この腐り目に祝福を!   作:クロスケZ

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3-3 盗賊スキル×スティール×パンツ

「わり、待たせたな。」

 

ギルドの裏路地にいる3人に、軽く手を上げた。

とりあえず、今はクリスさんの正体を探るのは後にしておくか。スキルを習得の仕方も見ておきたいしな。

ちなみに、アクアとめぐみんはギルドに置いてきた。

 

「よし、揃ったね。んじゃ、早速スキルを使うよ。最初に習得して貰うのが''敵感知''と''潜伏''といってみようか。罠解除に関しては、この街で罠がないから、また今度ってことでね。ダクネス、ちょっと向こう向いてて。」

 

「……ん、分かった。」

 

ダクネスさんは、言われた通りに向いた。

クリスさんは、近くにあった樽の中に入って、上半身だけを出し、ダクネスさんに向かって何かを投げた。クリスさんは、直ぐに樽の中に隠れた。

 

…………コレが?潜伏スキルなのか?いや、もっとスっと消えたりする奴じゃないのか?

カズマも、思っていたのと違うと言わんばかりの落胆差を見せていた。

 

石を投げられたダクネスは、無言で樽に向かって行った。

 

「敵感知……!ダクネスが怒ってるのがピリピリ伝わってきたよ!一応、ダクネス。コレはスキルを教えるためにやったんだからね。えっ、ちょっ!ダクネス!」

 

樽の中にいるクリスさんが何か言っていたが、ダクネスさんが樽を横に倒しては、ゴロゴロ転がし始めた。

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!やめて!ダクネスー!」

 

…………本当に大丈夫なのか?

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

「さ、さて。次に教えるのは、あたしのイチオシのスキルの窃盗だよ!対象の相手から持ち物をランダムで奪い取るスキルだよ。相手が使ってる武器、鞄の中のサイフだろうが奪い取るんだ。奪い取る物は使い手の運次第。色々と使い勝手がいいスキルだよ。」

 

おっ、やっと盗賊らしいスキルだな。

でも、奪えるものは指定ではなくランダムか。

使い手の運次第ってのもあるが、そいつが本当に使えるものを盗れるかも分からない。

もし、奪われる側が大切な物だとしても、使い手に取ってゴミかもしれない訳だしな。

 

「とりあえず、2人に使ったあげから''スティール''」

 

クリスさんが、両手を前に突き出した瞬間に淡い光が発生と共に、その手には奪ったであろう物が握られていた。それは……。

 

「あっ!それオレのサイフ!」

 

カズマはサイフを奪われたら見たいだ。

俺の方は…。

 

「おっ、当たりだね。もう一つの方は?うん?布?」

 

クリスさんは、もう片方の手には布が握られていた。

 

「…………。」

 

クリスさんは、手に持っていた布を広げた。

股間がスウスウするなぁ。なんでだろうなぁ。ズボンの生地が直に当たってるような。しかも、クリスさんが持ってる布、今朝見たな。

俺は、ゆっくりとズボンの中を確認した。うん、やっぱり……。

 

「いやぁぁぁ!」

 

「なんで、ハチマンさんが先に叫ぶのよ!」

 

「とりあえず、俺のパンツ返してくれないか。頼むよ、スウスウするから。」

 

俺たちは自分たちの物を返して貰うために、クリスさんに手を伸ばしたがニヤリと笑みを浮かべた。とても、嫌な予感しかしない。

 

「……ねぇ、君達。あたしと勝負してみない?君達、さっきの窃盗スキルを覚えてみなよ。それで、今取った物を取り返せたら君達の勝ち。もし、それ以外に奪ったとしても君達の物になるけど奪われた物は返ってこない。一応、身に付けている武器とかは、カズマさんのサイフよりも高価なものだよ。」

 

あっ、これパンツ帰ってこねぇ。

 

「あ、あの、俺スキル覚えらないんだが。」

 

「……じゃあ、コレは私のものってことで。」

 

「嘘だろ!カズマ頼む、俺の!俺のパンツを取り返してくれ!」

 

「えぇ…。オレの初スキルがパンツ取るとかねぇ…。」

 

コイツ……。ならば、背に腹は変えられない。

 

「取り返せたら、1週間飯代は出すから!」

 

「分かった。へっへっへっ……見とけよ!あっ、とっ…とりあえず覚えなきゃ。」

 

カズマがせかせかとカードのスキルを取り始めた。早くしてくれ、気持ちが悪りぃから早く、Harry up!

 

「よっしゃー!覚えたぞー!そして、その勝負乗った!オレが何を盗られようが文句を言うなよ!」

 

「いいね!君!そういうノリ好きだよ。だけど、あたしが持ってるダガーは40万は下らないから残念賞もなきゃね。」

 

クリスさんは、 おもむろにポケットから結構な数の石ころを取り出し始めた。

てか、さっきダクネスさんに投げた物って石かよ!

 

「「おい!きったねぇにも程があるだろ!」」

 

「君達、コレは授業料だよ。どんなスキルも万能ではないってことさ。1つ勉強になったね。」

 

畜生!やっぱり、付いてくるんじゃなかった。

カズマ、お前に俺のパンツが掛かってるんだ!頼む!

 

「やってやる!いくぞ!''スティール''」

 

カズマが突き出した手の平にはガッチリと何かを掴んだいた。カズマはゆっくりと掴んだ物を広げた。

 

「なんだ、これ?」

 

そこには、三角形の白い布だった。

 

「ヒャッハーー!当たりも当たり、大当たりだー!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!あたしのパンツ返してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

クリスさんは、短パンを抑えながら涙目で絶叫した。

カズマよ。俺が今欲しいのは、そのパンツじゃないんだよ!

俺は、その場で力なく地面両手を付いた。

 

「クソーーーー!!」


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