紅魔女中伝   作:ODA兵士長

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最近週一投稿出来てない……
亀更新で本当にすみません……









萃夢想編
第31話 人形を操る程度の能力


 

 

 

 

 私は、森を歩いていた。その森とは、魔法の森。

 人間には害をなす瘴気が漂っていると言われているが、その正体はここに生息する茸の胞子らしい。

 もっとも、それに耐えうる力を持っていれば人間でもこの森は大丈夫なようだ。

 現に私はここを歩いているし(何故私が耐えられるかはよく分からない。魔理沙によれば魔力があるだとか何とか)、私の目的地である霧雨魔法店の––––そう呼ぶのが正しいのかは定かでないが––––店主である霧雨魔理沙はここに住みついている。

 

「魔理沙? いる?」

 

 目的地に着いた私は、ドアをノックして声をかけた。

 しかし、返事は聞こえない。

 いつもならすぐに返事が聞こえるのだが……留守だろうか?

 

「……開けるわよ?」

 

 鍵はかかっていなかった。

 そもそも、鍵があるのかさえ怪しいところだが……

 とにかく私は中に入ると、部屋を眺めた。

 ちょっと前に掃除してあげたのに、もう散らかしている。

 自分でも少しは整理しろって言ったと思うのだけど……

 片付けをしながら、私は魔理沙の帰りを待つことにした。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 前回ほどは酷くなかったため、大した時間はかからずに終わった。

 しかし時を止めることなく行ったため、それなりの時間は経った。

 なのに魔理沙は帰ってこない。

 ここに居ないとしたら博麗神社か、それとも……

 

 ふと、異変の時に出会った魔法使いを思い出した。

 人形をまるで生きているかのように操る少女。

 確か名前は……アリス。

 アリス・マーガレット……だったかしら?

 最近の宴会に全く顔を出さない彼女について知ることは、かなり少ない。

 

 私は興味本位で、アリスの家へ向かった。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

「……ここかしら?」

 

 異変の時にアリスに会った場所を思い出しながら、何となく見てまわっていると、やがて一軒の家を発見した。

 洋風でお洒落な雰囲気の漂う家だった。

 

 ––––コンコンコンコンッ

 

 ノックをする。

 中から声がするわけでもなく、扉が開かれた。

 

「あら、人形?」

「シャンハ-イ」

 

 出迎えてくれたのは、あの日も傍に携えていたであろう人形だった。

 

「……喋れるの?」

「残念ながら、意味のある言葉を自由に発する事は出来ないの」

 

 やがて部屋の奥から声が聞こえた。

 声の主はもちろん、例の彼女だった。

 

「……貴女は、この森へ迷い込んだ人間ようには見えない。私に何か用でも?」

「ただの好奇心よ」

「そう……どうぞ、上がって。お茶を淹れるわ」

 

 アリスがそういうと、人形達が私を案内し始めた。

 私をリビングへと連れて行くと、ここに座れとでもいうように椅子を引くので、私は素直に腰かけた。

 何とも便利なものだ。うちの妖精メイドよりも使えるかもしれない。

 

「はい、どうぞ。紅茶でよかった?」

「ええ、もちろん。ありがとう」

「ならよかった」

 

 アリスはテーブルを挟んで向こう側の椅子に座った。

 そしてニコリと笑みを浮かべている。

 なんとも無機質で機械的笑みだろうか。

 まるで人形だな、と私は思っていた。

 

「ところで、貴女は確か、霊夢達と異変解決に向かっていた……」

「十六夜咲夜よ。霧の湖の近くにある紅魔館のメイドをしておりますわ」

「メイドねぇ……まあ、そんな感じの見た目してるわ」

 

 アリスは紅茶を一口、喉に流した。

 

「私はアリス・マーガトロイド。よろしくね」

「ええ、よろしく」

「それで……貴女がここに来た理由、好奇心と言っていたわよね?」

「ええ。暇つぶし程度に」

「そう……実は私も、貴女には興味があったのよ」

 

