この爆裂娘にヒーローアカデミアを!   作:ぽち丸

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原作にはないお話になります。
大筋にはあまり関係がないのですが、めぐみんがなぜヒーローを目指したのかなどのお話です。
興味ない!さっさとUSJ始めろ!って方は飛ばして明日の更新をお待ちください。


めぐみんと懇親会

「連絡先、ですか?」

 

雄英入学から初の週末を控えた金曜日。

麗日と耳郎、芦戸、蛙吹と葉隠、八百万という女子メンバーに連絡先の交換を持ち掛けれらた。

差し出されたスマートフォンには、国民的なトークアプリの連絡先情報のQRコードが表示されている。

これをめぐみんの端末で読み取ると、連絡先交換ができる。

 

「すみません。私はそのアプリ持ってないので、インストールから始めなくてはならないのですが・・・。」

 

「あれ?めぐみんちゃんってガラケーだったっけ?」

 

麗日の疑問も当然と言える。

このトークアプリは世界的に普及しており、特に日本の若人でスマホを持っているなら真っ先にインストールする人も多いのではなかろうか。

ましてや、めぐみんは今をときめく女子高生なのだ。

しかし、めぐみんのスマホにはインストールされていなかった。

出久とのやりとりも、メールか電話で行われている。

 

「父と母はガラケー派でして。妹はまだ幼く、携帯電話自体をもっていませんし。必要がなかったのですよ。」

 

「ケロ?お友達との連絡に使ったりしないのかしら?」

 

蛙吹のその言葉を聞いた瞬間、めぐみんの瞳からハイライトが消えた。

 

「友達、ですか・・・。私実は、小中学校では"無個性"だと思われてましてね。」

 

「え、なんで?あんたの個性凄いじゃん。」

 

耳郎の言葉に周囲の女子たちは全員頷く。

 

「その、強すぎて使うことができなかったのです。ただ、それで無個性と決めつけられるのも腹が立つものです。私も無個性じゃないともちろん声を大にして言いましたよ。ええ、言いましたとも。ですけど、周りから私がどう見えるかというと、無個性にも関わらずそれを認めない痛いやつなんですよ。すると、当然周囲からは浮いていきます。そのうち私の個性は実は"浮遊"で、だから浮いてるんだとか陰口を叩かれはじめましてね。そうなったらもう友達とかもう絶望的じゃないですか。友達・・・とも、だ、ちとか・・・ああ!二人組!二人組を作ってとか言わないでください!私のクラスは奇数人だったのです!また先生と組になるは嫌です!ああ!ああああああああ!」

 

「めぐみんさん!お気を確かに!あなたはとても素晴らしい個性をお持ちですわ!僭越ながら私、あなたの友人になりたいと思っておりますのよ!」

 

「八百万さん!」

 

「めぐみんさん!」

 

ひしと抱き合うめぐみんと八百万。

 

「よし!なら男子連中も巻き込んで懇親会!やろうよ!」

 

そんな見ていられないやりとりを眺めていた芦戸の提案で、突発的な懇親会が開催された。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

翌日。

土曜日のお昼時。

雄英近くのファミレスにて。

1-Aほぼ総員参加で懇親会が開かれていた。

不参加なのは、爆豪、轟の両名と、一応声をかけた相澤のみだ。

全員がドリンクバーで飲み物を手にしたのを見て、芦戸が立ち上がる。

 

「じゃあ乾杯の挨拶をめぐみんよろしく!」

 

「え、ええ!?私ですか!?で、では僭越ながら。おほん。」

 

めぐみんは一度咳払いをすると、芦戸と入れ替わるように立ち上がった。

 

「えー、雄英入学から一週間経ちました。なかなかに得難い経験だったと思います。これから3年間、大変だとは思いますが、頑張りましょう。えー、では!乾杯!」

 

「「「「「乾杯!」」」」」

 

「よっしゃ!飯飯!何食う!?」

 

「とりまポテトとか大皿でいんじゃね?」

 

瀬呂や上鳴等こういう場に慣れてそうなメンツが仕切り始めるなか、無事挨拶を終えためぐみんが席に着くと、横の席の出久がオレンジジュースを差し出してきた。

ちなみに右隣りが出久、左が麗日、正面が飯田、右斜め前が切島、左斜め前が葉隠だ。

めぐみんの周囲がムードメーカーか仲のいい人で固められて居るあたり、気遣いが見受けられる。

 

「お疲れ様、めぐみんさん。」

 

「ありがとうございます。こういう場は慣れていないもので。出久は慣れていますか?」

 

「ううん、僕も全然なんだ。」

 

やはりシンパシーを感じてしまうめぐみん。

同族意識とも言う。

 

「こういう時どんな話をするべきかも少し悩んでしまいますね。普通はどんな事を話すものなんですか?」

 

「そんな意識せんと、普通に話せばいいと思うよ?」

 

「ふ、普通にですか。かえって悩んでしまいますね。出久、何かお題をください。」

 

「え、僕!?そうだな。じゃあ、めぐみんさんはなんでヒーロー目指そうと思ったの?」

 

「おっと、そうきますか。そんなに面白い話ではないですよ?」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

