家について玄関をあけると見慣れた靴がある。今日も留美がきているようだ。
「留美ー、」
「あ、風お姉ちゃんおかえり」
「うん、ただいま」
寂しかったのか少し顔が暗い。
「遅くなってごめん、寂しかった?」
「そんなことない」
こう言っているが、やっぱり寂しかったのか抱き付いてくる。私もやさしく留美を抱く、留美の顔を覗き込むと恥ずかしいのか、少し赤くなっている。
「今日も遊ぶ?」
「んーん、今日は宿題みて」
「うん、じゃあ私の部屋いこうか」
留美の勉強をみてあげていると、いつもの帰る時間になった。
「留美、私部活に入ったから明日から帰りが遅くなるかもしれないの、だから家に来るときは私に連絡して、早く帰ってくるから」
「そうなんだ…わかった、ちゃんと連絡する」
「うん、よろしくね」
留美はとてもものわかりがいい、話したことをちゃんとしてくれる。部活のをとも話したので、昨日のことを聞いてみる。
「留美、昨日私に友達がいるかきいたでしょ? 学校何かあったの?」
留美は気まずそう顔をして話し出した。
「実はね、学校で無視するのが流行ってっるの」
「留美が無視されるの?」
「違う、私の友達が……」
「そっか」
そうか、留美は歳の割には落ち着いていて大人びているが、まだ子供なんだ。周りがそういう雰囲気だと流されても仕方がない。
「留美はどうしたい? 後悔してる?」
「うん」
「じゃあさ、その友達に話しかけちゃえ」
「えっ」
「うん、そしたら次は留美が無視されるかもしれない、でもその友達はきっと味方でいてくれるよ」
留美を家に送り届けて私も家に帰る。留美は友達に話すると決めたらしい、部屋についていつもの水色のパーカーに着替えてベットに寝転がる。
「留美……頑張れ」
翌日、昇降口で比企谷くんを見かけた。同じ部活に入ったのだから挨拶くらいしなければと思い、声をかけた。
「おはよう、比企谷くん」
「お、おう?」
いきなり挨拶されて驚いたのか戸惑いながらもきちんと挨拶を返してくれた。朝の挨拶をするのは小学生以来だろうか、なかなか気分のいいものだった。
今は職場見学のグループ分けをしている。すると葉山くんが比企谷くんに話し掛けてきた。
「ここ、いい?おかげで丸く収まった、サンキュな」
「別に俺は何もしてないよ」
比企谷は素っ気なく返事を返すと教室の隅の方を向いた。私も見てみると戸部くんたちが先日の様な雰囲気でなく、仲良くじゃれていた。比企谷くんが何かしたのだろうか?放課後にでも聞いてみよう。
放課後は瑠璃子さんのお手伝いがないため、早く部活に着いた。
「こんにちは、雪ノ下さん」
「こんにちは、鶴見さん」
昨日比企谷くんに出してもらった椅子に座る。特にすることもないから読んでる途中の本を鞄から取り出して読むことにした。
数分後に比企谷くんが部活に来た。怠そうに挨拶をして比企谷くんも椅子に座った。そして更に一、二分してから由比ヶ浜さんもやってきた。先日いた3人が揃ったので奉仕部について聞いた。
奉仕部はボランティア部に近い部活らしい。だがただ手伝うのでなく、自立を促すようだ。「取った魚を渡すのではなく、釣り方から教える」ということらしい。相談者が来るのは一月に一人から二人、依頼がきていないときは好きに時間を使っていいそうだ。
「あともう一つ聞きたい事があるんだ、いいかな?」
「もちろんよ、平塚先生は何も説明していないものね」
「じゃあさ、最近依頼で戸部くん達の仲を良くしたの?比企谷くんの後ろの席で葉山くんと話してるの聞こえてきたんだよね、それが気になってたんだ」
「あーあれか、鶴見も奉仕部だし話しても大丈夫だよな?雪ノ下」
「いいんじゃないかしら」
話を聞くとあれは葉山くんからの依頼でチェーンメールの騒ぎを収めて欲しいという依頼らしい。そこで雪ノ下さんはあの三人の中に犯人がいてそれを探そうとしたが葉山くんがそれは辞めて欲しいということで、比企谷くんが提案したあの三人を仲良くする方法を使ったらしい。
「へぇ、凄いね比企谷くん」
「そんな事ねぇよ」
いや本当にそう思った。葉山くんを取りあって仲が悪いなら葉山くんを外せばいい、そう考える人はなかなかいない。結果も戸部くん達は仲良くなっていた。私は比企谷くんのことを知りたくなった。
やっぱり物語を考えるのは大変ですね
読んでるだけじゃ分かりませんでした。でも書いてて楽しいです。