 私も、紅茶を一口飲む。

 紅魔館で淹れているものとは、香りも味も質も違う。

 でも、美味しいと思えた。

 

「霊夢や魔理沙と同じ人間で、霊夢や魔理沙と肩を並べられる存在…………気にならない方がおかしいわ」

「あら、嫉妬かしら?」

「んまあ、それもあるかしらね」

 

 アリスは恥ずかしげもなく認めた。

 なんとも、ペースの掴みにくい少女だ。

 私が嫌いなタイプの1つでもあり、好きなタイプの1つでもあった。

 

「貴女は、私のどんなところが気になるの?」

「……その言い方は、なんだか嫌ね」

「ふふっ、わざとよ」

 

 クスクスと笑う彼女の微笑みは、やはり造形物のようなものだった。

 美しいが、生気を感じない。

 心が動かされるような何かはない。

 

「で、どこが気になるの?」

「貴女は随分と()()に見えるから」

 

 彼女の顔色が変わった。

 驚いたような、そしてどこが警戒しているような表情だった。

 そしてそれはとても感情のある表情だった。

 

 私の中で、彼女に対するある仮説を立てていたが……それは外れたようだ。

 その仮説とは、彼女が本当に人形であること。

 アリス本人は別に居て、今目の前にいるのは、本物のアリスが操作している人形であるという仮説だ。

 

 ––––しかし、違う。

 彼女の表情を見て、直感的に私は思った。

 彼女は生きている。人形ではない。

 そしてだからこそ、私のもう一つの仮説が現実味を帯びていた。

 

「……そう思った根拠は?」

 

 アリスの内心は穏やかではなさそうだった。

 何か知られたくないことでもあるのか、それとも彼女を知らないはずの私に核心を突かれたことに驚いているだけなのか。

 そこに私の興味はない。

 ただ、私の仮説の真偽を確かめることしか考えていない。

 

「貴女は、成長しているから」

 

 魔法使いは成長しない。

 もちろんこれは身体に関してのことである。

 不死ではないが、不老長寿である魔法使いは一生をそのままの身体で終える。

 これはいつか、パチュリー様から聞いた話だ。

 

 しかしアリスは成長した。

 異変時の霊夢と魔理沙の発言がそれを物語っているし、異変後に魔理沙から直接聞いた話では、以前のアリスはもっと背が低くもっと幼かったらしい。

 だから私は、この時半ば確信していた。

 アリスは、魔理沙と同じく人間の魔法使いだ。

 そして、そうならば––––

 

「他の根拠は……?」

 

 アリスは私に問う。

 先ほどの根拠が、アリスが人間であることに値するものだったのか、答えは教えてくれなかった。

 しかし私はこの根拠以外、根拠らしいものは持ち合わせていない。

 仕方なく、首を振るだけで私は答えた。

 すると、アリスの顔色が再び変化した。

 

「え……それだけ?」

 

 今度は呆れたような表情を浮かべ、冷たい視線を私に向けた。

 

「……貴女は、人間ではないの?」

「私は人間()()()わ。今は魔法使い」

「なら、どうして成長するの?」

「そりゃあするわよ」

 

 当たり前だと言わんばかりに、アリスは小さなため息を吐いた。

 

「人間が種族的に魔法使いになる条件、貴女は知ってる?」

「……いえ」

「そうね。だから貴女は間違えた」

 

 彼女の言い方が少し頭に来たが、おそらく事実なので仕方がない。

 少し堪えて、彼女の言葉を待った。

 

「人間が魔法使いになるには、捨食の魔法を会得し自らにかける必要があるわ」

「捨食の魔法?」

「人間の三大欲求のうち2つを捨てる魔法よ。魔力で補える食事と睡眠が要らなくなるわ」

「貴女はそれを取得して、魔法使いになったということ?」

「そうそう。随分と昔の話だけどね」

 

 確かに、魔理沙が彼女に会った時には既に魔法使いだったようだ。

 

「でも……魔法使いは成長しないんじゃないの?」

「あら、誰から聞いたのかしら?」

「知り合いに魔法使いがいるのよ。人間の魔理沙じゃなくてね」

「そう……きっとその魔法使いは、生まれつきの魔法使いか、捨虫の魔法を会得した元人間ね」

「……捨虫の魔法?」

「ええ。さっきのより少し高度な魔法よ。それによって、成長が止まるの」

「……貴女は、まだ?」

「そうねぇ。いずれは会得するつもりよ? でも、今じゃないかなぁ」

 

 アリスは少し自分の身体を眺めていた。

 まだこの身体を成長させたい、ということなのだろうか?

