こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 優也達の目の前に大量の料理が!

 しかも全て優也の好み!

 その後、花火を堪能した優也達だった。

 そして優也が眠れなくてバルコニーに行くとそこには絶景が。

 そこに結羽が現れ……

「私ね。優也が好き」



 それではどうぞ!


第80話 想いを繋ぐ景色パート3

side優也

 

「私ね。優也が好き」

 結羽はそう優しく呟いた。

 

 さすがにこの至近距離だ。偶に耳が遠いと言われる俺でも分かった。

 

「まぁ、俺も好きだぞ」

 友達としてな。

 

「やっぱり分かってないよね」

 何を分かってないって言うんだろうか?そう考えた瞬間の出来事だった。

 

 一瞬だった。一瞬だが、頬に柔らかい感触がした。

 

 それを理解するのにはたいして時間はかからなかった。

 

 一瞬、頭の中が真っ白になってなにも考えられなくなった。

 

「ふふっ。分かった?」

 分からない。そう胸を張って言いたかった。いや、胸を張るような事じゃ無いと思うけど。

 

 だけど、今の行動で分かってしまった。

 

 結羽の俺に向ける好きと言う気持ちは友達としてのLikeでは無くて、異性としてのLoveだと言う事を。

 

「じゃーね」

 そう言ってその場を去ろうとする結羽。

 

 だが、ここで帰してしまってはいけない気がした。

 しかし、なんと言うべきだ。今結羽にかける言葉が見つからない。

 

 だけど俺は

「待て結羽!」

 言葉も見つからないのにその場しのぎに引き止めてしまった。

 

「なに?」

 一度振り返った結羽は再び俺の方を見た。

 

 言葉が出てこない。だが、無理矢理にでも喉の奥から声を絞り出す。

「あの……だな。結羽」

 俺が言葉に詰まっていると結羽は後ろを振り返った。

 

 今度こそ行ってしまう。そう思ったが、結羽は一歩も動き出そうとしない。

 すると突然声をかけてきた。

「優也。昔話をしようか」

 そんな唐突も無いことを言っていた。

 

「むかーしむかし。ある所に、サッカー好きの少年が6人居ました」

 サッカーね。俺も昔はサッカーが好きだったから共感出来そうだ。

 だけどそんな昔話ってあったっけ?

 

「その少年達はその日もサッカーをして帰る所でした」

 なんか引っかかるな、サッカーと言う単語が出てきたからか?

 

「そんな少年達は不良に絡まれてる地味で目立たない可愛くない女の子を見つけました」

 妙に既視感のある話だ。この話って……。初めて聞く話だけど俺は知っているようなきがした。

 

「皆が満場一致でスルーしようとしました。ただ一人を除いて」

 嫌な予感がする。

 

「そして少年は女の子に絡んでいる不良に対してサッカーボールを蹴りました。そしてサッカーボールをもろにくらった不良はその場に倒れて、少年は女の子を救う事に成功しました。めでたしめでたし〜」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 分かった。その全貌が全て分かってしまい、俺は叫ぶ。

 

「なんでお前が俺の黒歴史を知っている!」

 俺はその事まで教えた覚えはないぞ!どう言う事だ!

 

「ふふっ。なんでだろうね〜。自分で考えてみてよ。それが、優也への課題。優也、課題得意でしょ?」

 学校の課題とは違う気がするが……。

 

「じゃーね」

 そう言って今度こそ結羽は自室に帰って行った。

 

 すると不意に視線を感じた。

 

 背後。バルコニーの入口からだ。

「誰だ」

 その場所を見ながら聞くと出てきた。

 

 その人物とは──露木ちゃんだった。

 

「あの……えと、覗き見するつもりじゃなかったんです」

 初めて会った時のようでは無いが、おどおどしている。

 

「ちなみにいつから?」

「えと、先輩が『眠れないのか?』って言った辺りからです」

 最初からじゃん。

 

「そうか。見られてたか……」

 あのシーンを見られていたのはかなり恥ずかしい。

 

「結羽先輩に告白されたんですね」

 やっぱりそうだよなぁ……。

 

「ちなみに返事はどうするんですか?」

 

「まださっぱりだ」

「そうですか……」

 

 すると少しずつ露木ちゃんはこっちに向かって歩き出した。

「なら私にもチャンスがあるって事ですね」

 どういう事と聞く前に露木ちゃんは答えを言った。

 

「私は先輩の事が好きです」

 そんな衝撃的な事を。

 

 さっき、あれだけ盛大な告白をされたんだ。意味は分かった。

 

 だが、この子は俺の事が嫌いだったはずだ。なのにどうして?

 

「私が素っ気ない態度を取ってもちゃんと私と向き合ってくれるところ。皆が楽しそうにしてる時の優しい顔。そして、ピンチになったら助けてくれる所はヒーローみたいです。私にとってはあなたはヒーローなんです」

 そしていつの間にかゼロ距離まで迫ってきていた露木ちゃんは背伸びをして俺の耳元で、

「そんなあなたが好きです」

 と囁いた。

 

 正直ドキッとした。

 

 この短時間で二度も告白をされた。その衝撃が俺の脳の回転を遅くする。

 

「な、なんでなんだ?」

 俺の絞り出した言葉がこれだ。とりあえず気になったんだ。

 

「最初は嫌いでした」

 おい。

「ですが、助けられてからはカッコイイって思うようになってしまって」

 えへへと笑う露木ちゃん。

 いつものギャップと相まって、他の子がやるより破壊力が高いと思う。

 

 だけど、

「お前さぁ……」

「ん?」

「チョロくね?」

 一回助けられただけで好きになるってチョロくね?簡単に騙されそうな性格だな。

 

「女の子は皆私みたいに助けられたらトキメクものなんです!」

 そんなもんなのか?

 

「じっくり考えてください」

 それだけ言い残して露木ちゃんは帰って行った。

 

 どうしようかな。この状況。

 


 

次の日

 

 あの後、結局一睡も出来なかった。

 

 満足気に寝ているあの二人のせいだな。

 

 最終日。朝に昨日の残りを食べ、今は車で帰ってる途中だ。

 

 海もあったから入りたいと言っている人が多かったが、今から海水浴をしていると確実にもう一泊する事になるから断念することにした。

 

 すると一人で座ってる隣に冬馬が座ってきた。

「よぉ冬馬。この旅行では影が薄かったもんな。なにか残しに来たのか?」

「影が薄い?何言ってるんだ?深夜以外、ずっと優也さんの近くに居たじゃないか」

 え?本当に!?気が付かなかった。

 

「それじゃ俺はここで寝るから優也さん肩を貸してください」

 そして俺の返事を待たずして寝始めた。こいつ!

 

 まぁ良いか。俺も眠いし寝ることにした。

 

 その数時間後、俺らは帰宅して俺と結羽は同じ家に帰ったんだが、顔を合わせることが出来なかった。




 はい!第80話終了

 ついに夏休み編終了!

 夏祭りは優也が入院している間に終わったって事で。

 それでは!

 さようなら

優也のヒロインで一番好きなヒロインは?

  • 柴野結羽
  • 星野光
  • 如月咲桜
  • 神乃露木
  • 絆成萌未

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