「もう!着いちゃったじゃないか!」
「すみません!」
依頼されていた洞窟が見えてきたのだ。
あれから、ずっと考えては答えていったが全てハズレた。
クソっ…まったく分からない。小町ちゃん、このダメえちゃんに教えてくれ!
小町ちゃんから何かを得ようとしている時に、洞窟の前で1人の少女が頭を抱えていた。
「どうしよう、どうしよう。せっかく、……と勝負しようと思って持ってきたのに……。」
クリスさんも少女に気づいた用で、女の子に駆け寄っていった。
「君、大丈夫?」
「えっ、あっ、あわあわ…。」
何だろうな…何か共通のものを感じる。
少女は、何か言おうとしているが焦っている様子だった。
「うん?ゆっくりでいいから話そうか。」
「は、はい!えっとですね……。あっ、先にじ、自己紹介ですよね!…あれ…やりたくないな……。でも……!」
少女は立ち上がり、心呼吸をした。
自己紹介って、そんなに意気込むもんなのか?
あっ…、俺も自己紹介の度に意気込でるわ。
そして、噛んで失敗してるわ。
「ふぅ……。我が名は、ゆんゆん!アークウィザードとして、上級魔法を操る者!やがては、紅魔族に長となる者!」
少女は、ポーズを取りながら自己紹介をした。
あー…。完全にウチのポンコツ爆裂魔法娘の知り合いだな。
俺とクリスさんが、ゆんゆんをじーっと見ていた。
「だ、だから、この自己紹介は、いやだったんですよー!」
「だ、大丈夫だよ!ちょっと、驚いただけだから。ねっ!ハチマンさん!」
「あ、あぁ。てか、ウチにも似たような奴いるからな。大丈夫だ。」
「うっ…、ありがとうございます。」
なんとも言えない空気になってしまった。
だが、やっぱり紅魔族の名前って、あんな感じなんだな。
ついでに、自己紹介も…。
「えっと…あたしの名前はクリスだよ。見ての通り、職業は盗賊だよ。よろしくね!ほら、次。」
「俺の名前は、ハチマン。職業は、冒険者だ。よろしく。」
「それで、どうしたの?」
「…………クリスさんとハチマンさんですね……。あっ!はい!さっき買ったマジックアイテムがないんですよ。うー…。」
あら、それは災難ですね。てか、マジックアイテムか……。最近どこかで、聞いたか見たような。
「やっと、追いつきました!はぁはぁ……。」
「あん?」
後ろから先日あったリッチーこと、ウィズさんが走ってきた。
あれ?大丈夫なのか?クリスさんも女神だが。
チラッと、クリスさんの方を見ると、何かブツブツ言っていた。
「はぁはぁ……ゆんゆんさん、マジックアイテム忘れてましたよ。…って、ハチマンさんじゃないですか。どうして、ここに?」
「クエストで、この洞窟の調査で来てます。」
「そうなんですか。あっ、ゆんゆんさん、商品です。」
「あ、ありがとうございます!」
ゆんゆんは、ウィズさんからマジックアイテムを受け取った。
俺の服を、軽く引っ張られた。
引っ張られた方を見るとクリスさんが、耳を貸してと言ってきた。
俺は、耳をクリスさんの方に傾けると小さい声で話し始めた。
「ねぇ、ハチマンさん。あの人とはどういう関係なの?」
「あー、先日のクエストでお世話になった人だ。それとクリスさんは、気づいていると思うが。」
「大丈夫、分かってるよ。彼女がリッチーって事だよね。それについては、こちらの世界のプリースト達に任せるつもりよ。下手に手を貸したりするのは、こちらの世界の為にもならないしね。」
意外と考えているんだな。どっかのダメ神と違って。それから、先日の事件で起きた事とウィズさんの事を話した。ウィズさんに関しては、クリスさんも納得して貰えたようだった。
むしろ、プリーストに対して苦笑いを浮かべていた。
「よし。ねぇ、ハチマンさん。」
「うん?」
「今回のクエストに、あの2人も連れていかない?」
「えっ?はぁ?何言ってるの!?出会って、ま……「ねぇ、2人共~。」あっ、ちょ、待ってくれ。」
この人、行動早すぎだよ!?
だが、普通出会って間もない人間とクエストに行くことはないだろ。
むしろ、俺なら話しかけられる前に逃げますけどね。
「って、事で一緒に行かない?」
「えっと…、お誘い、あり、ありがとうございます!」
「誘って頂きありがとうございます。」
よし、次に来るセリフは、''今回は遠慮させていただきます''だ。
だか、2人から返ってきたセリフは違った。
「ご、ご迷惑で無ければ一緒に行きたいです。」
「私も、お店は閉めてきてあるので大丈夫ですよ。それに、もしかしたら良いアイテム手に入るかも知れませんですし。よろしくお願いしますね。」
うっそーん。なんで、断らないの。普通断るでしょ、普通。
「うん、今回はよろしくね。ほら、ハチマンさんも。」
「あぁ、よろしく頼むわ。」
「んじゃ、行こう!」
「「おぉー。」」
なんで、こんなに乗り気なんだよ。
こうして、俺達のパーティに新たな2人が加わった。
……俺のメンタル持つかな。