 そんなことを思っていると、アリスの人形がケーキを運んで来た。

 

「ありがとう、上海」

「シャンハ-イ」

「……その子、上海っていうのね」

「ええ、そうよ」

 

 アリスは上海の頭を少し撫でると、上海はくすぐったそうに笑みを零していた。

 ––––アリス以上に、生き物に見える。

 

「この子に命はないわ。ただの人形よ」

「シャンハ-イ」

 

 私の心を読んだかのように、アリスが言った。

 口に出ていたのかもしれないが。

 

「いつかは、なんの操作や命令無しに動く完全自律型の人形を作ることが……私の夢」

「上海は、とても自律しているように見えるわ」

「うん。この子が一番それに近いわ。でも、完全なる自律ではないの」

「シャンハ-イ」

「そんなことより……ケーキ、冷めるわよ?」

 

 上海が持って来たのは、焼きたてのチーズケーキだった。

 お皿の上に小さなチーズケーキがいくつか並んでいた。

 いただきますの言葉と共に、私はそれ1つを口に運んだ。

 

「……美味しい」

「ふふっ、よかった」

 

 口に入れた途端に、チーズの香りがいっぱいに広がった。

 温かいスポンジはふんわりと柔らかく、甘さが私の舌に広がった。

 

「これは……レーズン?」

 

 味わっていると、少しゴロッとした何かが舌に当たる。

 噛んでみると甘みがさらに広がり、チーズの香りとスポンジの甘さと絡み合い絶妙なハーモニーを奏でていた。

 

「そう。シロップ漬けにしたレーズンよ。甘くて美味しいでしょう?」

「ええ、本当に」

「喜んでもらえたようで、私も嬉しいわ」

「シャンハ-イ」

 

 微笑むアリスの横で上海人形も両手を挙げて喜びを表していた。

 私はそれを見ながら、少し頰が緩んでいることに気がつき、恥ずかしくなって紅茶に口をつけた。

 舌の上で少し転がして喉に流す。

 それを確認してから、アリスが口を開いた。

 

「話が逸れたわね。それで、貴女は何の用でここに来たの?」

 

 それは、一番初めの質問と同じ意味の質問だった。

 しかし同時に、異なる意味も含んでいることに気がつく。

 

「言ったでしょう? ただの好奇心だって」

「違うわね。私に聞きたいことがあって来た、でしょう?」

「……」

 

 何故そう思うのか?

 私は聞きたかったが、聞けなかった。

 それこそが、図星であると言っているようなものだったからだ。

 そもそも、"違う"と言い切れない時点で認めてしまっているのだけれど。

 

「でも、少し違うのね」

 

 彼女はどこまで私の心を読めば気が済むのだろうか?

 まるでそういった能力でもあるかのように、彼女は核心を突いてくる。

 

「"人間の"私に聞きたいことがあった……違う?」

「……はぁ、降参よ」

「なるほど……でも私は人間じゃなかった。だから、聞く必要がなくなった……ということ?」

「貴女、心でも読めるの?」

「生憎、そんなことはできないわ」

 

 でも、とアリスは続ける。

 

「人形に感情を持たせる為に、色んな人間や妖怪の心について研究をしたことがあるくらいね」

「それで、思考回路でも読めるとでも?」

「まあ……なんとなく程度よ。相手が今どんな気持ちなんだろうって、よく考えてるだけ」

 

