ひょいざぶろーとゆいゆいの口調が全然わかりません・・・!
違和感すごいと思います。すいません。
致命的なミス
主人公の名前が誤字ってました・・!
何か違和感があると思ったら・・!
月日は流れ、雄英入試まで残り5ヶ月となっていた。
土曜日の朝。
めぐみんは父親のひょいざぶろー、妹のこめっこ、母のゆいゆい(本名は紅魔 結衣)と食卓を囲んでいた。
めぐみんはピンク色のジャージ、こめっこもお揃いでゆいゆいはエプロン姿の中、父のひょいざぶろーは何故か学ランだ。
異様な光景だが、紅魔族にとっては平常運行。
普段の食卓である。
そんな中、めぐみんは悩んでいた。
食事をしながらも眉間にシワを寄せるめぐみんに、見かねたゆいゆいが尋ねる。
「めぐみんどうしたの?最近悩んでるみたいだけど。」
「いえ・・・入試まで残り5カ月じゃないですか?それで少し。」
「勉強がうまくいってないのかしら?模試はA判定だったんでしょう?」
「筆記は問題ありません。・・・不安なのは実技の方です。」
その発言に話題を振ったゆいゆいだけではなく、ひょいざぶろーも硬直した。
自分の個性に絶対の自信を持つめぐみんとは思えない発言だ。
こめっこはその隙にひょいざぶろーの皿からウィンナーを盗んでいる。
「ど、どうした我が娘よ。変な物でも食べたのか?」
「失礼な!私、今まで個性を使ったのって2回だけじゃないですか。練習がどうにかできないものかと。」
そうなのだ。
めぐみんは今まで、“爆裂”を2度しか使った事がない。
1回目は4歳の時に紅魔族の管理している山で使った。
大災害が起きてオールマイトに救助されている。
2回目は7歳の時。
オールマイトに散々使うなと言われていたが、めぐみんは自分の発生させた爆裂に魅入られていた。
我慢の限界を迎えていた時に、空に向かって放てば良い事を思いつく。
早速家から出て空に“爆裂”を放った。
周辺家屋の窓ガラスも爆裂した。
おまけに瓦も吹き飛び、強風に煽られた鳥がボトボト降ってきた。
当然ヒーローも駆けつけて、文字通り飛んできたオールマイトにめちゃくちゃ怒られた。
めぐみんの個性“爆裂”は射程が200m程だ。
戦闘で使う分には申し分ない射程だが、200m程度では上空で爆裂させたところで周辺への爆風と爆音の被害が出てしまうのだ。
この時も幸い怪我人はなく、物的被害だけで済んではいるものの、おいそれと個性を発動させる訳にもいかなくなってしまった。
持ち主の居ないだだっ広い草原でもあるなら毎日1爆裂は必ず行いたいと思うほどに爆裂好きなめぐみんではあるが、この現代日本にそんなところはない。
人様の土地でそんな事をすれば普通にテロだ。
扱いというかその物だったりするのだが。
とにかく、強力すぎる故に個性をほぼ使った事がないめぐみんは不安を抱えていた。
使う事自体は恐らく問題ない。
だが精度は?
