こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 突如優也の前に現れた柴野政博と名乗った男。

 その男はなんと、結羽の父だった!?

 成り行きで政博さんと暮らすと言って結羽の家に来たが、本当に大丈夫なのか?

 そして、今明かされる。優也の父の過去。



 それではどうぞ!


第74話 柴野政博と優也の父

side政博

 

 これは俺が中学に入って間もない頃の話だ。

 

 俺のクラスには変な奴がいた。

 

「どもども〜。瞬介(しゅんすけ)が登校しましたよー!」

 と手を振りながら教室に入ってくる男が一人。しかし、皆はいつもの事だと思って誰も気にしない。

「いぇいいぇい!ドンドンパフパフ!」

 やっぱりこいつの頭はおかしい。

 

 俺は今年、こっちに越してきたばかりだが、こいつとは金輪際、一切関わらないようにしようと一瞬で思った。

 

 授業中もおかしい。

「先生。今日も可愛いですね。この後、どうですか?」

 先生を口説き落とそうとしたり、もう訳わかんねぇんだ。

 

 そんなある日、突然の出来事だった。

「今日は席替えをします!」

 その言葉が聞こえて、クラス全員がどす黒いオーラを出した。絆成 瞬介本人とその隣の人を除いて。

 全員、瞬介とか言うやつの隣になるのが嫌なんだ。だから俺自身も隣になるのが嫌なのだ。

 

 そして、席替えくじ引きの結果がどうなったかと言うと……。

「隣、よろしくな」

 瞬介とか言う奴の隣になってしまった。

 

 その時、初めて俺は運ゲーを恨んだかもしれない。

 

「でさでさ〜」

 この男は休み時間中、休みなくずっと喋り続けている。こいつは疲れというものを知らないのだろうか?

 しかも、俺に対して俺の興味の無い話を永遠と続けている。何こいつ。

 正直言うと物凄くウザイ。よく前の隣の席だった奴は耐えることが出来たよなと神様かのようにその人を拝む。

 

 こんな男だったんだ。やることなすこと、全て常人の考えじゃ想像つかないことばかりだ。勿論悪い意味だ。

「その時な、俺はこう言ってやったんだ。お前は飴玉か!?ってな」

 どんな事を言われたらそんなツッコミすることになるんだよ!

 さっきまでの話を聞いていなかったからどんな経緯でそんなツッコミをする事になったか聞いていなかった。

 

 はぁ……疲れる。こいつといると疲れる。しかし、そんな俺の気も知らずにこいつは話し続ける。

 それと、何となく聞いていたらこの人には兄がいる事がわかった。兄もこんな性格をしているのだろうか?

 


 

side優也

 

「こんな男だったんだよ。君には申し訳ないけどね」

 

 俺は驚いていた。

 俺にとって父さんは物静かなイメージしか無かった為だ。

 無駄口は言わず、偶に発言する位だ。

「いやー。あの時は流石の俺も君の母親じゃないけど、早く居なくなってくれないかな?って思っちゃった位だ」

 まぁ、今の話を聞いていたらそう思うのも無理はないと思えてしまう。

 

「だけどね。それは間違いだったんだよ」

「間違い?」

 俺は聞き返した。

 

 政博さんは静かに頷いた。

「今からそれを話すよ。彼は本当はどのような男だったのか。どうしてここから俺と絆成 瞬介と言う男が仲良くなったのかという経緯をね」

 


 

side政博

 

 俺はその日も瞬介によって聞きたくもない話を永遠と聞かされていた。

 だが、俺はそれも全てスルーして次の時間の準備を進める。

 

 そして放課後、その疲れ切った体を無理に動かして帰路を歩く。

 俺は一人で歩くこの時間が大好きだ。誰にも邪魔されずに淡々と黙々と一人で歩き、夕日を眺める。

 

「疲れたなぁ……。今日は帰ったら直ぐに寝るか」

 と決め込んでいると、路地裏の方から声が聞こえてきた。

 誰の声かと見ると女の子だった。

 

 女の子が男に取り押さえられて泣いていた。あれを見て友達なんだなとか思うようなハッピーな頭はしてはいない。だから瞬時にどう言う状況なのか把握する事が出来た。出来た上であえてスルーする。