 それにしては、アリスに感情を感じない。

 しかし、それも意図的なものなのかもしれないと私は考え始めた。

 よく知りもしない相手に感情をさらけ出すのは、隙を与えたり弱みを握られたりすることに繋がる。

 だからこそアリスは、まるで人形と話しているように感じるほど、感情を見せないようにしているのかもしれない。

 そんな風に、私は考え始めたのだ。

 

「それで? もし人間だったら、何を聞きたかったの?」

「……大したことじゃないのよ。というより、もう恥ずかしいから忘れてくれる?」

「えぇ……なにそれ。余計に気になるんだけど」

 

 なんだか急に恥ずかしくなった。

 この流れで、アレを聞いてもいいものなのだろうか?

 

「……やっぱり嫌。なんだか恥ずかしいわ」

「ダメ、教えなさい」

「うーん。本当に大したことじゃないわ。貴女たちは、みんな出来ることだし」

「もしかして、空の飛び方とか?」

「……」

「あー、なんかごめんなさい。当てちゃったかしら?」

「私、帰るわね」

 

 居ても立っても居られなくなった私は、その場を逃げ出そうとするが……アリスに捕まった。

 

「教えてあげるから、逃げないで」

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

「ふぅー、ただいまっと!」

 

 見慣れた森にある見慣れた愛しの我が家。

 箒から飛び降りた魔理沙は、その見慣れた庭に着地した。

 そして、見慣れた扉を開けると––––

 

「……って、なんじゃこりゃあ!?」

 

 ––––見慣れぬ部屋がそこにはあった。

 綺麗に掃除され、きちんと整理整頓されたその部屋は、魔理沙のとってあまり居心地の良いものではなかった。

 普段から乱雑にしているせいか、物が溢れていた方が落ち着いてしまうのだ。

 なんだか、自分の部屋じゃないような気分になる。

 

「……咲夜か。咲夜しかいないな」

 

 悪態を吐きながら部屋に入ると、その辺りで拾ってきた物たちが入った袋を放り投げた。

 すると、テーブルの上に置き手紙があるのを見つけた。

 

『部屋の掃除はきちんとする!』

 

 その手紙には綺麗な字で、そう書かれていた。

 加えて、その下には––––

 

『P.S. クッキー、棚に入ってるから』

 

「咲夜! お前は世界一のメイドだぜッ!」

 

 棚から取り出したクッキーは、とても甘かった。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

「うーん、どうしてかしら?」

 

 アリスは悩んでいた。

 十六夜咲夜が空を飛べないことに、あまり驚きはなかった。

 そもそも人間は空を飛べないのが普通だし、妖怪の中には空を飛ぶのが不得手な者も居る。

 それに異変の時、魔理沙の箒に乗っていたことも不可解だった。

 大方、咲夜は空を飛べないのだろうと予想していた。

 それについて悩んでいるのは全くの想定外だったが。

 

「魔力は、十分すぎるほど足りてるんだけどね」

 

 アリスが悩んでいるのは、別のポイントにある。

 アリスの考えでは、十六夜咲夜には空を飛べる要素が揃っているのだ。

 その要素とは、身体の構造的に飛ぶことが不可解だと思われる存在が空を飛ぶために必要な要素である。

 そしてそれは、大きく分けて3つある。

 

 まず1つ目は、幻想の存在であること。

 幻想郷にいる時点で、この要素は達成している。

 また、これはアリスの知らないことであるが––––外の世界で彼女は"ザクラ・ザ・リッパー"として名を馳せていた。

 その名は確かに存在するが、その正体は謎に包まれている。

 そんな"幻想"こそが、彼女を幻想の存在にする所以でもあった。

 

 そして2つ目は、特殊な力を持っていること。

 霊力、妖力、魔力、気力、神力……力には色々な種類があるが、その種類は問わない。

 何か普通の存在には成し得ない力が必要である。

 その点、咲夜は魔力があった。

 アリスは咲夜の能力を把握しているわけではないが……事実、咲夜には時を操る程度の能力がある。

 

 最後に3つ目は––––

 

