「えっと、盗賊スキル?どんなのがあるんですか?」
あのカズマが緊張しているだと!?
まぁ、美人の人が相手だと仕方ないか。もちろん、俺は吃るから喋らんし信用もしない。
親父曰く、美人の人からうまい話しがある時は、大抵裏がある。親父は、昔ほいほい付いていっては裏路地でジャンプするハメになったらしいからな。だから、黙って聞いておくか。
「盗賊スキルっていうのは、罠解除・敵感知・潜伏・窃盗って感じのスキルだよ。持ってるだけでも、お得なスキルばっかりだよ。それに、君達冒険者でしょ?習得するスキルポイントも少ないから良いよ。今なら、そうだな…」
盗賊ような格好した女が、何か考えながら俺のほう見てきた。
やめて、見られるだけでも緊張して…あん?なんだろう、どっかで会ったような雰囲気があるな。
俺は、誰か思い出そうと盗賊女を見始めた。
「……ッ!対価決めた!シュワシュワ一杯と…うん。」
盗賊女は、俺に近寄ってはタレのついた頬を突き出してきた。
「あん?」
「うん!」
「えっ?なに?」
「もう!察しが悪いなぁ!頬付いたタレを取ってくれよ!」
え~。いきなりハードルが高いのきたぁ。
カズマに関しては、恨めしそうにこっち見てるし。盗賊女の相方は、黙って飲み物飲んでるし。ウチのパーティの女連中に関しては、飯食うのに夢中だし。
「は・や・く」
「ハチマン、うらやましいぞ!」
「うるせえよ!カズマ!俺だって、こんな事になってドギマギしてんだよ!」
「早くしないとスキル教えないよ~」
盗賊女は、悪戯っぽくニヤニヤしていた。
南無三!強化の為だ!
俺は、テーブルの紙ナプキンを取ってタレを拭いてやった。
盗賊の女性は、くすぐったそうにしていた。
やめて、その姿に僕のハートがヤバいです。
「ほ、ほら、終わったぞ。」
「ありがとう。」
盗賊女は、悪戯っぽく微笑んだ。
「ハ''チ''マ''ン''!」
お前に関しては、なんで血涙流してるんだよ。
てか、考えて見れば俺スキル覚えられないんだった。やる意味ねぇじゃねぇか!
「はぁ…すいません。こっちの女にシュワシュワお願いします。」
「ありがとう。」
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「ぷっはー!まずは、自己紹介しとこうか。あたしはクリス。見ての通りの盗賊だよ。で、この無愛想なのがダクネス。ダクネスのクラスはクルセイダーだから、君達に有用なスキルは無いかな。」
「ウス。カズマと言います。クリスさんよろしくお願いしやっす!」
「んで、君は~?」
「ハチマンです。よろしくお願いします。」
「硬いなぁ~」
だって、自己紹介なんか名前が分かればよくね。別に硬くてもいいよね。えっ、なに?休日なにしてるのかとか話したほうがいいのか?
んな事より、クリスさんの雰囲気どこかで…思い出せ俺の小さな脳みそ!
クリスさんが、シュワシュワを堪能しながらカズマからきた質問を解答していたがどうでもいい。
思い出す事に、必死なっていると1人の人物に思い当たった。その人物がいるはずがない、だが…。
「よし!飲み終わったから、今から習得させるからギルドの裏へ行こうか。」
「はい!」
どうやら、考えている間にクリスさんは飲み終わったらしい。カズマは、クリスさんに続いて席を立ち上がった。クリスさんは俺が立ち上がらない様子を見て、1度首を傾げた。
「ほら、ハチマンも行くよ。」
「俺は、スキル習得出来ないから待ってるわ。」
「習得出来ない?まぁ、いいから、ほら立って行くよ。」
「お、おい。ちょっと待ってくれ。」
クリスさんは、俺の手を引っ張って席から立ち上がらせた。
だから、カズマ。そんな不満そうな顔するなよ。
「ほらほら!」
「分かったから、その前にトイレ行かせてくれ。」
「了解。んじゃ、あたし達は先行ってるからね。」
クリスさんは、ダクネスさんとカズマを連れてギルドから出ていった。
俺はトイレに行かずにアクアに話しかけてからギルドから出ていった。