狙ったところできちんと発動するのか。
制御できるのか。
下手に制御を誤ると自分がボンっとなってしまう可能性もある。
また、めぐみんは自分が本番に弱い事を自覚していた。
プレッシャーに弱いのだ。
プレッシャーのかかる実技試験本番に、8年ぶりに個性を使用する。
不安に思わないほうがどうかしているというものだ。
その話を聞いたひょいざぶろーは、したり顔で頷いた。
「強すぎる力故にか。酷な話だな。だがなめぐみんよ。実は一箇所だけ、個性を使っても問題ない場所がある!」
「えっ!本当ですか!?」
「本当だとも。こんな事もあろうかと調べておいた!」
ひょいざぶろーが懐から出してきた紙を受け取り目を通すと、どうやらニュースサイトを印刷したもののようだ。
少し離れた街の記事で、とある海浜公園について書かれていた。
そこは海流の影響で様々なゴミが漂着しており、それに紛れて不法投棄まで行われて問題になっている、という内容だ。
「これは・・・」
「少し調べてみたが、周辺に家屋もないし、そんな場所故人も寄り付かない。おまけに正面は海だ。なんならゴミを消し飛ばしても問題はないだろう。」
「ありがとうございます!早速行ってみます!」
*****
「ここですか。確かにこれは凄いですね。」
電車に揺られる事しばし。
めぐみんは件の海浜公園に辿り着いた。
見渡す限りゴミ山のような有様になっている。
その景色を見ていると次第にうずうずしてくるめぐみん。
彼女はこういうごちゃごちゃしてる物や大きい物があると、無性に吹き飛ばしたくなる大変重い病気にかかっている。
普段は我慢せざるを得ないが、今日は堂々と爆裂できる。
数年ぶりの“爆裂”を放とうとして、めぐみんは動きを止めた。
「詠唱を考えていませんでした。」
ちなみに“爆裂”の個性には詠唱は必要ない。
当然である。
あくまで個性は身体機能であり、見た目が魔法っぽくても魔法ではないのだ。
めぐみんの“爆裂”も何かしらの科学現象によるもので、魔力なんて不思議エネルギーに頼ったものではない。
何かしらの科学現象という曖昧な表現になってしまうのは、めぐみんも何故爆裂するのかわかっていないためだ。
普通は個性に目覚めた際にある程度どんな個性なのか調べる事で、個性の詳細がわかる。
例えば手の平から水を出す個性だったら、その水が体内の水を放出しているのか、空気中の水を集めているのかで、同じような見た目でもメリットデメリットが大きく変わってしまう。
それを避けるため、ある程度は専門の機関で簡単な調査を行うのである。
だがめぐみんの場合、ここでも強力すぎる弊害が出ていた。
簡易的な設備では諸共に粉々。
屋内で放とうものなら屋根が無くなるだけならまだマシで普通に建物が無くなってクレーターになりかねない。
調査のやりようが無かったのだ。
今の時点でわかっていることは4つ。
威力が凄まじいこと、
射程が200mのこと、
撃つ前に精神集中が必要なこと、
発射後動く事すらままならない程疲弊する事。
詠唱に関しては3つ目に関わる。
別段、集中さえできればいいので、無言で突っ立っていても構わないのだがそこは紅魔族クオリティ。
待ち時間があるならかっこつける。
無くても勝手に待ってかっこつける。
当然の事であった。
真剣に悩むこと数分、めぐみんは意を決して顔を上げ、右手を前方に突き出す。
と同時に足元からは赤い魔方陣が浮かびあがった。
詠唱が始まる。
「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりt「何をしてるのかなー!?紅魔少女おおおおお!」うわああああああああ!劇画筋肉お化けええええええええ!」
突如横から滑り込んできた劇画筋肉お化け。
シンプルなシャツとジーパン姿のオールマイトである。
「な、なんですか!?どこから湧きやがったんです!?」
「湧いてないよ!海岸でゴミ掃除してたら聞き覚えのある声が聞こえたのでね。」
「あのゴミ山に紛れてたんですか!?外からじゃ全然見えませんでしたよ。」
危うく諸共に吹き飛ばすところだったことに気づいて、めぐみんの背に冷や汗が流れた。
「ところで・・・今、個性使おうとしてなかったかい?」
「ししし、してないですよ?」
目が泳ぎ冷や汗を流しながら口笛を吹いて誤魔化そうとするめぐみん。
焦りすぎて口笛すら吹けてなかったが。
そんなめぐみんを見て、オールマイトは大きくため息をついた。
「OKOK。理由もなくそんな事をする子じゃないのはわかってる。何があったんだい?」
No1ヒーローに詰め寄られ、観念しためぐみんは事情話すことにした。
*****
「なるほどね。個性の練習か。」
「ええ。条件に合うのがこの辺りじゃここくらいしか無かったのです。」
顎に手をやり考えるオールマイト。
めぐみんの言い分はわかる。
確かに彼女の個性は練習必須の性能ながら、それが可能なところなど殆どない。
