復刻クリスマスイベントの会議は刑部姫によって円滑に終わった。だが、その数時間後に刑部姫はボイコットしてしまった。
一体何があったのか…
※今回はFGOのゲームとはほぼ関係ないストーリーになります。ご了承ください。
刑部姫がボイコットを始めてから数十分、真っ先に俺のもとへ来たのは玉藻の前だった。
「それでどうしてああなったのか原因を聞かせて欲しいのですが…」
「あぁ、話さねばならないな。お前には」
〜数時間前
先程までの会議が終わったので俺は今までちょいちょい進めていたドラクエVをやる事にした。
「ドラクエV。久々にやろうと聞いた時は驚いたが…やっぱり楽しいな。お前はどこまで行った?」
「結婚式前夜」
「奇遇だな、姫ちゃん。こっちもちょうどビアンカとフローラ、そしてデボラが出てきた」
「誰と結婚するの?」
「まずデボラではない。そして念を押しておくが、ルドマンでもない」
ちなみにノゲノラの空は初回プレイの時はルドマンだったらしい。
「だね…この二択を体験している人なら意識して選ぼうとしてもつい本命を選んじゃうよね〜」
「あぁ、つい右手が動いちまう」
「ビアンカだよね〜」
「フローラだよな〜」
………
『は?』
え?ビアンカ選ぶの?刑部姫は俺と同じだと思ったのに…
「あれはフローラ選ぶやつだろ」
「あんな可愛い幼馴染を切り捨てるの!?まーちゃんの薄情者!人でなし!」
まさか妖怪(無論、差別的な意味はない)の刑部姫から人でなしと言われる日が来るとは思ってなかった…。いや、そうではなくて。
「フローラなら金や水の羽衣、しんぴのよろいを貰えるし、ルドマン邸でならただで宿泊可能。そしてフローラはイオナズンやベホイミ覚えるし…いや、そもそもビアンカが覚える呪文は大抵フローラも覚えるな。ここまで来たらフローラを選ぶ方が良いのは確定的に明らかだろ」
あとこれは最も重要なんだが、俺はフローラの方が可愛いと思っている。他にも理由を挙げるなら最初の段階では天空の盾を貰うにはフローラとの結婚しかないと言われていたので俺はそれらにも後押しされ、初回はフローラと結婚した。
「フローラにはアンディがいるでしょ!フローラはあいつにくれてやりなよ!ビアンカを独りにさせるつもり!?」
「そのアンディもどっかの元踊り子と結婚する!ビアンカが独身なのは彼女の落ち度だね!!」
「苦しい時や悲しい時、そして楽しい時…ビアンカとは数えきれないくらい沢山の思い出があるでしょ!」
「お前、ビアンカが結婚前夜主人公の所行って何すんのか知ってんのか?」
「あいつフローラと結婚しろって言ってたろ」
「その後すごく寂しそうにしてたでしょうが!」
「つかビアンカを選ぶよな?って風潮が嫌い。何故ビアンカは至高。フローラを選ぶやつはクズみたいに言われなきゃならないんだ?フローラを選んで何が悪い。あとフローラ選ぶやつは愛がないとか言うけど俺はフローラを愛してるからな」
あとゲームでもほとんどのやつが間接的に言うビアンカと結婚しろみたいな圧力やめろ。腹が立つ。結婚は本人の好きにさせろってそれ一番言われてるから。
俺は確かに能力面でもフローラを推しているが、それを抜きでもフローラが好きだ。それなのにどうせ天空の盾目的だろとかパパスが成仏出来ないだのほざく連中が我慢ならない。俺は結婚詐欺師じゃねーんだぞ。
「だったら勝負といこう!勝負はお互いビアンカ、フローラと結婚してからがスタート!!今からクリアまでノンストップで攻略してより早くミルドラースを倒した方が勝ち!」
ほぉう…俺に対決を挑むと…良い度胸だ。
「なら追加ルールを提案する!嫁は可能である限り必ずパーティに入れる!いいな!?」
どちらの嫁が優れているかの対決なのに嫁を外されてはたまらないからな。
「そんなの縛りにもならない!行くよ、まーちゃん!」
「よし、来いや!今に見てろよ、姫ちゃん!!」
「いくらまーちゃんでもここだけは譲れない!絶対に勝つ!」
〜数時間後
結婚式を始めたまでは良かった。お互いビアンカ愛してるよ〜!とかフローラ大好きぃぃぃぃなどお互いに煽りながら結婚式までは楽しく進んだ。
だが、結婚式後からは地獄だった。