話は11年と少し前まで遡る。

紅魔族には4歳になった日、私有地の山で一族総出の下個性を発現させるという習慣があった。

というのも、彼ら紅魔族は意図的に個性婚を繰り返してきた関係上、強力な個性持ちが多い。

幼いうちに個性を使うと御しきれずに暴走してしまう事があったのだ。

そしてその日、紅魔族当主の直系である、めぐみんは4歳の誕生日を迎えていた。

周囲を紅魔族が囲み、横には様々な状況に対応したアイテムを即座に作れるひょいざぶろーを配置。

更に離れたところには治療系個性を持つ紅魔族随一の医者であるころころが控えている。

 

「では我が娘よ。思い切りやりなさい。自分の魂の力を解放するのだ!」

 

「はい!」

 

めぐみんは未だ個性を使った事がない。

どころか、自分がどんな個性を持っているか誰も知らない。

しかし、今までは感じられなかった強い力の鼓動をしっかりと感じていた。

体を激流のように流れるその力を、束ねていく。

と、同時にめぐみんの足元から巨大な魔法陣が広がり始めた。

 

「おお・・・」

「ふつくしい・・・」

「なんて巨大な力の奔流か!」

 

わかりやすくカッコいいめぐみんの個性に周りのテンションも急上昇だ。

めぐみんは自分の本能の赴くまま、前方の山肌に向けて力を解放した。

 

「穿て!」

 

轟音、閃光、崩壊。

一瞬めぐみんの視界に入ったのは自らの引き起こした圧倒的破壊。

次の瞬間迫りくる爆焔と土砂を認識したものの、凄まじい脱力感に意識が遠のいていく。

めぐみんの横に待機していたひょいざぶろーは目を剥いて、咄嗟にめぐみんを抱きしめるように庇った。

土砂に飲み込まれる直前にめぐみんの着ている服に対して“守護”の概念を込める事に成功したものの、抵抗らしい抵抗はできずに土砂に飲まれた。

次にめぐみんが目を覚ました時、周囲はぼんやりとした白い光で照らされていた。

目の前は岩やら土の塊。

ちょうど土砂の中で、めぐみん一人分のスペースがぽっかり空いていたのだ。

何が光っているのかと僅かなスペースで首を回せば、自身の着ている服がぼんやりと白く発光していた。

父、ひょいざぶろーが後先考えず全力で込めた守護の概念は、しっかりとめぐみんを守ったのだ。

しかし周囲は一面土砂。

この空間の空気が無くなればめぐみんは窒息死してしまう。

おまけに自由に動く事もままならない密閉空間。

4歳の少女に耐えられる環境ではなかった。

震えが止まらず、涙が溢れる。

助けを求める声は、嗚咽となって口から漏れた。

 

「だ、れか。助けて、ください・・・!」

 

あまりにも小さく、儚い声。

常人であれば聞こえようがないほどの。

しかして、その声は届く。

 

「DETROIT SMASH!!!」

 

暴風とともに、めぐみんの視界が一気にはれる。

急に差し込んだ日の光に反射的に閉じていた瞳を開くと、力強い笑顔がめぐみんの目に映った。

 

「もう大丈夫だ少女!何故って?私が来た!!」

 

これがめぐみんと、No1ヒーローオールマイトの出会いであった。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「とまあこの様な事がありまして。」

 

その話を聞いて、目を輝かせる出久と、何故か号泣している飯田。

 

「それは辛い、恐ろしい経験だったろうめぐみん君・・!その時のオールマイトへの憧れが、君がヒーローを目指すきっかけだったのかい?」

 

「ええ、まあ。だいたいそんなところですね。」

 

実際、この事件がめぐみんがヒーローを志したきっかけだ。

しかし、それはオールマイトへの憧れからではない。

この時、めぐみんは思ったのだ。

あまりにも強力すぎる自らの個性。

ヒーローになれば、思う存分使えるんじゃないですか?と。

オールマイトがあんな超パワーを振り回しているのだ。

めぐみんもヒーロー免許さえ取れば、好きに爆裂してそれでご飯が食べれる。

最高かよ。

もちろん、今はそれだけではない。

自分に足りないものや、目指すものがしっかりと見え始めている。

彼女の原点は利己的で欲望剥き出しの物だったかもしれないが、夢に向かって走り出した今、確実に成長していた。

彼女がこの先どんな道を歩み、どんなヒーローになるのか。

それはまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

楽しい時はあっという間に過ぎるもの。

懇親会を終えた帰り道。

めぐみんは家の方向が同じだった芦戸と葉隠と一緒に電車に乗っていた。

 

「いやー楽しかったねー!」

 

「うんうん!またやりたいね!」

 

「まさか私の電話帳に二桁以上の人が登録されるとは思いませんでした。」

 

3人とも今日の懇親会は楽しめたようだ。

めぐみんが若干寂しいことを言っているが。

 

「三奈ちゃん、めぐみん!これからも、頑張っていこうね!」

 

「おー!」

 

「はい!」

 

そう、この先めぐみんはどんな道を歩くのか、まだまだわからない。

だが、この先もこのクラスメイトとなら、頑張っていける。

めぐみんは心底から、そう思っていた。

 

しかし、悪意の魔の手はもう、すぐそこに迫っていたのだ。




なんとか26時に投稿できたので1日一話維持できました。(震え声)
真面目な話、2日に一本は投稿していきたいと思ってますのでよろしくお願いします。

※追記
活動報告にてちょっとしらアンケートがあります。
めぐみんのお相手についてですね。
もしよろしければご覧ください。

次回:めぐみんとマスコミ

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