して、いきなりアクアが暴走した。
とりあえず、アクアの頭に拳骨を落として黙らせた。
怯えている亭主ことウィズさんに挨拶をした。
「ウィズさん、数日ぶりです。前の約束通り来ました。」