『ぐだぐだ維新の頃にマスターとなり、隙あらばジャンヌオルタを狙うも星5を当てることもできず、何も得ず。しまいにゃ半端に課金するも星3礼装や産廃星4礼装という名の緑ゼリーの山を築いたのみ…実に空虚じゃありゃせんか?』
やめろ…
『所詮トナカイさんは成長した私を引けない敗北者じゃけえ』
はぁ…はぁ…敗北者…?
「取り消せよ…!!今の言葉…!!」
つーかどこでそんな言葉覚えてきたんだ!
「随分キャラ崩壊してますね、セ・ン・パ・イ」
はぁ、何だ夢か。…そしてふと目を開くとBBが俺の上に跨っていた。
寝てる時にお腹の上に何か乗っていると怖い夢を見るとは聞くが…まさか本当に起きるとはな。
「今度の狙いはジャンヌオルタですか…センパイはそんなに悪女がお好きなんですか?」
「待て待て、今回はあいつが欲しいって言ってたから…つーか上に乗ったまま喋んな。離れろっ!」
俺はかつてのクリスマスにジャンタと約束したんだ。必ずジャンヌオルタを引くって。
「いやん、好きなくせに〜」
「俺さ、前にピックアップ引いた時は副産物がマズすぎたから撤退したんだよ。だから今回はそれを言い訳にも出来ないし、今ある石でなんとか引かないとなぁって」
あの時はジャンヌオルタの他は星4のエミヤやジークフリート、スト限の術ジル。あとは恒常星4礼装3種類がピックアップとかいうお世辞にも良いピックアップとは到底言えないラインナップだった。
「ならこのBBちゃんに秘策がありますよ」
「分かった…今回はお前に任せ…っ!」
今…フラついたのか…?いや、ただ寝起きだからか…な…!?
ガタッ…
ひ、膝をついた…?これはまさか…
「BB。お前、俺に何をし…ゴホッ…ゴホッ…」
「BBちゃん特製仮病薬です。これは名前の通り風邪の症状を擬似的に再現します。今の時間は11時半。効果は約6時間ですから朝起きた時にはすっかり治っていると思います」
「おい、俺が寝る時の大半は良が守ってるはずだが」
「あぁ、秦良玉ですか…彼女なら多少手を焼きましたが、貴方の隣で寝ていますよ」
…マジか。たしかに隣で気持ち良さそうに寝息を立ててるな。我がカルデアでマスターの部屋を守る最強の防犯システムやマスターの母になってくれるかもしれない女性、おっぱいタイツ武将などと呼ばれている秦良玉がこうもあっさり…
「で、今回は何が目的なんだよ。俺はともかくあんま他のやつらには迷惑かけんな」
「センパイは戦闘以外では頭が回らないんですか?私はこのカルデアにおける過去のガチャ結果を洗い出したんです。するとセンパイは不思議なことに事前にガチャ以外で不運なことがあった際には高確率で狙ったサーヴァントを当てているといたのです」
…あぁ、あれね。運はプラマイ0に収束するって理論。俺はあれ半信半疑だが、あるもんなのか?つーか今頭を回せってのも無茶だろ。
…ダメだ。そろそろ身体が…まともに…
「では、ガチャルームには私が連れて行ってあげますから。行きましょう、センパイ」
おい、BB…お姫様抱っことかすんな。…って、もうまともに声もでねぇな。
〜
「ほら、センパイ。早速引いてくださいね」
「分かったよ…はぁ…っ…」
多少は回復したとはいっても熱でぼぉっとして、頭が回らな—
「ワルキューレ—個体名、オルトリンデです」
え?マジで?俺が密かに欲しいって言っていたワルキューレを初手であっさり?
「ほらほら、もう10連してください!」
そらよっ!
