こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 第一話と第二話の結羽視点。



 それではどうぞ!


第96話 可愛いは正義

side優也

 

 俺は旅行に行く準備を淡々と進めていた。

 と言っても簡単なテキストと携帯、財布位の軽いものだ。

 そもそもとしてそんなにジャラジャラと持って行かなきゃならないものは持ってないしな。

 

 俺は自室を見渡す。

 しかしどこを見渡しても生活感はあまりねぇなと思うような内装だ。

 あるのは柴野家の皆さんが用意してくれた勉強机と中央にある四角いテーブル、ベッド位なもので、後は本棚に使えそうだなと思った場所に本を詰め込んでる。ただそれだけの味気のない部屋だ。

「もっと色々あった方がいいのか?」

 以前にもっと欲を出せと言われたことがある。それってこういう事なんだろうな。

 

 これが欲を出さなかった結果である。

 金もバイトをしているが、本代と学費位にしか使わないので給料がどんどん溜まっていくばかりだ。

 

「これは問題かもしれない」

 いっその事、今回の旅行でパーッと使っちゃうか?

 旅行に行ったら色々とめぼしいものがあるかもしれないからそれもありだな。

 

 よし、

「準備出来たぞー」

 言いながらドアを開けると──

「痛っ!」

 可愛らしい悲鳴が聞こえてきた。

 今この家には俺と結羽しかいない。つまりこの悲鳴の出処は、

「結羽、何やってるんだ?」

 ドアの影で額を押えながら蹲る結羽だった。

 そして涙目になっている。

「どうしたんだ?」

「ドアに頭をぶつけました」

「なんで!?」

 結羽さんよ、どうしてそうなった! 普通ドアから離れておくでしょ。

 しかもこのドア外開きなんだし退けないと当たるだろ。

「……痛い」

 上目遣いで頭を擦りながら呟いてくる。

 グッ! 反則すぎるだろそれは!

 

「これでいいか?」

 俺は頭を撫でてやる。

 するとその瞬間、元気がいつもより数倍増しの結羽さんが現れた。

「えへへっ、じゃあ行こうか!」

 元気を取り戻した結羽さんは俺の手をグイグイと引っ張って家を出る。

 ちゃんと戸締りは完璧だったはずなので後は玄関の鍵を閉めて電車に乗るため駅に向かう。

 


 

「休日なのに意外と空いてたね」

「俺は人に酔うから満員電車は勘弁だし良かったわ」

 そう言えば何気に二人で出かけるのは初めてのような気がする。

 いつも俺達の他には白波さんが居たり悠真も居たな。

「えへへ。二人きり、だね」

 照れくさそうに言う結羽。

 顔をほんのりと赤く染めて嬉しそうにはにかむ。その仕草を見て俺まで顔が熱くなってきた。

 可愛すぎる。その仕草一つ一つが小動物みたいで可愛い。

 結羽は彼氏の贔屓目なしでも可愛いから余計にそう思ってしまうのかもしれない。

 

「優也はこっちの方は来たことある?」

「ん? ああ、父さんに連れられて一回は、でも随分前の事だからあんましよく覚えてないな」

「そうなんだ」

 口ぶりから察するに多分結羽は来たことがないのだろう。ワクワクという感情が手に取るように分かる。

 俺も楽しみだ。

 なんたって今回は俺と結羽、二人きりなんだからな。

 

 二人で向かい合って目的地につくまで景色を眺める。

 しかし結構遠くなのだ。つくまでまだまだ時間がかかる。

「そうだ、もうお昼時だし、お弁当食べちゃお?」

「弁当?」

「うん! じゃーん」

 そして結羽が出してきたのは駅で売っていた駅弁と言うやつだろう。

「私、駅弁って食べてみたかったんだよね」

 そして二つある駅弁の片方を俺に手渡してくる。

「ちょっと待ってろ、何円だっ──」

「ここは奢られておいてよ。いつものお礼なんだから」

「お礼?」

「結構私に良くしてくれるじゃない? そのお礼」

 いや、別に彼氏として当然のことをしているまでだが、確かに買ってくれた相手の気持ちを考えずに金を払おうとするのは良くなかったかもしれない。

「まぁ、そう言うことならありがたく頂くな」

「はい! 頂いちゃって下さい!」

 そして結羽と共に「いただきます」と言ってから割り箸を割り、まずゴマ塩ご飯を一口。

 うん。美味いな。やはりご飯に一番合うふりかけは俺はごま塩だと思う。あくまで個人の意見だ。

 そして唐揚げも一口。

 美味い、さすがだ。冷めても美味いってのは買った弁当の良いところだよな。

 

 だが俺の一番好きな唐揚げは結羽の唐揚げだ。

 結羽の唐揚げはサクッと中ジューシー、普通に金を取れるレベルだった。

 更に弁当にしてもその美味さが衰えることは決してない最強の唐揚げ。

 俺も偶に唐揚げを作るが、そこまで完璧な唐揚げなんて一生無理だろう。

「美味しいね」

「ああ、美味い」

 

 結羽は美味しそうに食べる。

 頬に米が着いているのがやはり子供っぽいなぁとそう思う。

「結羽」

「ん~?」

「頬、米ついてるぞ」

「ええっ!」

 そして結羽は自分の顔を触って確かめるが、避けて触ってるんじゃないかってくらい見つけれていない。

「ほらここ」

 そして俺は人差し指で結羽の頬から米粒を取り、そのまま食べる。

 すると結羽の顔は真っ赤に染まり、湯気が出始めた。沸騰している。

「も、もう! 優也ったらぁ~」

 頬を真っ赤に染めて膨らましながら怒ってる姿が可笑しくて可愛らしくて全然怖くない。

「ごめんってな? これやるから」

 そして卵焼きを一つつかんで差し出す。

「う、うん。あーん」

「あーん」

 口の中に卵焼きを入れてやる。

 嬉しそうに食べる結羽。やっぱり可愛いなぁとそう思うのだった。




 はい!第96話終了

 今回は優也視点の惚気回でしたね。

 優也視点だと結構素っ気なかったりするので惚気は珍しいのでは?

 それでは!

 さようなら

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