3-1 晩飯×スキル×タレ
俺が風呂から戻って来ると、先程座っていた席にアクア達が合流していた。
「ハチマン~!早く!報酬分けましょ!」
このダメ神…。
俺が呆れた顔しているとめぐみんの腹からグゥ~と可愛らしい音が聞こえた。
めぐみんも年頃の女の子なのだろう、顔真っ赤にしてお腹を抑えていた。
「はいはい…。ちょっと待ってろ。」
風呂に行く前に、ルナさんに金を預けていたので取りにいった。
なぜ、預けるかと?前に、カズマとアクアに預けたらいつの間にか、飯と酒で俺の報酬分も使いやがったからな。基本、金に関しては二人は信用にならん。
「ほら、今回の報酬だ。大事に使うんだぞ。」
「「「ありがとうございます!」」」
今回の報酬金額13万5千エリス。
3人に3万づつ渡した。残り分は、俺である。
なぜ、この値段なのかというと…まぁ、言わなくてもわかると思うが、ほぼ俺が倒していたからだ。最初は、きっちり分けようとしていたが、アクアとカズマが「俺(私)達、何もしてないので端数はハチマンさんがもらってください!」と言ってきたことにより、端数を切った数字で渡している。
それにしても、スキルのお陰でなんとかなってるが…命懸けで倒して4万って…割合わねぇ。
報酬の金を渡すやいなや、めぐみんとアクアは机いっぱいに注文しては、来たカエル料理にがっついていた。
アクアにいたっては、シュアシュアを一気に呑んでこめかみを押さえていた。
なんだろう、コイツら…本当に女なのか?色気一つねぇ。片方にいたっては、女神だぞ。
カズマも何か言いたそうな顔していたが、ぐっと抑えて2人に質問した。
「スキルって、どうやって習得するんだ?」
「スキルの習得方法?そんなのもの、カードにあるスキル欄をって…。カズマあんた、まだ初期クラスの冒険者だったわね。スキル習得するにあたって、誰かに教えもらって習得するって感じよ。」
「そうなのか、ハチマン?」
「カズマ、お前…。アクアが言ったことくらい信じてやれよ。たくっ…アクアが言ったように、誰かから教えてもらうんだ。まず、習得したいスキルを見てから、スキルの使い方を教えてもらう。そしたら、カードに欄が出るらしいからスキルポイントを使って習得するんだ。」
「らしいってことは、スキル習得はしたことないのか?」
「俺に関しては、他者からスキルを教えて貰っても、固有スキルのおかげで覚えられないんだ。」
「なるほど。」
「んで、スキルを使い続けるとスキルレベルが上がって、威力や効果が本職にも届く場合があるでいいのか、アクア?」
「ほふほふ……ごくっ…。そうよ!」
俺が説明すると分かった途端に、コイツは……。
カズマは、なるほどなど口ずさみ何かに気づいたのか、また質問をした。
「んじゃよ、もしオレがめぐみんから爆裂魔法を教えて貰えば使えるようになるのか?」
「その通りです!」
「うぉ?!」
先程まで、食べる事に夢中だっためぐみんがカズマの質問に対して、かなり食いつてきた。
てか、口周りに照り焼きのソースが付いてるぞ。
「めぐみん、ちょっとこっち向け。」
「はい?むぐっ…!」
俺は、口周りに付いたソースを紙ナプキンで拭いてやった。
拭き終わってから気づいた。
やっべ…、オートお兄ちゃんモードが発動して、小町にやっていた癖でやっちまった!
いや、だって、仕方ないじゃん?めぐみんが小町と変わらないくらいの年頃というか体型だし。
今日のポンコツ具合から、手のかかる妹ポジションみたいなキャラだしな!