「サーヴァント、アベンジャー。召喚に応じ参上しました。ほら、契約書です」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!これがサインと拇印だぁぁぁぁぁ!!」
「ダメですよ、センパイ!そんなに興奮したら…」
「うっ…」
バタッ
「ちょっと、何なのこいつ」
「貴方のためならと私の制止を振り切り、貴方を召喚するためだけにここまで来たんです」
おい、待て。美談みたいにしてるけど最初から全部お前のせいだし、こいつにそんなこと言ったら—
「うわぁ、ちょっと引くわ…」
ほら、やっぱ逆効果だ。最初の頃はそういうのダメなんだって。
「あっ、センパイ。一つ忘れてました」
「この借りはとっても大きいですからね。セ・ン・パ・イ」
悪魔のような後輩が耳元でそう囁いた。これはこのお礼はいつか必ず精神的にとか言ってもダメなやつだろうなぁ…
かと言って聖杯あげるのは気が乗らないし、メルトにも悪い。
「ではセンパイ。私、帰りますね」
「あっ、待ちなさい!ちょっと、このマスター持ち帰りなさいよ!」
「マスター、大丈夫ですか?今すぐ他の人を呼んできますから…今は無理せず休んでください」
オルトリンデの一言で安心したのか俺の意識はここで途絶えた。
〜翌朝
「マスター、申し訳ありません!私が見張っておきながら彼女の狼藉を許してしまうとは…」
今は朝の6時。BBの言う通り薬の効果はすっかり無くなり、ばっちり身体を動かせるようになったから早速種火集めに行こうとしたところに秦良玉がやって来た。やっぱり昨日のことは結構気にしていたらしい。
「落ち着いてくれ、今はもうなんともないんだから」
「ですが、私は…自分が許せません」
結果論で言えばかなり美味しい思いをしたからあんまりBBを攻められないし、秦良玉に罰を与えたりもしたくない。
「分かった。じゃあ、今日はちょっとだけ二度寝するから添い寝してくれ」
「はい、マスターがそうおっしゃるのであれば…」
〜
あぁ、今凄くいい気分だ。このままあと2時間は余裕で熟睡できるわ。
「マスター!もう7時半ですよ、起きてください」
ん、ジャンヌか。お前がわざわざ起こしに来るとは珍しいが…
「すまん、今は久々にこうやって良と寝てているんだ。悪いが、邪魔するならこちら側に引きずり込むぞ」
「ダメです、何が何でも起こします。規則正しい生活は毎日繰り返さなければ意味が—」
「隙あり!」
「きゃっ!」
よし、こちら側に引きずり込むことには成功した。あとは…
「マスター、昨日はまともに話せなかったから来てあげたわ…よ…」
『あっ』
やべぇよ、やべぇよ…これ傍から見ると昨日はお楽しみで今支度中みたいな状況だよな。
「マスター、辞世の句があるなら聞いてあげましょう」
「ま、待て待て。お前は今勘違いをしている」
「勘違い?朝っぱらからそこの忌々しい聖女との爛れた関係を見せつけてくるなんて…私に対する当てつけ以外考えられないと思うけど?」
「ですから!それが間違っているのです!どうかお姉ちゃんの事を信じてください!」
「信じるも何もあんたは聖杯マだし、絆もかなりあるからそういう関係でもおかしくは…」
「トナカイさん!!今何時だと思って…あっ、成長した私!遂に引いてくれたんですね」
あぁ、スパム…いや、ジャンタまで来たか。また話がこじれそうだなぁ
「あ?何なのこいつ」
「信じられないと思うが、そいつはお前の子供で…」
「は?」
だよな、やっぱなーに言ってんだ。お前って顔するよな。
「お願いします、マスターとその子にちゃんと向き合ってあげてください!」
「私は自分の子供を認知しない父親か!!」
おぉ、妙にツッコミ上手いな。って、感心してる場合じゃないな。とりあえずこいつを納得させて帰ってもらうか。
「全く、騒騒しいな。我がマスターよ」
「ん、セミラミスか。おはよ」
「その不遜な態度は相変わら…ず…?おい、マスター。そこにいる子供は誰の子供だ?」
「えっと…ジャンヌ…」
「母親の話ではないわ!こいつの父親は誰かと聞いておるのだ!」
えぇ…オルタのことだと言い切る前に切られたな。もう仕方ない。ここで下手に弁明しても怒られるからこのまま押すしかない。
「父親…?保護者のことならお師匠様です!」
「お師匠様…?そのお師匠様とやらは誰のことだ。マスターよ」
あー、そういうことね。セミラミスがどんな誤解をしているか完全に理解したけどこれ端的に事実を言わなきゃヤバいことになるやつだわ。まぁ、言ってもダメっぽいけど。
「…天草四郎時貞です」
「あ、天草四郎とそこにいる聖女との子供だと!?」
やっぱこうなるよね。知ってた!
「待ってください、セミラミス。貴方は重大な勘違いをしています!」
「やることまでやっておいて何が勘違いだ聖女よ!」
「もうお前ら全員帰れよ!!」
風邪の話は本当にあったのでネタにさせていただきました。
ああいう状態で引いた方が物欲センサーに引っかからないんですかね?w
あと最初のあれは再来した敗北者ブームに乗っかりたかっただけです。反省はしてます。(もうやらないとは言ってない)
そしてオチを探していたら段々変な方向へこじれまくりましたw
次回は未定ですが、まだ紹介してないサーヴァントを出せればいいかなと考えてます。それでは!