ここならばそこまで大問題にはならないだろう。
「OKわかった。なら3つ条件をつけるから、それを守ってくれるならいいよ。」
オールマイトの提示した条件。
1、オールマイトが見ている時しか練習しない事。
2、午前10時〜午後5時の間に行う事。
3、ゴミは吹き飛ばさない事。
この3つだ。
「1と2はわかりますが・・・3は何故ですか?」
「修行に使うからさ!」
「修行?あなたのですか?」
オールマイトの発言に首をかしげるめぐみん。
この海浜公園に散らばるゴミ達。
なるほど、これを片すのは確かに修行になるだろう。
しかし、オールマイトにかかればこんな物一日とかからないのではないか。
HAHAHAと笑いながらゴミを握りつぶして圧縮していく様が浮かぶようである。
「HAHAHA、私ではないさ。ちょうど歳も同じだし紹介しておこうかな。緑谷少年!ちょっと休憩にしようか!」
オールマイトがゴミ山に声をかけると緑色のもじゃっとした髪の男の子が顔を出した。
なぜかYシャツと書かれたTシャツを着ている。
オールマイトだけじゃ無く、同じ歳の男の子も爆裂するところだった事に気付き、さらに冷や汗が止まらなくなるめぐみん。
「オールマイト、もう休憩ですか?あれ、その人は?」
「緑谷少年。紹介するよ。君と同じ歳で雄英志望の紅魔 恵少女だ。紅魔少女。同じく雄英志望の緑谷 出久少年だ。」
「ほう。雄英志望ですか。周りに居ないので新鮮ですね。初めまして緑谷さん。紅魔 恵と言います。めぐみんと呼んでください。」
「えっと、よろしく。緑谷 出久です。め、めぐみんさん。」
「緑谷少年には縁あって指導をしていてね。ゴミ掃除をさせているから、残しておいて欲しいのさ。」
「ほう!オールマイトが手ずから指導ですか。」
めぐみんはもったいぶった仕種でビシッと緑谷を指差した。
「つまりあなたは私のライバルという事ですね!」
「ら、ライバル!?僕が?」
「当然でしょう。トップヒーローの直弟子にして、300倍の倍率を誇る雄英ヒーロー科を目指す者同士!これをライバルと言わずになんと言いましょうか!あなたも目的があって雄英入学を目指すんでしょう?」
「・・・!そう、だね。そうだ。僕達はライバルだ!」
「ならば私も礼を尽くしましょう!」
めぐみんは足を肩幅に開くと、キッと緑谷を睨みつけるように見据える。
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の天才にして、個性“爆裂”を操りし者!我が力の一端をお見せしましょう!」
めぐみんは前に数歩出ると、空に向かって右手を掲げた。
「緑谷少年。よく見ておきなさい。紅魔少女の個性は、威力だけなら間違いなくプロのヒーローと比べても5本の指に入るほどの個性だ。」
「・・・!はいっ!」
「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃個性、エクスプロージョン!」
爆裂。
凄まじい轟音と爆風が周囲に襲いかかる。
空中で爆発したにも関わらず、空き缶のような軽いゴミが宙を舞い、海が大きくうねる。
「こっれは・・・!凄い、なんて威力なんだ!オールマイトのスマッシュに匹敵する、いや、それ以上の!?」
爆風が収まった後も、その凄まじいとしか言えない威力に、暫し呆然とする緑谷。
ふと気づくと、めぐみんが仰向けに倒れようとしているところだった。
反射的に受け止める緑谷。
「どうしたの!?もしかして飛んできたものに当たった!?」
「いえ・・・強大な力には大きな代償が付き物なのです・・・。個性を放ってしばらくの間は、私は歩く事すらままなりません。」
「凄いピーキーな個性だ・・・!いやでも、この威力だ。同じ爆発系のかっちゃんの個性とも比べ物にならない威力。逆に強力すぎて扱いが難しいけど、うまく使えば攻撃はもちろん、土砂を吹き飛ばしたり、火事を爆風でかき消したりと災害救助でも使える。代償が大きいとはいえ凄いな。射程や威力の調整はできるのかな?それができるならその時の代償は?距離はやっぱり遠いほど代償が大きくなるんだろうけど近すぎても自分が巻き込まれかねない。いや、爆発に指向性を持たせることができればいいのか。かっちゃんはニトロみたいな汗を爆発させているけどこれはどうなってるんだ?大気の酸素や水素の濃度を変えてるのかな?それだと爆発までいかなくても相手を行動不能にできる可能性が」
「緑谷さん、怖いです。」
「あっごめん。癖みたいなものなんだ。」
「ねえ、緑谷さん。私、今とても満足です。最期に、思い切り爆裂が、でき、て。」
「・・・?めぐみんさん?めぐみんさん!?え、ちょっと!めぐみんさあああん!」
「寝てるだけだよ、緑谷少年。」
ちょっと短くなってしまいましたが、キリが良いのでこの辺で。
次回:めぐみんと雄英入学試験