ゆっくりとめぐみんを見てみると、多少驚いた様だったが、すぐに俺に向って「ありがとうございます。」と感謝された。
あら、この子!ちゃんとありがとうって言えるのね!ちょっと感動した。
「気を取り直して!カズマ!スキルポイントを多少食いますが、爆裂魔法を身に付けましょ!冒険者はアークウィザードを除き唯一爆裂魔法が使えるクラス!爆裂魔法ならいくらでも教えましょ!爆裂魔法以外の魔法なんて、いりません!ていうか、爆裂魔法以外の魔法を覚える価値はありません!さぁ、一緒に爆裂道を行きましょ!」
めぐみんは、一言一言を発する度にカズマに近づいて行き、最後の方になると机をバンバン叩き始めた。
「ちょっ!近い、近い!少しは落ち着け、ロリっ子!」
カズマの一言が、よっぽどショックだったのか、しょんぼりしながら「どうせ、私なんか…ぺったんこですよ…なんで、同期の人たちの成長は…」などとブツブツいいながら、カエルの肉を食べはじめた。
めぐみん大丈夫だよ、君はまだ成長期だから。きっと育つよ。
「なぁ、アクア。もしも、ハチマンから固有スキルのやり方とか教えて貰ったら俺にもできるのか?」
おいおい、そんな事ができたら俺がこの世界にいるアイデンティティがなくなっちまう質問をするな。
「あっ、それ私も聞きたかったんです!あのファイズでしたか、私もカッコイイ奴になりたいです!」
先程まで、落ち込んでいためぐみんも同調してきた。めぐみんも、仮面ライダーの格好良さに気づくとは、明日の飯ぐらい奢ろう。
「出来ないわよ。あれは、ハチマンのみの固有スキル。それに、出来たとしてもかなりのスキルポイントを使うし、デメリットもあると思うわよ。ねぇ、ハチマン。」
「あぁ、このスキルのデメリット点は他のスキルが習得出来ないことだ。」
「では、レベルが上がってスキルポイントがガンガンに貯まっていった奴はどうしてるんですか?」
「スキルポイントに関しては、このスキルの中にあるスキルを習得するのに使ってる。例えば、さっき変身したファイズの場合は、初期の時は何も装備が無く変身のみだったが、スキルポイントを使うことで最後に使ったポインター…まぁ、武器が増えたりするんだ。」
聞いてきた、2人は声を揃えて「へー、なるほど」と言っていた。
まぁ、もし、このスキルにデメリットがなく、この世界のスキルが習得出来たとしても習得はしないだろうがな。仮面ライダーに、やたら変なスキルを持って戦うなんてロマンの欠けらも無いしな。
「とりあえず、カズマはアクアから適当にスキル教えてもらえ。スキルの数だけは、多いからな。」
「それも、そうだな。アクア、スキル教えろ。」
「ねぇ、カズマ。それが人に教えてもらう態度?それと、ハチマン!数だけって何よ!ったく!見てなさい、この華麗なスキルを!」
アクアは、1つの水が入ったコップに何かの種を入れて自分の頭の上に乗せた。
そして、何処から出したかわからんが扇子を両手に持ち、「ハァ…!」掛け声と同時に扇子を開いた同時にコップの水が空になり、種がにょきにょき育ち花が咲いた。
あっ、コレが例の宴会芸ってやつか…。
「どう!カズマ!ハチマン!」
「誰が宴会芸教えろっつった!このダメ神!」
「うぐっ!そこまで、言わなくても……」
アクアは、コップをテーブルに置いて、ジョッキに入ってるシュアシュアをちょびちょび飲み始めた。
あーあ、めんどくさい。とてつもなくめんどくさい。めぐみんは、俺のスキルの話し聞いてから落ち込んだ様子はないが黙々とカエルの食べていた。ほら、また口周りにタレが付いてるよ。
「あはははは……!君たち面白いねぇ!ねぇ、スキル教えてあげようか、盗賊スキルだけど」
机の横から突然の声がした。
そちらを、見れば隣の席に二人の女性が座っていたが、多分スキルを教えてくれるであろう女性の口周りには、ここで食べて付いたであろうタレが付いていた。