それでは前回あらすじ
中身も想像以上にお屋敷でした。
それではどうぞ!
side優也
俺達は食堂に来たんだが、
「バイキング形式で〜す」
マイクを通した結羽のでっかい声が聞こえてきた。あいつら、俺達が約10人しか居ないこと分かってんのか?食べきれないぞ?
食堂に着くと、俺たちを出迎えたのは大量の飯だった。
スクランブルエッグにローストビーフ、チンジャオロースに野菜炒め等etc etcだ。
確かにみんなで食事会って言うと張り切る気持ちは分からないでもない。俺も料理作れるからな。
だけど、これはさすがに多すぎる。
確かに美味そうで見てるだけだと幾らでも入りそうな気がしてくる。
だが、そこは所詮人間だ。食べ切れるわけがない。
しっかし恐らく4人でこの量を作ったのだろう。女子力恐るべし。
しかもこのレパートリーの多さは恐らく結羽考案の料理達なんだろう。結羽のレパートリー恐るべし。
結構結羽に料理を作って貰ってるけど、被ったことが無い。しかも全てが俺好みの味付けだ。
俺にだって嫌いな食べ物くらい有る。
あっさりとしているなら良いけど薄い味は好きじゃない。濃い方が好きだ。
昔からそうだが、豆腐なんかが苦手だ。よく七海に起こされる時に素直に起きなかったら熱々の湯豆腐を口に突っ込まれたものだ。何も入ってない胃の中の何かがふつふつと登ってくるのが分かる。
今はそんな事は無いが、極力食べたくないのは確かだ。
それが、一回も薄味の物が出て来た事が無いんだ。好みを教えてないのに。
まぁそんな事は良いとして、ラインナップを見てみるとなんと全て俺の好きな濃い味のものだと言う事が分かった。
これだけ濃い味の物があったら胸焼けしそうだが、不思議か事に一品くらい薄味の物があっても良いはずなのに全て俺の好みの物だ。
まぁ、萌未も調理場から出てきたから萌未の意見もあるんだろう。
しかし、全て俺の好みってのはどういう事だ?
まぁ、食事は人生の楽しみの一つって言うくらいだから美味いのは俺にとっては嬉しい。
「あれは胸焼けしそうだけど、食わないともたないからな。よし!食うぞ!」
と横に居たあつしが走り出してプレートを持って食べたい物を取っていく。
ちなみに俺は白飯をそのまま食べるのも嫌だ。
そしてそこはさすが俺好みの食事なだけある。ちゃんとチャーハンと言う形で白飯を回避している。
どうしてこうなったかは分からんが、俺にとってこれは好都合。
「よし!食うか!」
そして俺は美味い料理をたらふく食って大満足なのでした。
飯を食った後、俺らは風呂に入ってその後、外に出てきた。
何故かって?ははは。トラウマだ。
皆並んで線香花火大会をやっている。
俺だけは入口の階段に座ってその光景を眺めていた。
「優也〜。こっち来て一緒にやらないか?」
とあつしが線香花火を持った状態でこっちに走って来るが、
「来るな〜!俺にその悪魔を近づけるなぁッ!」
演技だとしたら迫真である。
「これは重症ね。去年のが響いてるみたいね」
そう。俺は去年、線香花火をやると一秒にも足らない時間で終了した。そのトラウマがある。
俺の運は非常に悪い。
ジャンケンでは星野さんに一回勝った時だけしか勝ったことが無い。
線香花火は一秒ももたず、運ゲーをやると必ず負ける。運ゲーで勝てないこの人生って本当に楽しいのだろうか?