「もしかして、イメージが足りてない?」

「……イメージ?」

「そう。貴女が空をどう飛ぶのかっていう、イメージ」

 

 ––––空を飛ぶイメージを持つこと。

 実は咲夜には、この点が足りていなかった。

 しかし、咲夜の近くには空を飛べる者が数多く存在する。

 アリスはそれを考慮し、この3つ目の要素を持っていると誤解していた。

 

「どう……飛ぶのか?」

「まさか、考えたことないの?」

「……?」

「はぁ……まさか、ここに問題があったなんてね」

 

 アリスは呆れていた。

 咲夜の意外な欠点というよりも、自身がそれに気が付かなかった間抜けさに。

 あまりにも馬鹿げているように見えて、軽く笑みまで溢れてしまった。

 

「イメージするのよ。どんな風に自分が空を飛ぶのかね」

「イメージ……ねぇ?」

「難しいことはないわ。例えば私なら––––」

 

 フワリとアリスは浮かび上がる。

 

「––––私自身が人形で、上から吊られているイメージね」

「……なんだか嫌なイメージの仕方ね」

「うるさいわね。私にはイメージしやすいのよ」

「他のイメージはないの?」

「うーん……じゃあ、魔理沙はどんな風に飛んでる?」

「魔理沙? あの子は箒に跨って飛んでるわね」

「そうね。おそらく彼女は魔法で何かを操って飛ぶイメージが強いのでしょう。故に、箒がないと安定しないし、箒があればかなり速く飛ぶことが出来ている」

「そういうイメージね……でも、霊夢はどんなイメージなのかしら?」

「あの子は能力がそもそも飛ぶ能力だもの。イメージなんかしてなさそうじゃない?」

「なるほど、確かに」

 

 咲夜は考えた。

 一体自分はどうやって空を飛べば良いのだろうか?

 咲夜といえば、時を操る程度の能力がある。

 しかし時間をいくら加減速させたところで、空を舞うことに繋がるとは思えない。

 咲夜は悩んだ。

 

「まあ、貴女が飛べない原因は、おそらくそれだけ。それが分かっただけでも、十分な一歩と言えるんじゃない?」

 

 アリスのその言葉で、咲夜は思考から戻ってきた。

 そして辺りを見渡せば、もう夕暮れ時であった。

 あまり陽の光が入らない魔法の森であるが、夕陽の紅さはここからでも確認できた。

 

「……そうね。そろそろ戻ろうかしら。お嬢様がお腹を空かせているだろうし」

「そうか、貴女はメイドさんだったわね」

「いつでも館に遊びに来ていいわよ。今日のチーズケーキのお返しをさせて頂きますわ」

「あら、それは楽しみね。今度伺わせて頂きますわ」

 

 アリスは朗らかに笑った。

 少しは私に心を開いたとでもいうのだろうか?

 

「……なんだか少し意外だったわ」

「うん? なんのこと?」

「貴女は、社交的には見えなかったから」

「私は都会派なの」

 

 都会派––––とは何だろう?

 疑問は残るが、何となくアリスを見ていると分かったような気がした。

 

「宴会……次は行ってみようかしら?」

「待ってるわ。私も魔理沙も、多分霊夢も」

「きっと次は行くわ。魔理沙も来いってうるさいし」

「次の宴会も楽しくなりそうね」

 

 ––––ここ最近、宴会が繰り返されている。

 そして、それを楽しみにしている私がいた。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

「咲夜、いいことでもあった?」

 

 それは、夕食の時間だった。

 お嬢様がいつも通り食事を摂っていると、突然私に問いかけた。

 

「……何故、そのようなことを?」

「なんとなく。顔に書いてあった気がしたのよ」

 

 お嬢様には何か視えているのだろうか?

 

「何も、大したことでは御座いませんわ」

「へぇ……なんだか気になる言い方するのね?」

「それに––––お嬢様にとっては、いい知らせではないかもしれないので」

「ふははっ……そうか。じゃあ、あとでお仕置きね?」

 

 私は今日も失敗した。

 

 

 

 

 




余談ですが、お知らせです。
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