「ふぅ…。」
変身を解いて、俺は一息ついた所に岩陰に隠れていためぐみんとアクアが合流してきた。
とりあえず、アクアには折檻が必要だな。
「ハチマン!先程の戦いカッコよかったです!やっぱり、アクシズ教団に入ったからですか!」
「違うぞ、めぐみん。アクア、ちょっとこっち向け。」
「うん?何かしら?」
めぐみんは、興奮気味でその場をぴょんぴょんしていた。何この子可愛いんですけど。
だが、その前に…。俺は、アクアのデコに本気のデコピンをかました。
「いったーーーーい!何するのよ、ハチマン!あぅ…。」
余程痛かったのか、アクアはデコを抑えながら涙目で反論してきた。
「アクア、めぐみんに変な嘘ついた罰だ。これぐらいで済んで良かったと思えよ。次に変な嘘ついたら変身をした状態でデコピンだからな。」
「うぅ…はい。」
それと……そこのアホクルセイダーにも折檻しないとな。だが問題は、ドが付くほどのMだ。普通の折檻なら、さっきやったデコピンで済むんだが…。チラッとダクネスの方を向くと、物欲しそうな顔をしていた。あー、もうめんどくさい!
「ハチマン、ダクネスどうする?てか、さっきのアイツは逃げちゃったし、俺の感知スキルで探すか?」
「ダクネスは、放置でいいだろ。逃げた奴に関しては、依頼されている事だから倒すか。」
そんな、話しをしてるとアクアは分かりやすく顔をしかめた。
「えぇ~、自分が取ってきたクエストですけど…なんて言うか、あんな不気味なモンスターをもう一度見ないといけないとか嫌なんですけど~。てか、戦力になるのがハチマンとカズマだけで、めぐみんは1発こっきりで、ダクネスは命中率低いし…。私は、あんな見た目の奴と近接とか嫌だし~。」
このダメ神が…。
俺とカズマは、呆れた顔をしていたところにめぐみんが手を挙げた。
「はいはい!」
「はい、めぐみん。何かあるのか?」
「ゴッホン。アイツの弱点を付けば、もっと楽に倒せると思うんですが。」
「あんな化け物みたいな弱点なんかあるのか?やっぱ、虫が付くだけあって火に弱いとかか?」
カズマは首を傾げなから質問した。
たしかに、あんな見た目の奴に弱点とかあるのか?
「いいえ、火ではありません。確か、寄生系モンスターは水を嫌うと聞いてます。キラーマンティスって、モンスターのお腹の中にいる何とか寄生虫も水に付けるとキラーマンティスから脱出するらしいです。でも、私は街の近くという事だったので、水なんか持ってきてありません。皆さんは?」
なんだか、カマキリの腹の中に住むハリガネムシみたいだな。
確か、ハリガネムシって、宿主が食べたものを食べて成長するんだよな。まるで、人間でいうヒモだな。なんか羨ましい。だって、働かずに飯も食えて宿もあるんだぜ。
おっと、アホな事を考えてないで、水か……。俺も街の近くという事で、水とか食料などといったものは何も持ってきていない。
「おいおい、水のことなら俺に任せてくれ。」
カズマがドヤ顔で言ってきた。なんだろう…めぐみんと違って、無性に殴りたい。
「任せてくれって?」
「実はな、キャベツの時に仲良くなった他のパーティの人に初級魔法を教えて貰ったんだ。」
そう言えば、行く前にスキル習得してたな。てか、他のパーティと仲良くなるとか、相変わらずコミュニケーション能力は高いな。
カズマは、右手を突き出して''クリエイト・ウォーター''と叫んだ。突き出した右手に光が集まり、次の瞬間に何も無い場所から大量の水が現れた。
「おぉ!すげぇじゃん、カズマ。」
「へっへっへっ……」
「おい、クソニート…私に言うことないの?」
アクアの方を向くと、カズマに対して殺気だっているズブ濡れになったアクアの姿があった。
死んだな、カズマ。
「えっと…水もしたたる女神さま、今日もアクアはいい女だな!」
「ゴオオオオオオオト!ブロオオオオオ!」
「いやあああああ!」
カズマの溝にアクアの右拳が炸裂した。
あーあー、本当にカズマはついてないな。
とりあえず、南無!成仏しろよ。