因みに、最初はくじ引きで当たった人しか入れない医療研究会って部活に入ろうと思ってたが、見事に外した。
「じゃあ僕がお兄ちゃんを慰めてあげます」
そう言って萌未は皆の輪から外れて俺のもとへやって来た。
「俺はどんな事を言われ、されても絶対に混ざらんからな!」
そう言った瞬間、頭に手を置かれ、撫でられる。
「お兄ちゃん。運が無くても僕には最高のお兄ちゃんです」
最高の笑顔だ。だが、魂胆は見え見えだ。
「人を慰めるならまずその花畑オーラを隠すことから始めようか」
俺を撫でている間、幸せオーラ全開だった。萌未の事だ。何か良からぬ事を企んでいるに違いない。
「なら、露木ちゃん。あなたが行ってきたら?」
とずっと影だった神乃さんが露木ちゃんに提案した。
「えぇっ!」
顔を真っ赤にして驚く露木ちゃん。可愛い。
「それはいい……いや、ダメです。でも……」
即答はせず自分の中で何故か葛藤する露木ちゃん。
すると何故か俺の方に歩み寄って来た。
そして俺の頭に手を乗せて俺の目の前で俺の座高に合わせて屈む。
そして──
「せ、先輩。お、落ち込まないでください。私達が居ますから」
「ぐはぁっ!」
俺は断末魔の声をあげてその場に倒れ込む。それは神乃さんも同じようだった。
俺が急に倒れた為、露木ちゃんは驚いておどおどし始めた。
「わ、私。なにかいけないことをしたんでしょうか?」
「つ、露木ちゃん。あなた、破壊力がありすぎ。可愛すぎる」
それに関しては同感だ。可愛すぎて一瞬死にかけた。
それにしても露木ちゃん。馴染めてるなぁ。まぁ、皆悪いやつじゃないしな。
そんなことを考えていると視界の端で頬を膨らませて何故か不機嫌な結羽が見えた。
しかし、俺が幾ら考えても分からない事は目に見えてるから俺は考えるのをやめた。
そんなこんなで時は過ぎていき、消灯。
俺ら全員個室だ。その為、夜に出歩いても他の人を起こす心配は無い。
そして俺は今何をしているかと言うと、バルコニーにて夜の海を眺めていた。
最高だ。この一言に尽きる。
眠れないからとバルコニーに来たが、それは正解だったようだ。
空には満点の星空。海を見ると、星空を写し出していて視界いっぱいの星空を演出している。
まるで天然のプラネタリウムだ。
すると近づいてくる足音が聞こえた。
間違いなくここに向かってきている。
すると、急にピタリと足音が止んだ。その代わり、
「ゆ、優也!?」
結羽の声が聞こえてきた。
「どうしたんだ。眠れないのか?」
おちゃらけて言うと「うん……」としおらしい返事が帰ってきた。
「こっち来いよ。綺麗だぞ」
俺がそう促すと結羽もこっちに来た。
「わー。綺麗」
結羽も同じ感想のようだ。逆にこれを見て綺麗だと思わないやつなんて居るんだろうか?
それから暫く二人で夜の海を眺めていた。
すると急に結羽が話しかけてきた。
「今日のご飯。美味しかった?」
「ああ、最高だった。全て俺の好きな味だ」
「ふふっ。良かったぁ」
安堵の表情を浮かべる結羽。
「あれ、私が考えたメニューなんだよ」
うん。だと思った。
あれ程のレパートリーはそうそうあるもんじゃない。
「萌未ちゃんがね。優也の好みを教えてくれたんだよ」
やっぱりあいつか。まぁ、良いけどな。
「萌未ちゃん。凄い優也の事が好きだよね。さっきも『全てお兄ちゃんの好みの料理にしてくれませんか?』って言ってたし。ふふっ。妬けちゃうなぁ〜」
やっぱり元凶はあいつか。
と言うか、妬ける?どうして?
「露木ちゃんも賛成しちゃって」
露木ちゃんが!?
露木ちゃんは俺の事を喜ばせるのを一番嫌がりそうだけどな。
「ふふ。後輩からも好かれているんだねぇ〜。さすが女たらしの優也と言う異名は伊達じゃないね」
「別に好かれてなって!おい!その異名は誰が作ったか詳しく!」
「ねぇ、優也」
無視ですか!無視なんですか!?
「私ね。優也が好き」
結羽はそう優しく呟いた。
はい!第79話終了
ついにこの話が書ける!一番描きたかったやつですよ。
それでは来週の話をお楽しみに!
それでは!
さようなら
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