それでは前回のあらすじ
ついに旅行編スタート。
珍しく優也と結羽の二人旅。
果たしてこの旅はどんな事が待ち受けているのか。
とりあえず結羽可愛い(優也視点)
それではどうぞ!
side優也
「着いたぁ!」
結羽は目的地に着き、電車から降りると伸びをしながら言った。
俺も長い間座っていたので体の凝りが酷く、少し俺も体を伸ばす。
移動疲れをしてしまった。ここまで長い間電車に乗るのは久しぶりかもしれない。
ここは昔ながらの景色が残る町、
江戸時代の時代劇の中に入ったかのような町並み。
雰囲気も良く、時代劇好きならば必ず一回は来てみた方が良いと……まぁ、評価に書いてあった。
俺もこの町の事は名前は聞いていたが、実際着いて見てここまで時代を感じるとは思わなかった。
しかもこれはそれ用にセットされた舞台とかではなく、本物の住宅街なのだ。
この町の服は着物が主流で、まさに江戸時代だ。
だが、一つ残念な点を上げるとするならば、なんでこんな近未来な駅を作ったんだ……という事くらいだろう。
「優也優也!」
呼ばれたのでそっちを見てみると結羽は既に着物を着ていた。
着替えるの早すぎ問題はとりあえず置いておいて、俺は結羽の着物姿を見る。
結羽は小さいから少しブカブカ気味なのだが、袖が手を半分以上隠している。萌え袖だ。
そして何より、似合う!! 可愛すぎる。
赤色で花柄の着物を来ているのだが、それが結羽にベストマッチし、普段から可愛いと言うのに更にそれを引き立てている。
そんな事を考えていると俺が黙ったことを不審に感じたのか首を傾げた。そんな動作も可愛すぎる。
とりあえず言えることは俺の彼女、可愛すぎだろ。
「と言うかその着物、どこから調達してきた」
「あそこにレンタルがあったから借りてきちゃった。ほら、せっかくこういう雰囲気何だから雰囲気を楽しまないとね〜」
ニコニコしてとても楽しそうな結羽。
その顔を見た事で俺も思わず笑みが零れてしまう。
「ねえねえ優也も着てみない?」
「うーん。それもやぶさかではないが、俺は着てて似合うか? 俺はそんなタイプじゃないと思うんだが?」
「そうだね。だけどだからこそ気になる! 行くよ優也!」
「おい、ちょっと待て!」
そんな俺の抗議も結羽は無視し、どんどん着物レンタル店に俺を押していく。
本気でやめろと言うと目をうるうるさせて悲しそうな表情になる為強く断ることが出来ず、俺は着させられてしまった。
「はぁ……俺がこんなの着て似合うか?」
「似合う! 可愛い!」
「彼女にはカッコイイと言われたいんだけどな……はぁ……」
俺は着物を着させられ、もう何度目かわからないほどのため息をついた。
わかってる。俺には着物なり浴衣なりそういう服が一切似合わないってのはわかっている。
昔七海に「お兄ちゃんは普段の服装の方が良いね」と言われたほどだ。
直接似合ってないとな言われなかったが、七海がこういうことを言う時は似合っていないという時だ。
「むぅ……私という者が居ながら優也、他の女のことを考えてる」
「考えてないって」
確かに女の子の事は考えていたが、妹だからセーフだよな?
「そんなに妹が好き?」
なぜバレた。
だけど俺はこれくらいでは取り乱さない。
「ん? まぁ家族だしな」
「お兄ちゃんって呼んだ方がいい?」
「え?」
結羽が急に突拍子も無い事を言ってきたので俺は驚き変な声を出す。
お兄ちゃん……だと? そんなので喜ぶのは漫画とか小説とかのキャラくらいなもんだろう。
それに彼女にお兄ちゃんと呼ばせるのはなんか気が引ける。
「お兄ちゃん、どうしましたか?」
「グハッ」
俺が脳をフル回転させていると急に結羽が顔をグイッと寄せてきてお兄ちゃんと呼んできた。
未だに結羽のお兄ちゃんという言葉が木霊している。
彼女にお兄ちゃんと呼ばせる背徳感と結羽のお兄ちゃんと呼んだ時の可愛さで震えが止まりません。
「変なお兄ちゃん」
「ゆ、結羽……っ! そのお兄ちゃんってのやめてくれ」
「フフっ。優也の弱点はっけーん」
「あっ!? お前!」
すると一目散に結羽は笑いながら逃げて行った。
しかし少し走ったところで着物を気慣れてないせいか躓いてころんでしまった。
ドジだ。俺の彼女はドジっ子属性でも持っているのか?
「はぁ……それより疲れたな。早く宿のチェックインを済ませよう」
「はい。そうですね。このチケットによると古風の宿という旅館だそうです」
古風か。って言うことはその宿の中も昔ながらの見た目になっているんだろうな。
俺は地味に時代劇とか好きだから表には出さないものの、少しテンションが上がっていた。
楽しみだ。
「ここが古風の宿ですね」
「へぇ〜確かに古風だな」
俺達は地図を頼りに古風の宿まで来た。
入口の上には大きく宿の風古と書いている。
これは昔ながらの表記で読む時は古風の宿と逆から読む。
だからここで間違いないだろう。
入口に大きい窓があるため、中の様子が伺えるが、かなり雰囲気良さげだ。ますます楽しみになる。
「ワクワクが止まらないね!」
結羽は俺とは違ってオープンで楽しんでいる。
俺もこれくらいオープンでさらけ出せれたら楽なんだろうな。
だけどそれは俺の性格が邪魔をしてしまっている。
「んじゃ早速チェックインして荷物置いてからでも観光しに行くか」
「あれ? 優也、さっきからぶっきらぼうだけど」
「実は楽しんでたり?」
「まぁな」
「み、認めた!?」
そんな会話をしながら俺らは受付まで向かった。
はい!第97話終了
遂に到着、旅行編の舞台である江居谷です。
昔ながらの街並みに二人は大興奮です。
それでは!
さようなら