こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 優也の読む書籍が難しすぎる。



 それではどうぞ!


第95話 メモリー ~エピソードオブ結羽~

side結羽

 

 受験中、私はずっと気にかかっていた。

 つい先程、お守りを落としてしまって探していると"あの人"にまた会えた。

 その人の服装はよく見てなかったから分からないけど、多分年齢的に近いし、今日受験だっておかしくない。

 だけどこの部屋であの人を見つける事は出来なかった。

 

 鬱だ。

 冬馬に馬鹿にされてここに受験をしたのは良いけどもやっぱり不安だな。

 この学校で今後上手くやって行けるか。

 

 だって私の学力は酷いし、ここに受かったのだって奇跡だし、だからと言ってあの人が居るとは限らない。いや、可能性は限りなく低いだろう。

 でもこればっかりは仕方がない。運命なんだから。

 

 多分受験の時のあれは神様の気まぐれ的なそんな感じのやつなんだろう。

 

「姉ちゃん! 腹が減った!」

 いつもの様にとーまが家にやって来て私に料理を頼んでくる。いつも通りの光景。

「はいはーい。待っててね」

 料理中も考えていた。四六時中あの人の事が頭から離れなかった。

 受験日に会ってしまったことによって余計に頭から離れなくなってしまった。

 ここだけの話、お恥ずかしながら注意が散漫になっていて指を少しだけ切ってしまいました。

 

 そして次の日、寝坊してしまった。

 たるんでるなぁ~そう感じながら慌てて登校する。

 でも"あの人"が悪いんです。私の心の中にいつまでも留まって……。

 そして"あの人"の事を思い出すと笑みが零れる。

 危ない危ない。他の人に見られたら大変なことになるところだった。

 

 そしてそのまま慌てて走っていると丁度十字路で横から走ってきた人と思いっきりぶつかってしまった。

 私とその人は一緒に尻もちをつく。

 何この少女漫画的展開。

 そう思いながらそのぶつかった人の顔を見る。

「いっ……大丈夫か?」

「は、はい! 大丈夫です!」

 と言うかたった今大丈夫になりました。

 

 ちょっと痛かったけどその痛みが完全に吹き飛ぶくらいの衝撃。

 なんとぶつかったその人は、私の追い求めていた"あの人"だった。

 なんと言う偶然。思わず運命を感じずには居られなかった。

(ゆっくりお話したい)

「この前はありがとうございます」とか「私の事覚えてますか?」とか色々話したいことはある。

 だけど、私が家を出たのはかなり遅い時間。そんなにゆっくりしてる時間もないだろう。

 

 残念だなぁ。そう思いながら私達は一緒に走り出した。

 

 私は足は速い方だと思うけどスタミナが無いから途中でスタミナ切れを起こして途中でダウンした。

 そんな私に気が付かずに"あの人"は走って行ってしまった。

 

 そんなこんなで結局名前すら聞くことすら出来ずじまい。そんな状況にため息が出る。

 折角のチャンスを逃した。私は後悔の念に苛まれた。

 あの時時間なくても強引でもいいから名前くらいは聞いておくべきだったかな?

 そんなことを考えながら私が一人で公園にて黄昏てると、そこに一人の人物がやってきた。

(誰だろう?)

 そう思ってそちらに視線を向けると、私は人生で一番驚いた。

 まさか今朝に続いてまた"あの人"に会えるとは思わなかった。

 

 何かこっちを凝視してる。何かあるのかな?

 でもこれはチャンスだ。ここを逃したらもう次はない!

 

 私は"あの人"に駆け寄る。

 でも駆け寄ったは言いものの何を話そう。……まずは雑談からにしようかな?

「あ、今朝の人! こんなところで何してたんですか?」

 純粋な疑問を投げかけてみる事にした。

「それはこっちの台詞だ」

 おっしゃる通りで……。普通に突っ込まれてしまった。

「所で自己紹介をしてなかったな……俺は絆成 優也。伊真舞高校の1年生だ」

 するとなんと好都合な事にあの人から名乗ってくれました!

 絆成……優也かぁ~いい名前だなぁ~。

 ……って! えぇっ!

 伊真舞高校。私と一緒。更には、

「わ、私と同じ学年!」

 私も今年入学したばかりの一年生。同い年だった事に私は驚いた。

 

「私は柴野 結羽! 伊真舞高校の1年生です!」

 今度はこっちから名乗った。

 優也さんと同じ学年、学校だと知って私のテンションは今までで一番! さっきまでの暗い気持ちは一瞬にして吹き飛んだ。

 

 でも私が名乗ると優也さんは急に頭を抱え始めました。どうしてでしょう?

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ! 大丈夫だ。少しボーッとしていただけだ」

 それなら良いけど。

 

「で、話を戻しますが何でこんなところに?」

「たまたま通りかかってな。柴野さんは?」

「ふふふ、結羽で良いですよ。私は……少し色々あって……」

 私は下の名前を読んで欲しさに随分と大胆なことをしてしまった。

 そして聞かれたことについて口篭ってしまった。

 だって本人を前にして「あなたに会えないかもしれなくて黄昏てました」なんて言えないじゃない恥ずかしい!

 

「そうか……言いたくないなら言わなくても良いぞ」

 なんか気を使わせてしまって罪悪感が……。

 でも本当の理由は言えないし……それじゃあここで雰囲気を変えるような事を!

「購買の好きなパンが買えなくて……」

 必殺、シリアスブレイカー。

「おい! 俺の心配はいったいなんだったんだ!」

 怒られてしまいました。

 だけどその怒られている時間も幸せで……えへへ。

 

「それはそうと、そろそろ家に帰らなくてもいいのか? 親御さんが心配するぞ」

「分かった! じゃーね」

 私は最後に砕けた口調でそう言った。

 

 連絡先はゲット出来なかったけど名前を知れただけでも収穫だよね。

「明日も朝にあの十字路で会えるといいな」

 私はそんなことを一人呟きながら帰った。




 はい!第95話終了

 今回は完全に第1話と第2話の結羽視点でした!

 1回これがやりたかったんですよ。

 さて、これで思い残すことはなく旅行編に入れます!

 それでは!

 さようなら

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