自らの嫁こそが至高だと証明するため、睡魔と戦いながらお互い本気の攻略に入ったことで俺のマイルームはゲームの音とボタンを押す音のみが聞こえる絶対不可侵の空間と化した。
お互い言葉は一切発さず、敵に睨みをきかすのみ。二人が考えているのは思考速度が落ち始めている中でいかに早く相手よりクリアするか。
先にその静寂を破ったのは…
「よし、私の見立てならあともう一息で…」
「よっしゃぁぁぁぁ!ミルドラース撃破!!フローラが王道を征くビアンカを下した。やはりフローラを見込んだ俺は正しかった。よってフローラは正しかった。フローラ万歳。フローラ愛している。証明終了 Q.E.D. 」
やはりフローラが一歩先を行ったな。確かに装備品はビアンカが勝るが、基本的に攻撃を息子に任せ、フローラは回復。天空装備の息子の回復数を極力減らせば圧倒的にダメージレースで打ち勝てる。
「くっ…」
「おーい、ビアンカ派代表?ねぇ、どんな気持ち!?ねぇねぇ、今どんな気持ち!?」
ふっ、これ程素晴らしい勝利は他にないな。フローラの強さを証明できた。あまりの嬉しさに眠気も全て吹っ飛んだ。今日は良く眠れそうだ。
「…」
「おっ、どうした?反論出来ないか?なぁなぁなぁ!」
「…バカ」
「まーちゃんのバカ!もう知らないぃぃぃぃ!!」
〜回想終わり
「要約すると俺はフローラ派代表としてビアンカ派代表の姫ちゃんに抵抗し、見事勝ったって話だ」
「マスター、私は『どらくえふぁいぶ』も『びあんか』と『ふろーら』も全く分かりません。ですが、一つ苦言を呈してもよろしいでしょうか」
「おう、何でも言ってくれ」
「マスターは子供ですか!?話を聞く限り完全に売り言葉に買い言葉じゃないですか!」
「いや、戦いを吹っかけたのはあっち!そして負けて拗ねたのもあっち!」
「普通にどっちも良いではダメなのですか?」
「いや、何か食い下がっちまった。ここで食い下がらなかったら何か大切なものを失う気がしたんだ」
フローラ派として俺は主張したい。ビアンカと結婚しろという周りの重圧に負けず、好きな子と結婚して良いのだと。
「マスター、説得に行かれるのでしたら…あの子にかける言葉だけは間違えないでください」
説得か。だが、ビアンカフローラ…途中からデボラまで入ったこの戦争自体を終わらせるのは誰にも不可能だ。
「…何かアドバイスは?」
「私も刑部姫ちゃんの全てを知っているわけではありませんからねぇ…」
「ですが、マスターの気持ちをしっかり伝えればそれに応えない彼女ではないと思いますよ」
「ありがとう。それじゃっ、行ってくる」
〜刑部姫の部屋
「ひ〜〜め〜〜!開けてくれ!!」
「分かってたよ。うん、分かってた。ビアンカじゃフローラに敵わないかもしれないって。フローラこそが至高。胸張って良いと思うよ」
ヤバい、ちょっと前ならビアンカの素晴らしさを説明していたはずなのに今ではすっかり負け犬ムードが漂っている。
「悪かった!俺が言いすぎた!すまん!」
「…こっちこそ、ごめん。私もあの時はついカッとなっちゃって、そのまま意地張ってたら出る機会失っちゃって…」
「…ねぇ、聞いていい?」
「何だ?」
「もし、次があったら…今度はどっちを選ぶ?」
「ん?そんなの…答えは決まっているじゃないか。悪かったな。お前の気持ちも知らずに…」
「ま、まーちゃー」
「フローラ」
「…?」
「フローラ」
「…え?」
「フローラです!!」
俺はやった。自分の気持ちに正直に答えた。悔いはない。
それに人間はそう簡単に生き方を変えられないからまぁ、多少はね?
「…出てけぇぇぇぇ!!」
この後数時間の説得によってやっと出てきてもらいました。
初手でフローラを選んだら友人だけではなく、父親からも批判された作者です。(ちなみにPS2)
作者は別にビアンカが嫌いなわけではありません。そこだけはご理解していただけると幸いです。
今後FGOがどちらか一体しか取れない配布鯖で喧嘩の火種を運んで来たりしないか心配でなりません。
相変わらずガチャ率渋いけど運営にまだ最低限の良心が残っていることを願います。
次回辺りにクリスマス攻略なんかもサラッと書くと思います!それでは!
追記
証明完了になっていたので証明終了に直しましたw お恥ずかしいww