 俺なんかがでしゃばった所で被害者が増えるだけだろう。

 

 そしてその路地裏の前を通り過ぎようとした瞬間、俺の顔スレスレをボールが飛んできて路地裏の方に入って行った。

 そのボールを目で追うと、先程女の子を取り押さえていた男の顔面のど真ん中に命中。

 余程威力が高かったのか、歯が数本折れて鼻から血が出ていた。

「いってぇぇぇっ!」

 大声を上げながら蹲って顔を抑える男。

 

 そしてボールが飛んできた方を見て俺は目を見開いて驚いた。

 そこに居たのは──

「あ、ごっめーん。間違ってボールがそっちに飛んで行っちゃったわ」

 ケラケラと笑う男。瞬介だ。

 

「てめぇっ!何しやがる!」

 俺は男の怒りで支配された目を見てしまった。直感的に恐怖を感じてしまった。

 まるで蛇に睨まれた蛙のような気分だった。

 

 しかし、あいつは

「ん?どうしたんだ?そんなに怒っちゃって」

 こいつは怖いもの知らずの大馬鹿者なんだろうか?完全に挑発している。

 あれはもう病院送りじゃ済まない。

 

「大人をナメるんじゃ無い」

 そう言うと男は懐から折りたたみナイフを取り出した。

 

 さすがにヤバい。そう思った俺は瞬介のもとに駆け出した。

「お?マーサヒロくん。君も居たのか。またまた語り合いたい所だが、今はそれどころじゃ無いんでな」

 その時、初めて俺は真面目な顔の瞬介を見た。

 

 ナイフを持っている大人を前にして瞬介は一切怯えずに真っ直ぐ見据えていた。

 だが、奴も周りに人が居ないから強気に出ていた。

「こんのガキがァァっ!」

 と男が走ってきた瞬間、瞬介はボールを蹴り飛ばした。何個持ってんだよ。

 

 今度は男の鳩尾に当たり、その場で腹を押さえて蹲ってしまった。

 その場所ってのが……。

 キキィィッ!

 道路だった。

 その為、やって来た車にはね飛ばされてしまった。

「やべっ」

 流石の瞬介も青ざめていた。

 

「とりあえず救急車でも呼んどいてやるかな」

 これを見て恐怖によって動けななかった俺とは違って実際に助けることに成功した瞬介はあんまり悪い奴じゃないような気がしてきた。ちょっと頭が弱いけど。

 

 次の日、またまた俺に永遠と話しかけてくる瞬介。だが、それに対して相槌を打つようになった俺を周りの人が見て変なものを見る目で見られてしまった。

 


 

side優也

 

「こんな経緯で仲良くなった」

 その言葉を聞いた瞬間、俺は思考がフリーズした。

 

 サッカーボールを蹴るって癖。俺だけだと思ってたけど父さんもやっていたというのか!?

「だからさ。君のお父さんから優也がサッカーボールで人を助けたってのを聞いて思わず笑いそうになっちまったよ」

 いや、なんで父さんが知ってんだよ……。まさか、七海が父さんに言ったのか?

 確かにあの時は厨二病を拗らせていて、七海に色々と語ってたりしたけど。

 

「いやぁ。君もあんな事件さえなかったら瞬介の様な性格になっていたのかもね」

 とそこまで会話した所で、

「ご飯出来ましたよー」

 と美樹さんが料理を持ってきたようだ。

「手伝いますよ」

 と立ち上がろうとすると

「良いよ。今日は歓迎会とお父さんが帰ってきたパーティ兼ねてるから、今日は二人が主役なんだからね?」

 と料理を持ってきた結羽に止められた。

 

 だから俺は仕方なく待つことにした。なんか落ち着かねぇー。




 はい!第74話終了

 次回で歓迎会終了。

 歓迎会が終わったら優也の話の拠点が柴野家になります。

 それでは!

 さようなら

優也のヒロインで一番好きなヒロインは?

  • 柴野結羽
  • 星野光
  • 如月咲桜
  • 神乃露木
  • 絆成萌未

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